高密度実装技術から製造業の行方を考える

今回は本業の話になってしまうのだが、自分の専門は電子基板(PCB)の実装プロセスの品質管理だ。実は今も車載の電装品メーカーを中心に、彼らが生産する実装基板の検査機や品質管理商材、治工具の販売が生業だ。この業界に入って既に30年以上になる。電子回路基板が誕生し、そのパターン上に穴をあけて、そこに部品の足を挿入して回路をつなぐ方法から80年代に入り基板自身が多層となって今まで2枚だった基板が裏表で1枚になり(今は32層なんてある)、部品の足がなくなって表面実装部品となり、スペースを小さくできるようになって更に劇的にサイズを極小化して多機能になっていく変遷とアナログ主体からデジタルに大きく製品自身が変わってきた状況にずっと対応してきた。そして大きく仕様を変える実装基板の品質をどう管理するかの検査技術に携わって、今日に至っている(信じられないかもしれないけど^^;;)。

1980年代、TVを中心とした家電製品で世界を席巻していた日本の電機メーカー各社は、その殆どの製品を日本で大量生産していた。そうした生産をささえていた生産技術、製造技術、そしてそれをサポートする品質管理技術は大量生産のおかげで、これまた世界最高峰の技術を誇っていたし、それをつかさどる生産設備も日本製が完全に世界のデファクトスタンダードだった。 特にPCBに部品を装着する実装機では、当時PANASONICと、FUJI(富士機械製造)で世界シェアの50%近くを占めており、その後90年代に入って実装部品が足を挿入しない表面実装化し、製品自身も少量多品種化が進むと、JUKI、YAMAHAなどが組み合わせに柔軟性のある中型機を擁して台頭。 国内の需要が衰退する中、それでもこの分野は、中国の超量産EMS工場の景気に支えられて今でも堅調だ(と思う)。また実装機に限らず、PCBにはんだペーストを塗布するスクリーンプリンター(印刷機)、自動半田付け装置、そして実装された部品が正しく装着されているかを検査する画像処理の検査機もOMRONをはじめ、日本製が殆どを占めていた。

この分野において、当時、日本に追いつくことが至上目標だった韓国勢、その技術をどんな手を利用しても習得することが、まさに死活問題であり、自分が働いていた検査機器メーカーにも「部材と人件費の安い(当時)韓国でノックダウン生産をしませんか?」というアプローチでその触手が近づいてきた。結局自分のいた会社はその話に乗って全てをむしり取られる結果になってしまうのだが、このプロジェクトの責任者として(まだ20代の若造だったけど…)1986年と87年に韓国, サムスンの総本山である水原にあった生産技術研究所に常駐していた自分は、日本の実装機や半田槽、検査機等に大学を出たばかりの兵役を免除されるほど秀才の若いエンジニアたちが蟻のように群がってリバースエンジニアリングをしている様子を今でも鮮明に覚えている。

その後、韓国勢大手は、自分たちの生産設備は自分達で開発し、それを使用することにって設備投資を抑え、タイムリーに優れた商品を開発して、この分野でも世界の市場を席巻していった。正直なところ、実装機に関しては非常に特化した技術、特に日本は100年以上の歴史を誇る自動織機技術のDNAがしっかり踏襲されていて、韓国勢はSAMSUNGをはじめHYNDAIもオリジナル製品で世に出していたが、今でも日本勢に軍配は上がっている。

しかしながら他の周辺機器、特に実装後の基板検査、自分の分野でもある画像検査機は残念ながら、台湾、韓国製が、どれも秀逸。TRI(台湾のメーカーでかつて自分がいた検査機会社のCOPY機で大きくなった)、KOHYOUNGやPARMIといったメーカの製品は日本企業にもかなり採用されている。かつては市場を凌駕していたOMRONやPANASONIC製より、その運用性やソフトのアルゴリズムに関していえば明らかに彼らの製品のほうが優れている感じだ。その影響もあってOMRON,PANASONICともこの分野からはほぼ撤退している。

なぜこうなったのだろう??それは非常に単純だ。少なくとも今の時点で世界最高峰の実装技術を駆使して製品の量産をしているのは正に中国、そして台湾、韓国だ。製造技術、生産技術、品質管理技術というのは量産工程において、いかに歩留まりを少なく効率よく費用対効果を高めて高品質の製品を作り上げるかに依存しているといっても過言ではない。 そして今の膨大な容量のソフトウェアーの手足となり、それを確実に動かしていくハードウェアの進化も凄い勢いで進んでいる。簡単な例でいえばスマートフォンの中に入っている回路は、かつてのPCマザーボードより数倍高機能だ。それが今では手の平にのる。そのサイズの中に2,000点以上の部品が搭載されている。最近ではコンデンサーや抵抗の部品が0402(0.4mmX0.2mm)など目で見てもわからないようなサイズまである。こんな部品を高速で基板に実装する日本の実装機はまさに曲芸の域に達するほど素晴らしいのだが、それが確実についているかを確認する検査技術もまさに曲芸のレベルが要求されるのだ。

現状は、検査が難しいのと修正コストを軽減するために実装の段階で不良を軽減する傾向が強く、継続的な不良(同じ原因によって不良が出続けること)は少なくなってきているので、突発的に発生する不良をどのように見つけるかが検査のトレンドになっているが、これは至難の業だ。1mm以下の幅で実装されている部品同士の半田ショートや極小部品の未半田までも発見しなければならない。それが高速で精度よく確認できる技術は、こういうプロセスに投入され切磋琢磨されることによって、より精錬されたものになっていく。その客先の要求にかなう仕様を日々の鍛錬によって高めている韓国、台湾の生産設備は、間違いなくそのノウハウに基づいたアルゴリズムが含まれているのだ。 量産工程のほとんどを海外に移転、もしくは辞めてしまった日本の環境では、もう残念ながら優れた検査装置は生まれてこないと考えざるを得ない…。

このような状況は生産設備だけにとどまらない。自分の商材でもあるクリーンルームや静電気対策に使用する資材なども、かつては日本製が殆どだったのだが、最近では、韓国、中国製に、だいぶ席巻されている。彼ら協力工場が生産するそれらの品質も、量産工程に見合うレベルにどんどん進化しているのだ。また生産に必要な材料自身もしかり。自分の取引先である電子X線パネルに使用するフィルムの加工しているメーカーでは、最近、納品先の要求で日本製ではなく韓国製の安いフィルムに供給元を切り替えさせられたと話していた…。そういう日本以外のベンダーも同じように量産工程に追従しながら進化と遂げているわけだ…。果たしてこのあたりの挽回が、この先、日本で起こりうるであろうか???

というわけで何が言いたいかというと、量産工程を辞めてしまった日本の大手メーカーの協力工場という立場では、自分たちの技術や製品までも世界の需要からは程遠いものになってしまうのではないか???という事だ。これは上記のように、基板実装、特に検査技術で非常に顕著だが、他の製造でも同じ傾向にあるのではないかと思う。つまり自分たちが開発や製造しているものが、実は世界では既に優位性の無いものになっているかもしれないという事だ。そんな意識を是非、協力工場、中小町工場、そしてハード系のスタートアップの皆さんには持ってもらいたいと思う。勿論、先の頑張っている日本の実装機器メーカーや半導体業界でいえばDISCOなど最初から世界市場をターゲットに日々切磋琢磨している会社も多い。できればこのような会社と同じような意識と視点を最初からグローバルにもって、これからを考えてもらえればと思う。

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新陳代謝を意識する!

  自分の取引先に業務用マイクや、ヘッドセットで世界的にも有名なオーディオテクニカという会社がある。同社はもともとレコード針の専業メーカーだった。レコードプレーヤーが全盛だったころ、同社のレコード針は、かなりのシェアを誇っていたのだが、レコード針がどんなに優れていても、レコード盤にホコリがついていたりすると鮮明に音源を再現することはできない。そこで同社はレコードをきれいにするレコードクリーナーを独自開発。ブチルゴムを使用したこのクリーナーは非常に高い性能で音楽愛好者の標準となった。しかしながら時代の流れはレコードからCDが全盛に。残念ながらレコード針の需要はなくなってしまったが、このクリーナー技術で同社はあらゆるものの塵やホコリを取ることが可能なところに着目。当時需要が増えてきた液晶パネルの積層フィルムのクリーナーとして大型のクリーニング装置を開発。これが業界標準となり、現在ではフィルムやスクリーンの製造プロセスを中心に販売を展開、同社の事業の大きな柱となっている。

また自分の顧客であるPANASONICのメキシコ工場では、エレキギターで世界的に有名なFENDERのスピーカーシステムを生産している。かつては世界を風靡し、有名ミュージシャンの必携アイテムだった同社のギターもデジタル化の流れと、若者のバンド離れから売り上げは激減、かなりの苦境に立たされていたが、自社が持つピックアップのアンプ技術を利用し、カーオーディオの業界に参入、今はフォルクスワーゲンの車種に採用されるなど新分野での業績を伸ばしている。

 実は今回このような事を例としてここに挙げたのは、同じようなアクションで、躍進している「ものづくり」のスタートアップと出会ったからだ。東大阪にあるDGタカノは節水ノズルの専業メーカー。90%の水量を削減する驚異の節水ノズルで飛躍的に事業を拡大。わずか1年で10億円の売り上げをたたき出している。
 同社社長、高野さんの実家は東大阪にある町工場。同社は3代にわたってガス栓のコックだけを生産する専業メーカーだった。しかし無煙ロースターなどが主流になりガス栓の需要は激減。それでも残る需要に対してガス栓という安全性が重要視される製品ゆえ、1000分の3ミリという精度を具象化できる職人技が不可欠で細々とだが経営は続いていた。そのような状況のなか、高野さんとしては毛頭家業を継ぐ気はなく、大学卒業後は起業をめざしWEB制作会社を立ち上げた。そこに仕事を依頼してきた1号のお客が節水ノズルの会社だった。WEB制作を始めるに当たり、その商品をみた高野さんは「こんなものがこんな高く売れるんだ」と驚愕。これならうちの工場でいくらでも性能の良いものが作れると判断。現場を身近に見てきた彼は、さっそく試作をスタート。試行錯誤のうえ素晴らしい節水ノズルを作り上げる。これが同社のヒット商品であるBUBBLE90だ。空気と水を極限まで水量を制限しながら混合させて吐出させる技術は、まさに100分の3ミリの精度が確立できて初めて実現できるものだ。この技術をフル活用した構造で既に各国での特許を取得。昨年からアジアをはじめとした海外でもリサーチを続け、年内には本格的に水不足が深刻なカリフォルニアを起点に全米展開を計画している。

いままで多くの中小町工場のオーナーの皆さんと会ってきて感じる事の一つに、「何が特徴(売り)かわからない」というのがある。企業のWEBサイトを拝見しても「不可能を可能にします」「難加工ならお任せください」「ISO取得による優れた信頼性」「高品質、短納期、低価格」等々、ほとんどの会社が同じ言葉が並べているだけ。
これらは、はっきり言ってしまえば誰でもできている事で特徴でもなんでもないと思う。仮にこのような主張を継続しても問題ないというのならそれはそれでよし。ただグローバル化を意識するのであれば、これではダメだ。

新陳代謝という表現が先に挙げた例に的確かどうかはわからない。しかしながら、もしその気があるのなら、きっとどの会社も自社の持つ自身も気づいていないような優れた技術があるはずだと私は考えたい。何とか、それを見出し光を当てる事はできないか?それにはやはりマーケティングが非常に重要だと思うのだ(いつもここに帰結してしまう感があるけど…^^;;;)。そしてそれを発見する事が先ず新陳代謝の第一歩だ。

これからの生き残りには、この新陳代謝がきっと不可欠になるだろう。そのためには、今皆さんが得意だと思っている技術も対応も品質も殆どアドバンテージはないということを理解することが非常に重要だと思う。特にグローバル化に関してはこの理解が肝心。例えばシリコンバレーには、試作に特化した中小町工場が数千社あり、自社製品を除いて、皆さんが自慢げに語っている「ものづくり」や「匠の技」の類は殆どこちらにあると思って間違いない。
必要なのは、そのような状況を踏まえたうえで新たに考え方や体質を変えていく志だと思う。先の例のように、自分たちが今製造して客先に納品しているものが、ただ単に品質や価格や納期で評価されるだけでなく(勿論、これに特化することができればそれでOKだが)、そこで培われた技術や経験を駆使して新たな市場を創出するためのリサーチやマーケティングを始める事で、既存からの脱却を意識し、新たな展開を考えてみることは、シリコンバレーを見るにつけ、グローバル化を目指す中小町工場には不可欠だと感じるのだ。是非、自社の新陳代謝を意識してほしい。

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講演会のお知らせ!

僭越ですが、6月1日に東京にて、経済産業省と財団法人素形材センター主催の海外展開セミナーで、このブログと同名の「シリコンバレーでものづくりを考える」をテーマにした講演を致します。

http://sokeizai.or.jp/

日本の製造業の行く末を現時点のシリコンバレーで炸裂しているEVと自動運転車による大改革の中でどう考えたらいいのか? 中小町工場がその中で生き残れる方策があるのか?
このあたりの気づきを具体的に共有できればと思います。
よろしければ是非ご参加ください。

 

 

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自主的にグローバルを意識する事の重要性!

3月31日に発表されたTESLAの廉価版EV、モデル3のデビューは自分にとっては衝撃だった。初日の予約だけで13万台@@!予約には$1000の保証金が必要なので、それだけで150億円の売り上げ。そして3日後には予約総台数は27万台@@!一台当たりの販売価格は$35,000(日本円で380万円ぐらい)なので、もし仮にすべての予約が販売されたとしたら何と1兆2500億円の売り上げになる@@!アメリカのメディアは連日この話題をニュースにしており、最新の情報では、この週末(4月9日)の時点で予約の総数は32万台に達したそうだ(最近では実際に納車まで何年かかるの??なんていう話も飛び交っている模様…^^;;)。。。

この最初の発表が行われた時、自分は講演のため日本にいた。最初の情報もNETのニュースで得たのだが非常に違和感を感じたのは、殆どの日本のメディアは、この話題を取り上げていなかったことだ。唯一、日本経済新聞が数回にわたってフォローしているが、日本滞在中にこの話題を一度もTVのニュースでは観ることはなかったし、紙面でも(限られた新聞しか見ていないけど)一切見かけなかった。もしかしたら、各放送局の大手顧客である日本の自動車メーカーが、このニュースに戦慄し、あえて自粛を求めたのか??そんな勘繰りさえ出てしまうほどだった(もしくは各TV局がそれほど話題にもならないと判断したのか??→この場合はかなり絶望的…)。
自分自身も4月6日に予定されていた今回の講演会(経済産業省九州経済局によるベンチャー創業フォーラム)のネタにさっそく使ったのだが聞いている参加者の皆さんには何を言っているのか、わかってもらえたのか?疑問が残る感じだった。

実はこのNEWS、日本の将来に大きく影響するであろうという事は間違いない。現在の日本の自動車産業はガソリン自動車の製造販売によって成り立っている。日本で自動車産業に従事している人口は200万人を超えると言われているが、その殆どがガソリン自動車の部品製造に携わっている。EVになれば当然エンジンもミッションも車軸もないわけで、これらの部品や組み立てに関係する企業にとって、環境問題や燃料費、そして情報収集の手段として確実にやってくるEV化の流れは、この先かなり深刻な要因になるはずだ。しかしながら現在の日本国内は世界的な自動車産業の隆盛によってフル稼働の状態。そこまで気が回らない、もしくは関心がないような企業が殆どではないかと思う(残念ながら…)。

このあたりを自分の講演会や、このブログでも再三にわたって訴えてはいるのだが、正直あまりわかってもらえていないのが現状のように感じる。
話題は少しそれるが、今回の講演に際しては事前にできるだけ中小町工場のオーナーの方に参加していただきたい旨を伝えていたにも関わらず、参加者の多くは行政や金融機関の関係者だった。実は前回山梨県で講演した時にも当初は50社以上の企業参加があるという事だったが、実際には10社にも満たなかったと記憶している。確かに著名人でもない私の講演というインパクト自身があまりないのかもしれない(というかそれが原因だと負うけど…)。ただ海外、特にシリコンバレーの状況というKEY WORDに対してはもう少し敏感になってもらえればというのが本音だ。

はっきり言えば今の日本の状況を考えた時、

「自主的にグローバルな視点を持つことがどれだけ重要か」

という事が、これからの企業の生き残りに大きな影響を与えると思う。
少なくとも上記のTESLAのNEWSを観て、日本の自動車産業の行く末に不安を感じることができれば、例えばエンジン部品を作っているメーカーであれば今のうちからEVになっても残る部品の研究開発、もしくは今まで培ってきた技術を基にした他分野への展開等を今の段階から考えることができるのではないか?

今の日本ではグローバル化が一つの流行語のようにささやかれてはいるが、そのための情報は残念ながら殆ど入ってきていないというのが現状かもしれない。
既存のガソリン自動車に関しても、アメリカにおいては僅か30年前には三菱のデボネアのCOPYしか作っていなかったメーカーであるHYNDAI(現代自動車)がセダン、SUV,ワゴン、商用車を含め既に40車種以上の車をアメリカで販売し、ヨーロッパ勢を退けて全米の販売ランキングで6位に入っている事など、まったく知られていないだろう。
であればどうするか? やはり自主的にグローバルな視点をもち、海外の市場状況、自らが携わる産業の動きには関心を持つ事を意識してもらいたいと思うのだ。

はっきり言って、このような習慣が今の段階から身につくかどうかで、この先の5年で雲泥の差が出てくると思う。それができなければ、「座して死を待つ」状況になるくらい、世の中は凄いスピードで動いているという事を今回のTESLAのNEWSで強く感じた。

 

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「志」と「やる気」さえあれば絶対に成功できる!

今年に入ってから、客先の来季に向けての新規プロジェクトなどが非常に忙しく、いつもながら言い訳になってしまいますが、ブログのUPがなかなかできませんでした。。。スミマセン。

さて、2月にLAのアナハイムで開催された西海岸最大のメディカル系の展示会であるMDMに参加した。既に10年以上通っている展示会だが、今回は昨年よりアメリカでの展開のサポートをしている野上技研が出展することになり、その手伝いを兼ねての参加となった。
野上技研は、自社が長年生業としてきたプレス業の経験から高精度で耐久性のある金型を独自に開発、その優れた精度でバリを出さずに素材を切断できるパンチや金型の販売で、特に電池や液晶業界でシェアを伸ばしている。 その技術を利用して、アメリカにおいては医療系への進出を計画し今回の出展となった。 既にアメリカでは、今後需要が急拡大するEV市場をはじめとした電池業界への進出を果たしTESLAをはじめ有力電池系スタートアップで採用されているが、さらなる市場開拓を目論む同社は、社長自らが非常に積極的だ。せっかくの展示会、それも医療系の器具、機器、消耗品のメーカーが一同に集まるという事は絶対に営業展開の機会と競合他社の情報収集のチャンスだとし、まず出展者の中から同社の切断技術に興味を持ちそうなカテーテルやハーネスメーカーなどを事前にリストアップ、期間中にその出展者を一社一社、個別に訪問し自社の紹介と、現状、切断に関しての困りごとがないか?量産工程における需要がないかをリサーチ。これらのデータをもとに具体的は需要の分析と開拓で営業攻勢をかける計画だ。既にブースの訪問企業から具体的な引き合いも入り、今そのフォローを進めている。

もう一社、以前から付き合いのある切削加工のHILLTOP社も例年のごとく派手なPINK色のブースで精力的にPRを実施、特にアメリカの通例ではない「5日で納品!」という短納期を前面に出し、多くの来場者でにぎわっていた。 せっかくの機会なので、日本から出張してきた同社の山本副社長とアメリカ工場を切り盛りする山本社長と一献。アメリカに工場を設立してから一貫して同社がPRしている技術力(勿論、これは優れたものができて当たり前)を前面に打ち出すのではなく、アメリカにおいて確実にアドバンテージを得る事ができる短納期を前面に出した展開と、ローカルの営業部隊を中心とした徹底的な展示会後のフォローにより、既に米系企業を中心に2年間で150社以上の顧客データベースを獲得しているそうだ。中には既に多くの注文をもらっているエンターテイメント系の超大手企業も含まれている。 山本副社長いわく「中小町工場でも本来優れていると思っているモノづくりという概念を捨てて需要とニーズを確実につかむ事ができれば、アメリカ市場制覇は少しも難しくない!」との見解は非常に府に落ちた。

要は、「志」「やる気」なのだ。

毎年、この展示会には、JETROが招請してJAPANパビリオンというGROUP出展のブースに10社(?)ぐらいの日本の中小企業が参加している。 いつもと同じようにブースを並べ、各社が得意とする商品や技術の展示をしているのだが、正直、自分の勉強不足が一番大きいのだけれど、どのような特徴があるものなのか?また市場的に需要のあるものなのか?をそこから把握することが難しく、ただ童謡「まちぼうけ」のごとく、ウサギがひっかかった木の切り株の前で待っているような形態の参加を毎年毎年続けていることに意味があるのか?と余計なお世話だけれども考えてしまう(スミマセン、これで本当に成果が出て実績が残っていたら素直に謝ります。。)。
他にも試作を得意とする企業の合同出展や、それ以外にも日本企業の出展も以前よりは増えて傾向的には非常に良いのだが、果たして上述の野上技研やHILLTOPのようにアグレッシブな活動をしていた会社があったのだろうか(これまたあったらゴメンナサイだけど…)?

せっかく高いお金を投資するのであれば、ただ単純にブースに商品を並べて、訪問した客からのリードを集めるだけでなく、積極的な展開を心がけることによって、その投資効果は何倍にもなる。
そして、それを実践していた2社は確実に成果を上げている。そこに踏み切るかどうかは、やはりTOPのアメリカを制覇してやろうというやる気なのだと思う。

今まで数年にわたり200社近い日本の中小町工場のオーナーに会ってきたが、その中で本気でアメリカに乗り込み積極的な展開をしているのは上記の2社に加えて3社ぐらいしかない。でも、いづれも代表は強い志と情熱を持っている。
嬉しいのは以前から携わっている行政関係の視察のアテンドも相変わらずサポートしているが、最近は企業の選抜方法が良くなったのか、やる気を持った企業に出会う事が増えてきた事だ。昨年から今年にかけて既に2社がアメリカ進出に手をあげ、この先、加えて2社ぐらいが早ければ年内にもアメリカ進出を実現するだろう。彼らとは話をしていても本当に「やる気」を感じるし、自分も創業時を思い出してワクワクする!

昨今のグローバルブームで、シリコンバレーへの日本からの来訪者は今までになく多い。中小町工場の皆さんの来米も増えては来ているが、正直なところ大半は刺激と気づきをもらっておしまいなところが多い。しかしながら、この状況が変わって本当にやる気のある会社が一社でも増えてくれる事を切にに願いたいし、自分自身もそういう会社と出会い、アドバイスをする事で自身のMISSIONでもある中小町工場の海外第2創業に結び付けば、こんなに素晴らしく嬉しいことはないのだ。

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「下町ロケット」を観て年頭に考えた事

2016年が明けました。今年もよろしくお願いします。

昨年、日本で高い視聴率を誇ったドラマ「下町ロケット」をクリスマス休暇を利用して鑑賞した。ドラマとしては秀逸! 構成や考証なども素晴らしく胸のすくような展開で非常に楽しませてもらった。研究開発を通じて夢を追い続ける佃社長と状況を直視する殿村経理部長とのやり取りも現実味があったし、随所にみられる下請け軽視の大手というよりは銀行の対応なども、自分にも思い当たる経験があるだけに、懐かしさも併せてあっという間に観終ってしまった。

さて、ドラマとしては素晴らしかったこの物語だが、今まで日本の多くの中小町工場と携わってきた自分の感想としては、欲を言えば、ほんの少しだけでも「世界を意識した内容が加わっていればなあ~」と考えてしまった。勿論、本当に余計なお世話なのだが、グローバル化に対して意識が低下している感のある昨今の日本の中小町工場の視聴者に対して、ちょっとでもそれに向けた気持ちを高揚してもらえたらと思った次第。

正直なところ、今まで過去数年間に200社近い日本の中小町工場の経営者にお会いしてきたのだが、番組で殿村部場が話していた目先の利益を最優先させる事がやはり先決で(勿論これは重要なことだが)、将来に向けての研究開発を実際に進めているところは少数派、進めているところも殆どがプロダクトアウトの場合が多かった。そしてグローバル化を意識し実際に川上であるアメリカ進出を実現した企業は僅か5,6社しかなかったのが現状だ…。

安倍政権になって、新たな政策の施行(補助金のバラマキ…^^;)に加え、2020年にオリンピックが決まり日本国内の景気が上向きになったことに呼応するかのように「何だ日本でも十分行けるじゃん!」的な状況は非常に顕著になってしまった。民主党政権で仕分けをどんどん行っていたころ、中小機構のアドバイザーをしていた私のもとには月に1件ぐらい(それでも少ないけど)は、アメリカ進出に関する調査依頼があったが去年は年間を通じて僅か1件。 昨年11月に山梨県で講演会を行った際、主催者は「これからの先行き不安もあり、個別に声もかけて100社ぐらいの企業が集まる予定」という事で、披露宴会場を準備し多くの参加者を収容できる手配をしていたにも関わらず、実際には4分の1程度の参加者しか集まらなかった(勿論、私の話というところが一番大きな原因だったと思うけど…^^;)という現状。
これらを考えると、グローバル化という認識に関して言えば、その言葉のみが先行し、実際には笛吹けど踊らずといった状況が強く感じられたのが昨年だった。

しかしながら、これは何としても変えていかなければならない。先のブログに書いたように、世の中、特にシリコンバレーは、ガソリン自動車の既存産業の破壊と新規自動車(EVと自動運転車)の創造を物凄いスピードで進めている。日本が世界に誇る最後の牙城を怒涛の勢いで攻め崩そうとしているのだ。本来であれば、その需要に対して一番アドバンテージのある日本の中小町工場が、このチャンスを何とか生さなければ、かつて栄華を誇っていた半導体やTVをはじめとした諸産業と同じ末路をたどる可能性は非常に高いと言わざるを得ない。
メディアの力を借りてでも、この状況を理解してもらい、2016年はグローバル化の意識をもってもらう必要がある。この時期を逃すと本当に手遅れになりかねない…。そんなことも、このドラマを観て考えてしまった。最終回では、出来ればNASAやSPACE Xのロケットに世界一の技術を誇る佃のバルブが採用され、その打ち上げを社員が見守っている場面を作ってもらえたら、少しでも視聴者の意識が高まったかもしれないと思うとちょっと残念だ…。

遅ればせながら、「世界一受けたい授業」の講師である神戸国際大学、中村教授のFEEDで、PANASONICのTV事業部の総本山であった茨木工場がなんと既に閉鎖されて更地になり、YAMATO運輸の備蓄倉庫と宅地になった事を知った(2014年には決定していたとの事)。かつては世界を席巻した日本のTVメーカーの中でも最高の生産設備と能力を有し生前のダイアナ妃や鄧小平副主席をはじめ世界の要人の視察コースに常に選ばれていた名工場、自分も同社のメキシコ工場のプラズマテレビ生産の事業計画の際には日本に帰るたびに訪問していた工場だった。閉鎖に伴い、そこに仕事があった数百社の協力工場の事を考えると、やはり複雑な気持ちになる。同じようなことがこの先、日本の自動車メーカーの工場では起こってほしくないのだが、その可能性も考慮したうえで、出来れば今年は真剣にグローバル化を意識してもらえたらと思う。

今まで何度もこのブログでは触れているが、自動車産業に限らずあらゆる産業で日本はまだまだ可能性を秘めている。それをつかさどる99%の中小企業、町工場が世界を意識し、今年もきっと新しく出会うであろう会社の中から、全てとは言わないまでも1社でも多く真剣に海外相手のビジネスを考えてくれる事に2016年は期待したい!

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製造業にとっては千載一遇のチャンスが来ている!

2015年も12月、今年も本当にあっという間に終わろうとしている。これは多分に歳のせいであることは否めないが、自分的には今まで以上にシリコンバレーが大きな流れに向かって胎動を始めた事が気になりすぎて、その流れに乗ってしまったことが更に拍車をかけてしまったように思える。

その大きな流れとは、一つ前のBLOGに書いた自動車産業の大変革に向かうシリコンバレーの動きだ。既に快進撃を続けているTESLAはもとより、自動運転車の運航を早ければ来年にはスタートさせてしまうそうな勢いのGOOGLE。アップルも2019年にはきっと世の中があっと驚くようなEVを発表するであろうことは容易に想像できる。そしてユニーコーン企業の雄、というか同じ動物系で例えれば、この業界ではきっと間違いなくDARK HORSE的存在であるUBERが手掛ける(と噂されている)自動運転車も間違いなく早ければ2020年までにはその全貌が明らかになるであろう。
当然、前回のブログにも触れたが、この一大革命で一攫千金を狙う半導体やセンサー系の部品メーカー、電池/モーターといった基幹部品、軽量化に特化した部材や素材メーカー、そして、これらの運用のコアとなる通信ネットワークへの参入を狙う世界中の通信機器メーカーなどが、続々とシリコンバレーに集結(地場の会社がもちろん一番多いけど…)、それらが入り乱れてのインターネットバブル黎明期のような”ざわめき感”を体感しているのは、きっと私だけではあるまい。

ただ残念ながら、本来であれば一番アドバンテージがあるはずの日系自動車メーカーやTIER1,TIER2の各メーカーの存在はあまりにも薄いのが現状だ。もしかしたらその背景には今絶好調の自動車販売に伴う製造に翻弄され、まったく余裕がない状況があることも、特に協力各社に関して言えば十分に考えることができる。しかし、TOYOTA、HONDA,MAZDA,といった大手各社(NISSANだけは地に足がついた活動をこの地でしています)もアクション的には、どうも既に3テンポぐらい遅れているような感じが否めない。車に特化したわけではないと思うがTOYOTAがこの地にAI関係のLABを作るというニュースにしても、既に出遅れ感がなんとなく付きまとってしまうのだ。
そういう状況からすると大手の動きに呼応していては、もしかしたらTIER1,TIER2といった系列各社も新しい時代の自動車産業への展開は手遅れになってしまう可能性は大だ。勿論、彼らは新規自動車メーカーに対しての部品供給という形で後からでも販路を構築することができるかもしれない。しかしながらエンジンやミッション、車軸といった基幹製品が不要のEV市場に対しては、それらに携わっていた企業の大半は犠牲にならざるを得ない状況がある。加えて考慮すべきは韓国、中国、インドといった新興勢力の参入だ。彼らはガソリン自動車製造のインフラという手枷、足枷がない分、容易に市場参入ができる可能性が十分にある。勿論、品質や性能においては日本のメーカーのほうが圧倒的に経験値も豊富であるが、移動体(車)というハードで儲ける構図が変わってくれば、まさにコストパフォーマンスがクローズアップされてしまうという可能性も大きいのだ。

 でも、実は、よ~く考えてみると何とも凄い状況ではないか?何せ、テスラも含めれば、新しく自動車を製造しようとしている企業が、このシリコンバレーの中に4社もあるのだ。

テスラは別にしても、少なくとも何兆円もの純資産を持ったGOODLEやAPPLE、そしてUBER(評価額だけど…)が、新規の製造ラインを独自で立ち上げて自動車を生産することは、人員の確保さえできれば何ら問題もなくできてしまうのは容易に想像できる。そして、当然これらの新規参入各社は、それぞれの車を開発、デザインして製造するわけで、そこで使用されるであろう数々の部品や装備は、今まで50年以上にわたり日本が培ってきた自動車生産の中ではぐぐまれてきた逸品をもってすれば、もちろんEVとガソリン自動車という大きな違いがあるとはいえ、売り込める機会は、いくらでもあるのではないかと思うのだ。
こんな市場は、きっとこの先どこを探しても出てこないだろう。くどいようだが膨大な試作、製造のインフラばかりではなく、素材や部材供給等で日本がイニシアティブをとっていけるチャンスが山ほどあるはずだ。

まさに千載一遇だ!皆さんはどう思われるだろうか?

ただ先にも挙げたように日本の自動車産業は空前の好景気。私の顧客は、殆どが自動車産業に携わっていて、年末年始の休みすら返上しなければならない状況に皆、テンパっている感がある。。。その中で新規の市場開発や研究開発に時間を割くことは到底無理といった感じだ。。。う~ん…。

実はそんな憂慮すべき状況の中、嬉しいニュースが飛び込んできた!JETROが主催しているイノベーションプログラムの参加企業で、9月にシリコンバレー来てアドバイザーとして話をさせていただいた群馬の共和産業が本格的にアメリカ進出を決定してくれたのだ。
2代目の女性社長、鈴木さんの情熱と高い志にも本当に素晴らしいものがある!
9月の訪米のあと10月にはデトロイトで開催されたエンジンショーに出展。具体的な引き合いもあり、かなり良い感触を得たとの事。そして、今回は年の瀬だというのに、その案件のフォローで再び来米し、自ら車を運転し中西部を1000㎞走破して客先を訪問、帰り際にシリコンバレーにも立ち寄りT社にも具体的な案件で営業をかけるという凄い行動力!そんな鈴木さんとランチを共にし夢の実現を熱く語る姿に、今まで口ばかりで物見遊山的な感覚しかない中小町工場のオーナーたちばかり見てきたこともあり、かなり感動してしまった。 長年、日系自動車メーカーのエンジン部品の製造を手掛け、中でも歴代のHONDAのF1エンジン製造を担当してきた同社の実力と経験があれば、勿論エンジン不要のEV用部品とは大きな違いはあるが、培われた技術力は十分応用が可能、あとはいかにコストを抑えマーケットインを実現するかで物凄いポテンシャルがあるはずだ!

かなりくどいようだが、もう一度言おう。新しい自動車メーカーが短期間に4社も立ち上がろうとしているエリアは、後にも先にも、このシリコンバレーにしかない。そこには膨大な試作から始まるハードウェアの需要がある。そして共和産業のように、情熱と行動力、そしてマーケティング力があれば、系列や口座の有無とは関係なく彼ら新興メーカーは、日本の中小町工場でも、その実績を評価し十分受け入れてくれるはずだ。まさに千載一遇のチャンス!この状況を少しでも意識して、来年は真剣にシリコンバレーに乗り込んでくる中小企業が一社でも増えてくれることに期待したい!

 

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講演会のお知らせ!

僭越ですが、11月24日にシリコンバレー、パロアルトにて、このブログと同名の「シリコンバレーでものづくりを考える」をテーマにした講演会を行うことになりました。主催は自分が2002年より携わっているNPOのSVJEN(シリコンバレージャパニーズアントレプレナーネットワーク)になります。
今まで13年にわたり会の運営をしてきましたが、自らは初めての登壇になります。
日本の製造業の行く末を現時点のシリコンバレーで炸裂しているEVと自動運転車による大改革の中でどう考えたらいいのか?このあたりについてできれば活発な議論の中で考えていければと思います。詳細はこちらから!

https://www.eventbrite.com/e/svjen-tickets-19320058816

シリコンバレー在住の方はどうぞ奮ってご参加ください。日本の将来を是非一緒に考えましょう!

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EV=スマホという時代が来る!

先週、公開されたTESLAの新しい電気自動車(以下EV)のMODEL X。正直このインパクトはかなり衝撃的だった。従来の機能に加え少し禿げあがったオヤジを髣髴させるフロンントガラス(該当の方、失礼…)。大振りになったCRTプラットフォームディスプレイ、そして最大の特徴であるファルコンウェイング(これはデザイン性はもとより、雨の日でも傘の開閉に苦労せず、年寄でも簡単に昇降できるメリットが採用の要因との事…)。まさしく現在の自動車のデザインからさらに近未来に近づいたイメージが打ち出されていた。
発表に伴う記者会見の中でCEOであるイーロンマスクは「3年以内に一回の充電で600MILE(960km)走る電池の開発を実現する!」と豪語していた。もしこれが実現すれば正直かなりの脅威だ。現時点でモデルXの希望小売価格は基本的なオプションを入れれば、13万ドル(日本円で約1500万円)という事で、正直あまり庶民には縁が無いのだが、2017年に発表されるTESLAの新しい廉価版モデルは、価格が35,000ドル(日本円で約400万円強)で実質の走行距離が300MILE(約480km)という…。
これが実際に発売されるとEVの需要が急激に高まり、 化石燃料車の需要は急激に低下という流れは火を見るより明らかな気さえする。CDが世の中に出た時にあっという間にレコードが駆逐された状況とまではいかないが5年ぐらいのスパンで形勢は一挙に逆転してしまいそうな感じが否めない。

なぜならEVの普及は、ただ単に車が電気で走るようになるという事ではないからだ。

この先、EVは有人、無人にかかわらず、それぞれがIDを持ち通信ネットワークでつながって各種アプリで安全性の確認から、移動先の情報収集はもとより、音楽、環境、ネットワークなど全てを網羅し、加えて個人のデータ履歴を含めた膨大な情報のプラットホームになる。

これって極論すればスマートフォーンと一緒!??

遅ればせながら初めてTESLAのモデルSに乗せていただいたのだが、暗闇でいきなり浮かび上がったディスプレイはまさに巨大なスマホにみえた@@!

CDの例と同じようにAPPLEがI-phoneを世に出してわずか数年でガラケーが駆逐された状況がまさにここでも起ころうとしているのだ。
それを体感できる状況が今のシリコンバレーである。FACEBOOKが出現した後、IT業界では、このような大きく飛躍する産業が新規で生まれてくることはないのではないか?という雰囲気が一般的だ。勿論、IOT,VR,DEEP LEARNINGといった今のキーワードでもあるような分野の隆盛は見込めるものの、一大産業になるとは考えにくい。
そんな中で考えられるのが既存の産業や形体の破壊と新規創造だ。UBERが世界的に注目され、数千億円の資金を調達しているのは、まさに物流の概念を根底からひっくり返し、さらに産業を大きく想像できるインパクトがあるからだ。
電気自動車の分野もまったく同じ状況。今まで100年以上、ガソリンという燃料で普遍的に動いていた乗り物が、ここへきて一挙に電気駆動の通信移動体に変わろうとしている。産業そのものが大きく変革するのだ。
加えて上記のEV=スマホの考察からすれば、世界のトッププレーヤーが集約しているこの地から新たな大改革が起こっても何ら不思議はない。
その代表であるTESLAはEVとバッテリーという切り口で既に業界をリードしているし、APPLEも当然ながら参入を表明し2019年には最初の製品を出すと発表、データビジネスの雄であるGOOGLEの自動運転車もリリースは時間の問題だ。場所は異なるがイギリスのバージングループも参入を表明している。そしてこの機に乗じようと世界中のあらゆる関連産業の重鎮たちが動き出している。既存の日系以外の自動車メーカーはもとより、ガソリン自動車のインフラを持たない新しい関連分野創出に乗り出してきている中国をはじめとした新興国の企業たち。韓国勢ではSAMSUNGが、ここに1,500人規模のR&Dセンターを設立、LGやインドのTATAグループ、通信ではエリクソンやNOKIAも大規模なオフィスを構え自動運転車も含めたネットワークへの参入を狙っている。当然INTEL, AMD、ALTERA,NVIDIAをはじめとした半導体メーカーも物凄い勢いで車載デバイスの開発に力を入れている。 さらにこれらの新しいテクノロジー、特にコアになるバッテリー関連のスタートアップは、シリコンバレー界隈には100社以上あり(もちろん全てが車載用とは限らないが)。そこに潤沢な資金がITで大もうけした企業から流れ込んでいる。またTESLAが自らの特許を全て公開し、EVの業界を全体として盛り上げようぜ!的なリーダーシップをとっていることも非常に象徴的だ。

いやあ、物凄い状況。。ただ残念なことに、このような盛り上がりが本当の意味で日本に伝わっているかは甚だ疑問だ。仕事柄、こちらの多くの車載電装品関連のお客さんと付き合いがあるのだが、今現在は、どこも車の売れ行き絶好調の状況から、このような変革が起こりつつある事など想像もできないようだ。当然、海を隔てた日本では話題にも上っていないかもしれない…。

ただこの状況は日本にとっては非常に深刻ではないのか??

かつて90年代、自動車電話や携帯電話の業界は移動体通信という分野だったが、今のEVは自動車というカテゴリーから通信移動体になる。、利益を生み出す方法も車というハードを売ってもうけるのではなく、通信費やデータの収集、広告などが主になってくる。そうなると本体も今のスマートホーンのようにタダで配られる可能性があること忘れてはならない…。

そのとき日本勢はどう対応するのか? 水素燃料??世界のトッププレーヤーたちがEVに動いている状況のなかで、残念ながら水素燃料車は間違いなくVIDEOのBETA方式を同じ末路になるだろう。 ここにいると、少なくとも自分はT社のMIRAIに未来があるとは思えないのだ。

繰り返すが、 ガソリン自動車の隆盛で圧倒的な地位を築き、半導体、通信、家電で玉砕してきた日本の唯一の柱である産業が今大きく変わろうとしている。既存の膨大なインフラで、手足に大きな枷をつけられている状態の日本の自動車メーカーが、この怒涛のようなEV産業の流れにどう対処していくのか?

日本の最後の牙城の存在を憂う自分としては、今から意識する必要が絶対にあるのではないかと思っている。 少なくともこれをお読みになった皆さんには、そう考えていただきたい。

 

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おコメがあるじゃないか!!

富山県産コシヒカリを使い、北アルプスの天然水で仕上げた「ふんわりごはん」を供給している富山の株式会社ウーケが主幹として手掛ける、米卸大手の神明ホールディングスのアメリカ工場立ち上げのプロジェクトお手伝いをしている。
実はカリフォルニアの州都サクラメントの西側は、カリフォルニア米の一大生産と物流拠点。そこに米の加工で優れた技術を持つ同社が今徐々に浸透しつつある「ライスパティ」で全米制覇を狙い乗り込んできた。
これは最高!地方の企業が独自にアメリカ制覇に向けての進出は本当に素晴らしい。

ライスパティはすでにヨーロッパでは注目されつつあるようだ。表面はサクサク、中は米本来のもちっとした食感を残す加工方法で、サンドイッチのパンの代わりのみならず、パーティ用のクラッカーの代わりや、主食としての用途も出てきており、同じような食生活のアメリカでも必ず需要があると思われる。 コメ自身はもちろん糖質の塊であり、ダイエット志向の強いアメリカにおいては抵抗がある可能性もあることは否めないのだが、最近では小麦に含まれるグルテンが関係するアレルギーの問題やアメリカのセレブたちの間ではやっているグルテンフリーダイエットの影響もあり、コメが再度見直されている風潮は少なからず追い風になることは間違いない。

実は、このようなコメを材料とした商品が続々と登場している。日経新聞によればコメを原材料としたコメ油は揚げ物の仕上がり感をよくするだけでなく、中に含まれる「オレイン酸」が高血圧や動脈硬化の予防に役立つという事で需要が急拡大しているそうだ。またコメを材料にした米粉はグルテンフリーで先に挙げたようなアレルギーやダイエットに効果があるという事で評価が高い。加えてキッコーマンなどが手掛けているライスミルクも植物繊維やビタミンを豊富に含む新たな飲料として注目を集めているらしい。

考えてみれば日本人にとってのコメはまさに食文化の象徴だ。1000年以上前から培われて来たコメの生産とその技術は、コメが民衆にとっての税金とみなされていた太古の時代に品種改良が盛んになる(気候に関係なく安定した収穫が必要だったため)など綿々と受け継がれてきた文化だ。鎌倉時代にはすでに100種類ものコメの品種があったことを考えると、世界の誰も追従できない素晴らしい商品であることは疑いない。

こんな商品を持っての海外進出こそ、もしかしたら、オンリーワンで成功の可能性が高いのではないだろうか? 考えてみれば、世界に浸透しつつある「日本酒」もまさに日本のコメ文化の産物。

加えて日本の世界に類を見ない、コメ以外の多様で豊富な食文化、日本出張でよく思うのは、例えば大阪駅や東京駅、羽田空港で販売されているお土産のお菓子や食品の種類の多さで、世界のほかの国でこれほど多種多様な食品を販売している空港や駅を見たことがない(少なくとも自分が行った事のある国。。。)のだが、これこそ、正にその象徴ではないかと思う。

そんな状況において、古来からの主食である”コメ”にフォーカスした商品でのグローバル化はものすごく可能性があると感じてしまった。最近はTPPの問題等でコメの国内生産や需要確保が叫ばれているが、生産よりも今まで長年の食文化の中で確立されてきたコメの加工技術と商品展開で改めてグローバル化を進めていくのはどうであろうか?煎餅だって、もしかしたら加工や調理方法によっては十分欧米にも売り込めるインパクトはあると思うのだが。。。。 この辺りを是非、中小の食品メーカーや加工業者の皆さん、また行政もせっかくなので”コメ”にフォーカスした企業のグローバル化を推進するプロジェクトを立ち上げる等、ぜひ検討していただきたい。新規技術でのグローバル化より、すでに確立された商品(コメ)と加工技術のローカライゼーションによるグローバル化の方がはるかに可能性が高いという事も十分考慮に値すると考えられる。

今回はシリコンバレーとは少し関係がないが、ウーケのアメリカ進出で新しい可能性を本当に色々考えることができた。 大手の酒造メーカーや菓子メーカーは、既にアメリカに工場を設立し、大規模な生産高を誇るコメや小麦、野菜を使用した商品の生産をはじめているが、今回のように地方の中小企業である同社の大成功がコメに限らず多くの食品の加工技術による中小企業のグローバル化の先鞭となるよう、最大限の応援ができればと思う。

 

 

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