Archive for Yoshi Endo

原産地詐称事件ーその2ー

今回の事件では本当にいろいろなことを学んだ。一番恐ろしいのは自分の無知もさることながら、気がつかないような些細な問題が会社の存続をも危ぶま せる大問題に発展するということだ。とくに貿易という、考えようによっては誰でも手軽に始められそうなビジネスにも非常に危険に満ちている。今回学んだことを少しまとめてみる。
1.原産地の基準
原産地の定義というのはある意味非常に理路整然としているようでそうではないことがわかった。具体的に言うと国によって基準が違うということだ。たとえば今回の場合、一応この韓国の業者を信用するとしてこの業者は中国製の靴底を使用したけれども他の部材と実際の組み立ては韓国で行ったのだから韓国製だと主張した。調べてみるとどこを原産地 とするかは使用されている材料の原産国のパーセンテジで決められるのが一般的らしい。ただしこれも国によってある程度の違いがあるとの事。あと必ず製品に 原産国が明示されておることが条件。今回の場合この軽率な韓国メーカーはメイドインCHINAと書かれた靴底をペンキで隠しその上にKOREAのシールを つけていたらしい。これでは詐称と言われても仕方が無い。
2.商品の確認
輸出される商品は必ず自分で確認、もしくは明確な原産地証明(今回のような例外もあるが)を事前に入手することが必要だ。まあ基本的なことだがこれを怠る と今回のような大問題に発展しかねない。以前にあったことだが、メキシコの顧客よりデジタルカメラの購入を依頼され、日本の家電量販店でカ○オ製のものを 購入。いざ出荷の準備をしていて本体をみたら何とMADE IN CHINAだった。またある商品を日本から購入した商品本体は日本製だったのだが、付属の電源ケーブルは中国製だった。などということはよくある話であ る。このあたりにも、もう少し慎重になる必要がある。
3.国による関税の違い
当たり前のことだが国によって関税率は異なる。同じ商品でもしかりである。メキシコの場合とくに皮製品、衣類に関しては中国製に対し309%という重税を 掛けている。この税金は全て輸入元負担になるために知らなかったということは許されない。勿論アメリカはこんなことは無い。商品を仕入れる際には最終の納 品地を明確にし、その国の税制をきちんと確認することが必要だ。
4.メキシコ税関
勿論税関の対応はそれぞれの国によって異なる。メキシコの場合も公の組織であるから基本的には全て法規に基づいたプロセスによってこのような問題の処理が 行われる。正直なところ、このような問題が無ければ具体的に何かが発生した場合のプロセスを把握することはむずかしい。ただプロセスをある程度把握するこ とによって、どのように手を打てばいいのかが見えてくる。残念なことはメキシコ税関は一筋縄でいかないことが往々にあることを十分に理解する必要があると いうことだ。露骨な隘路の要求などがその典型的な例だ。
加えてメキシコ人の気質として、かつてスペインの侵略を受けたという歴史的背景から、上からの圧力には徹底的に抵抗するらしい。政治を使ったアクションもある意味重要かもしれないが、このような事情のために慎重を要する。
5.負担費用
まず中国製にかかる重加算税はなんと309%である。$5,000の商品には$15,450の税金がかかる。加えてこのような問題が発覚した場合、基本的 にはその商品だけでなく商品の運搬した車ごと拘束されるのが一般的だ。その車の保管料(これは車の持ち主に払われる)の負担が生じる。通常一日$100程 度らしいのだが、その車のサイズと実際の損害(車の稼動に対する費用)に応じて決定されてしまう。弊社の場合は一日$300だった。平均するとひと月 $7,000.恐ろしい金額である。これらの費用にくわえ税関での罰金、これは商品価格の70%だそうだが勿論、罪の内容によって異なるらしい。さらに弁 護士が介入した場合にはその費用も加算される。概算で考えると商品価格の10倍は覚悟する必要がある。

以上が今回の教訓であるが、これに加えて自分自身の精神的負担が必要だ。わたしも3月に入ってからは真剣に会社の清算までをも視野に入れていた。そ れほど精神的にきついものがあった。このような思いは2度としたくない。そのためには上記の内容を踏まえた上で、むやみやたらに商品の販売をするのではな く商品と取引先の十分な調査は最低限実施、そして慎重に、かつ正確に納品までのプロセスを進めるための最低限の知識をきちんと身につけておくことが必須と いうことを再確認した。
今回の勉強代を無駄にしないよう心がけていきたい。

原産地詐称事件ーその1ー

大分久しぶりの投稿になってしまった。実は発生以来なんと4ヵ月半かかって、ようやく巻き込まれていた原産地詐称事件が解決した。12月27日の投稿に少し触れたのだが、ここでもう一度状況の詳細を振り返ってみたい。
2006年11月
11月9日韓国から輸入してメキシコへ出荷した商品がメキシコの税関で原産地詐称の罪で差し押さえされ、そのまま商品である特殊な安全靴110足とその運 搬をしていた車(VAN)ごと拘束された。、韓国から出荷された靴は韓国で生産されたという原産地証明も添付されていたのだが、なんと靴底に中国製を使 用、そのためその靴底をみた税関が中国製を偽って輸入しようとしたと判断。韓国のメーカーは確かに中国製の靴底を使用したが組み立ては全て韓国で行ったの で韓国製で問題ないという主張..。この通関をしようとした通関業者と最終輸入元である弊社の顧客が矢面に立たされた。
まったく寝耳に水の出来事。製品は韓国から直接インボンドという方法でアメリカを経由しメキシコに輸入する方法をとったので弊社ではまったく内容を確認できずに添付された書類だけを信用せざるを得なかったのが現状だ。
10日に輸入元である弊社の顧客より取引停止の通達を受ける。弊社は窓口である運送会社を通じ、状況の説明と謝罪文、および韓国メーカーからの説明文を提出。
運送会社からは車の拘束に対し、一日当たり$300の保管料支払いを要求される。
その後2週間ほど動きなし。月末になり運送業者から商品は中国製と認定されたために最初に提出されたインボイス価格の$65を中国製として$50に変えて提出するように要請をうけ差し替えのインボイスを提出。
2006年12月
インボイス提出後、こちらからは毎日のように確認の依頼をするが「おって沙汰を待て」の返事。
そのまま年末を迎える。
2007年1月
正月明けから同じく確認を依頼するがまったく進展なし。
車の保管料は2006年分2ヶ月で$13,000となる。この費用と先払いしたペナルティの$17,000の支払いを要求される。
2007年2月
あまりにも動きが無いために実際に税関との窓口になっている通関業者を訪問し、同社社長と会見。
税関への直接面談を要求。2月8日この面談が実現し、弊社スタッフと、通関業者社長を交え、税関副所長と税関スタッフと面談。状況の説明と謝罪をする。そ の際、税関担当より速やかに審議を進めるとの話あり。しかしながらその後また2週間何の音沙汰も無く過ぎる。その後、あまりにも動きが無いために数回通関 業者を訪問するが、返事はいつも同じ。26日に通関業者より税関にてすぐにリリースするためのアンダーマネーの要求があるとの話を受ける。恥ずかしい話だ がどうしようもない状態だったために要求の$3,000を支払う。
2007年3月
$3,000の効果もむなしく相変わらず進展なし。
そして、税関所長が人事で入れ替わり1日から新しい所長が赴任したとの報告を受ける。3月に入ってからは連日弊社スタッフ、また私自身がティファナにいる ときには朝と晩必ず通関業者に立ち寄りPUSHと状況の確認をするも、税関サイドは毎回、「翌日の10時に来い、夕方の5時に来い」と言われるだけで動き は同じ。このような事を10回以上くりかえす。
業を煮やしたので通関業者社長に新税関署長との面談を要求。これが実現し9日に弊社スタッフと通関業者社長を交えての面談が行われる。そのさい通関所長より速やかに対応する旨を確認。
しかしながらその後も動きはまったく同じ。2週間ほど私も連日税関にかよい、そのつど1時間以上待たされて返事は「明日来い」といつも同じ。
3月23日に再度通関業者社長に税関との面談を要求。そのご同社長より「税関所長と面談し来週にはリリースされるだろう」との話あり。しかしながら何度もだまされてきたので私は半ば諦めて月々の保管料支払いの重圧もあり会社の清算をも視野に入れた対策の検討に入る。
26日からは弊社スタッフと通関業者スタッフが日参。そしてようやく28日夕刻にドキュメントがと車がリリースされた。しかしながらなぜ、これだけ長期にわたり拘束が続いたかの具体的な説明は無しだった。

小さな会社のリスク管理

長い間ブログを書かなかったのは、実は11月に入って大変な2つの事故に巻き込まれていたからだ。
一つはセールスタックスの監査に入られたこと(あえて事故とよばせてもらおう)。弊社の場合、商品の大半はアメリカを経由してメキシコへ出荷されることが 多い。そのため基本的に商品は州外で使用されるので、TAXは免除になる。ただ、税務署からみればカリフォルニアは国境沿いにある会社(顧客)から注文書 が入り、納品はこれまた国境沿いのカリフォルニア側の倉庫に納品になるために見た目はカリフォルニア内で商いが成立しているのでセールスTAXの課税対象 になるというのが彼らの主張だ。通常これらの顧客からは商品は全てメキシコ(州外)へ出荷される旨の証明(RESALE CERTICIFCATE)を 取って保管してあると思っていたのだが、オフィスの引越しなどで新しく更新された書類がなくそのために過去3年間にカリフォルニア州の指定倉庫に搬入され た商品に対し、それらが確実にメキシコへ出荷されていることを証明する必要が生じてしまった。金額的に1M以上…私自身の管理の不徹底もあったのだ が、膨大な資料に関して証明を得ることは大変な作業..。そして2ヶ月を経た今でも提出した証明に対して。いまだに最終的な結論が税務署からはでていな い..。 もう一つはさらに深刻である。。。11月の頭に韓国から輸入してメキシコへ出荷した商品がメキシコの税関で原産地詐称の罪で差し押さえされ、そのま ま拘束、そして税関警察の手により刑事事件として捜査されてしまった..。韓国から出荷した商品は特殊な安全靴で韓国で生産された原産地証明も添付されて いたのだが、なんと靴底に中国製を使用、そのためその靴底をみた税関が中国製を偽って輸入しようとしたと判断したのだ。韓国のメーカーでは確かに中国製の 靴底を使用したが組み立ては全て韓国で行ったので韓国製で問題ないという主張..。結局シッパーである弊社が矢面に立たされている。
こちらも11月の9日に発生して未だに捜査中との事で何の結論も出ていない..。ただ、品物はトラックごと拘束されているため、トラックの費用と追徴課税、罰金に弁護士費用とかなりの金額を請求される見込みだ..。
 これらの出来事に関しては明確になった時点でまた詳しく記述しておきたいと思うが、この2ヶ月間で色々考えたのは、会社のリスク管理だ。正直なところ小 さな会社でこのような問題が、それもどこからともなく火の粉が降りかかるように起こってしまうということを認識しているオーナーは少ないのではないかと思 う。ただこのような問題(TAXの場合はきちんとしていれば大丈夫だが)によって生じるLOSSは簡単に会社を葬り去ってしまう可能性が大きいことは否め ない事実だ。訴訟問題然りである。
 このような状況に対して、やはりオーナーはきちんとした対策をおく必要があることを再認識させられた。それは物理的に保険等の契約をすることだけでは く、日頃の詳細な管理や書類の扱いに関しても同様だ。小さい会社の場合、自分もそうだがビジネスを維持するために奔走している場合がおおい。でもそれでは 片手落ちだ。常に全体をフォーカスするマネジメントが重要。加えて個人の精神力も重要だとおもう。ここ2ヶ月ははっきり言ってまともに眠れない。明け方目 が覚める..。そんなストレスから、腰を痛めてしまった..。情けないことだが精神力の弱さも、あらためて認識した。小さな会社のオーナーは強くなければ いけない。小さな会社のリスク管理は公私にわたって管理のバランスと強靭な精神力を必要とすることを今回強く感じている。

サマータイム

 今週日曜日の午前2時で今年のサマータイムが終了した。これで日本と同じように夕方の5時に日没となる。サマータイムはご存知の通り4月の最初の日曜日か ら10月最後の日曜日まで時計を一時間ずらして昼間の時間を延長することによって省エネと経済効果をもたらす制度だ。このサマータイム本当に素晴らしいな と常々思っている。夏至前後では9時近くまで明るい。仕事の後にゴルフでいえばハーフを回ることができるし、照明なしでテニスの試合でもサッカーの試合で も十分に楽しむことができる。経済効果はかなり大きいとおもう。もちろんその分朝が遅くなるのだが、それでも通常人々が活動を始める6時に照明は不要だ。 全国民が1時間電気を使用しないのだから省エネへの貢献も計り知れないのではないか?日本でもぜひ取り入れてもらいたい制度だと思うのだが「日があると、 その分働いてしまう」とか非常に保守的な理由で採用されないと聞いたことがある。日本はすでにそういう慣習から脱却し新たなゆとりある創生の社会になるの ではないのか?夏場の朝4時は十分明るい。この自然の節理を利用してクールビズなど(確かに素晴らしい制度だが)よりも、抜本的な方法で一挙にエネルギー 削減に着手することをもっとまじめに考えてもいいのではないか?
以前から毎年考えていることなのだが、首相も変わったことだし日本でも真剣に検討してもらいたいものだと思う。

 

メキシコの賃金

今日はサンディエゴからボーダーを越えていつもの仕事場であるティファナへ。知り合いで来年よりここで工場を立ち上げるKさんのオフィスを訪問した。話の中でメキシコの今の賃金(給与)事情を伺う。
正直言ってびっくりした…。現地で仕事のできるマネージャーを採用しようと思ったらネットで5万ドルは必要だという…ネットで5万ドルということはグロス では少なくとも8万ドル、これに保険や年金などのベネフィットがつくから、大体9~10万ドルの計算になる。日本円にしたら1000万円を優に超えている わけだ…。これは間違いなくシリコンバレー(アメリカ)のマネージャークラスの賃金を上回っているのではないかと思う(ちなみに物価の高さが全米一といわ れているシリコンバレーを含めたカリフォルニア州の平均賃金は$42,000だそうだ)。
現在メキシコの通貨であるペソは1ドルに対して大体10ぺソぐらい。そんな感覚で今までずっとメキシコの賃金を解釈していた。つまり、所得と物価は大体ア メリカの7~8分の1ぐらいと理解していたし、この人件費の安さがメキシコで生産するひとつのメリットだと思っていたが、この話を聞いて今までの概念が崩 れてしまった。確かに実際のワーカーレベルでは現在でも大体1,000ドル~2,000ドル程度らしいのだが、管理職の給与の高さは驚きであり、これは間 違いなく製品価格に反映されるわけである。Kさん曰く「それでも優秀な人材の確保は難しい」との話だった…。
ティファナは別名テレビジョンバレーとも言われ、日系の大手メーカーのほとんどがここでTVの生産をしている。年間2,000万台近いTVがここティファ ナで生産されているそうだ。特に最近は価格の下落が著しいTV市場にあって、ここメキシコにおける生産コスト、特に人件費のメリットは既に過去のものに なっているとなると、この地でTVを生産するメリットはアメリカ/南米という大市場に近接していること(在庫を最小限に抑え、市場のフィードバックをいち 早く吸収する)だけなのだろうか?そうなると、この先、東南アジア(特に中国)からの価格の追従にどのように対応していくのか??
そうでなくともTV市場は現在なんと月に$500ずつ販売価格が下落しているそうである。このしわ寄せを一番蒙る立場にある出入りの業者の自分としては、なんとも複雑な気持ちになってしまった…。

東京での飲み会

今回の日本出張でシリコンバレーに居た旧友たちと再会。渋谷の居酒屋で楽しいひと時を過ごした。男性陣はジャーナリストとして活躍中のYさん。6月に 「ブログが変えるジャーナリズム」という本を出版しジャーナリズムの未来を語る第一人者。もうひとりは若くしてその才能を見込まれ大手地図メーカーの取締 役副社長として地図情報のデジタル化で新境地を切り開いているS。二人は大の親友である。
女性陣はネットイヤーグループを運営するIさん。女性起業家として以前から活躍中の彼女は9月まではあるTV番組のコメンテータをしていた。そしてプレジデント社で記者を務めるNさん。彼女も切り口の鋭い発想でいつも目からウロコの話を聞かせてくれる。
皆、個性の強い連中だ。話は本当に尽きることがない。今回は日本の現状と将来みたいな超お堅い話から子供みたいな恋愛問題までさまざまな話題で、つまみに 箸をつける暇がないほど大いに盛り上がった。私もしたたかに飲んで正直話の内容は殆ど覚えていないのだが、日本の第一線で体を張って活躍中の仲間との語ら いから、いつも強烈なパワーを充電させてもらっている気がする。そしてアメリカに戻っても彼らに負けないように頑張ろうと思うのだ。

 

岐阜でのセミナー

10月11日にJETROの招請で岐阜で「シリコンバレーに学ぶ製造業のビジネス戦略」というタイトルで講演会をしてきた。何かと話題の岐阜県庁をはじ め、問題の前知事が建てたという豪勢な建物の数々をまず見学させてもらう。講演を行った大垣のSOFTピアの1Fホールにはなんと織田信長の銅像まであっ た。
観客は約30人ほど。シリコンバレーのものつくりの実態とアジアの人々の同地での活躍。そして日本の製造業がどうも後手後手に回っている感のあるアメリカのコンスーマー市場の実態を話す。
実際のところ、どのような印象を持っていただけたかはわからない。正直なところ、井の中の蛙で満足しているような今の日本の現状を見る限りでは日本の中小 企業にもっともっと元気になってもらいたいところなのだが、感想としてそのような意気込みはあまり感じられなかった。というか自分の講演自身に問題があっ て説得力がなかったかもしれないのだが…。ただ、現在の日本の状況に満足し、中近東や南米ではアジア勢に席巻されている家電製品の実情や既に日本をター ゲットとしていない韓国勢の戦略を今のうちに理解していないと、そのうち取り返しのつかない状況になる可能性も否めないと感じてしまった。

 

CEATEC ジャパン

日本へ出張。タイミングよくCEATECジャパンを見学できた。
昔のエレショウであるこの展示会は日本の家電メーカーの特にビジュアル、IT系のショウとして
もっとも有名である。
特に各TVメーカーはその粋を凝らした大ブースで訪問者を圧倒していた。そんな中で特に興味を持ったのはSHARPである。各社それぞれ自社の製品を前面 に出してPRしていたのに対し、SHARPはその製造現場である亀山工場のプロセスや環境に対する素晴らしさを強調し、このような環境で生産されるTVは 品質的にも素晴らしいということを前面に出していた。よくよく見ると同社のTVコマーシャルも同じrとでコンセプトで製造環境を前面に出していた。
面白いと思った。自分が購入する立場なら製品自身の比較であれば正直なところ、どこもどんぐりの背比べ。そんな中で製造される過程の素晴らしさを強調されれば確かに製品自身も安心感が持てる気がする。さすがですなSHARP。技ありである。

生涯現役

シリコンバレーでの知り合いに起業家のSさんがいる。もう10年近い付き合いだ。Sさんは日本の大手鉄鋼メーカーの研究所で勤務し、定年退職後研究してい たテーマの技術をもとに、当時ITバブルに向けて隆盛を極めていたこの地に移住して起業。圧縮技術を武器にした会社で一時は50人近い従業員を抱えるまで になったが、あるとき新製品発表と同時に特許侵害の訴訟を受け、遭えなく会社は解散。技術をAPPLEに売却して従業員たちの生活を確保したのち、少し充 電期間をおいていたが、その後2000年の頭ごろ日本の若者が作った着メロの技術を開発する会社のCEOになり、再びこの地で活動をはじめた。残念ながら アメリカは日本ほど着メロに対する評価がないことと大手通信メーカーが独自の対応をスタートしたこともあり、ここも一時は十数人の従業員を抱えるまでに なったが、縮小を余儀なくされまた音信が途絶えていた。
そんなSさんからメイルが届いた。着メロの会社を社名変更し、今度はなんとSNSの事業を展開するという。新会社名はRIOTTT(www.riottt -inc.com)。なんと若者のカルチャーを中心としたSNSサイトの運営を展開するそうだ。HPをみると、今風のTATOOの若者やらHIP HOPのミュージシャンやらの紹介などが掲載されていて、とてもとてもSさんのイメージどころか年代からも程遠い感じがする。しかしながら、そこに新たに チャレンジする意気込みはすごく感じられた。失礼だがSさん、来年たしか70歳である..。
スラッと長身で背筋も真っ直ぐ。そしてやさしそうな顔立ちの中にキラキラした瞳の持ち主は、これから新たな挑戦をスタートする。この生涯現役の大先輩には、敬意を評すると同時に本当に頑張ってもらいたい。そしてその先輩を目標に自分自身も死ぬまで現役で頑張りたいと思う。

ダラス空港にて

先月出張の途中でダラス空港に立ち寄った。ターミナルでしばし時間をつぶしていたのだが、そこで目に付いたのは、SAMSUNGの広告と各ターミナルごと
に設置された同社のプラズマTV。よくよく見てみるとフライトスケジュールのディスプレイも全てSAMSUNG製だし、ターミナルの中にはSAMSUNG
モービルのブースまで設置されていた。今まで日本の独断場だったTV産業。昨今の薄型TVでもそれは変わらないばずが韓国、台湾勢の最近の追従は強烈なも
のがある。いつの間にかダラス空港を席巻しているSAMSUNGの製品は少なからずここを経由する旅行者にかなりのインパクトを与えているはずだ。日本勢
もウカウカしてはいられない。IPODの二の舞にはらないとは思うが、気がつかないところで市場は

少しづつ失われていることを(もう気がついているとは思うが)再認識する必要があると思う。