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EV≒黒船と国内勢力の台頭に勝てるか?

 アメリカ、カリフォルニアではワクチン接種率が70%に迫り、6月15日には、1年3か月ぶりに経済の再開を宣言、飲食店や遊興施設に対する規制のほとんどが解除された。CA州の知事は、今日のニュースでワクチンパスポートをスマホ上で利用できるアプリの採用を決定。特に通常の産業に加え、主要産業の一つでもある観光業にも一挙にテコ入れする動きだ。
 そして、コロナ禍だったにもかかわらず、シリコンバレーの動きは相変わらず堅調。IT企業のみならず、特に動きが顕著だったのは、EV(電気自動車)を中心とした次世代自動車産業関連企業だろう。今回は、前回のブログでも触れた内容の続編になるが、特に中国を中心とした新興EVメーカーの台頭から見える、この先の日本の存亡について考えてみた。

 現在のアメリカでのEV市場状況と言えば、王者テスラに加え国産新興EVメーカーであるLUCIDやRIVIANなどが、相次いで市場へのEV投入を今年本格的に行う予定。またGENERAL MOTORSやFORDも今までの製造インフラを大幅に変革し、大胆なEVシフトへの方向性を明確にしている。これら米国勢に呼応するかのように、既に2030年には全車種のEV化を明確にしているVOLVOをはじめとしたヨーロッパ勢の動きにも目が離せないが、それより脅威なのは中国EVメーカーの動きだ。既にアメリカで上場しているNIOやBYDと並び、中国国内で急成長を遂げているLi AUTOやX Pengといった新興勢力が昨年アメリカで株式を公開。またEVメーカーでは著名なBYTONも、最近のNEWSでは2021年中にアメリカでの株式公開を検討しているらしい。彼らは、今まで自動運転技術やバッテリー開発のR&Dを中心としたアクションを中心にシリコンバレーで活動をしていたイメージが強かったが、本国(中国)での急成長を武器に、テスラの牙城を切り崩すべく自社のEVで、アメリカ市場に攻勢をかける動きを鮮明にしているのが現状だ。
 このような状況から、今年は今まで見たことのないような多様なEVがアメリカの公道にお目見えする事だろう。

 果たして日本勢はどうだろうか?残念ながら日本の自動車メーカーのEVに関するNEWSはこちらで耳にしたことがない。自分の認識している限りではあるが、新車に関してもNISSANのLEAF以外にはお目にかかったこともなければ聞いた事もない(三菱のI-MIEVも生産終了らしいし…)。ちなみにアメリカで市場を拡大している韓国勢は、HYUNDAIでIONIQとNKONAの2車種を既に販売(何とNEXOという水素自動車も販売している)、KIAモーターは販売中のNIROに加え、年内にはラグジュアリーEVセダンのEV6も投入予定だ。勿論、TOYOTAやHONDAといった大手は、アメリカ国内で既存の市場を確保しているという安心感と絶対大丈夫という自負があるかもしれないが、残念ながら次世代のAUTOMOTIVE市場においては精彩を欠く以前に「本当に大丈夫なのだろうか?」という不安の方が大きく募ってしまう…。

 そして、このような状況は、今まで自動車産業で世界を席巻していた日本メーカーの牙城である日本国内市場自身にも、間違いなく襲ってくるのではないか?という思いが、最近いくつかのNEWSを見て一層強くなった。 
 自分の勝手な解釈で、かつ自身が司馬遼太郎先生の大ファンで、特に幕末ものに、かなり傾倒していた影響も多分にあって本当に恐縮なのだが、実は今の自動車産業の状況は、幕末の動乱期と同じように感じてしまっている。

まずは中国を中心とした列強のEVメーカーの存在だ。
 深圳を拠点とし、バスやタクシーなど公共EVを得意とするBYDは、2005年には日本に拠点を開設し、その後の自国内での実績を元に、日本では、小型から大型までのEVバスや電動フォークリフトといった商品で数年前から日野や三菱ふそう、いすゞといったバスメーカーの牙城に環境保全や脱炭素化への貢献を武器に一気に切り込みをかけている。特に首都圏ではなく、地方の観光バス会社や、過疎化や環境インフラの整備に時間がかかりそうな行政をターゲットとした営業戦略が鮮明で、企業のしたたかさがうかがえる。
 中国の大手BYTONへは既に丸紅が資本提携を行い、将来的な日本における市場参入が視野に入っている。急速に動きを加速しているXPengやLi AUTOといった新興EVメーカーが、この先、単独、もしくはBYTONのように巨大な国内インフラを持つ総合商社、またはEVの定義を家電と考える大手家電量販店との提携で販売をスタートするかもしれない。加えて中国勢のみならず、既に販売を開始しているTESLAをはじめとしたアメリカ、ヨーロッパ勢も将来的には怒涛の如く日本市場に参入してくるだろう(その頃の日本が魅力ある市場であるかは分からないが…)。
 勿論、かつて参入を試みたHUNDAIを短期間で撤退に追い込んだ日本メーカーの牙城である我が国の市場に、そう簡単には参入できるかは分からないが、この状況はまるで

 ”EV”という”黒船”による列強の攻勢が始まりつつあるように感じられる。

それだけではない。
 この4月に佐川急便が自社の保有する配送用トラック7,200台ののEV化を発表したが、その提携(発注)先は何と既存の自動車メーカーではなく、中国に提携製造拠点をもつの日本の新興EVメーカー”ASF”だ。佐川急便は、日本の安全基準の確保や走行実証試験などをクリアできれば2022件から正式に導入を予定。ここで突破口が開けば、このメーカーに限らず、同じような国内のファブレスEVメーカーの出現により、他の運送関連企業への普及のみならず、将来的には独自のBtoC向けEVの販売を目論む企業も増大する可能性がある。既に日系メーカーでTHAIでの先行販売によって頭角を現している小型EVメーカーFOMMのような新興勢力の存在が、この先は、かなりクローズアップされてくるであろう。これは幕末で言えば:

 薩長土佐のような国内勢力の台頭のようも思える。

幕末の日本、当初は尊王攘夷を主張してた彼らは、蛤御門の変以降、矛先を一挙に幕府に変え、あれだけ毛嫌いしていた諸外国と手を組んで、倒幕に舵を切った。同じように今の自動車業界も、国内の新興勢力の動きが益々加速していくと思えてならない。
 自身の経験で少し話は逸れるが、1990年代に深くかかわっていた携帯市場でも当時の日本はI-MODEを抑えたNTTの独断場で、その製造を担っていたD,N,S,F,Pなどの頭文字を付けた大手メーカーの携帯電話が市場を席捲。各社とも空前の好景気だった。それが通信方式のCDMAへの変更により、ビジネスがサブスクリプションモデル主体になった途端、SOFTBANKやKDDIと言った新興キャリアの出現で、ハードの捉え方が、ただの端末に変わり、コストの安いHTCやXIAOMI, SAMSUNG、そして多彩な機能で充実のAPPLEが中心となって、そのほとんどが消えてなくなってしまった。
 
 そんな携帯電話の製造分野で生きてきた自分の経験(前記事のTV産業でも同じ経験をした)から、同じ状況が自動車産業にも重なってしまうのだ。

このような状況に既存の日本メーカー(幕末で言えば江戸幕府と譜代大名諸藩?)は、この先どう対峙し、どう戦っていくのか? そして打ち勝っていく事ができるのか?
 国内の自動車産業は製造だけで200万人近いという膨大なインフラの関連雇用の維持を考えれば、勿論一筋縄ではいかないし、前回も書いたが、先ずはハイブリッド化からプラグインという動きにならざるを得ないだろう。また、国内の中小協力製造工場に至っては、車関連需要の落ち込みを補うように世界的な半導体不足による製造設備の特需で、現状は、そんな将来のことまで考える余裕や必要はないと思うかも知れない。
 ただ、ここでは既に、しつこく訴えているので、敢えてキツくは言わないが、手遅れになる前に、世界の動きを見ながら、真剣に出来ることを考える。この気持ちを決して怠ってはいけないと思う。

自動車も100分の1になる!?

 さて、数年前から何度も講演会や講義などで話してきた内容(もしかしたら同じことをBLOGにも書いているかも^^;;…)だが、最近それが更に現実味を帯びてきたので、敢えてまとめてみた。

 自分がアメリカに来たきっかけになったのはSONYの北米におけるテレビ生産拠点の立ち上げだった。当時、既に最高峰の画質と定評のトリニトロンカラー(ソニー独自の映像方式)を武器にアメリカで知名度があった同社が本格的に北米および南米向けの生産拠点をカリフォルニアの南端、サンディエゴに近接するメキシコの町ティファナに設立したのは1988年。テレビは未だブラウン管の時代。アナログで熟練した画像の調整工程が不可欠だった当時は日本勢がTV市場で圧倒的なシェアを確保。ティファナは、90年代にはTELEVISION VALLEYと呼ばれ、既に同地で生産を始めていたPANASONIC, SANYOをはじめ、HITACHI, 三菱、JVCが工場を設立し大量生産に着手。弊社のような彼らの生産をサポートする日系の協力会社も続々と進出し当時は本当に賑やかだった(そんな折、ティファナでSANYOの社長が誘拐される事件もあったりしたなあ…)。
 工場設立後のSONYは、90年代に入るとPCが一般家庭に急速に普及した時代と相重なり、当時から同じトリニトロンで定評のあったディスプレイの需要も増大し、シャープが液晶テレビの生産を同じティファナでスタートした1999年までには、従業員3000人規模の工場が2か所に加え、チューナーの製造工場も別に確保するまでに拡大。この後、各社がブラウン管から投影型のTVを経て液晶に移行した後も、薄型液晶パネルのテレビ需要は更に急拡大し、当時まだ圧倒的に液晶技術でもアドバンテージのあった日本勢は最盛期となる2007年には、日系メーカーだけで北米向けを中心に年間1000万台のテレビを生産していた。

 当時、SONYの40インチ液晶テレビの値段は$1,000以上。ところがいち早く液晶パネルの将来性を予測し歩留まりの少ない大量生産に本腰を入れていたSAMSUNG(日本から大量に技術者をヘッドハントしていたのもこの頃)や台湾のチーメイ(現FOXCONN)が生産効率を上げてパネルの大幅コストダウンを敢行。同じ時期いきなりSAMSUNGは40インチのテレビを$700で売り出し(あまりにも衝撃だったので今でも覚えている)、ここから一挙にLGを含めた韓国勢による攻勢がスタート(画質にはほどんと差がなったからね)。アメリカで台湾系CEOが率いるOEM生産でいきなり勃興した新規メーカーVIZIOの参入に加え、怒涛の如く進出してきたハイアールやハイセンスといった中国勢にも市場を侵食され、2009年に起こったリーマンショックの影響もあって日本勢はほぼ壊滅状態。2011年には早くもSONYが全ての工場をFOXCONNに売却。その後、HITACHIとJVCが撤退し、PANASONICと三菱も2013年には生産を打ち切り、2015年に液晶パネルのラインも2本保有していたシャープが中国のハイセンスに工場を売却して日本勢の隆盛は終焉を迎えた。

 最盛期から終焉迄わずか10年、そこまで急激に落ち込んでしまった原因は何だろうか? 単純に言ってしまえばブラウン管時代の栄華に安堵し、他のアジア諸国には高飛車な態度でタカをくくっていた姿勢が、デジタル化という劇的な変革に追従できないどころか、既存のインフラと組織、ブランド維持の為に、その対応に舵を切ろうともしなかった事に有ったのではないかと思う。また、生産現場で「まさか中国勢や韓国勢に負けるわけないでしょ!」という雰囲気が蔓延していたことも事実だ。当時、尼崎ディスプレイ等自社のブランドに陶酔しTVに全精力を傾けていたPANASONICは、テレビ事業の崩壊後(足繁く通っていたTV海外事業統括本部があった大阪、茨木の工場も今はマンションになっている)、その後何年も自社の方向性を確立できなかったし、SHARPに至っては、FOXCONNに買収されるという終焉を迎えたわけだが、結局はデジタル化により、液晶パネルとマザーボード、チューナーと電源があればテレビは、

 誰でも作れる時代になった

事を、理解しなかったことも大きな要因の一つだ思う。

 実は現在でもティファナで唯一1社だけ日本のメーカーがテレビを生産している。2000年代にはアジアを中心にOEM生産で世界一テレビを生産していたFUNAI(船井電機)だ。彼らは今もフィリップスブランドで北南米向けのテレビの生産を続けている。少なからず南米向けの需要もあり、最近の生産数は伸びているようだが、日本勢の終焉と入れ替わりに生産を始めた2017年の生産台数は何と僅か10万台。10年で日本勢のアメリカにおけるテレビの生産台数は:

100分の1になってしまった

事は、殆ど知られていないだろう。

 さて、ここまで書けば、既にお分かりだと思うが、自分の経験から、要は同じことが自動車産業でも起こりうる事が現実味を帯びてきている。その一番の要因はコロナによるライフスタイルの激変と、それに伴う世の中の進化の過程が大幅に前倒しされた事だ。この流れにおいて人的接触を避けるための自動運転技術の開発が加速してきた事、自動運転にも使用できるリモートをサポートする大容量に対応するネットワークの構築が劇的に進みつつある事、脱炭素化の流れとその対策/対応の必要性が更にクローズアップされたことで益々拍車がかかり、加えてテスラの快進撃は言うに及ばず、アップルの電気自動車参入やAMAZONによる物流手段の自動化、GOOGLE傘下のWAYMOの躍進などGAFAT(Tはテスラ)の大資本による新たな動きにより、間違いなくここ数年でガソリン自動車の淘汰が急速に進んでくると考えられるのだ。
 更に脅威なのはALIBABA, TENCENT, BAIDOUなどを中心とした中国勢の動きである。既存のガソリン自動車製造というインフラを自前で殆ど持たなかった中国と、そこから生まれた新興勢力のアクションは想像を絶するスピードになるだろう。彼らのシリコンバレーにある次世代モビリティ関連企業への投資も恐ろしい勢いで増加している。そして既に50社以上あるといわれている中国のEVメーカーが今後どのくらいの勢いで業界に本格参入してくるかを注視する必要もありだ。勿論、安全という担保は必要にはなるが、既に車(モビリティの為のハードウエア)本体は、不要なものを除き目的に特化したシンプルな構造になっていくと考えられ、基幹部品のモーターと電池、それを動かすセンターコンソール(PC)があれば、デジタルテレビ同様、誰でも作れるようになっているのだ。

 昨年からのシリコンバレーの動きを見ていると、このあたりの流れの速さが本当に目につくようになった。それは単にGAFATを中心としたメジャー企業の動きだけでなく自動運転技術やネットワークなどのソフト開発、AIを駆使した軽量化を中心とした新素材開発、新たな搭載用のセンサー技術の向上に加え、EVや自動運転の要になる電池開発に於いても、彼らの躍進のニュースが連日のように飛び交っている。また既存のメーカーもボルボをはじめ、ヨーロッパ勢は早くも2025年には全車種EV化を発表したりと具体的な計画に向けて動き出しているのだが、このような状況の中でニュースになるような日本の自動車メーカーや大手TIER1(こういう系列を意識させる表現は嫌いなのだが…)の名前が出てきたのを殆ど聞いたことがない。

 この中で、果たして日本勢は生き残れるのか?と考えると正直なところ深刻な気持ちになる。日本国内で自動車製造に関連する就業人口は約200万人といわれている。その大半は現在のガソリン自動車の製造にかかわっている訳で、国(メーカー)としては彼らを反故にできないため、急激なEV化に舵を切ることは難しく、まずハイブリットからプラグインへの移行でスタートする以外に術はないと思うが、残念ながら、とにかく状況は待ったなしで悠長に構えている余裕はない。時期的にあまり良い例えではないが、津波が一挙に到来し全てを奪い去ってしまうイメージに近いぐらいのインパクトだと懸念する。

 特に自動車産業に依存度の高い中小製造業にとって、脅威は目の前に迫っている事を今の段階で是非意識してもらいたい。2000年代には大手テレビメーカーの進出に伴い、成形、板金、ハーネスや基板実装を手掛ける多くの日系協力工場が当時のティファナで共栄していたが、その急激な衰退で、自動車やメディカル産業などに上手くシフトできたところを除き、ほとんどが撤退、廃業してしまった…。その状況を現場で観てきた自分としては、同じ轍を日本の真骨頂である自動車産業では絶対に踏んでほしくない。
 勿論、どこに次の市場を求めるかは大きな課題だが、そのヒントは、このブログに今までもたくさん書いてきてたつもりだ。それが功を奏すか否かは、皆さんのこれからのアクション次第。とにかく自分の信念である:

「日本の製造/生産技術が世界で負けるわけがない」

は、間違いなく健在だし絶対に活かせるはずだと確信している。
 日本勢の自動車生産数が10年後、100分の1になってしまう事を前提として真剣に一考いただきたいと思う。


 

 

 

新しい製造業の時代が来る!

遅ればせながら新年あけましておめでとうございます。

さて、昨年はコロナ禍の中で世の中が激変した1年だった。人々のライフスタイルや仕事の環境、学校教育、グローバル社会の在り方等々、とにかく世の中全てのものが大きく変わるきっかけになった事は間違いない。勿論、普通なら今までの生活が大きく制限されたことで、ネガティブなイメージをもった方が大半だとは思うが、「コロナの影響によって世の中の全ての流れが10年は前倒しになった」という雑誌の記事を目にして「なるほど確かにその通りだ」と自分は考えた。
例えば、今まで通勤が当たり前だった働き方が激変しリモート中心になる、これは間違いなく将来の仕事のスタイルなのだが、5G等インフラの普及を待たず前倒しで実現を余儀なくされ、日本の場合、地価の格差を含めた首都圏中心の生活環境が激変するかもしれない。教育環境も今までの学区や通学という枠が不要になりオンラインが定着し、場所を問わず教育を受けることができたり、世界中の著名な学校や先生を選んで授業に参加する事もできるようになった。また旧態依然の変化の無い「学校」という概念も変わり、この先はGAFAのような大企業が世界中から生徒を集め、自社のMISSIONに基づいた時代の最先端の教育を施す「学校?」を設立する事も可能になってきた。本来なら、このような変革もインフラの構築などで、まだまだ先の話だと思っていたものが、必要に迫られ一挙に現実化してきた。遠隔治療やAIによる問診、ロボット技術が浸透してきた医療業界においても、状況は同じだろう。

 そしてこの流れは、製造業に大きな変化とチャンスを与えていることは間違いない。親友のITジャーナリスト湯川鶴章さんが彼のYUTUBE「原書10分解説」で紹介していた「 The Future is faster than you think 」の内容を聞いて、正にそうだと確信した。
 本の中身は、コロナの影響を前提としてはいないが、指数関数的に普及してくるAIとテクノロジーの融合、そして3Dプリンターのような機器の進化と普及による産業の大変革が急激に加速していくことが書かれている。
 例を挙げれば、シリコンバレーで日本人の女性CEOが率いるスタートアップ企業NFTが開発する「ASKA」のような空飛ぶ自動車が2030年迄には実用化されるという大胆な予測。そこに必要な効率の良いモーター開発、空力学的なドローン技術やセンサー技術、5Gに立脚した制御ネットワークの構築、軽量化と蓄電効率が向上した次世代バッテリーの劇的進化、耐久性や軽量化に必要な新素材の開発が、AIを駆使して加速し早期に現実のものとなり、10年後の空には、このような乗り物が飛び回っているかもしれない。この進化の速さは空飛ぶ自動車に限らず医療系でも顕著。コロナ禍の後押しあり、手術のみならず人手を介さない治療や新薬の開発も含めた領域で益々ロボット化や自動化が加速するだろう。 
 また注目の自動運転もEV駆動が中心となり、輸送やデリバリー、バス、タクシーなどの移動手段でスタンダードになる。そのための軽量化や耐久性のある新素材、駆動系もシンプルで機能性のあるものがどんどん開発されていくと思われ、そこに圧倒的な財源をもつAPPLEやAMAZON、急拡大のBAIDUやTENCENTといった中国勢の参入による競争激化で、そのスピードに拍車がかかるはずだ。
 そして、これからの産業の要となる電池業界も、現時点では夢物語の粋を出ていない全個体電池に於いて、やはりシリコンバレーにあるQUANTUM SCAPEのような精鋭によって量産化への動きが加速し、より安全性の高い軽量で高性能なものが続々と出現、これを軸としたモビリティやロボットが次々に誕生してくることは容易に想像できる。
 この劇的な変革の根底には先に触れたAI、特にDEEP LEARNINGを中心とした普及が大きく貢献していく。既に新素材開発では、同じくこの地にあるベンチャー企業ZYMERGEN(日本の大手も出資している)がAIによる分子や構造の組み合わせ解析により、新素材開発を加速度的に進化させている。このような新素材の需要は、軽量化や耐久性強化だけなく、環境への配慮のある素材も含め間違いなく増大し、それを利用したハードウェアの生産もどんどん世に出てくるであろう。
 
 ここまで書いてきた、これからの世の中の流れをみても分かるように、近未来の産業需要は、その多くが

製造(ものづくり)の領域

に関係するものばかりだ。特に新規開発品が多いので、それに伴う試作の需要は圧倒的にあると思われる。要は、ここにどうやって切り込んでいくかだが、上手く突破口を開けば、間違いなく日本勢も中国やアジア列強に負けないイニシアティブを獲れるはずだと確信している。

 自身の生業も、2000年代は未だ勢いのあったTV産業に支えられたものの、其の衰退とリーマンショックによる大打撃で辛酸をなめ、2010年代は堅調に推移した自動車産業によって何とかやってきたが、この先は脱炭素化、温暖化阻止に向けての化石燃料車の需要激減が明白になったので、自分としてはコロナで幕が開いた、この先の新たな製造業の時代に、その流れや動きに注視しながら市場のニーズをしっかりと掴んで日本の「ものづくり」を武器に奮闘していきたいと考えている。

 今年もご指導よろしくお願いします。



まだお宝は山のようにある!

少し前になるが、MISENというメーカーが自社で開発したフライパンのクラウドファンディングで1億円を集めたというニュースをみた。同社はまだ創業7年のスタートアップ。最初は包丁でデビューし同じくクラウドファンディングで2015年に1億円以上を集め、その売り上げによる資金で新規の調理器具の開発をしているようだ。誰もが使っている調理器具の市場に新規参入し、順調に業績を伸ばしている背景には、今まで一般家庭で普通に使われてきた調理器具にきっと誰もがもっているであろう使いにくさといった不満を上手く解析し、その部分にフォーカスしたR&Dと営業戦略を駆使しての成功だと思う。
 確かにアメリカに来て、今まで本当に使える包丁に出会ったことがなく、いつも日本から持参したものを使用してるし、食器やカトラリー、調理器具に関してもサイズ感や使用感を含めこれは凄い!と思ったものに出会ったことはなかった。

今回この会社がクラウドファンディングでこれだけ成功を収めた背景には、自分と同じような上述の経験をしている人が潜在的に多いというのもさることながら、コロナの影響で外食が減り、家で調理する機会が増えれば、調理器具や食器の使用頻度も増えるから、その使い勝手を意識する機会も増えている訳で、その中で日常使うものに対する不満が、彼らの業績を伸ばす要因になったのではないか?とも考えられる。

さて、上記の包丁がいい例だが、日本の包丁(もちろん無数のブランドがあるけど)は、伝統的に培われてきた刀鍛冶の技術や経験がその根底にあり、これが間違いなく圧倒的な高品質の要因として健在だと思う。そういう日本のメーカーが、なぜもっと海外で評価されないのだろう(既に評価されてるとは思う部分もあるが…)?と思うことがしばしばだ。
この新興メーカーは勿論、最新のマーケティングリサーチ技術と昨今トレンドになっているSNS広告や販売戦略を駆使して、このような成功を収めていると思うのだが、日本のメーカーにはまず確立された「高品質」というブランドが間違いなくあるので、同じような最新の戦法を使って、まだまだ世界に展開できるのではないか??と思うし、ある意味もったいないな。というのが正直な感想だ。
既に80年代から、まさに「グローバル」ブランドの包丁で日本より先に海外で受け入れられ業績を伸ばした吉田金属工業など成功例も沢山ある。そして、これは単に刃物に限らず、日本の優れた鋳造鍛造技術から作られる鍋やフライパンなどの調理器具やカトラリーなどに関してもしかりだと思う。特に最近の日本では中小製造業がこの分野でおもしろい。鋳造技術で密閉度の高い鍋を展開するドビーの「バーミューラ」などが好例。フライパンも最近では料理の仕上がりにフォーカスした重量のある鉄製に人気がある傾向で、鉄と言えば日本勢の中小製造業にとっては得意加工分野だし、上手く展開すれば新興国の富裕層や世界の料理通には、これから十分需要がありそうだ。

結果、何が言いたいかと言えば、まあ本当にうんざりするほど、ここでは訴えているが、まだまだ日本の製造業が作り出す製品は調理器具だけをとってみても:

「世界を獲れるお宝になる」

可能性が十分な製品が沢山あるという事だ。

 コロナになって、外出や外食がなくなり世界中の人たちが家で日常的に使用している調理器具に関して言えば、今まさに新たな需要を開拓できるチャンスかもしれない。

要は、毎回同じ話の繰り返しだが、海外市場に可能性を求め、それにフォーカスして真剣に取り組んでいく、グローバルに展開する意欲/志があるか?これが第一。それさえしっかり持ってやる気さえあれば、今の世の中、世界に展開できるマーケティングや営業ツールは安価で良いものが山のようにある。これらを駆使し、自社の技術や製品で、今までたどり着けなかった個人や企業のニーズを掘り起こすことも十分可能だろう。

 そんな事を、家にいることが普通になったコロナ禍の年末に考えてみた。いまのところ来年はどうなるのか?というのが自分にとっても一番の関心事だが、それ以上に激変しているマーケット状況だからこそ、そこに新たなチャンスを獲得できる可能性も間違いなく増えていると思うので、来年は自分自身もこのあたりの「ものづくり需要」を更にフォーカスしてみたいと考えている。
 
 それでは皆さん、素晴らしい新年を迎えてください!





自分がデジタル庁に期待する事

 少し時間が経ってしまったが、新しい菅政権が発足した。海外にいる自分としては、国内の状況は客観的にしか見ることはできないが、長期にわたり国をけん引してきた安倍政権を継承する政権運営を進めながらも、世界がこれだけ大きく変貌を遂げる中、その動きに注力しながら、よりグローバルな流れを意識した国政を進めてもらえればと期待している。

 そんな中、既に多方面でも話題になっているのが平井大臣率いるデジタル庁の設立だ。これは正直、間違いなく非常に大規模な改革のかじ取りを余儀なくされるのではないかと考える。大げさだが、包括的な見方からすればアナログ文化という旧態依然の慣れ切ったスタイル、そのぬるま湯にどっぷりと浸かった行政やインフラのすべてに改革を加えていく必要があるからだ。少し考えただけでも、デジタル流通経済のインフラ整備、マイナンバー制度の整備拡充。地方都市の膨大なアナログインフラの改革、金融のIT化などなど、挙げていけば本当にキリがない。ここにどう優先順位をつけ、企業や行政、自治体を巻き込みながら改革を断行していくかが、平井大臣を中心としたTEAMの手腕の見せ所だろう。世界的に見ても、このデジタル化が、物理的な人や物の交流が難しくなった今、ITやビッグデータを駆使、そしてAIを活用することによって唯一世界を救済する手段であり必要不可欠でもあるのだ。是非お手並み拝見できればと思うし、本当の意味でこれらの改革を実現できれば、日本は再び新たなアジアの電子立国としての地位を確立できるのではないか?と考えている。
  
 さて、この改革の流れの中で、「ものづくり」に拘わる自分としては、優先順位は低い(か、もしくは全く考えられてもいない??)かもしれないが、現状の下請け体質が未だ主流となっている中小製造業のインフラを含めたIT化にも、デジタルフォーメーションの推進を一挙に推し進め、経済産業省を中心に中小機構やJETRO、民間企業との連携と組織編成によって是非とも着手していただければと思っている。勿論、これらの実現には中小製造業を営む側も、しっかりとした意識と志を持って取り組んでもらう必要があるが、今後間違いなくグローバル展開を推進していくうえで不可欠になる部分だけに、将来的な生き残りを見据えながら、この分野では先陣を切って先を行く中国を中心としたアジア勢に屈しないためにも早期に取り組んでもらえればと思う。また、これによって今まで下請け体質が否めなかった中小製造業自身の新たに強化にもつながると思うのだ。

 あくまで自分の意見だが具体的には大きく3つのカテゴリーが考えられる。

 1.社内の体制においてデジタル化が可能な改革。
 2.ビジネスを進める上で必要なインフラのデジタル化の推奨や
   体系化。
 3.自社だけでは対応できない既存因習の改革(決済制度など)。

まず1.は社内バックオフィスのインフラや体制のデジタル化だ。勿論、この先も取引先との関係から着手できない部分もあるかと思うが、できる事も沢山あるはず。よく言われるハンコを電子署名にする、FAXによる注文書や業務資料の送受信をオンライン化する、社員管理のID化によるタイムカード等旧態依然のインフラの改革等。これらの改善が今後のビジネス展開の上では間違いなくスタンダードになるし強みになっていくだろう。

2.のビジネスインフラだが、例えば社内の工程管理をデジタルによって見える化し、工程の無駄を削減により競争力のある価格を実現する。また客先への見積もり対応も可能事例に基づくAI化によって瞬時に対応できるようにするなど、より競争力のある会社づくりに貢献するために必要なものだ。

3.の既存因習は端的に言ってしまえば手形決済などの中小町工場の財政圧迫要因になっている商習慣の改革だ。納品が終わっても2か月も3か月も現金化できない状況が、つなぎ融資などの不要な借り入れにつながり、社内の新規開発や新しい体制強化や改革に資金を投入できない枷になっていると思えてならない。またこの状況が効果を生まない補助金の温床になっている気がする。
 アメリカでは基本的に数千万の支払いでもNET30(30日以内現金)が主流。これにより中小町工場もスタートアップも資金繰りに余計な時間や気苦労を費やすことは少ない。
 昨今のFINTECHの隆盛により、新しい決済制度や海外送金など大幅に経費や時間を軽減できるサービスが個人だけでなく企業間決済でも沢山生まれている。
是非このようなところを精査し、確実なものを採用し制度化、もしくは推奨してほしい。

以上のような部分だが、自分としてデジタル庁には、このような改革を支援するための:

1.社内デジタルインフラ構築に特化した助成金の支給や専門の相談窓口の設置。
2.競争力をつけるために必要な社内インフラののデジタル化構築を可能にする
 システムや商品などの精査及び採用による制度化、またはアドバイス。
3.大手を中心とした企業にも連携を促し、手形制度などの廃止に向けた法整備
 やデジタル決済インフラの構築。
4.上記を実現するためのアドバイザーなどを有した中小製造業向けのデジタル化支援機関の設立。

等を是非手掛けていただきたい。そして、上記の組織編成には是非、日本全国(特に地方自治体においては地元)の若手IT企業等をフルに採用して、頭の固い行政でなく餅屋は餅屋に任せる感覚で進めてもらえればと思う。

 先に書いた目の前に山積した国の制度としてのインフラの構築や、新しいデジタルビジネスの新規創生等の優先順位から見れば低いかもしれないが、何度もここで訴えてきているように、世界や世の中の動きは待ったなし。そこにコロナ禍の影響で更に加速度がついた感がある状況を考えれば、日本の99%を占める中小企業、そして産業立国の礎を築いてきた中小製造業のデジタル化も是非、同じ尺度で併行して進めてもらえることに期待したい。そのインフラを確立することで、底力のある中小製造業にも、まだまだ世界に打って出る無数のチャンスが生まれてくるはずだと確信している。



アメリカ進出の窓口を開設した!

世の中は7月に入って再びコロナウィルスの感染者が増大傾向になり、益々予断を許さない状況になっている。5月の終わりから6月に入って感染者の減少から徐々に緩和された経済封鎖も再び新たな制約が始まる可能性が大きくなってきた。ここカリフォルニアでは6月に工場やオフィスは制限付きで規制が解除されたものの、7月に入ってからの急激な感染者の増加により、インハウスのレストラン営業が再び閉鎖されたり、この先何時再び、更に厳しい措置が施行されるか全く予測がつかない状況だ。
 自動車をはじめとした各製造業も6月半ば以降はラインの稼働率が平均して70%ぐらいは復活していると聞くが、3月から続いた経済封鎖による所得の減少が、この先どのような形で消費に影響してくるか同じく不透明だ。
そんな中、これら大手製造メーカーを相手に商売をしている中小製造業は、この先の来るべき状況においては待ったなしの状態。既に日本国内の中小製造業では、その70%以上が前年比の売り上げを下回る状態で、この先はさらに厳しい状況になるのでは?と予測されている。
 こんな状況もあり、このブログでも過去2回にわたって、この先の市場に対する予測、そして、新たな状況下においての体制づくりや、営業を主体とした市場開拓の可能性について言及してきた。
 その流れの中で、特に新たな状況下での市場開拓は、例えば日本国内に限定しても大手の大幅な減産に伴う需要の低迷は間違いなく、より真剣に

市場のあるところへ仕事を取りに行くグローバル化を意識する

必要があると強く感じている。

 ご存知のように、海外展開の必要性と意識や考えの持ち方については、このブログの重要なテーマの一つでもあり、再三にわたりここでも文章にしてきた。
また自分自身も、このまま減退してしまうそうな日本の中小製造業の海外第2創業の実現に何とか貢献すべく、過去数年にわたりJETROや中小機構、また地方自治体のアドバイザーを通じて、特に市場としてはハードウェアを中心に益々の需要が見込まれるアメリカ(特にシリコンバレー)に、彼らが情報収集や実際のセールスの足掛かりとして利用できるプラットホーム設立に向けて尽力してきたつもりだが、残念ながら、その実現には至らなかった。
そこで、同様のビジネススキームを通じて、既にこちらで僅かながらもビジネスを展開している自分の経験と顧客ベースを利用し、日本の志のある中小町工場とTEAMを編成し独自で営業展開をすべく、新たにプラットフォームを作り7月より正式に活動を開始した。
 www.beansinternational.com

 これからの世の中は、コロナの影響によりハードウェアの状況も激変、自動運転やロボットのような、既に多くの需要が見込まれる分野においての開発は急激に加速しており、そこには無数の試作や量産需要が生まれており、ここに日本の得意とする加工技術で何とかくさびを打ち込めればと考えている。お陰様でT社の全米最大の電池工場などへ、既に部材の供給もスタートした。

これをさらに加速させるべく、切削、板金、成形、組み立て、表面処理などを得意とする志の高い企業にもっと参画いただき、可能性が見込まれるシリコンバレーの新規ITメーカーや自動運転、ロボット関連、また医療機器などで急成長の企業にピンポイントでアタックしていこうと考えている。
 勿論、現状は弊社がこちらでの窓口になってはいるが、現地の需要や、相場観、また市場の状況を経験することにより、具体的には、海外図面の解釈や、海外との貿易知識の取得、製品の出荷、売り上げの回収、サービス対応のノウハウをはじめとした取引の基本を学んでもらい(詳細に関しては厳しい面も沢山あるが…)、海外進出の仕切りを下げ、自信をつけてもらう事によって、ここをステップにドンドン独立して個別に海外に乗り出す為の最初の拠点にしてもらえればと考えている。

 現在、7社ほど、各分野の有志が参画してくれているが、TEAMに是非加わりたい!興味がある!という本当に志のある企業があれば是非とも参加してもらいたい(審査、面接等あり)ので、下記宛に参画希望の連絡を頂きたい。

 info@beans-intl.com

*ちなみに、このブログのコメント欄は膨大なSPAMメイルにより、受信しておりませんので上記アドレスにコメントなども頂ければ幸いです。

海外進出に志のある皆さんとのグローバル事業展開と、海外第2創業の実現に向けて共に頑張りたいと思います。









変化が不可欠になる!

ここカリフォルニアでは、3月17日に施行された外出禁止令がようやく徐々にではあるが緩和されつつある。それでもレストランや理容室などは継続して閉鎖を余儀なくされ、工場やオフィスも少しづつ出社がOKになってはいるが、まだまだ稼働率は低いままだ。そんな中でも生活や生業の維持は不可欠であり、それにどう取り組んでいくか?待ったなしの状況が続いている。
 アメリカでは自分がメインで携わっている自動車産業も操業をスタートしたとはいえ、その生産率は前年度の同時期に比べ70~80%という途方もなく大きな減産を余儀なくされており、生産に従事している協力工場やサポートに拘わる関連の町工場などは相当厳しい状況だ。特に製造業の場合、納期があるものやブランケットオーダーによって、現時点では今までの受注残で何とか凌ぐことができてる感があるが、問題はこの先。上半期が終了する6月以降の受注をどのように確保していくか、これが死活問題になってくるだろう。
 このような状況は特に国内需要の落ち込みが著しい日本では、更に深刻な事態となってくるのではないだろうか。NEWSを見ていると日産は国内生産が前年度の同時期に比べ90%減、TOYOTAも大幅な減産を発表するなど目に見えて悪化している。購買層の収入減による需要低迷は火を見るより明らかだ。ではそんな中、どうやって生業を維持し生き延びていくか?そのための方策を真剣に見出していかなければならない。前回のBLOGでも、このあたりのビジネスの可能性について自分の考えをまとめてみたが、その前に今の商習慣や自社のMISSIONやスタイルも含めながら、これからの世の中を考えなければならないと思う。既に「ニューノーマル」という言葉が生まれ、大手も含め新しい働き方改革を進める流れが起きているが、「ものづくり」に携わる製造関連の中小町工場においても、この先を生き延びるためには、

「変化が不可欠になる」

ということだ。自分たちは、これを機会に大きく変わって新しいビジネスを作り上げる!という志を持たなければ、この先の限られた需要の獲得や新規マーケットへの参入は厳しいだろう。

 ちょうど日本で外出や通勤の自粛が始まったころ、報じられていた在宅勤務が不可能な日本の中小町工場を取材したNEWSで
「決済に必要な印鑑を会社から持ち出すことはご法度だ」
「客先からはFAXで注文が来るので、出社して確認が必要…」
 等々、超旧態依然の状況が披露されていたが、まず第一に、こんな因習は全て払拭し変えていかなければならない。
 社内の体制、組織、各職種の役割も全て見直して変化すべきだ。組織で言えば臨機応変の多能工の育成なども重要になってくると思う。人材の確保は大手が採用を控えるなか、難しかった新卒や大手を離れた経験豊富な精鋭を容易に採用できる可能性も増えてくるのではないか?
 営業(といっても、社長が兼任でそんな分掌もない中小町工場は多いかもしれないけど…)も、まず下請けとして口を開けて待っていれば仕事がもらえた時代は終わると考えるべきだ。何度も言うが、これからは限られた需要に世界中から砂糖に群がるアリの如く競合が押し寄せくるであろう状況を前提として、自分たちから仕事を獲りにいくためのマーケテイングと戦略、そして営業業務全般の見直しが必要になる。
 自社の特化した技術やアドバンテージで独立して何ができるのか?どこに食い込めるか? 社内で朝会や改善ミーティングをしているのであれば、結論が出るまで議論すべきだと思うし、競争に勝ち残るために、具体的には今まで3日かかっていた見積もり提出を、AIを採用するなど社内データをベースに2時間で対応する体制を構築するなど細かい部分の改善も検討すべきだ。
 加えて言えば、今まで下請けゆえ甘んじてきた決済の方法も、親元任せで内示制度など正式発注も無い中、信用だけで作業を進めざるをえなかったり、製品が納品されるまで支払い(それも手形で)も無し。そんな状況がどれだけ経営の圧迫要因になってきたかも再考し、自分たちの主張や支払い条件が受け入れてらえるレベルの体制と自信を築くことで、このような因習も払拭できるだけの努力をしてもらいたい。

世界中の誰もが経験したことが無かった新型ウィルスのインパクトにより、我々は時間と生活、自由の犠牲を余儀なくされた。にもかかわらず、収束後は元の生活に戻ってしまったら、今回の犠牲から何も学ばなかったことになる。
 この代償として我々は希望ある未来に向けて変化することが絶対に必要だと考えるべきだ。




来るべき未来の需要を考える

2月ぐらいから懸念はあったものの対岸の火事ぐらいにしか誰もが考えていなかった新型コロナウィルスの猛威は3月に入ってあっという間に世界を激変させてしまった。ここカリフォルニアはアメリカの中でもいち早く3月17日に外出禁止令を施行、学校はもとより不急不要の企業、工場、商店、飲食店は全て閉鎖となり、このブログを書いている段階でちょうど1が月を迎えようとしている。生活に必要とされているビジネスは継続されてるものの、人との接触は厳格に1.8m以上の距離を開けることが義務付けられスーパーなどの出入りも制限。レジでの順番待ちやTV局のインタビューも距離を保って行われている。これだけの制限下でも、このウィルスの猛威を封じ込める事は完全にはできていないのが現状。そして、この外出禁止令によりGOOGLEやAPPLE、FACEBOOKなど大手企業も休業状態。BIG3を中心とした大手に加え日系自動車メーカーのアメリカ製造拠点も一時閉鎖でEV大手のテスラも工場の操業を停止している。当然その生産を支えている協力工場やVENDERも大打撃を被っており、メインで自動車産業向けにビジネスを行っている自分の会社も開店休業状態だ…。
 
 考えるに、このように国内が閉鎖され、国交間の交流がなくなり鎖国に近い状態にもかかわらず収束が明確に見えない状況の中で、一つはっきり言えることは、この状況が落ち着いたとしても、

 「今までと同じ生活は戻ってこない」

という事だ。日本の産業面を考えても大手企業はもとより、そうでなくとも昨年以来「大廃業時代」を迎えると予測されていた中小企業においては、想像をはるかに超えた未曽有の惨事を迎える可能性がある。これは、自分がかかわっている製造業の分野でも然りだ。今まで自動車産業を中心に操業を続けていた中小町工場は産業自身の衰退により大打撃を被るだろう。建築資材や食品製造にかかわっていた企業にも同じ事が言えるかもしれない。現在、行政を中心にその救済で拠出金や補助金などの捻出が急務となっているが、一時的な対策では、そこに依存していく事は不可能で、残念ながら多くの企業が淘汰されてしまう流れは避けられないだろう。そうであれば、これから先はとにかく自分たちで生き残る道を探していくしかない。需要が著しく減少する中で今までのように待っていれば仕事がもらえたという時代は無くなると考えるべきだ。要は:

「自分たちでマーケットを探し自分たちで切り開いていく」

つまり、今までこのブログで何度も何度も訴えているマーケットインをしていかないと生き残る道はないに等しい。

この先、大きく世の中が変わる中、当然その未来の生活に必要となるハードウェアの需要があるはずだ。そこをどん欲にリサーチしマーケットインしていく努力が不可欠になる。今始まったばかりのこの緊迫した状況の中で想像できる未来のライフスタイルを考えると、自分の意見で恐縮だが製造業に関しては少なくともこんな需要があるのではないだろうか。

1. 医療機器
 この需要は間違いなく増大するだろう。今回のように人工呼吸器のような有事の際に必要なものの他にも通常の医療機器で感染者以外に簡易(負担の軽減)で使用できそうな設備は確実に需要が増えると考えられる。併せて接触を避ける意味で医療、介護ロボットの需要も増える。TESLAは今の車載に使用している大型ディスプレイやエアータンクを転用して人工呼吸器の生産を進めている。このような発想で自社の技術をうまく転用した市場開拓はありだ。

2.新薬(治療薬)、ディスポ―ザル資材や衛生関連商品の生産ライン
 感染症に対応する既存の治療薬や新薬、マスクや滅菌服等の消耗品、またサニタリー商品や洗剤などの需要の増大に伴う生産ラインは確実に増える。その生産ラインをにつかさどるシステムや搬送系の部材は需要が見込めるだろう。

3.タッチレス関連資材、システム
  感染を憂慮し、ものに接触することを軽減する資材やシステムは確実に増える。タッチレスセンサーを使用したスイッチやボタン、発熱を感知するサーモセンサーが設置された自動ドアやゲートも一般的になるかもしれない。更に電車のつり革や公共施設、銀行のATMなど手で触れるものに変わるデバイスやガジェットが一般的になると考えられる(既にいくつか製品があるようだけど)。

4.デリバリー用MOBILITYや供給ロボット
 人との接触を避けるためのデリバリーを自動化するための搬送車等、自動運転車の普及が今まで以上に加速すると思う。また、店舗においても商品をサーブする店員の役目をするロボットなどは増える可能性が大きい。

5.物流システムの増大と一般化
 こちらも人との接触を避ける意味でオンラインでの購買が今まで以上に主流となる。そのための仕分けや個人のオーダーをタイムリーに行うための物流システムや搬送ラインなどがAMAZONのような大手のみならず中小のマーケットや卸問屋などにも普及するのではないか。

6.ONLINE学習やテレワークに必要な端末類
 オンライン授業やテレワークが一般化することによって一人に1台のPCや携帯端末が必要不可欠になる。そのための需要増大は間違いない。

7.IN HOUSEのデマンド
 家にいる時間が長くなるので、それに関連する調理機器(パン焼く家庭増えてない?)やミシンなど既存の製品や新たな商品の新規開発などに期待できるかもしれない。また家庭で使用する電力なども増えるので一般家庭向けスマートグリッドの普及が更に進むかもしれない。

 と、簡単にわかる範囲で製造業に寄与しそうな需要を考えてみた。勿論これらが必要な世の中になるか不明だが、この可能性に関連した試作や製品部材は十分見込めるのではと愚考する。

正直なところ、今の現状をどのように乗り切るか?自分の状況も含め、かなり緊迫している中で、このような未来のマーケットを具体的に考える余裕はないかもしれない。ただ今のうちに、できるだけの情報収集を行い、この先に来るべき市場の分析とそこへ食い込むための対策が無ければ淘汰されてしまうという事を、しっかりと肝に銘じてもらえればと思う。

  明治維新と終戦後の何もない状態から2度も製造業を中心に素晴らしい日本を築き上げてきたDNAは間違いなく我々に受け継がれているという事を自分も含め忘れてはならない。




2020年の年頭にあたって

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、新年早々古い話で恐縮だが、自分が若造だった1980年代(もう40年近く前だけど…^^;;)、まず夢は自分の車を持つこと。そして車にはカッコいいカーステレオのコンポーネントを装着する事だった。当時は日本のブランド全盛時代!パイオニアのロンサムカーボーイ、カロッツェリア、富士通テンのBIO、クラリオンのCITY CONNECTIONをはじめALPINE,KENWOOD, SONYやパナソニックもこの分野でしのぎを削っていた。
 ご存知のように、その後カーステレオはカセットテープがCDになり、さらにHDDからMP3を経て現在のプラグインへと大きく変貌し、製品自身もカーナビゲーション主体へと大きく変っていく。自分自身は1990年代の半ばにPANASONIC AUTOMOTIVEの最初の生産ライン(ジョージア州アトランタの郊外、PEACHTREE CITY)の立ち上げに携わったのを皮切りに、日本のメーカー各社がアメリカ(主にメキシコ)での生産をスタートするにあたって、他にアルパイン、クラリオン、富士通テンの生産プロジェクトに参加。今でも各社との付き合いは継続している。

 そのブランド力と品質で世界の自動車メーカーに採用され一世を風靡してきた日本のカーオーディオ(カーナビ)メーカーだが、今はどのような状況になっているかご存じだろうか?実は最近の10年で各社とも悲惨な終焉を迎えている。
 KENWOODは早くも2008年にJVCと統合して単独での上場廃止となり、SONYは2012年に撤退。この業界の雄であったパイオニアは2016年にAUDIO機器のオンキョーへ譲渡のあと会社ごと消滅(2019年に香港投資ファンドの傘下になる)。世界初の車載CDプレーヤーを開発した富士通テンはDNESOに吸収されDENSOテンになり、ALPINEもアルプス電気の完全子会社となり上場廃止。そしてクラリオンは昨年フランスの自動車部品大手のフォルシアに売却され、その幕を閉じた。現在、唯一単独で生産を続けているのは自分の知る限りPANASONIC AUTOMOTIVEのみだ。

確かにカーステレオからカーナビまでは順調だった。ただ、今の世の中、車に搭載された旧態依然のカーナビを利用している人がどれほどいるだろうか?その機能の殆どがスマートフォンで事足りているのは自分だけではないだろう。
 現在では、その役割と言えば車の「センターコンソール」(以下センターコンソール)として、オーディオのみならず車に搭載された機器の制御やコントロールパネル、自己診断機能のモニター等多彩な機能を持つようになってはいるが、大型の液晶パネルにコントロール用の実装基板があれば事足りてしまう。このような変遷によって、ヘッドやローディング用のメカ、ボリューム等のスイッチなどのハードウェアは不要になり、これらの成型品や加工部品などを製作していた中小町工場もその需要を失ってしまった。

要は、

 どんなに名を馳せた有名企業、一世を風靡した製品でも時代の流れとトレンドをしっかり見据えていないと、あっという間に葬られてしまう。

という事だ。

 そして現在、センターコンソールでは何とか世界有数の生産量を維持しているPANASONICにも新たな試練が待ち受けている。

 韓国の最王手SAMSUNG、いままで部品以外では自動車産業と繋がりが浅かった同社は2017年に車載オーディオも手掛けていたアメリカの大手AUDIOメーカーのHARMAN KARDONを7000億円で買収。GALAXYを持つ同社としては、その戦略として新たなCASE時代に向けて、センターコンソールを中心としてスマートフォンと同様のサブスクリプションモデルの実現を進めている。彼らにとってセンターコンソールは単なる箱(ハードウェア)であり、ここに提供したり習得する情報でマネタイズをする目論見だ。そうなるとPANASONICをはじめセンターコンソールというハードウェア販売でビジネスを構築しているメーカーにとって、日本の携帯電話製造メーカがあっという間に終息してしまったのと同じ末路をたどる可能性があるのだ。
加えて、このブログにも何度も書いているが、将来的には車載部品のみならず自動車自身でもこのサブスクリプションモデルが主流になる可能性があることを決して忘れてはならない。

 さて、わずかここ10年で大幅な変貌を遂げたカーオーディオ市場をみても、デジタル化の流れで今の世の中がどれほど早いスピード動いているかを理解することができる。そしてこの流れな間違いなく加速していくはずだ。しかしながら日本は今年東京オリンピックの本番があり、その準備で景気が盛り上がっていた過去数年間、特に自動車産業に於ける現在の競争激化の世界的な流れから少し距離を置いてしまった感がある。

 1964年、最初の東京オリンピックの際、その国家的事業の実現に向けて新幹線や首都高速などのインフラ整備を中心とした公共事業が牽引し日本は一挙に好景気となり、国民すべての生活水準も飛躍的に向上したことは事実だが、オリンピックが終わった後、一挙に不況のどん底に転落してしまったことはあまり語られていない。
 作家の遠藤周作先生はその当時の状況を「東京さんよ、これから何をたよりに生きていくつもりかい?」と自身のエッセイに書き残しているが、今回のオリンピック終了後は、絶対にこのような状況になってしまってはならない(勿論、その後1970年の大阪万博に向けて日本は復活。今回も2025年の万博に向けてという期待はあるが…)。

 特に大廃業時代の到来がささやかれる製造業や、これから新規事業の展開を計画しているスターㇳアップ企業の皆さんにおいてもオリンピック終了後が間違いなく重要なターニングポイントになる。

 「オリンピック」をリセットし気持ちを新たに今からグローバルに目を向けて自分たちの立場や状況を理解し5年10年先の計画を真剣に考える。

今まで自分自身少し余裕をもって、同じような提言を何度もしてきたが、実際の開催となる2020年、もう後はない。
 そこで自分は勿論、皆さんにも是非、この言葉を今年の抱負の一つに加えてもらいたいと思う。





 

EVでも世界を獲れるはずだ!

 2週間前(11月30日時点)にTESLAの新しい車種であるCYBER TRUCKが発表された。どう見ても車のイメージを超越した近未来的な月面装甲車的デザイン。走行距離も一回の充電で約400㎞。0-100mの加速は6.9秒とポルシェのマカンやパナメーラのディ‐ゼル車並み。価格は39,000~70,000ドル弱と割高感はあるものの意標を突いたデザインにイーロンマスク自身による派手なパフォーマンスで予約が殺到。その数はわずか3日間で20万件になったという。2018年度のTOYOTAプリウスの総販売台数が12万台弱なので、その2倍近い台数をあっという間に確保できたことになる。自分の記憶が確かであればTESLAが廉価版のモデル3を発表した2016年、その予約総数が40万台を超えたというNEWSが巷を席巻していた。その前年の同じくプリウスの総販売台数が20万台だったので(今よりだいぶ売れていた…T_T )、その時も、瞬く間にTESLAのEVは当時、燃費のパフォーマンスで群を抜いていたプリウスの牙城を凌駕していたわけだ。今回も日本の自動車業界にとっては衝撃的なNEWSであったはずなのに、その時タイミングよく日本にいた私は、TVはもとより、新聞、メディアでも、一切TESLAのNEWSは目にする事はなかった。これは日本のメディアの顧客のほとんどが日本の自動車メーカーである事と残念ながら間違いなく深い関係がありそうだ(これはモデル3発表の際も同じだった)。

 そんなメディアの状況が日本の自動車産業の牙城に切り込む訪米と新興国の勢いをウヤムヤにしてしまっている感がぬぐえないが、そのTESLAの廉価版モデル3が発売された2016年頃から世界の自動車業界は一挙にEV化に向けての舵を切っている。ヨーロッパの各国が2030年までにガソリン自動車の販売を全廃する方針を打ち出したことによって、VWは2025年までに50車種のEVを発売することを表明。アメリカではFORDが2020年中に数車種の発表を表明。既にVOLTで市場を開拓しているGMは2023年までに23車種。高級車の雄であるポルシェも最近自前の量産EV「タイカン」を中国広州のモーターショウで発表。それぞれがEV市場の覇権を狙うべく動きを進めている。
 さて、自動車業界の雄であったはずの日本勢はどうなのだろうか?唯一TOYOTAが同じ広州のモーターショウでEVの市場投入を明確化し2023年あたりを目標に10車種の投入を計画している発表があったが、現状車種においては日産のリーフ、三菱のiMIEVのみが販売されているにとどまり値段も残念ながら著しく高い。自分が住んでいるシリコンバレーで、テスラのみならずVWのEゴルフやBMWのi3、GMのボルトをはじめ夥しい数のEVを日常目の当たりにしていると日本勢の存在感のなさに残念ながら意気消沈の思いだ。

 確かに日本においては現在自動車関係に従事している就業人口が200万人以上で、殆どがガソリン自動車の生産に携わっているという現状故、そのインフラを反故にすることは叶わないという状況はあるだろう。しかしながらこの先CASE(新しい自動車産業のキーワード)のうち、AとEは電気自動車が前提、その市場を狙う既存のメーカーに収まらない中国のBYDやBYTONをはじめとした数十社になるという新興自動車メーカーの脅威に対して、明確な政策や方針、そしてインフラを確保していくというアクションは急務どころか即実行に移すべきではないかと考える。特に大きく車自身の構造が変わる中で現状TIER1,TIER2に部材などを供給している中小町工場においては死活問題ではないかと思う。
 ただ、このブログで何時も叫んでいるが(笑)、そんな状況の中で自分は以前より、この流れを新しい事業展開の大きなチャンスと捉え、新たな発展につなげることができるのではないか?と常に思っている。残念ながら、そのための解は自分にも具体的に教示できないけれど、実はそんな解をみつけられるDNAは既に日本の皆さんが持っているのではないか?と最近NHKの「歴史秘話ヒストリア」で放送された日本の電気自動車TAMAの逸話をみて確信した(ご覧になった方も多いかと思います)。

 終戦直後の1945年12月、戦前には十数社あったといわれる飛行機の製造メーカーの雄であった立川飛行機によって始まった新規自動車開発。当時統制されていたガソリンの代わりとして入手に制約のなかった電気を駆動部に採用した開発が始まり、1946年に、その責任者であった外山保を代表として「東京電気自動車株式会社」が設立された。ここで最初に開発され1947年に発表された電気自動車が「TAMA」だ。
 
 従業員の殆どが当時ゼロ戦をはじめとした世界最高峰だった日本の飛行機の設計に携わっていたエンジニア達。このTAMA(会社が府中で多摩地区にあったことで命名)もその技術力を踏襲、空力学的に抵抗の少ないボディ設計や消費を抑えるためにバッテリーやモーターを低重心で車体の中心に置く設計など飛行機の開発に必要なアイデアがちりばめられていたそうだ。TAMAは性能的にも当時の自動車より秀で売れ行きも上々で販売当初1948年の自動車の総生産台数の3分の1を占めていたという(ちなみに当時は他の日系自動車メーカーもガソリン統制の状況からEVを作っていた)。
 しかしながら1950年の朝鮮戦争の影響によりバッテリーの主材料である鉛(弾丸に使用されるため)の価格が高騰。既に統制が解かれたガソリン車への移行を余儀なくされ、総生産台数1099台わずか5年での撤退となる。外山を中心としたエンジニア達は、その後ガソリン車の開発に挑み、ゼロ戦のエンジンを開発した中島飛行機の後継である富士精密工業と協業し、最新鋭の乗用車で御用車にもなった「プリンス」を開発。1954年に社名がプリンス自動車になり、名車スカイラインの開発をはじめ日本のモータリゼーションの黎明期を築いた。そのプリンスがデザインした日本最高峰のレーシングカーR380が日本グランプリでポルシェと互角に渡り合った逸話は有名。その後1966年に同社は日産の傘下となる。

 そんな歴史のある日本の自動車産業に埋め込まれている電気自動車のDNAは、まさに今再び開花する時期にきているのではないか?そんな思いが自分には鮮明だ。多少、出遅れの感はあるが是非とも挽回して世界を獲ってほしい!