製造業にとっては千載一遇のチャンスが来ている!

2015年も12月、今年も本当にあっという間に終わろうとしている。これは多分に歳のせいであることは否めないが、自分的には今まで以上にシリコンバレーが大きな流れに向かって胎動を始めた事が気になりすぎて、その流れに乗ってしまったことが更に拍車をかけてしまったように思える。

その大きな流れとは、一つ前のBLOGに書いた自動車産業の大変革に向かうシリコンバレーの動きだ。既に快進撃を続けているTESLAはもとより、自動運転車の運航を早ければ来年にはスタートさせてしまうそうな勢いのGOOGLE。アップルも2019年にはきっと世の中があっと驚くようなEVを発表するであろうことは容易に想像できる。そしてユニーコーン企業の雄、というか同じ動物系で例えれば、この業界ではきっと間違いなくDARK HORSE的存在であるUBERが手掛ける(と噂されている)自動運転車も間違いなく早ければ2020年までにはその全貌が明らかになるであろう。
当然、前回のブログにも触れたが、この一大革命で一攫千金を狙う半導体やセンサー系の部品メーカー、電池/モーターといった基幹部品、軽量化に特化した部材や素材メーカー、そして、これらの運用のコアとなる通信ネットワークへの参入を狙う世界中の通信機器メーカーなどが、続々とシリコンバレーに集結(地場の会社がもちろん一番多いけど…)、それらが入り乱れてのインターネットバブル黎明期のような”ざわめき感”を体感しているのは、きっと私だけではあるまい。

ただ残念ながら、本来であれば一番アドバンテージがあるはずの日系自動車メーカーやTIER1,TIER2の各メーカーの存在はあまりにも薄いのが現状だ。もしかしたらその背景には今絶好調の自動車販売に伴う製造に翻弄され、まったく余裕がない状況があることも、特に協力各社に関して言えば十分に考えることができる。しかし、TOYOTA、HONDA,MAZDA,といった大手各社(NISSANだけは地に足がついた活動をこの地でしています)もアクション的には、どうも既に3テンポぐらい遅れているような感じが否めない。車に特化したわけではないと思うがTOYOTAがこの地にAI関係のLABを作るというニュースにしても、既に出遅れ感がなんとなく付きまとってしまうのだ。
そういう状況からすると大手の動きに呼応していては、もしかしたらTIER1,TIER2といった系列各社も新しい時代の自動車産業への展開は手遅れになってしまう可能性は大だ。勿論、彼らは新規自動車メーカーに対しての部品供給という形で後からでも販路を構築することができるかもしれない。しかしながらエンジンやミッション、車軸といった基幹製品が不要のEV市場に対しては、それらに携わっていた企業の大半は犠牲にならざるを得ない状況がある。加えて考慮すべきは韓国、中国、インドといった新興勢力の参入だ。彼らはガソリン自動車製造のインフラという手枷、足枷がない分、容易に市場参入ができる可能性が十分にある。勿論、品質や性能においては日本のメーカーのほうが圧倒的に経験値も豊富であるが、移動体(車)というハードで儲ける構図が変わってくれば、まさにコストパフォーマンスがクローズアップされてしまうという可能性も大きいのだ。

 でも、実は、よ~く考えてみると何とも凄い状況ではないか?何せ、テスラも含めれば、新しく自動車を製造しようとしている企業が、このシリコンバレーの中に4社もあるのだ。

テスラは別にしても、少なくとも何兆円もの純資産を持ったGOODLEやAPPLE、そしてUBER(評価額だけど…)が、新規の製造ラインを独自で立ち上げて自動車を生産することは、人員の確保さえできれば何ら問題もなくできてしまうのは容易に想像できる。そして、当然これらの新規参入各社は、それぞれの車を開発、デザインして製造するわけで、そこで使用されるであろう数々の部品や装備は、今まで50年以上にわたり日本が培ってきた自動車生産の中ではぐぐまれてきた逸品をもってすれば、もちろんEVとガソリン自動車という大きな違いがあるとはいえ、売り込める機会は、いくらでもあるのではないかと思うのだ。
こんな市場は、きっとこの先どこを探しても出てこないだろう。くどいようだが膨大な試作、製造のインフラばかりではなく、素材や部材供給等で日本がイニシアティブをとっていけるチャンスが山ほどあるはずだ。

まさに千載一遇だ!皆さんはどう思われるだろうか?

ただ先にも挙げたように日本の自動車産業は空前の好景気。私の顧客は、殆どが自動車産業に携わっていて、年末年始の休みすら返上しなければならない状況に皆、テンパっている感がある。。。その中で新規の市場開発や研究開発に時間を割くことは到底無理といった感じだ。。。う~ん…。

実はそんな憂慮すべき状況の中、嬉しいニュースが飛び込んできた!JETROが主催しているイノベーションプログラムの参加企業で、9月にシリコンバレー来てアドバイザーとして話をさせていただいた群馬の共和産業が本格的にアメリカ進出を決定してくれたのだ。
2代目の女性社長、鈴木さんの情熱と高い志にも本当に素晴らしいものがある!
9月の訪米のあと10月にはデトロイトで開催されたエンジンショーに出展。具体的な引き合いもあり、かなり良い感触を得たとの事。そして、今回は年の瀬だというのに、その案件のフォローで再び来米し、自ら車を運転し中西部を1000㎞走破して客先を訪問、帰り際にシリコンバレーにも立ち寄りT社にも具体的な案件で営業をかけるという凄い行動力!そんな鈴木さんとランチを共にし夢の実現を熱く語る姿に、今まで口ばかりで物見遊山的な感覚しかない中小町工場のオーナーたちばかり見てきたこともあり、かなり感動してしまった。 長年、日系自動車メーカーのエンジン部品の製造を手掛け、中でも歴代のHONDAのF1エンジン製造を担当してきた同社の実力と経験があれば、勿論エンジン不要のEV用部品とは大きな違いはあるが、培われた技術力は十分応用が可能、あとはいかにコストを抑えマーケットインを実現するかで物凄いポテンシャルがあるはずだ!

かなりくどいようだが、もう一度言おう。新しい自動車メーカーが短期間に4社も立ち上がろうとしているエリアは、後にも先にも、このシリコンバレーにしかない。そこには膨大な試作から始まるハードウェアの需要がある。そして共和産業のように、情熱と行動力、そしてマーケティング力があれば、系列や口座の有無とは関係なく彼ら新興メーカーは、日本の中小町工場でも、その実績を評価し十分受け入れてくれるはずだ。まさに千載一遇のチャンス!この状況を少しでも意識して、来年は真剣にシリコンバレーに乗り込んでくる中小企業が一社でも増えてくれることに期待したい!

 

講演会のお知らせ!

僭越ですが、11月24日にシリコンバレー、パロアルトにて、このブログと同名の「シリコンバレーでものづくりを考える」をテーマにした講演会を行うことになりました。主催は自分が2002年より携わっているNPOのSVJEN(シリコンバレージャパニーズアントレプレナーネットワーク)になります。
今まで13年にわたり会の運営をしてきましたが、自らは初めての登壇になります。
日本の製造業の行く末を現時点のシリコンバレーで炸裂しているEVと自動運転車による大改革の中でどう考えたらいいのか?このあたりについてできれば活発な議論の中で考えていければと思います。詳細はこちらから!

https://www.eventbrite.com/e/svjen-tickets-19320058816

シリコンバレー在住の方はどうぞ奮ってご参加ください。日本の将来を是非一緒に考えましょう!

EV=スマホという時代が来る!

先週、公開されたTESLAの新しい電気自動車(以下EV)のMODEL X。正直このインパクトはかなり衝撃的だった。従来の機能に加え少し禿げあがったオヤジを髣髴させるフロンントガラス(該当の方、失礼…)。大振りになったCRTプラットフォームディスプレイ、そして最大の特徴であるファルコンウェイング(これはデザイン性はもとより、雨の日でも傘の開閉に苦労せず、年寄でも簡単に昇降できるメリットが採用の要因との事…)。まさしく現在の自動車のデザインからさらに近未来に近づいたイメージが打ち出されていた。
発表に伴う記者会見の中でCEOであるイーロンマスクは「3年以内に一回の充電で600MILE(960km)走る電池の開発を実現する!」と豪語していた。もしこれが実現すれば正直かなりの脅威だ。現時点でモデルXの希望小売価格は基本的なオプションを入れれば、13万ドル(日本円で約1500万円)という事で、正直あまり庶民には縁が無いのだが、2017年に発表されるTESLAの新しい廉価版モデルは、価格が35,000ドル(日本円で約400万円強)で実質の走行距離が300MILE(約480km)という…。
これが実際に発売されるとEVの需要が急激に高まり、 化石燃料車の需要は急激に低下という流れは火を見るより明らかな気さえする。CDが世の中に出た時にあっという間にレコードが駆逐された状況とまではいかないが5年ぐらいのスパンで形勢は一挙に逆転してしまいそうな感じが否めない。

なぜならEVの普及は、ただ単に車が電気で走るようになるという事ではないからだ。

この先、EVは有人、無人にかかわらず、それぞれがIDを持ち通信ネットワークでつながって各種アプリで安全性の確認から、移動先の情報収集はもとより、音楽、環境、ネットワークなど全てを網羅し、加えて個人のデータ履歴を含めた膨大な情報のプラットホームになる。

これって極論すればスマートフォーンと一緒!??

遅ればせながら初めてTESLAのモデルSに乗せていただいたのだが、暗闇でいきなり浮かび上がったディスプレイはまさに巨大なスマホにみえた@@!

CDの例と同じようにAPPLEがI-phoneを世に出してわずか数年でガラケーが駆逐された状況がまさにここでも起ころうとしているのだ。
それを体感できる状況が今のシリコンバレーである。FACEBOOKが出現した後、IT業界では、このような大きく飛躍する産業が新規で生まれてくることはないのではないか?という雰囲気が一般的だ。勿論、IOT,VR,DEEP LEARNINGといった今のキーワードでもあるような分野の隆盛は見込めるものの、一大産業になるとは考えにくい。
そんな中で考えられるのが既存の産業や形体の破壊と新規創造だ。UBERが世界的に注目され、数千億円の資金を調達しているのは、まさに物流の概念を根底からひっくり返し、さらに産業を大きく想像できるインパクトがあるからだ。
電気自動車の分野もまったく同じ状況。今まで100年以上、ガソリンという燃料で普遍的に動いていた乗り物が、ここへきて一挙に電気駆動の通信移動体に変わろうとしている。産業そのものが大きく変革するのだ。
加えて上記のEV=スマホの考察からすれば、世界のトッププレーヤーが集約しているこの地から新たな大改革が起こっても何ら不思議はない。
その代表であるTESLAはEVとバッテリーという切り口で既に業界をリードしているし、APPLEも当然ながら参入を表明し2019年には最初の製品を出すと発表、データビジネスの雄であるGOOGLEの自動運転車もリリースは時間の問題だ。場所は異なるがイギリスのバージングループも参入を表明している。そしてこの機に乗じようと世界中のあらゆる関連産業の重鎮たちが動き出している。既存の日系以外の自動車メーカーはもとより、ガソリン自動車のインフラを持たない新しい関連分野創出に乗り出してきている中国をはじめとした新興国の企業たち。韓国勢ではSAMSUNGが、ここに1,500人規模のR&Dセンターを設立、LGやインドのTATAグループ、通信ではエリクソンやNOKIAも大規模なオフィスを構え自動運転車も含めたネットワークへの参入を狙っている。当然INTEL, AMD、ALTERA,NVIDIAをはじめとした半導体メーカーも物凄い勢いで車載デバイスの開発に力を入れている。 さらにこれらの新しいテクノロジー、特にコアになるバッテリー関連のスタートアップは、シリコンバレー界隈には100社以上あり(もちろん全てが車載用とは限らないが)。そこに潤沢な資金がITで大もうけした企業から流れ込んでいる。またTESLAが自らの特許を全て公開し、EVの業界を全体として盛り上げようぜ!的なリーダーシップをとっていることも非常に象徴的だ。

いやあ、物凄い状況。。ただ残念なことに、このような盛り上がりが本当の意味で日本に伝わっているかは甚だ疑問だ。仕事柄、こちらの多くの車載電装品関連のお客さんと付き合いがあるのだが、今現在は、どこも車の売れ行き絶好調の状況から、このような変革が起こりつつある事など想像もできないようだ。当然、海を隔てた日本では話題にも上っていないかもしれない…。

ただこの状況は日本にとっては非常に深刻ではないのか??

かつて90年代、自動車電話や携帯電話の業界は移動体通信という分野だったが、今のEVは自動車というカテゴリーから通信移動体になる。、利益を生み出す方法も車というハードを売ってもうけるのではなく、通信費やデータの収集、広告などが主になってくる。そうなると本体も今のスマートホーンのようにタダで配られる可能性があること忘れてはならない…。

そのとき日本勢はどう対応するのか? 水素燃料??世界のトッププレーヤーたちがEVに動いている状況のなかで、残念ながら水素燃料車は間違いなくVIDEOのBETA方式を同じ末路になるだろう。 ここにいると、少なくとも自分はT社のMIRAIに未来があるとは思えないのだ。

繰り返すが、 ガソリン自動車の隆盛で圧倒的な地位を築き、半導体、通信、家電で玉砕してきた日本の唯一の柱である産業が今大きく変わろうとしている。既存の膨大なインフラで、手足に大きな枷をつけられている状態の日本の自動車メーカーが、この怒涛のようなEV産業の流れにどう対処していくのか?

日本の最後の牙城の存在を憂う自分としては、今から意識する必要が絶対にあるのではないかと思っている。 少なくともこれをお読みになった皆さんには、そう考えていただきたい。

 

おコメがあるじゃないか!!

富山県産コシヒカリを使い、北アルプスの天然水で仕上げた「ふんわりごはん」を供給している富山の株式会社ウーケが主幹として手掛ける、米卸大手の神明ホールディングスのアメリカ工場立ち上げのプロジェクトお手伝いをしている。
実はカリフォルニアの州都サクラメントの西側は、カリフォルニア米の一大生産と物流拠点。そこに米の加工で優れた技術を持つ同社が今徐々に浸透しつつある「ライスパティ」で全米制覇を狙い乗り込んできた。
これは最高!地方の企業が独自にアメリカ制覇に向けての進出は本当に素晴らしい。

ライスパティはすでにヨーロッパでは注目されつつあるようだ。表面はサクサク、中は米本来のもちっとした食感を残す加工方法で、サンドイッチのパンの代わりのみならず、パーティ用のクラッカーの代わりや、主食としての用途も出てきており、同じような食生活のアメリカでも必ず需要があると思われる。 コメ自身はもちろん糖質の塊であり、ダイエット志向の強いアメリカにおいては抵抗がある可能性もあることは否めないのだが、最近では小麦に含まれるグルテンが関係するアレルギーの問題やアメリカのセレブたちの間ではやっているグルテンフリーダイエットの影響もあり、コメが再度見直されている風潮は少なからず追い風になることは間違いない。

実は、このようなコメを材料とした商品が続々と登場している。日経新聞によればコメを原材料としたコメ油は揚げ物の仕上がり感をよくするだけでなく、中に含まれる「オレイン酸」が高血圧や動脈硬化の予防に役立つという事で需要が急拡大しているそうだ。またコメを材料にした米粉はグルテンフリーで先に挙げたようなアレルギーやダイエットに効果があるという事で評価が高い。加えてキッコーマンなどが手掛けているライスミルクも植物繊維やビタミンを豊富に含む新たな飲料として注目を集めているらしい。

考えてみれば日本人にとってのコメはまさに食文化の象徴だ。1000年以上前から培われて来たコメの生産とその技術は、コメが民衆にとっての税金とみなされていた太古の時代に品種改良が盛んになる(気候に関係なく安定した収穫が必要だったため)など綿々と受け継がれてきた文化だ。鎌倉時代にはすでに100種類ものコメの品種があったことを考えると、世界の誰も追従できない素晴らしい商品であることは疑いない。

こんな商品を持っての海外進出こそ、もしかしたら、オンリーワンで成功の可能性が高いのではないだろうか? 考えてみれば、世界に浸透しつつある「日本酒」もまさに日本のコメ文化の産物。

加えて日本の世界に類を見ない、コメ以外の多様で豊富な食文化、日本出張でよく思うのは、例えば大阪駅や東京駅、羽田空港で販売されているお土産のお菓子や食品の種類の多さで、世界のほかの国でこれほど多種多様な食品を販売している空港や駅を見たことがない(少なくとも自分が行った事のある国。。。)のだが、これこそ、正にその象徴ではないかと思う。

そんな状況において、古来からの主食である”コメ”にフォーカスした商品でのグローバル化はものすごく可能性があると感じてしまった。最近はTPPの問題等でコメの国内生産や需要確保が叫ばれているが、生産よりも今まで長年の食文化の中で確立されてきたコメの加工技術と商品展開で改めてグローバル化を進めていくのはどうであろうか?煎餅だって、もしかしたら加工や調理方法によっては十分欧米にも売り込めるインパクトはあると思うのだが。。。。 この辺りを是非、中小の食品メーカーや加工業者の皆さん、また行政もせっかくなので”コメ”にフォーカスした企業のグローバル化を推進するプロジェクトを立ち上げる等、ぜひ検討していただきたい。新規技術でのグローバル化より、すでに確立された商品(コメ)と加工技術のローカライゼーションによるグローバル化の方がはるかに可能性が高いという事も十分考慮に値すると考えられる。

今回はシリコンバレーとは少し関係がないが、ウーケのアメリカ進出で新しい可能性を本当に色々考えることができた。 大手の酒造メーカーや菓子メーカーは、既にアメリカに工場を設立し、大規模な生産高を誇るコメや小麦、野菜を使用した商品の生産をはじめているが、今回のように地方の中小企業である同社の大成功がコメに限らず多くの食品の加工技術による中小企業のグローバル化の先鞭となるよう、最大限の応援ができればと思う。

 

 

グローバル化の基礎固めは十分ですか?

最近、日経ビジネスがシリコンバレーの特集号をリリースした。確かに昨今、この地は再び日本企業の進出ブームのようだ。5月の安倍総理の訪問の際に明示された「架け橋プロジェクト」の実現も大きく寄与しているかもしれない。そのような状況もあってか、最近再び日本の行政の皆さんからのグローバル化に関する問い合わせや依頼をいただくようになった。
ある意味、再びこのように海外に目を向けてくれる、それも下流ではなく上流で勝負をしたいという意思が定着してきたことは非常に嬉しいことだし、出来れば、何とか少しでもその成功に寄与できればと思っている。

ただ当然グローバル化といっても、そこにはそれなりの努力と準備が必要であることは、実はあまり理解されていないかもしれない。この前のBLOGで少しふれたように、「グローバル化」に関しては、その言葉が象徴化され先走っているようにも思えるのだ。 こちらに視察や提携目的で管轄内の企業連れて訪問される都道府県や団体の皆さんが、先ず要求してくることは「ビジネスマッチング」。つまりこちらの企業(もしくは見込み客)と訪問する企業とのお見合いなのだけれど、例えば、そのような場を設けて実際にこちらの企業が興味をもち、仕事をお願いした時に、キチンとそれに呼応できる体制があるかという事は本当に重要だ。

”アメリカの基準で記述された図面をきちんと理解できるか?”
”製品の出荷に関し、貿易業務や運賃の設定などなどそれなりに対応ができるか?”
”為替や、お金をしっかり取るためも準備がきちんとできているか?”
”客先からの質疑応答がきちんと英語で対応できるか?”
”仮にクレームや問題が生じた場合、きちんと最後まで対応ができるか?”

等々、最低限ではあるが、これらの対応に問題があれば千載一遇のチャンスを得たとしても、それをCLOSEすることは難しいかもしれない。

だいぶ昔の話になるが、自分が最初にこちらに視察に来た日本の中小町工場のアテンドをさせていただいたのは1997年。長野県の諏訪からの皆さんだった。それぞれ地場で育まれた精密加工技術では優れた会社のオーナー達、確か6社だったと思うが、自分たちの製品サンプルを風呂敷に包んで持参してきたのが印象深い。そんな皆さんを、当時主流だったこちらのEMS会社や、メーカーにお連れした。
その訪問先の一社で、彼らの技術に興味を持った会社があり、「こんな部品を作ってもらえないか?」と言って渡されたのは1枚の3.5”のFDだった…。残念ながら参加した6社のうち当時CADのデータを読める設備のある会社は一社もなく、その話はそれでお終い。高い費用をかけてこちらに来て、これでは話にならない。まあ、この話は20年近く前の話だから参考にもならないかもしれないが、現状は3DのCADが主流の今日、それを読むことが出来ない、では最初からグローバル化は難しいという事を先ず考慮してもらいたいと思うのだ。細かいことを言えば図面の記載のみならず、日本で標準のJIS規格はアメリカでは通用しない。板金加工などで普通に使用されているシャーリング裁断や延圧は直訳でOKかもしれないがアメリカでは図面上でどう表記されているのか? 調質度や仕上げの単位(たとえばT-2とかBとかBRでもこれは日本の表記…)なども表現が異なるので、このあたりの習得なども不可欠だ。このような解釈に時間がかかり見積もりの提出が遅れてしまえば、それだけでチャンスを逃す可能性だったある。なので、マッチングやこちらでのショウへの出展を希望される皆さんには、このあたりがちゃんと対応できるか?もしくは対応する準備はあるか、先ず確認するようにしている。

中には、そのような状況も踏まえ、グローバル化に向けて独自に努力している会社もある。八王子でお手伝いさせていただいたS社は、海外からの引き合いに対応すべく、社内で英会話の教室をスタート。フィリピンの教室とSKYPEによる英語研修を実施すると同時に海外からの人材受け入れに積極的だ。 また茨城にあるN社はグローバル展開の体制構築として、地場の大手メーカーで海外との技術提携に経験豊富なOBを嘱託で採用し海外業務の対応をしている。こういう姿勢は素晴らしいと思う。

大事なのは、「本気でグローバル展開をしよう!」という志があるかが一番重要ではあるのだが、こちらに企業を連れての視察を企画している行政や企業の皆さんも、少なくともグローバル化によって地場産業の10年20年先の展開を考慮するのであれば、単純に海外に企業を連れてきて、マッチング会や展示会への出品を企画するだけでなく、グローバル化の為の基礎固めも並行して検討してほしいという事だ。
簡単な方法としては、地元におられる大企業(やグローバル展開をしている企業)の海外事業部や海外とのやり取りを経験してきたOBの方々をアドバザーとして、海外との取引の基礎固め(技術資料の理解、貿易業務の基礎、為替も含めた決済、クレーム処理の方法等々)をしっかりと行うプログラムの企画と実践だ。
それによってグローバル化の可能性が間違いいなく飛躍するという事を考慮にしていただきたい!

 

異業種交流に新たな可能性を見た!

6月の訪日の際に, 懇意にしている日本ではかなり有名な町工場の代表である浜野製作所が主催する異業種交流の勉強会にお邪魔させていただいた。この勉強会、実はかなり興味深い!参加のメンバーは日本を代表する工業用ロボットメーカーである安川電機、空圧機器のトップメーカーであKOGANEI, そしてIT分野では不動の地位を築いているYAHOOという顔ぶれ。KOGANEIと安川電機は関連があるとは思うけど、YAHOO、それに浜野製作所という組み合わせが、正に異業種(笑)だ。

そもそも、この勉強会のきっかけは、最近では講演活動に引っ張りだこの浜野さんの話や、同社のスタイルを聞いて、正直なところ今は絶好調でも将来的には閉塞感が否めない大企業の面々が同社にお伺いをかけてきたところに端を発しているという@@!失礼な言い方かもしれないが、大手が町工場に教えを乞うという、このスタイルに実はかなり感激した。だって今まで町工場といえば「下請け」という見方がメインで、従属する立場というイメージなのだが、そこに新たな活路を見出すべくお伺いを立てるという姿勢は、非常に勇気のいる事ではないか?と思っていたからだ。あえてそれに踏み切った大企業の皆さんの真摯な姿勢に正直新たな希望のようなものを感じた次第。
勿論、社長即決で物事や方針を決めることがきる町工場とは異なり、大きな組織には長年の業務によって築かれた無駄な決済システムや人事構成など、内部でも変えていかなければならないことは多々あるとは思うのだが、その現状を変えるきっかけとしても、このような勉強会は本当に意義のあるものだと思う。
加えて今回お会いした皆さんは、年齢も若く意欲的だ。KOGANEIでは、社長直轄でMIRAIプロジェクトを立ち上げ、その精鋭の皆さんが参加していたし、YAHOOも既存の事業部に加え、新たにIOTの分野への展開を図るべく構築された組織の皆さんが参加していた。

実は特に最近、事あるごとに疑問に思っている事がある。それは「何の為のグローバル化」か?ということだ。自分は過去5年以上にわたり、日本の中小町工場の皆さんの海外進出のきっかけを作るべく色々な活動してきたのだが、以前もこのBLOGに書いたように本当の意味でグローバル化、つまり自社製品や技術を海外にも売り込みたい!という志のある企業には殆ど出会う事ができなかった。言い方を変えれば、そのような意識や志を持った企業は思った以上に少なく、なにか「グローバル化」という言葉のみが肥大化し、実は、そこに群がる怪しい輩がこの言葉をキーワードに補助金などを、貪っているのではないか? という事だ。
で、考えた事は、別に国内で十分飯が食えたり将来的に目先の5年ではなく10年以上先の市場が見えている中小町工場は、敢えてグローバル化を意識する必要もないのではないか? という事だ。
正直、グローバル化と単純に言っても、ただ製品や技術が優れていればいいのではなく、それに付随した語学力や知識(貿易など)、また海外の技術慣習にある程度精通する必要がある。これは、ある意味、非常に膨大な時間と費用を費やす可能性がある。 極論すれば本当に優れた技術とか体力のある中小町工場にのみ、可能な事のようにも思えるのだ。なので、敢えて「グローバル化」という言葉に踊らされて目先を海外に向ける前に、国内で可能性のあることを先ず意識するほうが、スピーディな展開ができるではないかと考えられる。
今回の異業種交流会は、そういった意味で、今まで接点のなかった(であろう)企業が、浜野製作所というトンガった町工場の元に集まり、新たな事業創生を考えるという事で熱い議論を戦わせているのであるが、実はこれこそ新規事業創生の新しいスタイルではないかと思う。

既にご存じのとおり、ドイツではインダストリー4.0という既存の生産システムをITにつなげてより効率の良い生産体制の構築を目指した運動が始まっているが(残念ながら日本はだいぶこのあたり遅れてるな~)、この流れで考えれば100年企業の安川電機が、IOTという最近のトレンドを盛り込むためにIT業界の雄であるYAHOOと協業することは十分に考えられるし、KOGANEIも自社製品をIOTのネットいワークにつなげることにより、メンテナンスのタイミングを見落とさないシステムの構築や特に自動機系のスタートアップ企業のサポートを早い段階から進める等、まだまだ国内でも市場を創生していく事は十分に可能ではないかと感じた。 また浜野製作所も、それらの需要に応じた気の利いた試作、量産部材の供給とIOTを先取りした新たな町工場のスタイルの指針となる事業展開など、これまた面白いのではないか?

そういう意味で、このような新たな異業種交流会が益々一般的になれば、十分に市場の創生を可能にできるのはないかと考えた。是非盛り上げていただきたい!

メキシコ自動車生産拠点にもっとグローバル化の先鋒を!

シリコンバレーの話題からは少し外れてしまうが、先週はメキシコの中央高原へ出張。メキシコシティから北に4時間ほど上がった標高2000mにあるグアナファト州を中心とした、この高原エリアは今空前の自動車生産ブームに湧き上がっている。当初より進出していたGMやVW,そして日産は既に年間100万台近い生産を同地で行っており、加えて2012年にHONDA,2014年にはMAZDAが本格操業を始めた。また2019年にはTOYOTAの工場設立も決定!これ以外にもAUDIやBMWが15万台規模の生産稼働を予定。韓国勢ではKIA MOTORが既にこの地で30万台規模の生産を始めており、その生産数は2020年にはこのエリアを中心にメキシコ全体で500万台規模になるとみられ世界でも最大級の生産拠点になる。これらの生産を支えるTIER1,TIER2(1次下請け、2次下請けの事。別の言い方では、子請け孫請けになる)の協力メーカーも続々とこの地に進出。昨年までに工場を設立したメーカーは日系だけで200社を超え、今年もさらに100社以上が進出を予定している。当然その為のインフラやサービス業も拡充してきており、どう見ても田舎町の主要道路の周辺には真新しいHOTELがそびえ立ち、TVの日本語放送が見れたり、ご飯に味噌汁といった朝飯をサーブするところもあった(かといって従業員は日本語どころか英語もままならないところが殆ど…^^;;)。

今回は、そのエリアにあるいくつかの工業団地を訪問。本当に日系メーカーを中心とした団地の様子は一瞬「ここはどこ?」と思わせるのに十分だ。 信金中央金庫のレポートによれば2013年までに日本の大手TIER1メーカー既に進出済みで、今後はTIER2,TIER3といった企業の進出が渇望されているようだが、当然、海外での経験不足、言葉の壁、また人材の育成などで難航しているケースが多く、このあたりの改善が不可欠との事。

そのような状況の確認を兼ね、昨年、少し現地調達調査のお手伝いをさせていただいたMAZDAを訪問。同社は昨年の本格操業以来、爆発的に業績を伸ばしており、現在で既に年間25万台の生産台数を誇っている。
以前ご一緒させていただいた担当のMANAGERにその後の調達に関する詳細をお伺いした。
先ずメキシコでは、生産された自動車には部材の現地調達率62%を達成しないと税率の優遇が受けられないというルールがある。その為に現地での調達は非常に急務になっている。
既に大手の協力メーカーはこちらへの進出を果たしており、そのあたりの部材調達は全く問題なくなってきているが、まだまだTIER2、TIER3からの調達は難航を極めており、その多くは日本やアジアからの輸入に頼っているのが現状。特に鍛造、鋳造といった類は設備が大型だったり、生産の特殊性から企業の進出が遅れており、現地の業者も限られているために、各社が競い合ってその確保に尽力しているとの事だった。 この地には日系のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、韓国といったメーカーもあり彼らの協力工場も間違いなく多数存在しているので、そんな他国の協力工場も当然リサーチの対象となっており、同社の基準に合致するのであれば採用は厭わないそうだ。

さて、この状況なのだが、ある意味日本の協力工場にとっては実はグローバル化への非常にポテンシャルのあるチャンスではないだろうか? 日本の自動車メーカーが、このように現地調達で非常に苦労しているという状況は同じようにアメリカ系、ヨーロッパ系、韓国系のメーカーにも言えるわけで、彼らが身近に進出している日本のメーカーに話を持ちかけることも当然ありえるのだ。
実際に今回訪問したMAZDAのTIER1企業のU社は、MAZDAに合わせて地元の広島県から進出、現地でドアロックセンサーやハンドル周辺のセンサーユニットを生産しているのだが、既にVWをはじめとした国外メーカーから引き合いをもらい、そのうちの数社向けに製造もスタートしているとの事。つまり膨大な需要にがあるので、この地に進出さえして、その技術(製品)に自信と競争力があれば自ずからグローバル展開が可能になっていくわけだ!

勿論、その為にはメキシコに進出していることが最低条件、加えて上述した諸問題をクリアーすることがポイントになるのだが、このような部分を国や行政がプロジェクトを立ち上げて、資金面はもとより大手で余った海外経験のある人材(定年退職された方なども含め)をうまく斡旋できるようなスキームを提供、そして最も需要のありそうな業種(先の鍛造、鋳造など)にFOCUSしての進出支援をアレンジし先鋒を送り込むことができれば、TIER3の企業でも進出と海外メーカーからの受注獲得は十分チャンスがあるのではないかと思う。

当然、各国の同じような協力工場も多数進出しているので、逆に日本の自動車メーカーも国外の協力会社を採用する可能性も多々あるのだが、そこはぜひ自動車立国の日本を支えてきた経験と実力でガチンコ勝負をしていただきたい!負けるはずはないでしょう(と思いたい)!

非常に自分なりの思い込みの激しい考え(?)かもしれないが、やはり需要のあるところに供給できる製品や技術を売り込む。まさに商売の基本であるこの部分に注力すれば、新規の事業創生ではなく既存の十分に確立された技術や製品でも中小企業がグローバル化を勝ち取れる可能性がある!と今回の出張では考えることが出来たと思う。 是非、検討願いたいです!

日本のチャンスは無限大だと思う!

今、シリコンバレーは完全にバブルだ。とにかく住宅費の値上がりは想像を絶する。賃貸費でもサンフランシスコでは2LDKが$4,500。サンノゼ地区でも$3,500ぐらいが相場らしい。これは月額の家賃である。住宅に至っては、その価格はアメリカの場合学区のレベル良し悪しで決まるのだが(アメリカは高校まで義務教育で学費は無料なので、レベルの高い学区に住むことが重要になる)、今まではレベルの高いエリアが高額だったのだが、最近では住む家もなくなりつつあり一戸建てを買おうとしたら中レベルのエリアでも$1,000,000.00(日本円で1億2千万円@@!)はザラである。当然庶民にはシリコンバレーで一戸建ての家を持つ事は至難の業と言える。おまけに新築のタウンハウスやコンドミニアムの建築ラッシュは凄まじく、私が初めてアメリカに来た時に入居していたビジネスパーク(かなり広大な土地だった)は、3年前に全て更地に戻され、今は大規模コンドミニアムの建築が進んでいる。

幸い自分は12年前、ITバブルが崩壊して、それほど時間もたっておらず相場も落ちきっていた頃に山の中のボロ家を購入し、それでも高額だけど今の家賃に比べればかなり安い月々のローンの支払で一戸建てを維持できている。 我が家の値段も上がってはいるものの、それ以上に今住んでいる地域よりもレベルの高い場所の値上がりが凄まじく、当然引っ越すことなど夢のまた夢の状況。
そんなわけで、どうせ引っ越せないのなら、そうでなくても築35年もたって、あちこちボロが出始めている家の改築とはいかないまでも使い勝手の悪すぎるキッチン(なんせ作り付けの電子レンジとオーブンはアナログのタイマーという代物@@!)だけでも改造しようと思い立ち、ここ数週間、色々なホームセンター(日本で言ったらニトリみたいな。。)や専門店に足を運んでいる。
正直、限られた予算の中でIKEAなどは、斬新でデザイン的にもいい感じのものがあるんだけど、なんかしっくりこない感じ。またアメリカではキッチンや、お風呂のリモデルは、かなり一般的なので専門店も沢山あるけれども、機能性やデザインなど「これだ!」というものがなかなか見つからず、時間ばかりを費やしているのが現状だ。

という訳で、「さて日本のキッチンはどんななんだろう?」と思い立ち、クリナップやTAKARA,TOTO等の日本のキッチンメーカーのWEBサイトを見て、驚愕した@@!

 この素晴らしさは何だ!!!

特筆すべきは収納の素晴らしさだ。上部に取り付ける収納キャビネットは昇降ラックが当たり前、それも引きおろし型や引き出し型など数種類ある。限られたスペースを最大限に使用し、ベースキャビネットの底まで引き出しを組み込み有効利用している。またグリルの手前の限られたスぺースが調味料ラックになっていたり、とにかく凄いのだ!中には食器棚の中に温風を回して水切り機能がついたものまである。
またデザインも、こちらでは旧態依然の木目を強調したキャビネットが主流なのに対し日本製は木目調はもとより、メラニン化粧版や色のバリエーションなどもかなり豊富。掃除が簡単な素材なども色々チョイスができる。使用している蝶番や金具類もかなり優れているのもが、きっと多いだろう…。
正直、これらの商品、こちらでお目にかかったことが無い(もしかしたらあるかもしれませんが…)。
なので、欲しいと思っても手に入らないのが現状だ…。こんな素晴らしいものなら勿論、価格的な問題もあるかもしれないが、絶対に需要はあると思う。う~ん、なんか非常にもったいない…。

実は上記にも触れたが、いまシリコンバレーはコンドミニアムやタウンハウスの新築ラッシュだ。
聞くところによれば、最近の好景気により昨年1年間にシリコンバレーでは公証値で何と20万人も人口が増えたという。そのため学校不足なども自分が住んでいるサンノゼでは問題になりつつある。その人口増加をカバーする為の住居が必要な状態なので供給も追いついていないという。建築中にもかかわらず、既に完売といったところも多い。値段だってコンドミニアムでも安くて5~6000万円は当たり前だ。
実は特徴的なのは、これらのコンドミニアムやタウンハウスを購入するのは、シリコンバレーに移ってきたインドや中国を中心とした優秀なアジア人が殆ど。当然アジア人という事で、家に対する認識もアメリカ人とはかなり異なっている。彼らにとって価値のある家とは、間取りの広さより部屋数の多さだという。このあたりを考慮してか最近新築されているものは部屋数が3BEDROOM(日本風には3LDK)でも一部屋の広さは極端な話、6畳一間より小さい感じがする。
つまりだんだん日本の家屋に近づいてきているのだ。当然キッチンも昔のアメリカの家屋のようにアイランドがあったりというのは稀で部屋数を確保するために、コンパクトにまとまっているケースが多い。つまり、そこに日本の収納技術を駆使した製品が本領を発揮する巨大マーケットがあると思うのだ。収納に限らず、そこに使うフィクスチャーや家具類などにもチャンスがあるかもしれない…。

先のこのブログでも取り上げたが、三菱は日本では既存の技術であったインバーターエアコンでアメリカに切り込み成功を収めている。
また視点は少し違うが、日本で話題のアメリカ産BLUE BOTTLE COFFEEも、日本ではどこにでもある純喫茶をデザインとマーケティングで昇華させたに過ぎないと思う。つまりアメリカの市場を見てうまく日本勢が独自の文化に育まれたコーヒーを紹介することが出来ていれば、日本勢がアメリカで成功できるチャンスは十分にあったはずだ。

日本は既にその卓越した技術力によって優れた製品、四季を反映した食材に対するこだわりによって世界で最も優れた食文化を有している。あとは、いかにそれらを世界に売り込んでいけるかのマーケティングとリサーチの能力さえあれば、上記の例を見るまでもなく、世界を獲ることは容易に実現できるのではないか…。

そういう意味で、この先も日本のチャンスは無限大だと思う。あとはそれをどう見つけて具体化するかだ。このシリコンバレーの住宅事情などきっと氷山の一角で、ヒントはどこにでも転がっているはずだ。そして成長戦略として一から新規事業を創生するよりは、この方が可能性はかなり大きいのではないかと考えられる。 是非、意識してほしい!

若者向けメディアサイトのインタビュー記事

3月はあまりに忙しく、BLOGをUPできませんでした…。大変申し訳ございません…。
と言いつつ、今月も当初から慌ただしく。。。というわけで、手抜きで恐縮ですが、先月、若者向けメディアの「TECH PEOPLE」にインタビューが掲載されたので、こちらにリンクを張らせていただきました^^;;。

”「日本の町工場は農業になる」シリコンバレーに26年、製造業に携わる経営者が語る、日本の危機と可能性”
http://techpeople.jp/2015/03/beans1/

内容的にはいつも、このBLOGに書いている事なのですが、特に若者向けという事で、こちらから見た現状を理解していただき、少しでもグローバルに目を向けてもらえればと思いました。
内容的には少しまとまりがなく、数字等は記憶もあいまいな部分もありますが、ご一読いただき、また意見など伺えたら嬉しいです。

 

オンリーワンは時代遅れの象徴になる!

少し前になるがTESLAの友人と食事をした。あらゆる意味で飛ぶ鳥を落とす勢いの同社。今年10月には世界の総生産量を上回るバッテリーの生産を可能にするメガ工場の正式稼働も決まっており、そのプロジェクトで殆ど行方不明状態の彼が貴重な時間を割いてくれたので、ついつい時間がたつのも忘れて話に夢中になってしまった。

やはり本気で既存インフラの破壊とイノベーションを実践している企業は凄い!
かつてPANASONICが中村社長時代に「破壊と創造」をキーワードに事業改革を試みたことがあったが縦割りの事業部制度すら改革できなかった中途半端な試みとは訳が違うという事を、しっかり理解することができた感じがする。

ほんの一部かもしれないが、TESLAの革新的な試みとして自分の理解しているところでは;

1.一切の宣伝広告はしない。そのような費用は開発費に充填する。
2.TIER1,TIER2といった系列的はSCM(サプライチェーンマネジメント)を否定。
3.販売においては、ディーラー制を持たない、等々…。

これだけでも、やはり世界を獲りに行く会社は違うのだ!!

そんな彼との話の中で、象徴的だったのが「日本の会社がよく標榜しているオンリーワンの技術というのは時代遅れの代名詞みないなもんですよ。」という言葉だった。
つまり、いつまでも自分の技術、もちろん固有の分野に特化した素晴らしいものではあるのだが、それに固執してしまうと時代の流れに取り残されてしまい孤立してしまう可能性が大きいという事だ。

アメリカではリナックスをはじめとしたオープンソースのコンセプトが、広い意味で定着。つまり新しい技術や産業を創造していくのであれば会社単位や個々が独自に行うのではなく多数の英知を終結することで成就できるという発想が、今やシリコンバレー、強いて言えば世界のスタンダードになりつつある。
このような流れの中、TESLAもEVと高性能バッテリーの新しい市場創造のために自社が持っていた500近い特許を全て公開。それにより英知を結集してうこうという戦略だ。当然同じような技術を既に持ち、公開された特許を加味することによって益を得る企業も出てくるかもしれない。でも、それこそが市場の隆盛に貢献すると考えれば意義は大きいと考えられる。TESLA自身も、そのような追従にあっても自分たちは、さらにその先を行くだけの力がある。という自負もあるのだと思う。

正直、この話には凄く考えさせられた。思い起こせば自分の経験からで少し意味合いが違うかもしれないが、かつてディスプレイ市場でトリニトロンを武器に世界を席巻していたSONYが、その技術に胡坐をかいて今の状況になってしまった事やI-MODE方式を死守しCDMA準拠を拒否して世界標準から取り残されてしまった日本の携帯メーカーなど考えようによっては、オンリーワンを死守することによって時代から取り残されてしまった先例は過去にもあったのだ。

日本では中小を中心にいまだに自社の「オンリーワン技術」を標榜している企業をよく見かける。勿論、それで成功している企業も沢山あるだろう。しかし日進月歩のエレクトロニクスを中心とした産業の中では、その技術に固執するがゆえにトレンドから取り残されてしまう可能性も非常に高いという事を理解することも大切なようだ。

今回の彼の言葉を聞いて、少なくとも中国や韓国に真似されてしまう事を危惧して技術や製品をクローズしてしまうより、時代に即した市場性のある技術や製品に多くの英知を借りて高めていくという発想が実は今の世の中のスタンダードであり、特に中小町工場のグローバル化においては、さらなる飛躍の機会として、それを意識することは、重要ではないかと強く感じた。