盛田昭夫会長の教え

 今から30年前の1989年7月1日に公開されたSONYの盛田会長のWALKMANに関する社内向けビデオ(動画)が、その長い時を経て先月の7月1日にNIKKEIのサイトからリリースされたことを知り、早速拝観した(是非リンクを観てください)。 このビデオは1979年の発売以来10年間で5000万台を売り上げ大ヒット商品となった同製品の誕生秘話(録音機能を付ける付けないで揉めた話等)や、その極めて和製英語なネーミングでイギリス、アメリカでは全く受け入れられなかったものが何と英語圏以外で瞬く間に浸透し最終的にはイギリスの権威あるオックスフォードの辞書に掲載された逸話など本製品のエピソードで構成され同氏のウィットに富んだ話しぶりも交えて非常に示唆のある内容だった。
 その13分弱のビデオの後半で盛田会長が「この製品を構成するプレーヤーとヘッドホンは、それぞれ既存の製品で、それを音楽を常に聴きたいという市場のニーズに合わせて改造したものだ。大きな発明、発見ではなく、製品の組み合わせで新たな産業をつくることができた。そこに大きな意味がある」と語っていた。本人は、それを

「プロダクトプランニング」

と表現していたが、今風に言えばまさに「マーケットイン」の発想だ。今から40年も前に、そのコンセプトを駆使して世界に浸透する素晴らしい商品を作り上げた同氏の先見性とビジネス手腕は、今のIT大手のFOUNDERに引けを取らない偉大なものだと思う。

 そのWALKMANの誕生から28年後の2007年に、APPLEのスティーブジョブズは既存の製品と技術に新しいテクノロジーのインフラを盛り込んだI-PHONEをリリースして一世を風靡した。既にSONYのCLIEやSHARPのザウルス、PALMのPDAが存在していたのに、盛田会長を唯一尊敬していたといわれているSTEVE率いるAPPLEがそれらをインテグレートして製品化したことに、盛田会長が提唱したプロダクトプランニングのコンセプトがあったのでは?と自分は思うのだ。
 
 このように考えると、既存の技術や製品をMODIFYすることによってマーケットインできれば、まだまだビジネスの可能性は山のようにあるはずだ。新規のスタートアップ企業が何もない0の状態から1を作り出すより、既に1となる既存の技術や商品をプランニングできれば、その可能性は10どころか100になるかもしれない。

 さて、自分の分野である中小町工場の今ある状況においても、まさに同じ可能性があると考えている。既に職人技の精度技術や、その中から培われてきた製品などは市場の需要をしっかりと把握し、うまくマーケットインすることができれば、何十倍、何百倍になる可能性があるという事だ。

 先般テレビ東京の「ガイアの夜明け」で紹介されたDG TAKANOは、先代が培ってきた業務用ガスコックに使用される1000分の2ミリという超高精度の職人技を、節水ノズルに応用して製品化し今大成功を収めている。この例に漏れずまだまだポテンシャルのある無数の技術や製品は世の中に沢山あるだろう。
 勿論、それをマーケットインさせるためには、市場や世の中の需要をしっかりと把握し、解析する能力は必要だが、このあたりを意識すれば新しいビジネスへ大きく開ける可能性は十分にあると考えたい。
 もし将来を考えて新たな道に挑む気概があるのなら是非とも、そんな目線で自分たちの技術や製品を考えてもらいたいと思うのだ。
 
盛田会長のビデオからそんな事を考えました。日本の偉大なアントレプレナーに最大の敬意を表します。






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