生涯現役

シリコンバレーでの知り合いに起業家のSさんがいる。もう10年近い付き合いだ。Sさんは日本の大手鉄鋼メーカーの研究所で勤務し、定年退職後研究してい たテーマの技術をもとに、当時ITバブルに向けて隆盛を極めていたこの地に移住して起業。圧縮技術を武器にした会社で一時は50人近い従業員を抱えるまで になったが、あるとき新製品発表と同時に特許侵害の訴訟を受け、遭えなく会社は解散。技術をAPPLEに売却して従業員たちの生活を確保したのち、少し充 電期間をおいていたが、その後2000年の頭ごろ日本の若者が作った着メロの技術を開発する会社のCEOになり、再びこの地で活動をはじめた。残念ながら アメリカは日本ほど着メロに対する評価がないことと大手通信メーカーが独自の対応をスタートしたこともあり、ここも一時は十数人の従業員を抱えるまでに なったが、縮小を余儀なくされまた音信が途絶えていた。
そんなSさんからメイルが届いた。着メロの会社を社名変更し、今度はなんとSNSの事業を展開するという。新会社名はRIOTTT(www.riottt -inc.com)。なんと若者のカルチャーを中心としたSNSサイトの運営を展開するそうだ。HPをみると、今風のTATOOの若者やらHIP HOPのミュージシャンやらの紹介などが掲載されていて、とてもとてもSさんのイメージどころか年代からも程遠い感じがする。しかしながら、そこに新たに チャレンジする意気込みはすごく感じられた。失礼だがSさん、来年たしか70歳である..。
スラッと長身で背筋も真っ直ぐ。そしてやさしそうな顔立ちの中にキラキラした瞳の持ち主は、これから新たな挑戦をスタートする。この生涯現役の大先輩には、敬意を評すると同時に本当に頑張ってもらいたい。そしてその先輩を目標に自分自身も死ぬまで現役で頑張りたいと思う。

ダラス空港にて

先月出張の途中でダラス空港に立ち寄った。ターミナルでしばし時間をつぶしていたのだが、そこで目に付いたのは、SAMSUNGの広告と各ターミナルごと
に設置された同社のプラズマTV。よくよく見てみるとフライトスケジュールのディスプレイも全てSAMSUNG製だし、ターミナルの中にはSAMSUNG
モービルのブースまで設置されていた。今まで日本の独断場だったTV産業。昨今の薄型TVでもそれは変わらないばずが韓国、台湾勢の最近の追従は強烈なも
のがある。いつの間にかダラス空港を席巻しているSAMSUNGの製品は少なからずここを経由する旅行者にかなりのインパクトを与えているはずだ。日本勢
もウカウカしてはいられない。IPODの二の舞にはらないとは思うが、気がつかないところで市場は

少しづつ失われていることを(もう気がついているとは思うが)再認識する必要があると思う。
  

はじめに

アメリカに来て早いもので、もう20年近くが経過してしまいました。
その間、ここシリコンバレーで第一次のPCブームの勃興から衰退、そしてインターネットの隆盛にともなうITバブルのゆりかごから墓場までを肌で体験する ことができたことは自分にとってすごくいい経験になりました。そしてシリコンバレーに居ながら、これらの潮流にまったく恩恵を(自分としては)こうむれな かった製造業の分野という、ちょっと違った角度でこの地をみることができたのは、これまた違った意味で自分にとってはプラスになっていると思います。
中小企業の現地駐在員として渡米し、10年間の駐在員生活の貴重な経験やトピックに関しては以前雑誌に掲載していた「シリコンバレーからの風」というコラムに執筆しました。
ここでは、ドックイヤーといわれ激流のごとく変化していくこの地のトレンドや現在の仕事であるコンスマーエレクトロニクスの動向、その他自分の生業において感じたものや見たもので記憶に残った事柄や思いを綴っていこうと思っています。時間があるときにでもお付き合い下さい。