国内に限定する状況を憂う

本業であるプロジェクトベースの資材調達ではアメリカに進出した日系メーカーの製造プロセスに使用、もしくは関係する商材を日本中のベンダーから調達している。勿論アメリカへ既に代理店や進出をしている企業のものもあれば中小メーカーの品々も多い。それぞれ日本に於いて既に実績のある、もしくは使い勝手がよくアメリカでは同等品が手に入らないものが殆どだ。そのような依頼を見ていると如何に日本の製品が優れているか、特に製造プロセスに関して言うと綺羅星のようなアイデアや工夫でアメリカの感覚では「なかなか考えられないだろうな」的な商品も数多い。例えばミツトヨに代表される測定器や、耐久性や精度を要求される圧力計などの計器類、また、ちょっとした用途で使用する工具や老舗のタキゲンが得意とする蝶番やファスナー類なども本当に優れモノが多い。これらは既に知名度を得ていたり既に進出を果たしているメーカーのみならず、中小町工場の持つ商品でも同じ事が言える。そんな数々の商材の調達で、都度指定されたメーカーにコンタクトを取っているのだが…

「弊社の商品は海外への販売はしません」
「弊社は海外との直取引はしません」

という会社が実に多いのだ!!!勿論「国内の商社を通してくれ」という会社もあるが、それらを含めると正直なところ、大体8割ぐらいがそんな感じ…。

確かに、お金の回収や製品の出荷、サービス対応の問題など海外との取引にかかわるリスクは考えられなくもない。加えて少ない需要に対して海外との取引の為に特別な人員の配置や分掌も必要になるかもしれない(間違いなくこのあたりがその理由だろう)。もしくは日本国内で十分に売り上げも確保できているので、あえて海外に販売をする必要も無いのかもしれない。

しかしながら製品が海外でも販売できるというのは、ものすごいチャンスとなる可能性がある。もしかしたら新しい海外における需要、そして国内の何倍もの売り上げにつながるかもしれないのだが、このような商機に対応ができない企業が多いのは本当に残念な気がする。
ちなみに自分は消耗品などを中心に同じような引き合いを韓国や台湾などの企業に出すことがあるのだが、彼らの場合、殆どの場合一つ返事でOKがくる。海外への展開に関しても積極的で、しっかりそのような体制づくりもできているのであろう。このあたりの状況が日本を除くアジア勢の好況にもつながっているような気がする。

私が元務めていた会社は神奈川県の町工場だ。そこのオリジナル商品がヒットし海外からの引き合いが増えてきた。勿論、最初は海外の販売など毛頭考えていなかったのだが、そこに商機を見出し最初は日本の大手商社と契約して海外販売の基本を勉強した。需要が増えてきたところで、アジアを中心に独自の支店設立を展開し業績を伸ばしてきた。その会社の先鋒として私自身もアメリカに赴任。90年代は市場開拓に奔走。勿論、会社の業績を伸ばすことが目的だったが自身の経験やアメリカでの組織運営など本当に勉強になった。これは会社にとっても貴重な財産になったと思う。それだけでなく製品自身も海外の需要に応えながらローカライズし遠隔地でのサービスを考慮した結果、品質や性能も向上した。この蓄積が新たにグローバル企業としての成功にもつながったのだと思う。

勿論、上記に挙げた理由のように各社それぞれの言い分はあるだろう。また海外企業や顧客との取引は当然色々なリスクが伴う事も事実だ。しかしながら最初は商社や代理店を経由しながらでも少しづつ実績を増やしていけば、自社製品の海外における位置づけも把握できるし、海外事業展開への可能性も見いだせるはずだ。サービス面での対応や出荷費用の問題など、新たに発生する事も多いと思うし実際には難しい局面もあるかもしれない。でもやってみなければ分からないし駄目であれば諦めればよい。
今ではJETROをはじめとして海外事業展開をしっかりサポートしてくれる機関も多いので、そのようなところを利用してみるのも一案だろう。
市場はやはり自ら獲りに行くのが原則、先ず「引き合いが来たら、とりあえず海外への販売をスタートしてみる」。という意識をぜひ持ってほしいと思うのだ。

かつてSONYは、1960年代にトランジスターラジオを武器にアメリカ市場に乗り出して成功をおさめ今の礎をつくった。HONDAも世界に進出すべくヨーロッパの著名なオートバイのレースに参戦。アメリカでは低燃費のCVCCエンジンで厳しい規制をクリアして市場参入し今の日本車の地位を確立した。
勿論、大企業のチャレンジに倣えとは言わないが、もしかしたら、このように大成功を収める可能性のある商品やサービスもあるかもしれない。是非ともリスクを恐れず海外に飛び出す志を持ってほしいと思うのだ。

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