アメリカ進出の窓口を開設した!

世の中は7月に入って再びコロナウィルスの感染者が増大傾向になり、益々予断を許さない状況になっている。5月の終わりから6月に入って感染者の減少から徐々に緩和された経済封鎖も再び新たな制約が始まる可能性が大きくなってきた。ここカリフォルニアでは6月に工場やオフィスは制限付きで規制が解除されたものの、7月に入ってからの急激な感染者の増加により、インハウスのレストラン営業が再び閉鎖されたり、この先何時再び、更に厳しい措置が施行されるか全く予測がつかない状況だ。
 自動車をはじめとした各製造業も6月半ば以降はラインの稼働率が平均して70%ぐらいは復活していると聞くが、3月から続いた経済封鎖による所得の減少が、この先どのような形で消費に影響してくるか同じく不透明だ。
そんな中、これら大手製造メーカーを相手に商売をしている中小製造業は、この先の来るべき状況においては待ったなしの状態。既に日本国内の中小製造業では、その70%以上が前年比の売り上げを下回る状態で、この先はさらに厳しい状況になるのでは?と予測されている。
 こんな状況もあり、このブログでも過去2回にわたって、この先の市場に対する予測、そして、新たな状況下においての体制づくりや、営業を主体とした市場開拓の可能性について言及してきた。
 その流れの中で、特に新たな状況下での市場開拓は、例えば日本国内に限定しても大手の大幅な減産に伴う需要の低迷は間違いなく、より真剣に

市場のあるところへ仕事を取りに行くグローバル化を意識する

必要があると強く感じている。

 ご存知のように、海外展開の必要性と意識や考えの持ち方については、このブログの重要なテーマの一つでもあり、再三にわたりここでも文章にしてきた。
また自分自身も、このまま減退してしまうそうな日本の中小製造業の海外第2創業の実現に何とか貢献すべく、過去数年にわたりJETROや中小機構、また地方自治体のアドバイザーを通じて、特に市場としてはハードウェアを中心に益々の需要が見込まれるアメリカ(特にシリコンバレー)に、彼らが情報収集や実際のセールスの足掛かりとして利用できるプラットホーム設立に向けて尽力してきたつもりだが、残念ながら、その実現には至らなかった。
そこで、同様のビジネススキームを通じて、既にこちらで僅かながらもビジネスを展開している自分の経験と顧客ベースを利用し、日本の志のある中小町工場とTEAMを編成し独自で営業展開をすべく、新たにプラットフォームを作り7月より正式に活動を開始した。
 www.beansinternational.com

 これからの世の中は、コロナの影響によりハードウェアの状況も激変、自動運転やロボットのような、既に多くの需要が見込まれる分野においての開発は急激に加速しており、そこには無数の試作や量産需要が生まれており、ここに日本の得意とする加工技術で何とかくさびを打ち込めればと考えている。お陰様でT社の全米最大の電池工場などへ、既に部材の供給もスタートした。

これをさらに加速させるべく、切削、板金、成形、組み立て、表面処理などを得意とする志の高い企業にもっと参画いただき、可能性が見込まれるシリコンバレーの新規ITメーカーや自動運転、ロボット関連、また医療機器などで急成長の企業にピンポイントでアタックしていこうと考えている。
 勿論、現状は弊社がこちらでの窓口になってはいるが、現地の需要や、相場観、また市場の状況を経験することにより、具体的には、海外図面の解釈や、海外との貿易知識の取得、製品の出荷、売り上げの回収、サービス対応のノウハウをはじめとした取引の基本を学んでもらい(詳細に関しては厳しい面も沢山あるが…)、海外進出の仕切りを下げ、自信をつけてもらう事によって、ここをステップにドンドン独立して個別に海外に乗り出す為の最初の拠点にしてもらえればと考えている。

 現在、7社ほど、各分野の有志が参画してくれているが、TEAMに是非加わりたい!興味がある!という本当に志のある企業があれば是非とも参加してもらいたい(審査、面接等あり)ので、下記宛に参画希望の連絡を頂きたい。

 info@beans-intl.com

*ちなみに、このブログのコメント欄は膨大なSPAMメイルにより、受信しておりませんので上記アドレスにコメントなども頂ければ幸いです。

海外進出に志のある皆さんとのグローバル事業展開と、海外第2創業の実現に向けて共に頑張りたいと思います。









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変化が不可欠になる!

ここカリフォルニアでは、3月17日に施行された外出禁止令がようやく徐々にではあるが緩和されつつある。それでもレストランや理容室などは継続して閉鎖を余儀なくされ、工場やオフィスも少しづつ出社がOKになってはいるが、まだまだ稼働率は低いままだ。そんな中でも生活や生業の維持は不可欠であり、それにどう取り組んでいくか?待ったなしの状況が続いている。
 アメリカでは自分がメインで携わっている自動車産業も操業をスタートしたとはいえ、その生産率は前年度の同時期に比べ70~80%という途方もなく大きな減産を余儀なくされており、生産に従事している協力工場やサポートに拘わる関連の町工場などは相当厳しい状況だ。特に製造業の場合、納期があるものやブランケットオーダーによって、現時点では今までの受注残で何とか凌ぐことができてる感があるが、問題はこの先。上半期が終了する6月以降の受注をどのように確保していくか、これが死活問題になってくるだろう。
 このような状況は特に国内需要の落ち込みが著しい日本では、更に深刻な事態となってくるのではないだろうか。NEWSを見ていると日産は国内生産が前年度の同時期に比べ90%減、TOYOTAも大幅な減産を発表するなど目に見えて悪化している。購買層の収入減による需要低迷は火を見るより明らかだ。ではそんな中、どうやって生業を維持し生き延びていくか?そのための方策を真剣に見出していかなければならない。前回のBLOGでも、このあたりのビジネスの可能性について自分の考えをまとめてみたが、その前に今の商習慣や自社のMISSIONやスタイルも含めながら、これからの世の中を考えなければならないと思う。既に「ニューノーマル」という言葉が生まれ、大手も含め新しい働き方改革を進める流れが起きているが、「ものづくり」に携わる製造関連の中小町工場においても、この先を生き延びるためには、

「変化が不可欠になる」

ということだ。自分たちは、これを機会に大きく変わって新しいビジネスを作り上げる!という志を持たなければ、この先の限られた需要の獲得や新規マーケットへの参入は厳しいだろう。

 ちょうど日本で外出や通勤の自粛が始まったころ、報じられていた在宅勤務が不可能な日本の中小町工場を取材したNEWSで
「決済に必要な印鑑を会社から持ち出すことはご法度だ」
「客先からはFAXで注文が来るので、出社して確認が必要…」
 等々、超旧態依然の状況が披露されていたが、まず第一に、こんな因習は全て払拭し変えていかなければならない。
 社内の体制、組織、各職種の役割も全て見直して変化すべきだ。組織で言えば臨機応変の多能工の育成なども重要になってくると思う。人材の確保は大手が採用を控えるなか、難しかった新卒や大手を離れた経験豊富な精鋭を容易に採用できる可能性も増えてくるのではないか?
 営業(といっても、社長が兼任でそんな分掌もない中小町工場は多いかもしれないけど…)も、まず下請けとして口を開けて待っていれば仕事がもらえた時代は終わると考えるべきだ。何度も言うが、これからは限られた需要に世界中から砂糖に群がるアリの如く競合が押し寄せくるであろう状況を前提として、自分たちから仕事を獲りにいくためのマーケテイングと戦略、そして営業業務全般の見直しが必要になる。
 自社の特化した技術やアドバンテージで独立して何ができるのか?どこに食い込めるか? 社内で朝会や改善ミーティングをしているのであれば、結論が出るまで議論すべきだと思うし、競争に勝ち残るために、具体的には今まで3日かかっていた見積もり提出を、AIを採用するなど社内データをベースに2時間で対応する体制を構築するなど細かい部分の改善も検討すべきだ。
 加えて言えば、今まで下請けゆえ甘んじてきた決済の方法も、親元任せで内示制度など正式発注も無い中、信用だけで作業を進めざるをえなかったり、製品が納品されるまで支払い(それも手形で)も無し。そんな状況がどれだけ経営の圧迫要因になってきたかも再考し、自分たちの主張や支払い条件が受け入れてらえるレベルの体制と自信を築くことで、このような因習も払拭できるだけの努力をしてもらいたい。

世界中の誰もが経験したことが無かった新型ウィルスのインパクトにより、我々は時間と生活、自由の犠牲を余儀なくされた。にもかかわらず、収束後は元の生活に戻ってしまったら、今回の犠牲から何も学ばなかったことになる。
 この代償として我々は希望ある未来に向けて変化することが絶対に必要だと考えるべきだ。




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来るべき未来の需要を考える

2月ぐらいから懸念はあったものの対岸の火事ぐらいにしか誰もが考えていなかった新型コロナウィルスの猛威は3月に入ってあっという間に世界を激変させてしまった。ここカリフォルニアはアメリカの中でもいち早く3月17日に外出禁止令を施行、学校はもとより不急不要の企業、工場、商店、飲食店は全て閉鎖となり、このブログを書いている段階でちょうど1が月を迎えようとしている。生活に必要とされているビジネスは継続されてるものの、人との接触は厳格に1.8m以上の距離を開けることが義務付けられスーパーなどの出入りも制限。レジでの順番待ちやTV局のインタビューも距離を保って行われている。これだけの制限下でも、このウィルスの猛威を封じ込める事は完全にはできていないのが現状。そして、この外出禁止令によりGOOGLEやAPPLE、FACEBOOKなど大手企業も休業状態。BIG3を中心とした大手に加え日系自動車メーカーのアメリカ製造拠点も一時閉鎖でEV大手のテスラも工場の操業を停止している。当然その生産を支えている協力工場やVENDERも大打撃を被っており、メインで自動車産業向けにビジネスを行っている自分の会社も開店休業状態だ…。
 
 考えるに、このように国内が閉鎖され、国交間の交流がなくなり鎖国に近い状態にもかかわらず収束が明確に見えない状況の中で、一つはっきり言えることは、この状況が落ち着いたとしても、

 「今までと同じ生活は戻ってこない」

という事だ。日本の産業面を考えても大手企業はもとより、そうでなくとも昨年以来「大廃業時代」を迎えると予測されていた中小企業においては、想像をはるかに超えた未曽有の惨事を迎える可能性がある。これは、自分がかかわっている製造業の分野でも然りだ。今まで自動車産業を中心に操業を続けていた中小町工場は産業自身の衰退により大打撃を被るだろう。建築資材や食品製造にかかわっていた企業にも同じ事が言えるかもしれない。現在、行政を中心にその救済で拠出金や補助金などの捻出が急務となっているが、一時的な対策では、そこに依存していく事は不可能で、残念ながら多くの企業が淘汰されてしまう流れは避けられないだろう。そうであれば、これから先はとにかく自分たちで生き残る道を探していくしかない。需要が著しく減少する中で今までのように待っていれば仕事がもらえたという時代は無くなると考えるべきだ。要は:

「自分たちでマーケットを探し自分たちで切り開いていく」

つまり、今までこのブログで何度も何度も訴えているマーケットインをしていかないと生き残る道はないに等しい。

この先、大きく世の中が変わる中、当然その未来の生活に必要となるハードウェアの需要があるはずだ。そこをどん欲にリサーチしマーケットインしていく努力が不可欠になる。今始まったばかりのこの緊迫した状況の中で想像できる未来のライフスタイルを考えると、自分の意見で恐縮だが製造業に関しては少なくともこんな需要があるのではないだろうか。

1. 医療機器
 この需要は間違いなく増大するだろう。今回のように人工呼吸器のような有事の際に必要なものの他にも通常の医療機器で感染者以外に簡易(負担の軽減)で使用できそうな設備は確実に需要が増えると考えられる。併せて接触を避ける意味で医療、介護ロボットの需要も増える。TESLAは今の車載に使用している大型ディスプレイやエアータンクを転用して人工呼吸器の生産を進めている。このような発想で自社の技術をうまく転用した市場開拓はありだ。

2.新薬(治療薬)、ディスポ―ザル資材や衛生関連商品の生産ライン
 感染症に対応する既存の治療薬や新薬、マスクや滅菌服等の消耗品、またサニタリー商品や洗剤などの需要の増大に伴う生産ラインは確実に増える。その生産ラインをにつかさどるシステムや搬送系の部材は需要が見込めるだろう。

3.タッチレス関連資材、システム
  感染を憂慮し、ものに接触することを軽減する資材やシステムは確実に増える。タッチレスセンサーを使用したスイッチやボタン、発熱を感知するサーモセンサーが設置された自動ドアやゲートも一般的になるかもしれない。更に電車のつり革や公共施設、銀行のATMなど手で触れるものに変わるデバイスやガジェットが一般的になると考えられる(既にいくつか製品があるようだけど)。

4.デリバリー用MOBILITYや供給ロボット
 人との接触を避けるためのデリバリーを自動化するための搬送車等、自動運転車の普及が今まで以上に加速すると思う。また、店舗においても商品をサーブする店員の役目をするロボットなどは増える可能性が大きい。

5.物流システムの増大と一般化
 こちらも人との接触を避ける意味でオンラインでの購買が今まで以上に主流となる。そのための仕分けや個人のオーダーをタイムリーに行うための物流システムや搬送ラインなどがAMAZONのような大手のみならず中小のマーケットや卸問屋などにも普及するのではないか。

6.ONLINE学習やテレワークに必要な端末類
 オンライン授業やテレワークが一般化することによって一人に1台のPCや携帯端末が必要不可欠になる。そのための需要増大は間違いない。

7.IN HOUSEのデマンド
 家にいる時間が長くなるので、それに関連する調理機器(パン焼く家庭増えてない?)やミシンなど既存の製品や新たな商品の新規開発などに期待できるかもしれない。また家庭で使用する電力なども増えるので一般家庭向けスマートグリッドの普及が更に進むかもしれない。

 と、簡単にわかる範囲で製造業に寄与しそうな需要を考えてみた。勿論これらが必要な世の中になるか不明だが、この可能性に関連した試作や製品部材は十分見込めるのではと愚考する。

正直なところ、今の現状をどのように乗り切るか?自分の状況も含め、かなり緊迫している中で、このような未来のマーケットを具体的に考える余裕はないかもしれない。ただ今のうちに、できるだけの情報収集を行い、この先に来るべき市場の分析とそこへ食い込むための対策が無ければ淘汰されてしまうという事を、しっかりと肝に銘じてもらえればと思う。

  明治維新と終戦後の何もない状態から2度も製造業を中心に素晴らしい日本を築き上げてきたDNAは間違いなく我々に受け継がれているという事を自分も含め忘れてはならない。




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2020年の年頭にあたって

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、新年早々古い話で恐縮だが、自分が若造だった1980年代(もう40年近く前だけど…^^;;)、まず夢は自分の車を持つこと。そして車にはカッコいいカーステレオのコンポーネントを装着する事だった。当時は日本のブランド全盛時代!パイオニアのロンサムカーボーイ、カロッツェリア、富士通テンのBIO、クラリオンのCITY CONNECTIONをはじめALPINE,KENWOOD, SONYやパナソニックもこの分野でしのぎを削っていた。
 ご存知のように、その後カーステレオはカセットテープがCDになり、さらにHDDからMP3を経て現在のプラグインへと大きく変貌し、製品自身もカーナビゲーション主体へと大きく変っていく。自分自身は1990年代の半ばにPANASONIC AUTOMOTIVEの最初の生産ライン(ジョージア州アトランタの郊外、PEACHTREE CITY)の立ち上げに携わったのを皮切りに、日本のメーカー各社がアメリカ(主にメキシコ)での生産をスタートするにあたって、他にアルパイン、クラリオン、富士通テンの生産プロジェクトに参加。今でも各社との付き合いは継続している。

 そのブランド力と品質で世界の自動車メーカーに採用され一世を風靡してきた日本のカーオーディオ(カーナビ)メーカーだが、今はどのような状況になっているかご存じだろうか?実は最近の10年で各社とも悲惨な終焉を迎えている。
 KENWOODは早くも2008年にJVCと統合して単独での上場廃止となり、SONYは2012年に撤退。この業界の雄であったパイオニアは2016年にAUDIO機器のオンキョーへ譲渡のあと会社ごと消滅(2019年に香港投資ファンドの傘下になる)。世界初の車載CDプレーヤーを開発した富士通テンはDNESOに吸収されDENSOテンになり、ALPINEもアルプス電気の完全子会社となり上場廃止。そしてクラリオンは昨年フランスの自動車部品大手のフォルシアに売却され、その幕を閉じた。現在、唯一単独で生産を続けているのは自分の知る限りPANASONIC AUTOMOTIVEのみだ。

確かにカーステレオからカーナビまでは順調だった。ただ、今の世の中、車に搭載された旧態依然のカーナビを利用している人がどれほどいるだろうか?その機能の殆どがスマートフォンで事足りているのは自分だけではないだろう。
 現在では、その役割と言えば車の「センターコンソール」(以下センターコンソール)として、オーディオのみならず車に搭載された機器の制御やコントロールパネル、自己診断機能のモニター等多彩な機能を持つようになってはいるが、大型の液晶パネルにコントロール用の実装基板があれば事足りてしまう。このような変遷によって、ヘッドやローディング用のメカ、ボリューム等のスイッチなどのハードウェアは不要になり、これらの成型品や加工部品などを製作していた中小町工場もその需要を失ってしまった。

要は、

 どんなに名を馳せた有名企業、一世を風靡した製品でも時代の流れとトレンドをしっかり見据えていないと、あっという間に葬られてしまう。

という事だ。

 そして現在、センターコンソールでは何とか世界有数の生産量を維持しているPANASONICにも新たな試練が待ち受けている。

 韓国の最王手SAMSUNG、いままで部品以外では自動車産業と繋がりが浅かった同社は2017年に車載オーディオも手掛けていたアメリカの大手AUDIOメーカーのHARMAN KARDONを7000億円で買収。GALAXYを持つ同社としては、その戦略として新たなCASE時代に向けて、センターコンソールを中心としてスマートフォンと同様のサブスクリプションモデルの実現を進めている。彼らにとってセンターコンソールは単なる箱(ハードウェア)であり、ここに提供したり習得する情報でマネタイズをする目論見だ。そうなるとPANASONICをはじめセンターコンソールというハードウェア販売でビジネスを構築しているメーカーにとって、日本の携帯電話製造メーカがあっという間に終息してしまったのと同じ末路をたどる可能性があるのだ。
加えて、このブログにも何度も書いているが、将来的には車載部品のみならず自動車自身でもこのサブスクリプションモデルが主流になる可能性があることを決して忘れてはならない。

 さて、わずかここ10年で大幅な変貌を遂げたカーオーディオ市場をみても、デジタル化の流れで今の世の中がどれほど早いスピード動いているかを理解することができる。そしてこの流れな間違いなく加速していくはずだ。しかしながら日本は今年東京オリンピックの本番があり、その準備で景気が盛り上がっていた過去数年間、特に自動車産業に於ける現在の競争激化の世界的な流れから少し距離を置いてしまった感がある。

 1964年、最初の東京オリンピックの際、その国家的事業の実現に向けて新幹線や首都高速などのインフラ整備を中心とした公共事業が牽引し日本は一挙に好景気となり、国民すべての生活水準も飛躍的に向上したことは事実だが、オリンピックが終わった後、一挙に不況のどん底に転落してしまったことはあまり語られていない。
 作家の遠藤周作先生はその当時の状況を「東京さんよ、これから何をたよりに生きていくつもりかい?」と自身のエッセイに書き残しているが、今回のオリンピック終了後は、絶対にこのような状況になってしまってはならない(勿論、その後1970年の大阪万博に向けて日本は復活。今回も2025年の万博に向けてという期待はあるが…)。

 特に大廃業時代の到来がささやかれる製造業や、これから新規事業の展開を計画しているスターㇳアップ企業の皆さんにおいてもオリンピック終了後が間違いなく重要なターニングポイントになる。

 「オリンピック」をリセットし気持ちを新たに今からグローバルに目を向けて自分たちの立場や状況を理解し5年10年先の計画を真剣に考える。

今まで自分自身少し余裕をもって、同じような提言を何度もしてきたが、実際の開催となる2020年、もう後はない。
 そこで自分は勿論、皆さんにも是非、この言葉を今年の抱負の一つに加えてもらいたいと思う。





 

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EVでも世界を獲れるはずだ!

 2週間前(11月30日時点)にTESLAの新しい車種であるCYBER TRUCKが発表された。どう見ても車のイメージを超越した近未来的な月面装甲車的デザイン。走行距離も一回の充電で約400㎞。0-100mの加速は6.9秒とポルシェのマカンやパナメーラのディ‐ゼル車並み。価格は39,000~70,000ドル弱と割高感はあるものの意標を突いたデザインにイーロンマスク自身による派手なパフォーマンスで予約が殺到。その数はわずか3日間で20万件になったという。2018年度のTOYOTAプリウスの総販売台数が12万台弱なので、その2倍近い台数をあっという間に確保できたことになる。自分の記憶が確かであればTESLAが廉価版のモデル3を発表した2016年、その予約総数が40万台を超えたというNEWSが巷を席巻していた。その前年の同じくプリウスの総販売台数が20万台だったので(今よりだいぶ売れていた…T_T )、その時も、瞬く間にTESLAのEVは当時、燃費のパフォーマンスで群を抜いていたプリウスの牙城を凌駕していたわけだ。今回も日本の自動車業界にとっては衝撃的なNEWSであったはずなのに、その時タイミングよく日本にいた私は、TVはもとより、新聞、メディアでも、一切TESLAのNEWSは目にする事はなかった。これは日本のメディアの顧客のほとんどが日本の自動車メーカーである事と残念ながら間違いなく深い関係がありそうだ(これはモデル3発表の際も同じだった)。

 そんなメディアの状況が日本の自動車産業の牙城に切り込む訪米と新興国の勢いをウヤムヤにしてしまっている感がぬぐえないが、そのTESLAの廉価版モデル3が発売された2016年頃から世界の自動車業界は一挙にEV化に向けての舵を切っている。ヨーロッパの各国が2030年までにガソリン自動車の販売を全廃する方針を打ち出したことによって、VWは2025年までに50車種のEVを発売することを表明。アメリカではFORDが2020年中に数車種の発表を表明。既にVOLTで市場を開拓しているGMは2023年までに23車種。高級車の雄であるポルシェも最近自前の量産EV「タイカン」を中国広州のモーターショウで発表。それぞれがEV市場の覇権を狙うべく動きを進めている。
 さて、自動車業界の雄であったはずの日本勢はどうなのだろうか?唯一TOYOTAが同じ広州のモーターショウでEVの市場投入を明確化し2023年あたりを目標に10車種の投入を計画している発表があったが、現状車種においては日産のリーフ、三菱のiMIEVのみが販売されているにとどまり値段も残念ながら著しく高い。自分が住んでいるシリコンバレーで、テスラのみならずVWのEゴルフやBMWのi3、GMのボルトをはじめ夥しい数のEVを日常目の当たりにしていると日本勢の存在感のなさに残念ながら意気消沈の思いだ。

 確かに日本においては現在自動車関係に従事している就業人口が200万人以上で、殆どがガソリン自動車の生産に携わっているという現状故、そのインフラを反故にすることは叶わないという状況はあるだろう。しかしながらこの先CASE(新しい自動車産業のキーワード)のうち、AとEは電気自動車が前提、その市場を狙う既存のメーカーに収まらない中国のBYDやBYTONをはじめとした数十社になるという新興自動車メーカーの脅威に対して、明確な政策や方針、そしてインフラを確保していくというアクションは急務どころか即実行に移すべきではないかと考える。特に大きく車自身の構造が変わる中で現状TIER1,TIER2に部材などを供給している中小町工場においては死活問題ではないかと思う。
 ただ、このブログで何時も叫んでいるが(笑)、そんな状況の中で自分は以前より、この流れを新しい事業展開の大きなチャンスと捉え、新たな発展につなげることができるのではないか?と常に思っている。残念ながら、そのための解は自分にも具体的に教示できないけれど、実はそんな解をみつけられるDNAは既に日本の皆さんが持っているのではないか?と最近NHKの「歴史秘話ヒストリア」で放送された日本の電気自動車TAMAの逸話をみて確信した(ご覧になった方も多いかと思います)。

 終戦直後の1945年12月、戦前には十数社あったといわれる飛行機の製造メーカーの雄であった立川飛行機によって始まった新規自動車開発。当時統制されていたガソリンの代わりとして入手に制約のなかった電気を駆動部に採用した開発が始まり、1946年に、その責任者であった外山保を代表として「東京電気自動車株式会社」が設立された。ここで最初に開発され1947年に発表された電気自動車が「TAMA」だ。
 
 従業員の殆どが当時ゼロ戦をはじめとした世界最高峰だった日本の飛行機の設計に携わっていたエンジニア達。このTAMA(会社が府中で多摩地区にあったことで命名)もその技術力を踏襲、空力学的に抵抗の少ないボディ設計や消費を抑えるためにバッテリーやモーターを低重心で車体の中心に置く設計など飛行機の開発に必要なアイデアがちりばめられていたそうだ。TAMAは性能的にも当時の自動車より秀で売れ行きも上々で販売当初1948年の自動車の総生産台数の3分の1を占めていたという(ちなみに当時は他の日系自動車メーカーもガソリン統制の状況からEVを作っていた)。
 しかしながら1950年の朝鮮戦争の影響によりバッテリーの主材料である鉛(弾丸に使用されるため)の価格が高騰。既に統制が解かれたガソリン車への移行を余儀なくされ、総生産台数1099台わずか5年での撤退となる。外山を中心としたエンジニア達は、その後ガソリン車の開発に挑み、ゼロ戦のエンジンを開発した中島飛行機の後継である富士精密工業と協業し、最新鋭の乗用車で御用車にもなった「プリンス」を開発。1954年に社名がプリンス自動車になり、名車スカイラインの開発をはじめ日本のモータリゼーションの黎明期を築いた。そのプリンスがデザインした日本最高峰のレーシングカーR380が日本グランプリでポルシェと互角に渡り合った逸話は有名。その後1966年に同社は日産の傘下となる。

 そんな歴史のある日本の自動車産業に埋め込まれている電気自動車のDNAは、まさに今再び開花する時期にきているのではないか?そんな思いが自分には鮮明だ。多少、出遅れの感はあるが是非とも挽回して世界を獲ってほしい!

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大廃業時代をどう捉えるか?

少し前になるが、NHKスペシャルで放映されていた「大廃業時代」という番組をみた。日本は今、未曽有の大廃業時代。昨年過去5年で中小企業の20万社が廃業。その数は年々うなぎのぼりで昨年1年間だけでも46,000社が廃業に追い込まれているという。勿論、中小企業といっても業種は様々だし、その廃業理由も後継者問題をはじめ多種多様だと思う。しかしながら日本の会社の99%を占める彼らがものすごい勢いで消えていくことは、少子化問題等に匹敵する非常に憂慮すべき状況だと感じる。
 この状況は自分が携わる製造業においても間違いなく顕著だろう。ここ数年の日本(特に関東地域)は2020年のオリンピックに向けて、少なくとも景気は悪くない状況だった。こちらで日本から視察ツアーなどで訪問する中小町工場の団体や経済関連の皆さんとお会いしても、正直これからの景気に対する憂慮や不安は頭の片隅には有るものの、現時点での好況に追われる中で先々の事まで考える余裕はない、といった雰囲気が強く感じられた。自分は勿論「そんな悠長な事ではだめだ」「この先の急激な変化はあっという間にくる」という話も強調しているつもりだし、その辺に関しては勉強になったという感想も頂くのだが、視察を終えて日付変更線を越えてしまったら、結局、通常の業務に奔走する日々の中で、そんな思いは霧散してしまうようで、其の後の展開やアクションのアップデートを貰ったことがない。
 しかしながら今取引のある町工場の仲間達からは「最近少し動きがおかしい」とか「受注量が減った」という声もちらほら聴くようになってきた。確かにオリンピックが終わったら将来的に日本の経済をけん引する産業は何だろうか?加えて日本がその景気の恩恵を受けている間に、最後の牙城である自動車産業は世界中が動きを見せるCASEの標準化によって足元からひっくり返されても不思議ではない状態。気が付いた時には「手遅れ」になる可能性は限りなく高い。そうでなくとも、この先の廃業数が間違いなく増えていくことは避けられない事実。では多少なりとも景気が維持できている今、「何を考え、どうアクションすればいいのか?」を考える必要があると思うのだ。 まず大前提として、この現在の状況は避けては通れないものとする。そのうえで
 
 「大廃業時代をどう捉えるか?」だ。

 ここからの私見は、日本の今の状況を詳しく把握しているわけではないので、かなり極端で現実性がないかもしれないが少し考えてみた。

 先ず、何度もこのBLOGには書いているが、自分の住むシリコンバレーには未だに2000社近い製造業に従事する中小町工場が存在する。彼らは巨大IT企業や半導体製造装置メーカー等、世界に君臨する企業の試作や製品部材を供給してしのぎを削っている。少し古くなるが2008年のリーマンショック以前には、その倍の4000社近くが存在したといわれている。それが景気の荒波に揉まれ現在の2000社に淘汰されて今日に至っている。ここには日本のような補助金という制度は存在しない。経営に破綻し力尽きた会社は自力で立ち直れなければ廃業(倒産)の道しかない。そしてその廃業した会社から力のある会社が従業員や設備(これは2束3文)を引き取り自社のキャパを増強、勢力拡大したところで、またそこから力やアイデアのある連中がスピンアウトし起業して業界に参入する。そんな新陳代謝のエコシステムがある。このような弱肉強食の修羅場をくぐってきた彼らは、それなりにタフで競争力もあり市場にしがみつこうとするアクションもかなりハングリーだ。
 このような形のエコシステムを日本にも、この機に作り上げることはできないかと思う。勿論、淘汰されてしまう企業には残念ながら…と言うしかないが、技術や資産を持っていながらも廃業を希望、もしくは考えている企業にとっては、機会としてその機能の一部を存続できる可能性はあるし、引き取った会社は、市場(需要)自身を確保するという大前提があるが、それを踏まえて組織の構築をし、少なくとも設備や経験のある熟練工をTEAMに加えられるので更なる市場開拓に挑めるかもしれない。そして行政は今まで一部では企業の延命にしか使われてこなかった補助金を、このような会社の吸収を実行した企業中心に拠出するのは有りではないかと愚考する。例えば地域的に多くの小規模企業が集中しているエリアで操業している2000社ある従業員数名程度で廃業の可能性がある、もしくはそれを希望する企業を対象に、行政や製造インフラを必要としている企業がイニシアティブをとり、その技術や「仲間回し」ができる関連性などを考慮し資金(補助金)も拠出して会社数を半分、もしくは3分の1にまとめ上げるというイメージだ。

 もう一つは技術アセットの保持。特にモノづくりに関して言えば、廃業に追い込まれていく企業の中には、卓越した技術や優れた製品を持っていても営業力の無さや、経営手腕によって会社を手放さなければならないケースも沢山あると思われる。であれば少なくともそのようなアセットだけは何とか救い上げて次世代の産業に生かせていけないだろうか。このBLOGでも紹介しているが、既存の技術アセットを現在の市場に形を変えてマーケットインさせ、成功を収めている会社も多数存在している。それを、もう少し体系化してプロジェクトとして進められないかという事だ。勿論、以前から提唱しているが、そのための「目利き」やエージェントを育成、もしくはマーケティングのプロ集団を大企業や行政が組織することが必要だが、彼らが中心となり現状、廃業していく企業の技術や製品をデータベース化しマーケットインできそうな次世代の製品への応用や実利用ができないかを集約し営業展開できればと思う。マーケティングやセールスに関して言えば、国内よりも先端技術の動きが激しいアメリカ、中国を中心としたアジア諸国に目を向けるほうが良いだろう。そしてアセットを持っていた会社には、実績が出せればロイヤリティを支払う事も可能になる。

 以上、あくまでも私見で暴論に近い内容だが、いづれにしても避けては通れない大廃業時代という現実を、ただ単に悲観的な状況にとどめるのではなく、できればそこから、特に製造業(モノづくり)の復興につながる方策として前向きに考えなければならないと思う。そこには景気が悪くなれば補助金を無心すればよかった今までの体質の改善も不可欠、そして企業側も生き残りをかけて自己の考えを正していくことは絶対必要。でも現状そこまでやらなければ、この先の「モノづくり大国ニッポン」の存在感を維持していくことは困難だ。

 まとまりのない内容になってしまったけれど他にも方策はたくさんあると思う。状況は待ったなし。是非、色々と熟考していただきたいと思う。





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盛田昭夫会長の教え

 今から30年前の1989年7月1日に公開されたSONYの盛田会長のWALKMANに関する社内向けビデオ(動画)が、その長い時を経て先月の7月1日にNIKKEIのサイトからリリースされたことを知り、早速拝観した(是非リンクを観てください)。 このビデオは1979年の発売以来10年間で5000万台を売り上げ大ヒット商品となった同製品の誕生秘話(録音機能を付ける付けないで揉めた話等)や、その極めて和製英語なネーミングでイギリス、アメリカでは全く受け入れられなかったものが何と英語圏以外で瞬く間に浸透し最終的にはイギリスの権威あるオックスフォードの辞書に掲載された逸話など本製品のエピソードで構成され同氏のウィットに富んだ話しぶりも交えて非常に示唆のある内容だった。
 その13分弱のビデオの後半で盛田会長が「この製品を構成するプレーヤーとヘッドホンは、それぞれ既存の製品で、それを音楽を常に聴きたいという市場のニーズに合わせて改造したものだ。大きな発明、発見ではなく、製品の組み合わせで新たな産業をつくることができた。そこに大きな意味がある」と語っていた。本人は、それを

「プロダクトプランニング」

と表現していたが、今風に言えばまさに「マーケットイン」の発想だ。今から40年も前に、そのコンセプトを駆使して世界に浸透する素晴らしい商品を作り上げた同氏の先見性とビジネス手腕は、今のIT大手のFOUNDERに引けを取らない偉大なものだと思う。

 そのWALKMANの誕生から28年後の2007年に、APPLEのスティーブジョブズは既存の製品と技術に新しいテクノロジーのインフラを盛り込んだI-PHONEをリリースして一世を風靡した。既にSONYのCLIEやSHARPのザウルス、PALMのPDAが存在していたのに、盛田会長を唯一尊敬していたといわれているSTEVE率いるAPPLEがそれらをインテグレートして製品化したことに、盛田会長が提唱したプロダクトプランニングのコンセプトがあったのでは?と自分は思うのだ。
 
 このように考えると、既存の技術や製品をMODIFYすることによってマーケットインできれば、まだまだビジネスの可能性は山のようにあるはずだ。新規のスタートアップ企業が何もない0の状態から1を作り出すより、既に1となる既存の技術や商品をプランニングできれば、その可能性は10どころか100になるかもしれない。

 さて、自分の分野である中小町工場の今ある状況においても、まさに同じ可能性があると考えている。既に職人技の精度技術や、その中から培われてきた製品などは市場の需要をしっかりと把握し、うまくマーケットインすることができれば、何十倍、何百倍になる可能性があるという事だ。

 先般テレビ東京の「ガイアの夜明け」で紹介されたDG TAKANOは、先代が培ってきた業務用ガスコックに使用される1000分の2ミリという超高精度の職人技を、節水ノズルに応用して製品化し今大成功を収めている。この例に漏れずまだまだポテンシャルのある無数の技術や製品は世の中に沢山あるだろう。
 勿論、それをマーケットインさせるためには、市場や世の中の需要をしっかりと把握し、解析する能力は必要だが、このあたりを意識すれば新しいビジネスへ大きく開ける可能性は十分にあると考えたい。
 もし将来を考えて新たな道に挑む気概があるのなら是非とも、そんな目線で自分たちの技術や製品を考えてもらいたいと思うのだ。
 
盛田会長のビデオからそんな事を考えました。日本の偉大なアントレプレナーに最大の敬意を表します。






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試作市場の厳しさを知れ!

 このブログでも何度か紹介しているが、今メインで携わっているGIGAファクトリーのプロジェクトの関係で、2か月ほど前からシリコンバレーで新規で地元の町工場2社と取引を始めている(既に付き合いのある町工場を含めると現在5社と取引があります)。
 板金加工を手掛けるS社はベトナム人の社長(というより町工場の職人のオッサンという感じ)を含めて従業員は5名、サンノゼの東のはずれにある工業地帯の入り口がどこにあるかもわからないような長屋風の建物の一角にあり、もしかしたらVINTAGEの部類に入りそうなAMADAの工作機が2台。工場の中は、雑然としていて床には削りカス、物置き台の上には図面が散乱。空調もきちんと動いてないのか、出入口のガレージドアは開けっ放しという、どう見ても日本で提唱されている3Sや5Sとは異次元の空間で淡々と客先の注文をこなしている。多くても100枚までの生産でメインは1~10枚の試作が中心。本当にその状況から見たら日本だったら「一体誰がこんなところに注文をだすんだろう?」という感じなのだが、彼らがこなしている仕事は、半導体製造設備の最大手であるアプライドマテリアルや、KLA TENCORといった超一流のメーカーからの依頼だ。見た感じ間違いなくオーバーフローも少ない分、価格も非常に安く、既に色々頼んでいるが納期はしっかり2週間以内で対応してくれる。そして品質でも問題になったことはない。これはきっと超高品質を要求される大手半導体メーカーとの付き合いの中で培われてきた結果であろう。
 切削加工を手掛けるインド人経営のJ社は従業員30名。サンノゼの南のはずれの、これも入り口がどこにあるかわからないようなこじんまりした工業団地の一角にある。ここにはOKKやMORI SEIKIなどの切削機を中心に工作機が10台ほど。またデザインルームや検査室も完備し、そこそこのオペレーションだ。顧客も半導体設備メーカーをはじめ、巨大企業GAFAの雄であるGやF、新興勢力のUBERやWYMOなどの試作部材を中心に手掛けている。またEVメーカーT社のスペアパーツなども生産しているようだ。
この会社も納期は大体2週間。価格も日本と比べて遜色のないレベル。見積もりに対する対応などは迅速で全くストレスを感じさせない。そして特筆すべきは、この会社が入っている団地に、なんと同じような切削加工を生業とする町工場が10社も以上あるという事。これがアメリカの試作市場を支えている連中の素顔だ。
 
さて昨今、日本では、JETROなどがバックアップし、アメリカの試作市場参入のプロモーションを行っているようだが、果たして例えばシリコンバレーを例に挙げれば未だに1000社以上存在するこのような切削、板金、成形、アッセンブリを得意とする連中を相手に、どのように立ち向かえばいいのか?先ず本当の意味でそこを徹底的に吟味する必要あると考える。 
 そうでなくとも日本で製造をした場合、そこには製品価格に加え国際輸送の送料や関税(特に金属)が必要。また最短でも現状は日本4日かかる日数は納期に加算しなければならない。当然それを加味しても受注を獲れるアドバンテージが不可欠だ。勿論最初から潤沢な資金があり、アメリカに工場を設立できるという企業であれば話は別かもしれないが、それでも、価格競争が厳しい中で一つ$100~$1,000程度の少量の試作部品の製造で、こちらでの設備投資や法外な給与ベースの従業員の確保、そしてこれまた法外な生活費などの経費を通常の償却ベースで採算に乗せていくのは至難の業だと思う。だからこそ、綿密にリサーチを行い、自社の持つアドバンテージがこの市場に対してどのように貢献できるかを、しっかりと見極め戦略を立てなければならない。アメリカで大成功を収めている日本の加工メーカーの雄HILLTOPは進出する数年前からこちらに足繁く通い、こちらの市場を把握、品質や技術力ではない自社のアドバンテージを生かした戦略で臨みビジネスを軌道に乗せている。このようにしっかりしたマーケティングリサーチを実施し戦略を立てれば可能性は十分にある。昨今の自動車革新、AIによる自動化やロボット急速な普及を考えると、こちらの市場は日本の何倍もあることは間違いないのだ。

ただ、いつも同じことを言っているが、その前にアメリカに本気で食い込んでやろうという高い志があることが大前提だ。

 日本のぬるま湯的環境で、景気が悪くなれば補助金を無心することで延命できるようなシステムはこちらには存在しない。今活動している1000社以上の町工場も、補助金などの制度がないこの地で弱肉強食の中で生き残ってきた会社だ。当然生半可な気持ちでは歯もたたないだろう。それでも、こんな連中を相手に高い志を持って「アメリカで勝負してやろう!」という町工場があれば、力になれるかわからないけれども自分は是非とも応援していきたいと思っている。

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MaaS時代にどう戦うか?勝機は有りだ!

シリコンバレーの有志たちで構成され、こちらの最新状況をベースに日本へ喚起を促しているD-LABのレポート第3弾が発表された。過去2回に続き、今回も内容は秀逸で、いまこの地で起こっている自動車産業の破壊と創造が2017年にリリースされたレポート第1弾の時からどのように昇華し展開しているか?そこに絡む既存の大企業やGAFAと中心とした大手新興勢力、中国をはじめとした新興国の状況、そして周りに無数に広がる関連スタートアップの展開など、今ではMaaS(MOBILITY AS A SERVICE)という表現で一般化している状況をまとめている。とにかく感じるのはスピードの速さだ。特に第1弾のレポートには殆ど出てこなかったALIBABA, BAIDU, TENCENTといった中国の巨大スタートアップの参入とその戦略など、うかうかしている状態ではないことが強く感じられる。自動車産業という日本にとっての最後の牙城が、まるで砂糖に群がるアリに覆いつくされるがごとくの状況はゾゾっとするくらい恐ろしい。しかしながら日本にいたら間違いなく、そのような危機的状況や、この先をどう乗り切るかの必要性など感じられないと思う。メディアの報じる多くの自動車メーカーの広告やCMは安全性を技術で補完した新しい機能などの充実ぶりを見せてはいるが未だに、

「車というハードを売るためのPR」

に終始しているからだ。勿論、日本の自動車産業がハードを売るビジネスで過去70年近く成り立ってきているので、それを簡単に覆すことはできないことは容易に想像できる。いきなりのEV化やEVを基盤とした産業への転換は、ガソリン自動車の巨大なインフラの持つ日本では間違いなく不可能だ。しかしながら確実に言えていることは、まず、MaaSがより一般的になって、シェアライドやスクーターのような新規モビリティの普及、そしてコネクテッド化による各社サービスの没個性化によって、

「車本体の販売台数は間違いなく減少する」

という事だ。当然、EVや自動運転車は、その数を急速に伸ばす可能性は高い。しかしながら産業構造自体が、情報中心というスマホの産業形態に近づくことにより、MOBILITY自身も大量生産で低価格なものが主流になることは間違いない。

では、迎え来る新たな時代において、日本勢、特に大手自動車メーカーを下支えしてきた系列、その中でも中小町工場はどのように立ち向かい戦っていけばよいのか?このあたりを真剣に考える非常に重要な機会が今訪れているという事を、このDラボのレポートから是非感じてほしい。

具体的にどのように戦うか?だか、自分的には少なくとも前提として既存の自動車産業の破壊と創造は、ある意味系列とういう日本特有の従属的なピラミッド構成の崩壊にもつながる一つの大きなポテンシャルとして考えられないか?と思っている。
かつて日本の地方で講演した際、東海地区や山陽地区など、大手自動車メーカーの城下町では、少なからず同地の協力工場は一所懸命、御恩と奉公的な状況が顕著だったし、従属側も「余計なことをしたり他所に売り込むと親元に申し訳ない」とか、親元も「そんな事してる余裕あるならもっとウチの仕事に専念しろよ」的な重圧もあるなどの話をあちこちで耳にした。このような体制が大きく変わる可能性があるのだ。各地の大名が、その存在を失った幕末から明治にかけて従属していた家臣や庶民は新たな活路を求めて新規事業を起こしたり、経験を生かした生業を展開して日本という国を作り上げてきた。同じような可能性が自分には、この先間違いなく来るのではないか?と思っている。
具体的に言えば、日本の自動車産業を世界に知らしめた安全性と自動車自身の耐久性や品質だ。例えば中国には昨年の段階で政府の補助を受けているEVのメーカーが60社近くあるが、彼ら、言い換えれば素人が作るEVや自動運転車(MADE IN CHINAの商品のイメージが強い)に乗りたいと思う人は正直いないのではないか?と思う(もちろんMADE IN CHINAのイメージは今か異なるかもしれないが…)。
記憶では自分が韓国で活動をしていた1980年代の半ばに,現代自動車が本格的に国産自動車産業への参入を始めたのだが、最初に手掛けたのは当時日本の最高級車であった三菱のデボネアのOEM販売だった。この車を当時台頭してきた財閥系企業の幹部や行政関係に販売し、その安全性と信頼性をPR(日本製だから間違いないがブランド名は現代)。このトップダウンによるマーケティングを連携させ三菱との提携によって学んだ生産/製造技術によって自社による生産をスタートし今の地位を築いてきた(と自分は思っている)。
やはり最初から、安全性と信頼という保証を確保するのは容易ではない。そこに日本で長年培われてきたTIER系列の中小企業がもつ信頼性と安全性の実績ある部品や素材などには間違いなく需要があると考えられる。特に自動車産業の製造品質基準であるIATF16949を取得している会社も間違いなく多いはずだ。また日本勢には親元に長年搾取されてきた価格競争力もあると思う。これらを武器に独自の営業展開をすることはできないか?小さいところで単独での営業活動が難しければ行政がまとめて中国の自動車関連メーカーと独自の商談会などを企画するのも面白いかもしれない。勿論、本当にに需要があるかはわからないし中国が国として外国製の部品を受け入れることを良しとするかもわからないが、少なくとも新興メーカーが60社あること自身でポテンシャルはあると自分は考える。

このブログを通じて何度も何度も同じことを言っているのだか、とにかく今の市場の流れと産業の変革は待ったなしの状態。特に自動車産業における警鐘にも近い内容がこのレポートには満載だ。この中から将来の展開を予測し、製造業として何ができるか?このあたりのヒントを是非探してみてほしい。勝機は間違いなく有りだ!

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最強の製造技術を支える総合力で挑め!

今シーズンのカリフォルニアの雨季は雨と降雪が多く例年の160%と過去最高の降水量となった。これで毎年のように懸念されるこの夏の水不足は問題なく解消されるようだが、シリコンバレーからシエラネバダ山脈を越えたネバダ州にあるT社のGIGAファクトリーへの出張は、この雪の影響でなかなか苦戦を強いられた。そんな山奥の平原の中に建てられた世界最大の電池工場は順調に立ち上がり、P社の部隊はわずか2年半で従業員数も数千人規模の巨大工場へと成長。その熱気を帯びた勢いと垂直立ち上げを確実に遂行する日本の技術力、そして組織力はもちろん、種々の難問を抱えながらも目標に向けて一丸となって取り組む姿勢は現場でみていて本当に感動ものだ。

そんな巨大なプロジェクトに携わって早3年が経過。目まぐるしく変わる状況に伴う客先との業務の中、自分自身も本当に多くのことを勉強し経験させてもらっている。以前からこのブログにも記述してるが、自分の担当の一つに「消耗部材の現地化」がある。壮大な自動化された生産ラインに必要な部材を日本ではなくアメリカの地場で供給できる体制(インフラ)を構築することだが、この中で見えてきた日本勢だからこそできる可能性を1年以上前に「現場を知って10%の可能性をさがせ!」でまとめてみた。その内容は今でも全く変わっておらず、このあたりをしっかり押さえればチャンスは、まだまだ山のようにあると思うのだが、最近ではそれに加え日本が誇る製造技術もやはり世界最強だと改めて感じることが多い。
特に感心するのは、生産の自動化におけるライン設備とその技術。自分がかかわっている工場で月に数百万本のセルを製造するラインは全自動で1分間に数百本という単位の製品を確実に組み上げていく。大きいものならまだしも小さなものを、そのスピードの中で歩留まりなく確実に自動で組み上げていくための技術は本当に凄いものがある。工程は多岐にわたるのでラインの長さも半端ないが、それぞれの工程を確実にこなしていくために必要となる数万点の部品精度も100分の1ミリレベルが要求される。この100分の1ミリの誤差がちょっとしたラインの継ぎ目に生じるだけで歩留まりに影響が生じるのは必至で、この要求を確実にクリアできる日本の製造部材はやはり世界最高峰であるといえる。もちろんドイツやスイスをはじめヨーロッパ勢にも凄いところはたくさんあるが、そのような製造ラインの要求を的確に捉え、かつ安価で供給できるのは、下請けという体制下で地道に試行錯誤を重ねてきた日本のメーカーならではだと思う。大手では自動化ラインに不可欠とされるLMガイド生産のTHKや自動製造ロボットの世界的企業、不二越などの製品は中国での半導体製造設備やスマートフォーンの量産需要で現在納期が半年以上待ち。世界でどれだけその精度と性能が認められ引っ張りだこなのかがよくわかる。彼らに限らず製造関連設備を販売している日本メーカーはどこも好景気だ。

彼らの製品の部材供給を支える日本の中小町工場も然り。ポイントはその彼らの持つ力を独自に展開できないか?という事。特に自分が実際に現場からの要求に基づいたリサーチから、このような個々の部品の精度や品質だけでなく、日本勢の中小町工場がかなり卓越していると感じるのは総合力だ。
通常(自分の知る限りだけど)、日本の場合には一つの大企業の周りに複数の中小町工場が集結し、向こう三軒両隣状態で親元から出てくる膨大な量の仕事をこなしている。まあこれが見方によれば典型的な下請け体質の温床であり、また一所懸命といった独自の忠誠心を生み出している基盤にもなっているのだが、時として、このような連携を含めた体制がアメリカでは見られない総合力として非常に価値がある。例えば「切削した部材に特殊な表面処理を施し、そこに緩衝材を張り付けて板金のフレームに固定する」みたいな部材の複合アッセンブリの要求を一社に頼めば、向こう三軒両隣を巻き込んで対応してしまうといったサービス受けることができるのだ。

アメリカでも勿論、対応できる会社はあるとは思うけれど、この手の依頼をかなり受け自分も何とか客先の希望である現地での対応を実現するためにリサーチをしているが、正直シリコンバレーにおいて総合的な対応を適正な価格と納期で対応できるところは殆どない。その理由はなにか? 少し例えが違うかもしれないがアメリカの場合、歯医者は、虫歯を治療する歯医者と歯茎を治療する歯医者、矯正をする歯医者は全て異なる。つまり分業が普通。これは多分、専門的な技術や習得の過程においての分業が一般化している点もあると思うが、ポイントは責任の所在の明確化でないからだと思う。製造現場でも然り。例えば精密加工に特殊な表面処理の場合、万が一完成品の公差に問題があったとしたら、それが切削加工精度に起因するのか表面処理のプロセスによるものなのかを明確にすることが難しい。お国柄このあたりの責任の所在の明確化が難しいことを嫌うために多分、分業が明確化しているのではないかと愚考している。

当然アメリカにおいても、特に製造ラインをつかさどる部材に関しては、このような複合アッセンブリが必要な部材の要求は非常に多いはず。そんな対応ができる日本の中小町工場には実際かなりのアドバンテージがあると考えられるのだ。そして、アメリカに比べて圧倒的に工賃の安い(良くも悪くも)日本で信頼のおけるパーツを短納期で入手ができるという事になれば、これはきっとかなりの潜在需要ではないか?
勿論、十分なマーケティングが必要になることは大前提だが、製造技術を支える制度と品質に基づいた総合力にフォーカスしてアメリカの市場をリサーチしてみるのも、この手の対応が可能な企業にとっては有意義かもしれない。そして是非高い志をもって市場参入に挑んでもらいたい!

 

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