GOOGLE TVの方策は?

来週からラスベガスでコンスーマーエレクトロニクスショウ(以下CES)が開催される。TV業界ではいつもきまってその年の目玉のようなものがある(たとえば昨年は3Dなどなど)、けれども今年はそんな噂を聞くこともなく一体何が出てくるのだろうね~などと客先でも話していたのだが、年末近くになってi‐TVの噂がちらほら出始め、ここにきてGOOGLE TVが新たなパートナーとともに再出発というNEWSがリリースされた。今までGOOGLE TVはSONY(生産はメキシコのFOXCONNがメイン)とLOGITECHの2社だけだったのが、アメリカで絶大なシェアをもつSAMSUNG, VISIOに続いてLGもパートナーとしての参加を表明。基本的にはアメリカ国内のシェアの50%以上を占めるメーカーたちが全てGOOGLE TVのパートナーとなった事になる。
GOOGLE TV, 表現を変えれば当時で言うインターネットTVだが自分のブログにも以前書いたように2010年の終わりにSONYが受注し同社のOEM工場であるメキシコのFOXCONNでコードネーム”アシュラ”プロジェクトとして月産で10万台以上の鼻息の荒い数字を打ち出し2008年のリーマンショックで殆ど立ち直れないくらいボロボロになっていたメキシコ(ティファナ)のTV産業地帯では同社の関連協力工場でも歓喜に包まれながら生産がスタートされたにもかかわらず、翌11年の春ごろには生産のほとんどが打ち切りになってしまうという悲惨な状況で終焉してしまった事が強く印象に残っている。最初にパートナーとして同じくセットトップ型の販売をスタートしたLOGITECHも最終的には昨年の11月でその生産を中止している。それから1年もたたないうちに、今度はアメリカで大きくシェアを持つSAMSUNG, LG,VISIOが参画するというのは(残念ながら日本軍団はアメリカでのシェアは今ほとんどないのが現状です…トホホ)、何か特別な方策もしくは秘策(?)でもあるのだろうか?
先のGOOGLE TVの失敗の原因の大きなところは、業界ではキーボードが使いにくいとかコンテンツが煩雑、思ったより使えるものが少ない…という部分がクローズアップされていたのだが、私はSONYの場合、TVにこだわったところに大きな敗因があると思う。既に2011年と言えばどこの家庭にも薄型のデジタルTV は浸透してるので、新しい機能のTVとはいえ、そこにもう一台新たに販売価格$600(当時)の30”とか40”のTVを購入すると考えるとその必要性がないと判断されてしまったことが大きかったのだろう。マーケティングの失敗だ。それに引きかえ、ちょうど同時期に発売されたAPPLE TVは、最初からこれら既存のTVに接続できるセットトップBOX(以下STB)で、値段も$99と超お手頃価格。加えてI-TNUESの機能も勿論使うことができて利便性もありという事で実際のところはだいぶ売れているらしい。確かにこの価格であれば、プラットホームとして使える機能や配信数が少なくても何か一つでも利便性の高い機能(アプリ)が使用できればそれだけでも満足!という気になれるところも大きいかと考えられる(LOGITECHの敗北はアップルと同じ$99だったが、単に知名度のなさとコンテンツの少なさにあるのではないか)。いづれにしてもこのような失敗(実は自分もいろいろなプロジェクトがキャンセルになったりしてかなり大変だった)を目の当たりにしてきた自分にとって、今回のGOOGLE TVの巻き返しがどのような方策で展開されてくのか非常に興味のあるところだ。勝手な想像だが、この方策は機能的にインターネットTVがスマートTVに昇格するようなものではないかと思う。勿論自分自身でもインターネットTVとスマートTVの定義が不明瞭なのだが、単純なイメージでいえば、携帯電話で考えると、それにインターネット機能が付いたものと、それに加えて色々なアプリの使用ができるようになったもの、の差のような感じがする(あいまいでスミマセン)。兎に角、この先スマートTVがどんどん普及しGOOGLE TV(パートナーが主体生産だが)だけでなくAPPLEのi-TVも現実のものとなり、もっともっとハードウェアの需要が出てくれれば、これらの新機能TVはプラットホームとしての役割が非常に重要になりソフトが占める割合が大きくなってくるのでハードウェアでの出番は少ないかもしれないが、TVであれSTBであれ生産数が増大するということは製造業にとっては、電子、機構部品レベルの参入機会の増大や、もしかしたら有機ELの使用が本格的になり、これにかかわる関連部材や、またまた薄型対応に伴う冷却技術等の分野で大手が受注するOEMでの生産も含め、日本勢が活躍できる可能性は十分にあり、非常に望ましいことだと思う。
来週から始まるCESで、この新しいGOOGLE TV(スマートTV)がどのような方策(機能と性能)をもってお披露目されるのか今から非常に楽しみだ。

 

シリコンバレーで”ものつくり”を考える!

2012年になりました。日本の中小製造メーカーの駐在員としてアメリカに乗り込み、その後の独立を経て早いもので23年が経過しました(*駐在員時代のエピソードや記事は「シリコンバレーからの風」でご覧ください)。

その間、ここシリコンバレーで80年代の後半からのPCブームの勃興から衰退、そしてインターネットの隆盛にともなう1998年からのITバブルのゆりかごから墓場までを肌で体験する事ができたことは自分にとって素晴らしい経験になりました。その後のシリコンバレーはITバブルの崩壊からGOOGLEをはじめとする巨大IT企業の登場によって新たな創世記を迎え、APPLEの復活と大躍進、そしてSNS,SMMを中心とした第2の新しいIT潮流、加えてクラウドをはじめとした技術革新で世界のエレクトロニクス産業のトップを再び爆走しています。

そんな大きな流れの中、残念ながら衰退の一途をたどっているのが日本のコンスーマーエレクトロニクスをはじめとした”ものつくり”産業です。白物家電はもとより、かつてはアメリカ全土を席巻していたTVは、いま大きくそのシェアを韓国勢に奪われ、90年代には殆どの日系メーカーがこちらで生産していた携帯電話も今は見る影もありません。加えてこの先、電気自動車が普及していく大きな流れの中でガソリン自動車の既存のインフラで成り立っている日本は新興勢力にどのように対抗できるのか?この状況にも憂慮の気持ちを隠せません。そして電機、自動車の大手企業のバックアップを生業としていた日本の多くの中小零細企業は大手の計画に翻弄されながら、彼らの矛先の中心である東南アジア、中国に共に進出し価格競争にさいなまれたあげく需要の衰退とともに消え去ってしまうという話も非常に多く耳にします。

ところで、IT産業のメッカであるシリコンバレーには公証値ですが今だに電子電気産業を中心にそれらに携わる5,000社以上の板金加工、塗装、切削、精密加工、成型等を行う中小零細企業が存在している事はあまり知られていません。実は彼らがこの地が生み出すの革新的ハードウェアーの舞台裏で活躍しているのです。製品のプロトタイピングや量産品の基幹部品の製造、そして新規テクノロジーに呼応する柔軟性を持った彼らのアクションはまさに日本の中小零細企業と何ら違いがありません。

自分自身が日本の中小企業の出身でこの地でITの大きな潮流を製造業の分野という違った角度で見続けることができた事は、自分にとってはプラスになっているだけでなく、この地で得た多くの地場の中小零細企業との長年の付き合いを通じて彼らの生き様が、もしかすると日本が再び大手の企業の庇護に頼らずグローバル化を目指すためのヒントであるように最近強く感じるようになりました。そして今だからこそ日本の中小零細企業が生き残る選択肢の一つとして、流れの下流であるアジアを中心とした量産エリアではなく、まず源流である世界の超一流メーカーの集結する、このシリコンバレーに新規で切り込む事が真のグローバル化につながる可能性を秘めているのではないかとの結論に至った次第です。
特にこれからは、GOOGLEやAMAZON, FACEBOOKなど大手IT企業のハードウェアでの武装化、WIIMAX、LTEといった新規通信ネットワークに対応する新しい通信システムや関連半導体の開発とその製造プロセスの革新、クラウド化に伴う大規模データセンター製造開発の可能性、そしてモーターやバッテリー、スマートグリッドに関連するグリーンテック系の開発製造等々、世界のリーダーとしてのこの地の役割はハードウェアの分野でも益々、重要になってくる事と思います。
そんな中で、私は今年からシリコンバレーに居る自分の役割として今まで継続してきたBLOG「ビーンズ社長のマメに働いています」(過去ログはそのままこちらに転載しています)の、ともすれば日本の衰退ぶりに、ため息ばかり出るような気持ちの吐露ではなく、もっとPOSITIVEな思考で今の現状を考える事にしました。そして、このシリコンバレーで、今までの経験に基づき日本では既に過去のものとなりつつある”ものつくり”という視点で、上記の状況や最新情報、この地で考えた事をランダムに発信していきます。その内容が模索を続ける日本の中小零細企業の新たな活路として、復活とグローバル化にほんの少しでも役に立ち、超円高、生産コスト高いう負の要因にも打ち勝つ企業が1社でも多くアメリカで成功を収める事を願いながら力ある限り継続していきたいと考えています。

お時間のあるときにぜひご笑読ください。また率直なご意見等お聞かせいただけると嬉しいです。
よろしくお願い致します。

自分にとってはガッカリなNEWSなんだけど…。

今回は短期の日本出張。運よく本州を縦断した台風が通り過ぎた後で飛行機は予定通り羽田空港に到着した。翌朝の朝日新聞の一面に「Iphone争奪スマホ三国志」の見出しで、KDDIがソフトバンクに続いてIphoneの発売を決定したことを報じていた。記事は、この先の急速なスマートフォーンの普及に対応するという内容が中心。唯一Iphoneの販売を行わないNTTドコモも「魅力的な端末」という社長のコメントがあったことを掲載していた。
う~ん、このNEWS自分にとってはかなりガッカリだな。いったい日本の携帯メーカーは何してるの?というかこんな状況を指を咥えてみているの??という感じ。残念ながらこの新聞記事には日本の携帯メーカーのコメントも一切掲載されていなかった。自分としては「日本の携帯メーカー、キャリアとのタイアップを強化しアンドロイド端末でスマホ市場でアップルの猛攻に応戦!」みたいな記事を期待したいところだったのだが。。
以前何度か、ここでもふれたが、、1990年代の半ばまでは多くの日本の携帯メーカーはアメリカで携帯電話の生産をしていた。それがCDMAが米国の標準規格になったとたん追従をあきらめた日本メーカーはほとんどが潮が引くようにアメリカから撤退。当時I-modeの普及で爆発的に需要が高まった日本市場に特化し、同じくCDMAを採用したヨーロッパ市場とあわせ完全に世界から姿を消してしまった。そして唯一市場として確保していた日本においてもAPPLEの普及にキャリアがもろ手を挙げて歓迎しているような状況はちょっと情けないというかなんというか、もう期待もできないのか?と悲しい気分になる(アンドロイドでもSAMSUNGのギャラクシーが幅を利かせてきたみたい)。特許などの問題で日本のメーカーはスマホを作ることができないのだろうか??少なくとも世界に先んじておサイフケータイやワンセグなどの機能を搭載した携帯を開発し、その市場をリードしてきたのは日本の携帯メーカーではなかったのか?最近は、本当にがっかりするNEWSが多すぎる…独自路線で気を吐いてネーミングまでPARAPAGOSとしたシャープのタブレットPCは最終的にアンドロイドを採用することを発表してその短い一生を終えてしまったり、SONYの会長に至っては、同じタブレットPCの発表に際し、改良こそ企業の技術力という、技術開発力で世界を席巻してきた企業ののTOPが正気とは思えないコメントを公の場でしたり…。
いやいや、ちょっとまとまりがなくなっちゃったけど、とにかくがっかりだ。というかこんなこと思ってるのは自分だけなのかな?もしそうだとしたらこれは本当にXL(エクストララージ)のがっかりだ…。

P.S.最近本当に暗い内容が多くてスミマセン…。本当は自分も景気のいい話を書きたいんです…。

ヒーローたちはどこへ消えた??

 友人のEIJIから原発内での作業用に日本で開発されたロボットがあまりにお粗末だったとの話を聞かされた。少し大きめのタイヤが装着されているが瓦礫の山を乗り越えることはできない。操縦可能範囲はわずか30m程度でおまけに外部電源が必要…。用途もよくわからないような代物だという。これが震災の後に原発内での作業用に作られたものだということなのだがロボット大国を自称する日本の製品にしてはあまりにも見劣りがするものだったと非常に残念そうに話していた。確かに日本はロボット大国として国内外にその技術の素晴らしさをPRしている感があり、国民もそういう意味では日本はロボット技術の先進国だというイメージがあるにも関わらず、今回の原発事故で実際に現場で活躍しているのは、アメリカを中心とした海外の製品ばかりという状況に疑問を持った人もかなり多いのではないかと思う。自分もまさしくその一人だ。

ある記事で読んだのだが、記者が「アシモ君はどうしてこういう時に活躍できないんですか?」という率直な疑問をHONDAの開発担当者にぶつけたところ「そのような仕様には設計されていませんので」と一蹴されてしまったという。確かに放射能の中で活動できる仕様になっているとも思えないのは確かだ。何かほかに背景がないかと思い、友人でもあり日米のロボット事情に精通しGETROBOを主催しているジャーナリストの影木さんに聞いてみたところ「いま原発で使用されているアメリカ製のロボットはすべて軍事用に開発されたもの。軍事産業がほとんどない日本では、その方面に企業が投資してロボットを開発することはない。」との返事。なるほどこれは納得できる。そして「今回の事をきっかけに日本も有事対応のロボットが開発され新しい産業になればいいのだが…。」とも話していた。確かに産業用ロボットは自動車産業の隆盛に伴い日本は絶大な市場を確保していたのだが、最近ではお掃除ロボットのルンバに代表されるようなコンスーマー向けのロボットでは外国勢の優勢が目立つとも話していた。また別の友人からは国がロボット産業に対してはかなりの補助、助成金を出しており、逆にその援助を受けた団体や学校では独自の営利目的でのロボット開発ができないとい背景もあるのでは?と話していた。加えて原発は安全と言う思い過ごしから有事対応のロボット開発に対しての補助は2003年にすべて打ち切られたとの記事も読んだ…。

 いづれにしても影木さんの話のように今回の有事をきっかけに日本はもっと今までの技術開発力を駆使して、新たな災害対応のロボット開発を真剣に、そして早期に始めるべきだ。デンソーやダイフクに代表される産業用ロボットのあの精巧な動きと見事なまでに洗練された操作性をもってすれば放射能の中でも立派に仕事をする優秀な有事ロボットを開発することは決して不可能ではないはずだ。 世界に先駆けて彼らを完成させ、そのPRを行えば(今なら極端な話、放射能の中でしっかり動作するロボットの動画がYOUTUBEなどにUPされれば世界中の原発保有国から問い合わせが殺到するだろう)、この分野でも日本は新たなイニシアティブを取ることが十分可能だと思う。しかしうかうかしてはいられない。今回のアメリカのロボット、そしてフランスの原発安全対策技術の日本への提供は間違いなく彼らのこの分野におけるエバリュエーションを実地で検証できるという営利目的が絡んでいる。自国の犠牲は何としても自国の繁栄のために生かしてもらいたい。そのためには即実行あるのみだと思う。

自分が幼少のころTVで日本(世界)の平和と国民の安全ために大活躍していた鉄腕アトムや、鉄人28号、ジャイアントロボ達は本当にヒーローであり憧れだった。それらの番組が放映されていたころから既に50年近い月日がたっている。これだけの時間が有れば彼らが現実のものとなってこのような有事に大活躍をしてくれてもまったく不思議ではないと思うのだが彼らはいったいどこへ消えたのだろう…。彼らの活躍に興奮し歓喜していた自分は、自転車に乗ったり自力で走り回ることはできても有事に全く活躍できないアシモ君やムラタセイサク君たちには残念ながら何の関心もないし魅力も感じない。今はとにかく有事に大活躍ができる本当の意味でのヒーローたちの一日も早い登場を願って止まないのだ。

ソーシャルメディアマーケティングの本質とは?

 これも少し前の事だが、シリコンバレー地方版の編集長KOSAKA君が今注目のソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に関する講演をSVJENでしてくれた。巷で本当に騒がれていながら、「いったいSMMって何?」という部分があった自分にとって彼の話は本当に明快で目からウロコ的なものだった。素晴らしかった。結論から言ってしまえば、SMMの本質というかGOALは、BACK TO THE BASICで「よりよいサービスと優れた品質を保つ」ということに尽きるのだ。
 ご存じのようにソーシャルネットワークは、言い方を変えれば井戸端会議と伝言版がインターネットを利用したメディア系に発展したものだ。なので、その実態は口コミの発展系である。KOSAKA君はこんな例を話してくれた。近所に韓国人が経営している中華料理屋がある。間違いなく家族経営で、父ちゃんがシェフ、母ちゃんが白いエプロンをつけて給仕をしている。どう見てもPCやインターネットを使っている人たちとは考えにくい。この中華料理屋、実は手打ち麺(と思われる)がもちっとしていて凄く美味い。そして白いエプロンの母ちゃんも愛想がよくサービスも気持ちいい。さてこの店の麺を食べた客がその感想をTWITTERやYELP(こちらの口コミ情報サイト)にその美味かった感想などを書くと、その情報をみた人たちが、そのお店に来るようになる。そして同じ感想をもつと、またその感想をUPするので、お店にはどんどん御客が集まってくる。で、PCの環境に全く縁のない父ちゃん母ちゃんは、連日膨れ上がる客数に首をかしげて「一体どうしたんだろうねえ??」なんて言う事態をもたらすことになる。勿論一銭も御金をかけずに、このお店は御客を集めることに成功するわけだが、そこには絶対的に客を裏切らない、味の品質と質の高いサービスが条件となるわけだ。つまり、この基本ともいえる点さえしっかり押さえていれば、お金をかけなくともPRができるのがまさにSMMの本質だと彼は結んだのだが、まさしくその通りだな!と思った。
 ここが今までのインターネットによるマーケティングや通常のPRとの大きな違いなのだと思う。たとえば今までのお店やサービスの評価というのはGOOGLEに代表されるようにヒット数がいかに多いかで決まっていた。つまり見栄えのいいHPを作って、そこに興味をそそる写真などをたくさん載せれば、また随時新しい話題をUPしていれば、その味やサービスを実体験しなくとも、クリックの数によってそのお店が素晴らしいと評価されてしまうものだったわけだ。そして「おたくのHPのヒット数を増やしますよ!」みたいなWEB製作会社もたくさんあったと思う。通常の広告媒体を利用した宣伝も一方的に消費者に向けられるものであって広告主は、商品やサービスを購入したりした体験した人のフィードバックがあるまで、その効果はわからないのだが、まず製作費用が派生してしまうのだ。そういう意味でSMMは今までとは全く異なる方法で本質さえしっかり押さえていれば、金と労力をかけずにPRができてしまうというわけだ。
 
 

 しかしながらその品質とサービスを常に維持しながら、さらによりよいものにしているためには、それに対するさらなる努力が必要になる。そして、さらなる飛躍につなげるための新しい方策が必要になる。この部分がFACEBOOKなどが中心になって取り入れている新しいマーケティングの手法なのだと思う。そしてこれは実際の口コミと人の推薦に裏付けされたものになるので、効果はより高いものになると考えられるだけでなく、今まで大金をはたいてPRができる大手企業が中心のマーケティングの世界がひっくり返ってしまうような事も平気で起こるようなことも十分にありうるのだ。その状況をTACHWAVEの鶴ちゃんがSATISFACTIONGARRANTEEDを例に話してくれた。代官山にわずか5坪の店舗しかないこのアパレルショップはFACEBOOK上での情報発信が功を奏し、今では世界中から42万人ものLIKEを獲得し、FACEBOOK上では日本のアパレルメーカーではUNIQLOをはるかにしのぎ、世界の有名ブランドをみてもエルメスやカルティエを凌駕する地位に君臨している。つまり、世界の40万人以上の人がこのわずか5坪のSHOPの無料の情報発信を共有し、場合によっては商品を購入しているわけだ。これは凄い!同社は早くもそのブランド力でアパレルのみならず他の商品にも日本の大手メーカーとタイアップして世界制覇をもくろんでいるらしい…。ここまで来ると本当に凄い@@!!

 こちらでは早くも今までのE-COMMERCEならぬF-COMMERCEという言葉もつかわれ始めているように、これからは、いかにFACEBOOKをはじめとした新しいSMMのサービスを利用するかによって、明らかに大きく今後のPRの状況が大きく変わってくるといえる。そのためには、まず彼らの提供するサービスの本質をしっかりと理解することが大事で(自分自身FBを使用しているけどまだまだわからないことが多い…)加えて、それが特にビジネスにおいてはどのように活用できるのかを吟味する事が、いかにお金をかけず(?)に効率的なマーケティングとPRを展開するかにかかっていると思う。まさに知ったもの、早く活用したもの勝ちの感じだが、その本質には「より良いサービスと品質を保つ」という大前提があることを決して忘れてはならないのだ。

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第2のITバブル到来の予感…

  サンフランシスコに老舗のオークションハウスがある。数年前(?)にイギリスのオークションハウスに買収され、その名前の一部をとりBOHAMS&BUTTERFIELDとなったが、かつてはBUTTERFIELD&BUTTERFIELDといって東のサザビーズに対して西のBUTTERFIELDというくらい有名だった。ここではネットオークション華やかなりし今でも、昔ながらの会場でのBIT方式でオークションが毎週のように開催されている。今では年に一回になってしまったが近代、現代版画(リソグラフ中心)のオークションも開催されていて、この手の版画のプチコレクター(あくまでも売買目的ではなく観賞用という趣味なので…)だった自分はアメリカに来た当時から小遣いが少し溜まるとBITに参加したりしていたのだが、最近はなかなか手が出なくなったので、今では会場に足を運んでPREVIEWし、後から結果をネットで確認しするレベルでたのしんでいる。さて、今年4月に開催されたこのオークション、出展数はだいぶ多くウォーフォールやリキテンシュタイン、デビッドホックニーなど巨匠の作品もかなり混ざっていて非常に楽しみだったのだが、結果を見てかなり驚いた@@!落札価格は軒並み昨年の倍以上!ウォーフォールのキャンベルシリーズなどは軽く昨年の倍近く、その他人気の割にはリーズナブルだったサムフランシスやマザウェル、ジムダインなども、とても信じられないような価格が付いていた。。。これは明らかに凄い、というか変だ。
 実は同じような状況をかつて見たことがある。それは80年代後半のバブルの時だ。当時日本の百貨店ではあちこちでこの手の版画の展覧会、即売会などが開かれていて、上記ウォーフォールの作品などは軽く200万円以上で売られていた、そしてYAMAGATAとかトーマスマックナイトなど今では二足三文(だと思う)でオークションにも出てこないような画家の作品まで法外な値段で取引されていた記憶がよみがえってきた。これは明らかにバブルの症状だ。。土地と不動産の値段がウナギ登りに上昇していた当時とは背景が違うのだが、今のアメリカの状況は株価は低迷、土地不動産の価格は絶望的で、全く投資対象にはならない。そんな状況なので、投資先のない投資家たちが少しでも利益を得る事ができそうな、美術品にも注目しているように思えてならない…。
 さて、先々月になるがビジネス系のSNSサービス会社であるLINKEDINが上場(以下IPO)を果たした。当初の初値の$45に対し、株価は見る見るうちに上がりあっいう間に3倍近くまで高騰し現在も高値で取引されている。その後もオンラインラジオ局のPANDRA,などが上場。この先もGROUPONや、ソシアルゲーム系のZYNGAなどの上場が予定されていて、ここにきて新興IT系会社のIPOが続きそうな状況なのだが、はたして彼らは本当に実力があってIPOをするのだろうか??FACEBOOKやTWITTERなら新たなインフラを構築したという本当の意味での実力があり、彼らが株式を公開するというのは非常に正当性があると思うのだが、たとえばGROUPONは先行で逃げ勝っていても、いづれはGOOGLEやFACEBOOKなどの大手が同系統のサービスを始めれば、その絶対数で勝ち目はさなそうに見えるし、この先益々課金が難しくなっていくであろうソシアルゲームのZYNGAにしても業績の先細りは容易に予想がつく(私の判断です)。そういう意味で、この先のSNSに起因した新興IT会社のIPOには、今まで投資先が枯渇状態だった投資家たちが、まるで養殖場にまかれた餌に群がる魚のように、どこかITバブル時代と同じような感覚で飛びついているような感じがしてならない。

 お恥ずかしい話、「NSADAQ上場企業のリストにサルにダーツを投げさせて中った会社の株を買っても損はしない」と言われた先のITバブルの際に、大やけどをした自分にとっては、今回は間違いなく同じ轍は踏まない自信がある(というか先立つものもないんだけど…)のだが、はたして自分の予想は正しいかどうか。。。この先ちょっと動向を静観してみたい。
 
 

千載一遇のチャンスだと思うのだか…。

 
 サンノゼのダウンタウンからカリフォルニアの州都であるサクラメントに向かうFREEWAYの680号線を東に走ると、最近新しいワインカントリーエリアとして注目を集めているLIVERMOREがある。この町の北側の丘陵には何千本はきっとあるだろうと思われるほど設置されたおびただしい数の風力発電用プロペラ群を見る事が出来る。本当に昔からある吹流しのようなスタイルのものから最新鋭のプロペラタイプのものまで、いろいろな種類(最近はだいぶ種類も淘汰されてきてしまったが)のプロペラ立ち並んでいる姿は壮観であると同時に私などは昔みたアメリカのB級SF映画のワンシーンをよく思い出してしまうのだ。一年を通じてとくに夏場には必ず偏西風がふくカリフォルニアは日照時間が長いこともあり、以前からこのような風力発電やソーラーシステムが普及している。とくに2008年にオバマ大統領がグリーンテックに対してのサポートを強化すると、シリコンバレーにはグリーンテック関連の会社が次々に集結し、いまでは優に100社以上にのぼっている。そして、それまで意気消沈気味だったシリコンバレーの製造業もにわかに活気づきながら今日に至っている。もちろんこの風力発電で得られる電力やソーラーで生成された電力がどのくらいの割合で我々の生活をカバーしているかは不明だが、少なくともエコな生活を実現できているのではないか?と思えてしまうのだ。
 
 さて、いまだに深刻な原発問題を抱えている日本。とくにこの先夏場を迎え、冷房需要の増大に対してどのように電力の確保を行っていくのか…。震災から既に2カ月上が経過しているにもかかわらず、政府として未だ明確とした対策の方針すら出てきていない。もう夏は目の前だというのに…。パショーマンス的なクールビズの前倒し以前にもっとたくさんのやるべきことがあることを事を彼らは理解しているのか。それすら疑問である。

  日本の原発による電力供給は総電力の30%に当たるという。この30%という数字。見た目には全体の3分の1で非常に大きそうだが、このくらいの省エネや電力削減は、今の日本の優れた技術力と法的インフラの整備、そして政府のバックアップ体制を強化すればすぐにでも実現可能ではないか?と思えてならない。たとえば今後新築されるビルやマンション、個人宅などは、通常の使用電気量の30%をまかなうだけのソーラーシステムや簡易風力発電機、そしてそれらを備蓄する蓄電機の設置を義務付ける。その余剰負担分は政府が負担、もしくは税金の控除対象とする。日本の家電メーカーは今後開発するすべての製品に関し、現行の30%の消エネを目標とし、それらの製品に関しては、やはり税金免除やエコポイントの付加等のメリットを与える、逆に達成できない製品に関しては税率を上げるなどの処置をする。その他の工業製品や自動車に関しても同じように30%を目標にした省エネ対策をとるようにする。といったことを政府主導で実施すれば今の日本の技術力で30%は目標値としても全く不可能ではないはずだ。当然将来的な原発増設は不要になるだけでなく現行の原発の廃止もかなり実施できると思われる。併せてサマータイムの実施や曜日別の休業体制の徹底など、国全体のシステム自体も見直して今までの無駄をなくし省エネに即した国の体制を作り上げることも今だったら問題なくできるだろう。そしてひとたび、このような中で開発された製品やインフラなどは、同じように原発問題や、エネルギー問題で深刻な状況にある世界中の国に需要が見込めるし、またそのようなインフラと徹底した経済政策を実施し成功させた実績をもとに日本はこの分野で再び世界に冠たる省エネ国家としてのリーダーシップをとることも十分に実現できる、まさに千載一遇のチャンスだと思うのだが…。

  まあ、残念ながら未だ安全性が確保できれば原発推進を継続するなどと全くわけのわからない発言を平気でするような人間がトップでは、政府には全くこの状況は理解されていないとも思わざるを得ないのだが、せめてアメリカのように、天下り主体の電力会社が独占している電力供給を一日も早く分割化して民間企業に移譲し、経団連や力のある民間主体で、このような部分の見直しから真剣に国家の再建と繁栄を担っていくことはできないだろうか、、そして、そのような思いから一日も早くこの状況打破に立ち上がる企業や個人があらわれないものかと期待はしているのだが、今のところ、自分自身にこのような表現はおかしいのだが苦虫を噛みつぶしたような顔で日本のニュースを見ている今日この頃である。

 

 

どんどんひとつになる中で日本は勝ち残れるか?

 数週間前に顧客である日系の車載オーディオ機器のメーカーを数社訪問した。そんな一社の幹部と食事を共にしたのだが、その話の中で昨今のカーオーディオの状況について、日本のカーオーディオはTOYOTAや日産をはじめとする日本メーカーの車と共に、その要望に叶うべく限られた空間で最良の音質を提供する機能や自動車の振動にも耐えうるピックアップの開発等、性能や機能を拡充させることによって世界に広く浸透するようになったのだが、昨今では既にMP3が主流になる時代。加えてカーナビを中心として、ある意味単にオーディオ機能だけでなくGPSや車の使用状況そのものをモニターするプラットホーム的な役割を担う、しいて言えばコンピューター化してきた状況をみると、そこには既に日本が得意としてきた技術は全く不要の、誰にでも製作できるタブレット型のPCですべて置き代わってしまうのは明白だと言う。つまりいきなりAPPLEがIーPHONEを車載用プラットフォームと定義づけ、車のダッシュボードに取り付けられるようになれば自身のもつI-PODの機能やGPS機能、そしてサテライトシステムの利用で緊急時のサービスや、車種別自己診断機能、サービス履歴のデータベースのアプリを組み込むことによって完全に現在のカーオーディオシステムがもつ機能はすべて網羅できてしまうと言うことで、いつ何時彼らが真剣に、この業界に参入してくるかと言う状況を非常に憂慮しているとの事だった。もちろん、そこには安全性の基準や生産拠点がTS等のAUTOMOTIVE関連の生産工場としての認可をとっているかなど、まだまだ乗り越えなければならないハードルはあるのだが、少なくとも技術的には、IーPHONEをはじめとしたスマーフォン、タブレット型のPCで十分機能はカバーされてしまうのが現状だ。

 実はこのような状況、既に周知のことだが、カーオーディオにとどまらない。つい最近、GOOGLEがお財布携帯市場への参入を発表したのがいい例で、これからはスマートフォンをハードウェアのメインとして今まで散在していたあらゆる機能がどんどんひとつにまとまっていく傾向があるように思う。もう現金や何枚ものクレジットカードや定期券、IDなどを持つ必要がなくなる日がすくそばまで来ているようだ。特に最近、この分野では世界基準となるであろうNFC(NEAR FIELD COMMUNICATION)規格に順ずる数々の機能と製品が大きく飛躍をすると考えられている。
 さて日本ではこの分野、SONYが開発したFELICAが著名で既にSUICAや電子マネー(お財布携帯?)のEDYあたりで市場には浸透しつつあり、その方式は香港やシンガポールでも採用されているようだ。そういう意味では、日本は、いつものごとく先端を走っているといっても過言ではない。しかしながらFELICAの技術は国際標準ではない。類似の機能を持つNFCは、製品すらまだ具体的に登場してはいないが、こちらは国際基準として確立しつつある。このNFCを推進する団体はFELICAを開発したSONYが大きく関与しているのだが、日本で先行している市場の拡充(とくにNTTとの共同開発等になると、いつものように日本の市場に特化した傾向になる可能性は十分考えられる)に躍起になっている間に、今までのコンスーマー製品と同じように、またグローバルな市場展開という流れに乗り遅れて、携帯電話がそうであったように日本固有の方式にとどまり委縮した形で終わってしまうような気がしてならない。この辺り会社の体制だけはインターナショナルになったSONYがどこまで理解し考えているのか。そして彼らが推進する世界標準化に彼ら自身が乗り遅れることはないか今後の流れは非常に注目したいところだ。せっかくのグローバルな商品を日本から発信できる大きなチャンスである。半導体、携帯電話、PC、そして昨今ではTVまで他国にイニシアティブをとられている今、本当に何としてもものにしてもらいたいものだと切に願う次第である。

 

 ところで話は全然違うのだが、以前このBLOGでTPICにさせていただいたI-PHONEやアンドロイド向けのアプリを開発するスペクトラムビジョンのVOICE4Uが何と先月の日経BP主催アンドロイドプリケーションアワードの大賞を受賞した!昔からオーナーであるYUMIちゃんの苦労と努力を知っているだけに本当にうれしい!あらためておめでとうございます!

必ず再び立ち上がる!

 日本が未曾有の危機に襲われている。東北関東大震災の信じられない悲惨な被害に加え、福島原発の問題。海の反対側にいてリアルタイムで入ってくるニュースに何も力になれない自分が本当に情けなく思えてならない。
 震災から数日がたち、悲惨な状況がさらに明らかになると同時に復旧に向けた救助活動、支援活動も本格化してきた。GOOGLEによる位置情報を基準とした交通状況や行方不明者の検索など新しいITを駆使した支援体制の構築をはじめ、各地の団体や都道府県の支援、その活動に従事する人たち、そして原発問題の対策にも必死の覚悟で多くの人が頑張っている。
 今回こちら(USA)での報道を見る限りでは、このような未曾有の大災害にまきこまれながらも秩序を損なわない日本人の素晴らしさを絶賛しているNEWSやコメントが非常に目立つ。配給物資の受け取りにきちんと列を作って順番を待つ姿は、世界中のどの国の人々にも驚嘆に値するらしい。普通なら暴動や略奪といった行為が中国の四川やハイチの大地震でもみられたが、このようなことは一切起こらず皆苦しいながらも少ない物資や食糧を共有する姿に世界中の人たちが心打たれている。
 いままでこのブログでは、どちらかというと政治の体たらくに伴う閉塞感のある日本の経済状況を憂慮するような内容が多かったのだが、今回は自分もそんな日本人の端くれとして良かったと思うと同時に、このような連帯感をもってすれば日本は必ず早期に復興し再び立ち上がる!そんな気持ちを強く持った。この先は、支援体制とインフラが早期に確立され、多くの皆さんの活動で未だに孤立した被災者の救援活動のみならずライフラインの再構築に全力を挙げていくことだろう。原発の件も日本の技術力と頭脳の粋を集めれば絶対に解決すると思う。
そして、ひとたび状況が沈静化したら、きっと日本の産業界は、たとえば原子力発電に頼らないような省エネ製品を次々に開発したり、今まで以上に耐震に優れた素材の発明や建築技術を確立したり、ITを駆使し有事に問題なく機能し、個人にも使用できるネットワークシステムを構築したりといった産業を次々に創り上げ、再び技術の先進国として確固たる地位を確保していけるのではないかと思う。

 マヤ文明の暦に起因する2012年の地球滅亡説、ニュージーランドの地震に加え、中近東の情勢不安、そして今回の震災と原発問題、確かにこの説を現実化するかのような状況が続いている。しかし仕事関連の彼らの末裔であるメキシコ人の友人たちは、「そんなことはあり得ないよ」と語っていた。彼らにとって、このマヤの暦というのは2012年以降は新たな世界の創生を意味するのだそうだ。2012年以降に来る新たな創生の世界。日本は間違いなく今回の事態をステップに、その新しい世界に向かって邁進していく気がする。明治維新ですべてのインフラを覆しながら短期間で世界に君臨する近代国家を創り上げ、第2次世界大戦ですべてを失いながら驚異的な勢いで復興を遂げた我々日本人なら絶対に可能だ。
 そんな期待を持ちながら、とにかく被災者の支援と被災地の復興、そして原発問題の一日も早い解決を願ってやまない。日本の皆さん、頑張ってください!

 

2011年の年頭に思ったこと

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
 スミマセン、昨年は大分サボってしまいましたが、今年はもっと名前のごとくマメにBLOGもアップするように努力します!

 さて2011年、今年は一体どんな年になるのだろうか??
1968年、今から33年前に公開されたSF映画の超大作「2001年宇宙の旅」。今だに自分にとってはSF映画の最高傑作としての地位がゆるぎないこの名作の冒頭部分にサルが謎の黒石板に触ることによって何らかの知能の啓示を受け、縄張り争いをする他のサル軍団との諍いの際に動物の骨を使って相手を殴り殺すというシーンがある。つまりサルが動物の骨という道具を初めて手にした瞬間の映像で、その道具で誇らしげに物を壊すサルが、その道具を中に投げると、それが似たようなかたちの宇宙船になって宇宙を航行するシーンに切り替わる。この飛行船が今はなきPAN-AMということろが時代を感じさせるのだが、骨という道具がどんどん進化して最終的に宇宙船まで到達したということを短時間で暗示させる見事な演出だ。この映画は144分の超大作なのだが、その中のわずが数分の映像の中に何万年もの進化が凝縮されているわけだ。そんな時の流れの速さを実は最近よく意識するようになった。シリコンバレーは以前から、ドックイヤーの地と言われ、他の1年でここは7年先に進むと言われているが、最近はさらに加速がついた感がある。それは前回のblogに書いたI-PHONEやアンドロイドのAPPSに顕著だ。もう本当に近未来ものが続出。言い方を変えれば大げさかもしれないが完全にSFの世界である。
 さて、こんな物事の流れの速さの中で、日本はどのようになっていくのだろうか??携帯市場では90年代の半ばに、自ら撤退し日本という市場に固執して独自の進化を遂げ世界から完全に孤立した感がある状況は、同じような形でいま日本を代表する家電製品の真骨頂であったTV市場でもおこっている。そしてこの先、日本に最後に残された自動車市場に大きな波として押し寄せている電気化の流れの中で、既にレアメタル、電池技術、そして駆動系のモータ技術という基幹部分を新興国である韓国中国インドあたりに牛耳られようとしている状況は、残念ながら、この分野においても将来に暗澹たる黒雲がしのびよっている感が否めない。
 世の中がデジタル化して、その傾向が顕著になるにつれて冒頭の「2001年宇宙の旅」にみられた演出のように、ものの流れと言うのは恐ろしいスピードで加速している。デジタル技術はある意味、米に似ていると思う。最近は諸説あるが、自分が学生のころ歴史で習った旧石器時代から縄文時代は12,000年前から2,500年前までの9,500年間(もちろん、神々の指紋に描かれているようにその間に何度も文明の勃興があったとは思うのだが)。そして米が主食(弥生時代への移行期)になってからは、わずか2,500年で人類は宇宙にロケットを飛ばすまでに進化した。
 同じように電気の発見(ここではBフランクリンの雷が電気であることの発見)から長い変遷を経て培われてきた約250年のアナログ電気の世界が1980年あたりから普及し始めたデジタル機器の流れの中で、わずか30年でほぼ完全に過去のSF小説の内容を実現するにいたっている。まさに半導体が産業の米と言われるのはこのあたりに根拠があったのではないかと思われる。
  いづれにても、声を大にしていいたいのは、このような状況の中では高速で動いている産業の流れを確実につかんでいく感覚と判断力そして決断力が、非常に重要だと言うことだ。
 
 自分が子供のころ、はやったゲームに「人生ゲーム」があった(勿論当時はデジタルげーム機などはありませんでした)。このゲームのテレビのCMのコピーで「億万長者になるか、貧乏農場にいくか?」というのがあったと記憶しているのだが、今年、日本は、まさにこの両極端な未来のどちらになるかを決めるくらい重要な決断をしなければならないような時である気がしてならない。そして願わくは判断を間違えず「億万長者(大げさだけど)」になるための決断を確実にしてもらいたいと思う。