2020年の年頭にあたって

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、新年早々古い話で恐縮だが、自分が若造だった1980年代(もう40年近く前だけど…^^;;)、まず夢は自分の車を持つこと。そして車にはカッコいいカーステレオのコンポーネントを装着する事だった。当時は日本のブランド全盛時代!パイオニアのロンサムカーボーイ、カロッツェリア、富士通テンのBIO、クラリオンのCITY CONNECTIONをはじめALPINE,KENWOOD, SONYやパナソニックもこの分野でしのぎを削っていた。
 ご存知のように、その後カーステレオはカセットテープがCDになり、さらにHDDからMP3を経て現在のプラグインへと大きく変貌し、製品自身もカーナビゲーション主体へと大きく変っていく。自分自身は1990年代の半ばにPANASONIC AUTOMOTIVEの最初の生産ライン(ジョージア州アトランタの郊外、PEACHTREE CITY)の立ち上げに携わったのを皮切りに、日本のメーカー各社がアメリカ(主にメキシコ)での生産をスタートするにあたって、他にアルパイン、クラリオン、富士通テンの生産プロジェクトに参加。今でも各社との付き合いは継続している。

 そのブランド力と品質で世界の自動車メーカーに採用され一世を風靡してきた日本のカーオーディオ(カーナビ)メーカーだが、今はどのような状況になっているかご存じだろうか?実は最近の10年で各社とも悲惨な終焉を迎えている。
 KENWOODは早くも2008年にJVCと統合して単独での上場廃止となり、SONYは2012年に撤退。この業界の雄であったパイオニアは2016年にAUDIO機器のオンキョーへ譲渡のあと会社ごと消滅(2019年に香港投資ファンドの傘下になる)。世界初の車載CDプレーヤーを開発した富士通テンはDNESOに吸収されDENSOテンになり、ALPINEもアルプス電気の完全子会社となり上場廃止。そしてクラリオンは昨年フランスの自動車部品大手のフォルシアに売却され、その幕を閉じた。現在、唯一単独で生産を続けているのは自分の知る限りPANASONIC AUTOMOTIVEのみだ。

確かにカーステレオからカーナビまでは順調だった。ただ、今の世の中、車に搭載された旧態依然のカーナビを利用している人がどれほどいるだろうか?その機能の殆どがスマートフォンで事足りているのは自分だけではないだろう。
 現在では、その役割と言えば車の「センターコンソール」(以下センターコンソール)として、オーディオのみならず車に搭載された機器の制御やコントロールパネル、自己診断機能のモニター等多彩な機能を持つようになってはいるが、大型の液晶パネルにコントロール用の実装基板があれば事足りてしまう。このような変遷によって、ヘッドやローディング用のメカ、ボリューム等のスイッチなどのハードウェアは不要になり、これらの成型品や加工部品などを製作していた中小町工場もその需要を失ってしまった。

要は、

 どんなに名を馳せた有名企業、一世を風靡した製品でも時代の流れとトレンドをしっかり見据えていないと、あっという間に葬られてしまう。

という事だ。

 そして現在、センターコンソールでは何とか世界有数の生産量を維持しているPANASONICにも新たな試練が待ち受けている。

 韓国の最王手SAMSUNG、いままで部品以外では自動車産業と繋がりが浅かった同社は2017年に車載オーディオも手掛けていたアメリカの大手AUDIOメーカーのHARMAN KARDONを7000億円で買収。GALAXYを持つ同社としては、その戦略として新たなCASE時代に向けて、センターコンソールを中心としてスマートフォンと同様のサブスクリプションモデルの実現を進めている。彼らにとってセンターコンソールは単なる箱(ハードウェア)であり、ここに提供したり習得する情報でマネタイズをする目論見だ。そうなるとPANASONICをはじめセンターコンソールというハードウェア販売でビジネスを構築しているメーカーにとって、日本の携帯電話製造メーカがあっという間に終息してしまったのと同じ末路をたどる可能性があるのだ。
加えて、このブログにも何度も書いているが、将来的には車載部品のみならず自動車自身でもこのサブスクリプションモデルが主流になる可能性があることを決して忘れてはならない。

 さて、わずかここ10年で大幅な変貌を遂げたカーオーディオ市場をみても、デジタル化の流れで今の世の中がどれほど早いスピード動いているかを理解することができる。そしてこの流れな間違いなく加速していくはずだ。しかしながら日本は今年東京オリンピックの本番があり、その準備で景気が盛り上がっていた過去数年間、特に自動車産業に於ける現在の競争激化の世界的な流れから少し距離を置いてしまった感がある。

 1964年、最初の東京オリンピックの際、その国家的事業の実現に向けて新幹線や首都高速などのインフラ整備を中心とした公共事業が牽引し日本は一挙に好景気となり、国民すべての生活水準も飛躍的に向上したことは事実だが、オリンピックが終わった後、一挙に不況のどん底に転落してしまったことはあまり語られていない。
 作家の遠藤周作先生はその当時の状況を「東京さんよ、これから何をたよりに生きていくつもりかい?」と自身のエッセイに書き残しているが、今回のオリンピック終了後は、絶対にこのような状況になってしまってはならない(勿論、その後1970年の大阪万博に向けて日本は復活。今回も2025年の万博に向けてという期待はあるが…)。

 特に大廃業時代の到来がささやかれる製造業や、これから新規事業の展開を計画しているスターㇳアップ企業の皆さんにおいてもオリンピック終了後が間違いなく重要なターニングポイントになる。

 「オリンピック」をリセットし気持ちを新たに今からグローバルに目を向けて自分たちの立場や状況を理解し5年10年先の計画を真剣に考える。

今まで自分自身少し余裕をもって、同じような提言を何度もしてきたが、実際の開催となる2020年、もう後はない。
 そこで自分は勿論、皆さんにも是非、この言葉を今年の抱負の一つに加えてもらいたいと思う。





 

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