Archive for 02/25/2014

作品を製品にするアセットで世界から再び仕事が獲れないか?

GOOGLEによる3,200億円という途方もない金額によるスマート火災報知器とサーモスタットのNEST買収のニュースは、このブログでもたびたび取り上げているが一昨年あたりから盛り上がってきたメーカーズブームに一挙に油を注いだようだ。今では本当にありとあらゆる分野、市場でハードウェアーのスタートアップが増殖中。これはアメリカに限らず、イギリスやアジアにおいても顕著である。確かに3Dプリンターや開発ツールが気軽に利用でき、そこで製作したプロトタイプによってクラウドファンディングで資金集め、という流れはもはや完全に主流になってきているし、加えてこれらのアイデアをさらに昇華させて、製品の量産化から箱詰め出荷までをも含めたトータルなサービスを供給するところまで出始めている。
しかしながらせっかく優れたプロトタイプを作り、クラウドファンディングによって資金を調達しても、それを実際の製品化する際にアッという間に使い果たしてしまい現実には日の目を見ることがないままに終わってしまうという例も昨今はだいぶ出始めているようだ。 製造とは、各人がアイデアによって作り上げたプロトタイプ(作品)をいかに製品にするかという事。言い換えれば趣味で作って10万円かかった作品を、一般に広く売れるように一個1万円の製品に作り上げていくためのプロセスのことだ。ここが実は非常に難しい。ただ単に作ればいいというものではなく、同じものが寸分の狂いもなく出来上がるための行程の管理や、どうやったら歩留まりを向上させて最小限の費用で製品を作るかという製造技術、生産技術、加えて製品がきちんと機能するための品質管理というプロセスも不可欠になってくるわけで、当然、想定外の金もかかるし、しっかりした管理体制も不可欠になってくる。このあたりが果たしてアイデアで資金を集めた彼らハード系のスタートアップがしっかりマネジメントしていくことができるのか?つまりモノづくりの経験のない中で対応が可能かというと、ここが一番難しいポイントであるという事が容易に想像できる。

 家電で世界を席巻していた70~90年代の日系大手の家電メーカーは、ご存じのように、この製造技術の天才集団だった。優れたものを量産するための人事体制の構築、そのプロセスに必要なファクトリーオートメーションの機械を独自に開発し、3Sやカンバン方式といった歩留まり軽減のための教育やシステムの確立。世界中の大手メーカーがその方式を取り入れ、台湾韓国のメーカーはその生産技術と管理体制に追いつくのに必死だった。かつてこのブログでも書いたことがあるが、量産工程を海外に移管し、自らの製造をほとんど辞めてしまった日本勢は、韓国台湾の列強の前に倒れ今は完全に立場を失ってはいるが少なくとも、これらの大量生産時代に優れた製造技術や品質管理、を支えてきたのは彼らと共に頑張ってきた中小町工場だったと思う。そして彼らには、これらの大企業を下支えしてきたものすごい量の「経験という本当に素晴らしいアセットが眠っている」とシリコンバレーでハード系のスタートアップで奮闘しているWHILLの水島君が話していた。彼らはマーケットをアメリカにフォーカスし営業拠点をこちらに設けているが製品の開発は全て日本。その理由は「お願いしたものを、確実に短時間で時間で作り上げる」これら中小町工場の存在があるからだという。
 自分もその通りだと思う。彼らの持つ経験のみならず、「この部分をこう曲げたら強度は倍になる」「このアングルをさらに大きくすればスペースをさらに縮小できる」といった技術的なノウハウ、そして親元(大手企業)からの徹底したコストダウンの要求に対応するための生産技術や品質管理能力など本当に素晴らしいアセットの宝庫だと思う。
 

このアセット、何とか、彼ら新興のハード系スタートアップにうまくコラボレーションできないだろうか?実はしたたかな中国台湾系の企業(特にEMSメーカー)は、このあたりの需要を見越して、こちらに会社を作り、クラウドファンディングで資金を集めているスタートアップにダイレクトに営業を仕掛けているようだ。さすが商売に抜け目のない連中。その速さがまさに今の市場の流れにマッチしている気がする。でも今からでも全く遅くはない。日本の中小町工場も昨今少なからず、組合やグループを作ったり商工会議所で集まったりして、横の連携を強めていると思う。是非その中でうまく作品を製品に仕上げられるチームを作って日本だけではなく世界に営業を展開してみてはどうかと思う。

特に日本として狙うべきところは”試作”の部分だ。単的に言ってしまえば試作とは何度もキャッチアンドトライが必要なプロセスであって、ここに金がかかる。この部分を経験という膨大なアセットでカバーし、最短で最高の製品に仕上げるというのが売りだ。今でも日本の中小町工場では、この”試作”という市場に依存しているところが多いと思う。つまりこの工程においては現役のプロフェッショナルがたくさんいるはずだ。 現状は個々がそれぞれ部品レベルで部材を作っているのが基本だと思うので、これを板金、成形、基板実装、など各分野のプロが集まりコーディネートして一つの製品に仕上げるチームがつくれれれば最高だ。量産は極端な話、コンスーマー商品の宿命上、価格競争に巻き込まれるだけなので、最初から潔くアジアの量産工場に任せればよい(そこが上述の台湾、韓国のメーカーの狙いどころだと思う)。いかに効率よく量産が可能になる製品を試作の段階で完成させられるかは、間違いなく大いにPRできるし、加えて、それが量産化になった時の品質管理を含めたアドバイズまでカバーできれば立派なビジネスになると思う。

実はこのような動きは既に大阪府をはじめ東京の墨田区などで始まっている。できれば全国的なアクションとして、各都道府県別に産業のカテゴリーで特徴を出すなど十分に盛り上がれる可能性もあると考えられる。そして行政も巻き込んでの資金投下が可能になれば、この莫大なアセットで”試作立国”として再び世界の潮流を日本へ取り戻すことも可能なように思えてならない。

今すぐアクションプランを考えてみてはどうだろうか?

 

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