Archive for Yoshi Endo

「フューチャリスト宣言」を読んで

 

 「ウェブ進化論」の著者である梅田望夫さんから、最新刊の「フューチャリスト宣言」を頂いたので早速読ませていただいた。本書は脳科学者の茂木健一郎さんと梅田さんの対談を中心にまとまられたもの。インターネットによって変わりゆく社会をどのように理解し、それらのツールを生かしながら可能性を追求していくか。またそれによってもたらされるであろう近未来の世界をどのように生きていくか。という詳細について様々な角度から語られている。細かい内容に関する感想は別にして自分にとっては正直なところ、すごいインパクトだった。というのも理由は簡単で、自分自身が本誌に書かれている検索エンジンやBLOGやYOU TUBEといった現在すでにTOOLとして使っているサービスや技術について、ただ便利だとか面白いといった範疇でしか認識していなかったものが、実は別のもう一つの世界を構築してしまうほどのすごいものであり、その奥深い部分は自分の想像を絶する可能性があるということがわかったからだ(というか知らなかったほうがおかしいんですが…)。少なくともYAHOOやGOOGLEが世の中に出てくる前からシリコンバレーにいながら、このような大変革を客観的にしか眺めてこなかったり、欲を出して恥ずかしい話、ただ株に走ったり利殖の手段としてしかITバブルを考えていなかったであろう情けない自分とは違い、同じ地で、このような流れをここまでの洞察力をもって(特に2000年以降)掘り下げて考えてこられた梅田さんに脱帽(もちろん「ウェブ進化論」の衝撃と併せて)。そして同じことを何度も言うようだが何より自分自身が、この地でITバブルのゆりかごから墓場(ITバブルが崩壊した2000年までを一応区切りとして)までを体験してきたのに、それが自分自身の生業にほとんど生かされていないと言うか、そういうことをあまり考えても来なかったことへの後悔というか反省を促すきっかけとった一冊になった。
 本書では、グーグルの到来を日本においては幕末以来の「黒船」と表現しているが、幕末日本の黒船到来をうけて、それに委縮せず逆に触発されてグローバルな可能性を見出し、国際社会へビジネスでの殴りこみという野望を抱いて奔走していた坂本竜馬のように、自分もこの21世紀の黒船に触発されて自分の分野で可能性を追求する、とにかく理屈抜きにそんな未来に賭けるフューチャリストになりたいと思った。
 さて、そのためにはどうしたらいいのか?私の今の生業は製造業、いわゆるものつくりに深くかかわっている。この業界では、このようなインターネット、ウェブを中心とした社会から見た場合、自社商品のマーケティングやオンライン販売、物流を変える手段としてのIT化は非常に効果があるようにも思えるが、具体的なスペックの詰めやQC、改善アイデアの模索やコストダウンのための行程管理など、実際に現場に足を運んで確かめないことにはどうしようもない業務が大部分を占めていることも事実だ。オフィスに座って現場の生産状況をモニターの数字で把握しているだけでは、やはり現場のコスト軽減、改善や品質管理は難しいと思うが、これをいかに最新のインターネット技術をもって変えていくか、その可能性を追求してみる事は十分にやりがいと手ごたえのあるものだと思う。もちろん今はまだ具体的なアイデアもないし非常に難しいとは思うけれども、せっかくシリコンバレーにいるのだから、このゼロではないであろう可能性に、これからは少しづつでも力を注いでみたい。

P.S.梅田さん、本当にありがとうございました!

 

再びダラス空港にて

 今回の出張で再び立ち寄ったダラス空港で見たSAMSUNGの携帯広告の巨大オブジェ…
Samsung_Cell.JPG

日本の携帯メーカーもこのくらい気合いを入れてアメリカに再上陸してもらいたいものだ!日本の市場で限りのあるコマを奪い合うのはもうやめて、GSMもCDMAもすべて標準装備にして世界市場に打って出る気概のあるメーカーははもうなくなってしまったのか…??
寂しいな(最近こんな思いばかりしている…)。

 

原産地詐称事件後日談

3月の末に終結した原産地詐称事件だが、実はその後日談がいくつかあった。大分時間がたってしまったが、簡単にまとめておきたい。
1.未だにアンダーテーブルの世界
 今回の事件で弊社は恥ずかしながらアンダーテーブルの要求を受け、それを支払う羽目になったのだが実際に、この問題が結審してわかったことは未だにメキシコ税関の体質はアンダーテーブルが通用しているということだ。今回の問題がなぜ4ヶ月半という長期に及んだかについて、問題が終結したあと、その理由が明らかになった。通常、この手の詐称事件の場合は最長でも1ヶ月で話がつくらしい。ところが本件の場合、通関業者に実は問題があった。この業者は過去に数回の違反があり今回の件がCRIMEとして実証されてしまうと過去の累積とあわせ同社の業者としてのライセンスが剥奪されることが明確であった。そこで権力と賄賂を駆使して、この問題をもみ消す作戦に出たのであった。本来なら1ヶ月もあれば罪状も明確化し、そのお咎めを受けるべきところを現場の担当官や副所長に対しての賄賂工作で何とか揉み消しをはかった。その間、運悪く税関所長や担当官の交代などがり、なかなかタイミングよくもみ消し工作がうまくはかどらないために、このように長期化してしまったのだが最終的には工作が全てうまく行った。結審の書類を見ると「本件は韓国製として輸入されたものが中国製との疑いあり、そのために調査を実施したが最終的に韓国製と判断された」とある。つまりあれだけ明確に中国製と確定したものがすんなり(?)と、韓国製として問題なしの判断をされているのだ。
極端なことを言えばこれで当社はめちゃくちゃ助かった。というのもこのまま問題がCRIMEとなり、通関業者のライセンスが剥奪されでもしたら、エンドユーザーである弊社の顧客はものの輸入が出来ずに大打撃をこうむり、その損害賠償の矛先が弊社に向けられる可能性が否めなかったからだ。そういう意味では幸運だったが逆に何でも事を金と力で動かすことが出来るという事実は底知れぬ恐ろしさを感じる。
2.問題につけ込む悪人達
 今回の件で品物と一緒に拘束された車のチャージが一日300ドルで請求されていたのだが、実は本来100ドルのところを今回の運送を担当していた日系の日進航空貨物のメキシコ人マネージャーがこの車のオーナーと結託して水増し請求をしていたことが発覚した。車のサイズはVANで間違いなく100ドルで済むところを弱みに付け込んで300ドルに水増しし、差額を懐に入れていたのだ。日系企業ということで社長は日本から来た駐在員。もちろんメキシコの税関事情などに精通していないばかりか管理もまったく徹底されていない。本来であれば訴訟ものであったがエンドユーザーの担当部長の配慮で何とか穏便に余剰分の返済をしていただいた。それにしてもまったく油断無しである。
3.大元の韓国メーカーと販売代理のブローカーの対応。
 今回中国製の靴を売りつけた韓国のメーカーは事件発覚後、中国製を間違えて送ってしまった旨を文章で謝罪してきたがその後一切音沙汰なし。いろいろ調べると中国製の靴のコストはなんと$6。それを弊社に$37で売りつけていた事がわかった。もちろん韓国製は$6とはいかないだろうから同社はきっと最初から中国製とわかって利益を確保するためにうまくごまかして出荷した可能性が否めない。韓国業者にはやはり注意が必要だ。そして今回の商いを仲介したLAの日本人ブローカーは事件発覚後1が月して突然雲隠れ。メイルにも電話にも一切応答なしだった。日本人として恥ずかしくないのか??とにかく同じ国民としてこんな卑怯な人が居るのかと本当に悲しい気持ちになった。
以上が本件の後日談。ビジネスはやはり難しい。というか、相手を信じることは商いの大前提だが、それにしても魑魅魍魎のたぐいが常に身の回りには徘徊しているということを肝に銘じることも重要だと、あらためて痛感した。

やっぱりマーケティングの重要性

現在お付き合いしている大手の日系TVメーカーでは、大幅な在庫調整がこの5月6月にあった。要因は売れ筋だと確信していた50”以上の薄型TVの販売が思ったように伸びずに過剰生産になったらしい。
昨年より日本のTVメーカー各社は大幅な設備投資を敢行し、将来的に需要が見込まれそうな50”以上の薄型TVの増産を今年に入ってスタートしている。おかげさまでビジネス的には好景気が続いており非常にいい傾向だったのだが今回の在庫調整には「大型TVが安くなれば需要は必ずある」と確信していたメーカーサイドにマーケティングの甘さがあったようだ。確かに見方としては悪くないと思う。今までほしくても買えなかった大型の薄型TVが2,000ドルを切るレンジにまで下がってくれば、そこに大きな需要が生まれるはずだったのだが、結局一番売れたのは30″~37”といったサイズのTVだったという。現在これらの薄型TVは1,000ドルを切るレベルで売られている。この価格帯に手が届く消費者層が大勢をしめたということだ。米国の平均所得を見れば必然的にその差の意味するものがわかるように思う。そして私が考える別の要因だが、カリフォルニアは、少しは落ち着いたものの最近の住宅建築ラッシュはまだまだ堅調なようで、借り手のないオフィスの跡地がどんどんコンドミニアムやタウンハウスに変貌しているのだが、アジア人やメキシコ人の多いこのエリア(カリフォルニア)で、昨今コンドミニアムは一部屋のサイズより部屋数の多いものに需要がある。たまにモデルルームを冷やかしに行くと部屋数は多いのだが、これは日本の四畳半?と思うような部屋があるものが大半だ。当然そのしわ寄せかリビングルームも狭い感じがする。そんなリビングに50”~のTVはちょっと大きすぎるかもしれないし、ましてや日本サイズの4畳6畳レベルの部屋に大型TV は無理だ。ここまで少し切り込みを入れていけば在庫調整をするまでの余剰生産はせずに済んだのではなかったか?と少し考えてしまった。
面白い(失礼。。)のは、この在庫調整が1社ではなくP社やS社の最大手を中心に大半の会社で実施されていたということだ。右へ倣えでマーケティングの重要性を軽視して、また皆揃って同じ轍を踏んでいるという状況はここでも顕著な気がする。

サウスウェスト航空の機敏

仕事がら、サンディエゴに行く機会が多いのだが利用するのはいつもサウスウェスト航空だ。アメリカの航空会社でUNITEDやAMERICANの最大手を尻目に唯一利益を出している航空会社として有名。しかし彼らのサービスや動きをみているとそれもうなずける気がする。まず社員に妙に屈託がなく明るい感じがする。きちんとした制服に身を包んで神妙な面持ちのほかの航空会社とは違ってサウスウェスト(以下SW)の制服はボタンダウンシャツにチノパン。夏はそれがポロシャツに代わる。畿内を動きまわる作業にはうってつけだ。そしてたまに冗談を交えた軽快なアナウンス(時に耳障りな時もあるが…)もイメージ的には明るい。そして、運営もユニーク。乗られた方はわかると思うがシートのアサインができないというか不要で乗り合いバス同様のシートは早い者勝ち。いいシートに座りたければ早くチェックインすればいいという感じ。これによってある意味複雑なシートの管理や配分が不要になり、かなりの合理化ができていると思う。加えて飛行機会社の課題である「どれだけオンタイムで離発着できるか」という点に関しても、従業員がみな協力して取り組んでいる姿が見れて小気味よい。SWは着陸後客の誘導が終わるとキャビンアテンダントが自ら手袋をはめて客席の清掃を始める。あえて専属の人間に委託せず、できる事を最大件に短時間で実行するという合理性もあって、着陸後は給油の時間のみでの出発ができるようだ。
待つ側にとっては5分10分の遅れが気もちを憂鬱にさせるものだが、彼らの真摯(?)な姿を見ているとそれも許せてしまう気がするから不思議だ。そんなわけで今までは、そのような合理が功を奏して価格的にも低価格を打ち出し、それでメリットを出していたようだが、たとえ燃料費の値上がりで他の航空会社と差がなくなっても、同じビジネスパーソンとしては機敏さを常に意識させるSWを今後もひいきにしたい気がする。

I-Phone発売で思った事

先週の金曜日にアメリカではAPPLEのI-phoneが発売された。各販売店の前には、開店前に購入をもとめるファンの長蛇の列ができたという。アップルの基本的なデザインを踏襲した精錬されたデザインは確かに持ち歩くのにもファッショナブルである。おまけに操作性は抜群にカッコイイ!タッチパネル形式だがその豊富な操作性(たとえば指の動かし方で画面を拡大、縮小できるとか)は本当に驚異の世界だ。おまけにアイコンをはじめとしたグラフィクスも、これはもうお手芸だけあって秀逸な出来栄え!脱帽である。でも機能はどうか?基本的に電話に加えてカメラ、インターネット、MUSICプレーヤー、MAPその他で、特別目新しいものはなさそうである。I-PODのときもそうであったが、最近思うことは、どうして日本のメーカーがいち早くこのようなスタイリッシュな製品を開発し、アメリカ市場に投入しなかったかということだ。日本の技術力を持ってすれば何一つ不可能な事はないだろう。日本に帰ればご存じのように携帯ショップや家電量販店の店頭に百花繚乱の如く並べられた携帯電話たち。少なくともそのどれもが機能的にはI-phoneと同等かそれ以上のはずだ。気概ある日系メーカーがいち早く新しいデザインと洗練された機能でアメリカ市場に参入していれば間違いなくイニシアティブをとれたと思うと何とも複雑な気持ちである。少なくとも日本でだってスタイルとデザインを斬新にするメーカーがあれば十分にシェアはとれたと思うのに、どこの電話も相変わらず五十歩百歩の容姿でがっかりする。1990年代の半ばまでは、ほとんどの日系携帯電話メーカーはアメリカでの生産をしていた。それが2000年に入ると一斉に撤退。いまでは京セラがOEMでわずかに生産しているらしいが現在こちらの店先で日系メーカーの携帯電話を見かける事はほんのちょっぴりのSANYO製を除いては、ほとんどなくモトローラ、NOKIAとLG,SAMSUNGに市場は席巻されている。日本ではどのメーカーも価格競争に巻き込まれ、たいして利益を生むこともできないが、その利益を数で補うために連日徹夜状態だとP社の生産工場担当課長が話していた。発売と同時に品薄状態のI-phoneの販売価格は$600(8GB)だ。利益率はきっと高いはずである。日系各社の重労働と奮闘を尻目に高利益で高笑いのAPPLEが目に浮かぶ。
電子技術立国を自負しながら井の中の蛙が心地いいのか、マーケティング戦略の脆弱により海外市場においては美味しいところは、みんな持って行かれてしまって、そのために強いられている苦労が快感に変わってしまっている感のあるニッポンの家電メーカーの最近の不甲斐無さを、I-phoneの発売によっても感じでしまっているのは私だけだろうか?

Eメイル

先週まで日本出張。最近はPCと携帯電話を持参すればどこでも極端な話どこにいても仕事をすることができるようになった。自分がEメイルアドレスを最初に持ったのがたしか1995年だったと思う。それまでの通信手段は電話とFAXだけだった事を考えるといまはEメイルに携帯電話と本当に便利になったと思う。その分仕事から離れにくくなってしまった事は事実だが当然こなせる仕事の量も数倍になったのではないかとふと考えてしまう。効率が良くなった分、残業が減ったかというと日本で働く友人たちを見ているとそうでもないらしい。相変わらず家に帰れるのは9時だ10時だと話している。ではその効率のが良くなった影響はどこに出ているかというと、どうも人員の削減につながっているらしい。
さてEメイルだが、これを利用し始めた当時、あるEコマースの講演会で「Eメイルは非常に簡単で効率的な通信手段なので、その分迅速に返信をすることがエチケットだ」と講師の方が話していて、なるほど確かにそうだと感心した記憶がある。最近あたらめてそのような側面から見てみると、かなり個人差があるようだ。ただ私とメイルのやり取りをする人たちの傾向から言うと忙しい人ほどメイルの返事が早い。そしてその人たちは大概会社の第一線でエグゼクティブもしくはオーナーの立場で重職につき、バリバリ活躍している人たちだ。一概にはもちろん言えないが、こんなところにもビジネスマンの器量が表れているような気がする。

明暗

今週前半はテキサス、アトランタへの出張。このエリアは自動車関連企業が多い。テキサスは州の最南端に近いマッカレンを拠点にボーダーを越えメキシコのレイノサへいったが、ここにも多くの日系車載電装品メーカーがある。最近のガソリン高騰により、昨年よりアメリカのビッグ3の業績はがた落ち。それとは反対に日本車の需要は最高潮に達していて鼻息も荒い。確かに燃費の差は大きい。最近のカリフォルニアでは平均1ガロン(3.8L)が$3.50.日本円に換算すればそれでも1Lあたり100円強だが、使用量を考えたらバスや電車といった車以外の交通手段が乏しいアメリカのほうが圧倒的に割高だ。このような事情なので低燃費、そしてハイブリット車などの投入に積極的な日本勢が圧倒的に強さを誇っている。そんな中、かつてのビッグ3の圧倒的なシェアと需要に対応すべくアメリカに進出した日系企業の多くは、いま深刻な状態に陥り、工場の撤退や中南米への移設を余儀なくされているところも多いと聞く。これに対して日系自動車メーカーの進出に呼応してこちらで操業している各協力工場は大忙しでてんてこ舞いの状況だ。
 燃料の高騰という引き金で、同じ業種しかも同じ日系企業で、これだけの明暗が分かれる状況は色々な意味で顧客や対応業種のバランスの大切さを認識させてくれる。弊社のような小さい会社の場合、特に需要の大きさについつい靡いてしまう傾向が強いが気持ちの上では常にシェアのバランスも考慮していきたい。

原産地証明とは?

先週、ティファナにてメキシコシティからこられた貿易のコンサルタントとミーティングをした。今回の事件の際にはかなりおせわになった。彼は間違いなく対メキシコ貿易に関しては最強のエキスパートだ。その豊富な知識は、どんな日系の運送業者よりも超越している、というか日系の運送業者はあまりにも知識が無さ過ぎると言ったほうが妥当だとおもう(今回の一件でつくづくそれを痛感した)。今回のミーティングの中で面白かったのは原産地証明の事だ。
通常原産地証明というのは、原産国の商工会議所が製造元から依頼があった際に発行するものだが、実際に商工会議所がその現物を見ることはまず無いという。申請書類に記載された内容を確認して認定のハンコを押しサインをして公の書類として発行されると言うのだ。つまり商工会議所は何をしているかというと原産地証明を発行するために、その申請書類に記載のミスがないかを確認しているだけで記載が無ければOKということになる。したがって私が他の国の商品を輸出しようとしてその商品を日本製と記載した申請書類を出し他の記載内容に問題が無ければそれでいいらしい。いいのか悪いのか、といわれれば確かにいいとはいえないのだが、お役所仕事の域を出ていない感じが否めない。大問題にはならないんですかね??
実際の原産地の定義はどうかというと、全ての商品にはそれぞれ細かく分類されたコード番号があり、たとえば材料を輸入し、ものを製造する場合、その材料のコード番号がそのまま残ってしまうような時には製造した場所ではなく材料を調達した場所が原産地となるそうだ。製造場所が原産国となるためには輸入した材料がまったく姿を変える必要があるそうだ。つまりゴムを輸入し、そのゴムで手袋を作ればゴムは姿を変えるので、コード番号は手袋に変更になるので、これは製造した場所が原産国になる。今回の事件のように靴底を中国から輸入し製造は韓国でも靴底はそのまま靴のパーツになり、容姿を変えないので、このコードは変更にならず、そのまま残るということだ。これが基本だそうだが、これまた国によって細分化された規定があるらしい。考えてみると貿易は複雑だ。

韓国の攻勢

最近韓国の攻勢がすさまじいと思う。特にエレクトロニクス、それもLCDやプラズマといった生産に欠かせない副資材の市場ではかなりの勢いである。言うま でも無くLCD生産で世界のトップシェアを誇るLGやSAMSUNGといったメーカーの製造拠点がある韓国では、これらの生産に不可欠な材料、静電気や埃 対策の商材、実際の生産に使用される副資材など今までは輸入中心でまかなわれていたものが、地場の需要の増大に呼応して自国での生産が進み、当然それに伴 う研究開発も急ピッチで進められてきた(勿論大手の潤沢な研究開発資金が使われたと思うのだが)と思われる。非常にクォリティも高いのだ。そして日本製品 に比較すると値段もかなり安いときている。このような商品を自国の需要だけに留まらせずに積極的に海外での販売展開をしているところが韓国の強さであり、 商売上手なところだ。ここ1~2年で静電気対策商材を扱う韓国の商社が雨後の竹の子のごとく米国市場に参入している。
そのパワーはすごい。うちが代理店をしている日本では老舗の静電気対策メーカーであるA社がアメリカ市場に本格的に参入してきたのはここ3年前の事である。この差はやはり大きいと思う。
インドや中近東そして南米などでは、既に韓国の大手家電メーカーが市場を凌駕しているという話も大分聞くようになった。オセロのように気がつかないうちに 4隅を取られているかも知れないであろう事を日本の大手ばかりでなく中小企業も少し真剣に考えてみる必要があるような気がする。