先週は久しぶりに中西部へのトリップ。テキサスは南端のマッカレン(メキシコのレイノサ)を皮切りに、テネシー、アトランタをまわってきた。基本的にこのあたりにあるお客様はいづれもカーエレクトロニクス関連。車載電装品のメーカーが中心だ。それにしても値段の下落がはなはだしいコンシューマー業界とは異なり、こちらのメーカーはどこも大忙しだ。これだけガソリン代も高くなるとやはり経済的な日本車の需要は高まるばかり。各社ともその自動車に搭載するアイテムの生産に追われている。やはりカーエレクトロニクスの強みは、この先どんどんと新しいものができる可能性があるということに尽きる気がする。特にガソリンに頼らず将来的には太陽電池など次世代の燃料の搭載が不可欠になってくれば当然車の電装率も高まってくるであろう。そして新たなテクノロジーの搭載という面でもその可能性はさらに広がると思われる。今回訪問したカーステレオメーカーが生産する商品には何と高級車向けにノイズキャンセレーション機能(最近ヘッドホンでよく見かけるマイナスの周波数をかけて騒音を中和してしまう機能)まで搭載されているそうだ。これによりエンジン音や風切り音はもとより外部からの騒音をなくしてしまうとのこと。凄い!別の知り合いの会社では脳波センサーの開発をしているのだが、このセンサーも将来的には車のシート(ヘッドレスト)に搭載され、眠気や注意力散漫を防止する機能を持たせることが可能らしい。当然、これらの生産自身も将来的には車載電装品メーカーの手にかかってくることを考えると、車の進化に伴って今後ますます需要は増え、必ずしも楽観視はできないが、将来性はかなり明るいような気がする。
ソフトウェア産業の行く末は?
ソフトウエアプログラミングではスパークリエーター並の凄い友人がいる。彼はだいたいエスティメートで月ベースで$数万ドルクラスの仕事をこなしているのだが、ある日、この手の仕事の相場に興味をもち、「恐ろしいサイトを見つけた!」と興奮気味に話してくれた。そのサイトというのがこれhttp://www.getafreelancer.com/。ソフトウェアの仕事に関する入札(オークション)サイトだ。企業主が無記名で日雇い、もしくはプロジェクトベースの仕事を公開する。それに対して、世界中からその仕事に対するBITが始まる仕組みだ。たとえば、あるソフトウエアの仕事があって予算として通常の時給換算で月100万円の予想を立てたとする。しかしながらその仕事は、その国の相場で考えられているわけだから、仮に月1万円もあれば十分暮らせる国の天才プログラマーが、生活費プラスαで、この仕事を2万円でBITすることも可能なのだ。当然、同じ国でも学生がアルバイトで、また会社勤めのエンジニアが副業でBITすることもまったく問題ない。こうなってくるとソフトウェア開発という仕事に関して言えば、ますます低価格化が進み、産業自身の構造が大幅に変わってくるようになるだろう。大手企業の経理担当の友人が以前はなしていたが、その会社のサーバーやイントラネットを構築する際には、そのハードの倍以上の金額をソフトの開発に費やしていたそうだが(もちろん大手がまとめて受注しソフトの開発はすべて外注展開をし、その差額を搾取しているものと思われるが)、こういう構図も将来的にはなくなるかもしれない。
最近携帯端末のOSとして発表されたGOOGLEのアンドロイドもベースはオープンソースで元は無料のLINUX、対抗馬のLIMOも同じくLINUXベースで、いままでハードの開発に比例して新製品の開発費の大部分を占めていたであろうソフトウェア開発という出費は、どんどんなくなってくる状況が今後は益々一般化していくと考えられる(その割にいろいろなものは安くなってない気がするけど)。
そうなってきたときソフトウェア産業というのはこの先どうなっていくのだろうか?興味津々。
雑誌の記事に
昨年の話になるが、御世話になっている民営化が近いN銀行の N部長を交えての地域活性化に関する談話の内容が、私の話がメインで雑誌の記事になったと同席していたK出版の方から連絡を受けた。とはいうものの、この談話は昨年、それも確か夏ごろだったような記憶もあり、もしかしたら年が明けて相変わらずドッグイヤーで猛進しているシリコンバレーの今のトレンドとはちょっとずれてしまっているかもしれないけど掲載の承諾をいただいたし特に後半の日本に関するくだり以降は自分が昔から感じ、繰り返し機会あるごとに話している事なので、ちょっとご紹介を!
地域経営と地域資源(10)
-シリコンバレーと日本を行き来する企業家のモノローグ-
地域に「育てる」風土と文化を
はじめに-編集部より
遠藤吉紀さんは、アメリカ・シリコンバレーの日本人起業家である。もともとは日本の中堅メーカーに勤務し、80年代後半にシリコンバレーでの現地法人立上げのため渡米された。その後、日本の親企業が倒産。しかし、現地法人の顧客から「アメリカでの取引は続けて欲しい」との要望もあり、アメリカでの自らの起業を決意し、99年ビーンズインターナショナルを設立、現在に至っている。
創業以来、日本の、とりわけ中小メーカーの優れた技術や製品をアメリカ企業・市場へ橋渡しするというユニークなビジネスを展開されている。そのため、アメリカをはじめとした海外電子部品市場の情報に精通する一方、2ヵ月に1度は“商品開拓”のため日本を訪れている。
そのような「複眼思考」の遠藤さんの目に今、アメリカ、シリコンバレーそして日本はどのように映っているのか。伺った話から日本の「地域力」鍛錬のためのヒントが見えてくる。
最近のアメリカ市場トレンド
最近のアメリカ、といっても広いので、私が居住するカリフォルニアを中心に話せば、総じてエネルギー、環境そして健康に対しての人々の関心が高まり、マーケティングもそれらの分野で、年齢や世代に応じたターゲットの絞り込みが行われている。
特に健康に関しては、もともとカリフォルニアにはオーガニック文化とも呼ぶべきものがあり、モントレーベイというエリアを中心に、オーガニック-有機栽培農家が数多く存在し、生産にビジネスにと熱が入っている。ただし、このオーガニックブームは、突然現れたものではなく、かつてサンフランシスコを中心に若者を魅了したヒッピー文化のころに端を発し、以前から潜在的にあった市場がここに来て顕在化しているのである。
もともとアメリカは国民全体に「健康管理」を意識する文化が根強く存在している。たとえばフィットネスやスポーツジムなどが日本に比べて活況を呈しているのも、このような文化的背景によるところが大きい。また、ご承知の通り、アメリカには国家が管理する健康保険制度は存在せず、また、企業単位でも日本では当然の企業負担による従業員の健康診断サービスも存在しない。健康は自分で管理するよりほかなく、しかも高額医療費が当たり前である。健康意識の高さは、このような社会事情の裏返しという見方もできるだろう。
それにしても、最近のオーガニック食品への関心の高まり、それに伴う市場の活性は健康管理意識からだけでは捉えきれないものであり、その意味で、新たなマーケティング分野が育ってきていると言うことができると受け止めている。
オーガニックはシリコンバレーも
このオーガニック食品への関心の高まりは、シリコンバレーにおいても同様である。たとえば、今や世界に冠たる検索エンジン企業であるグーグルでは、社内の社員向けレストランで提供される食材はほとんどオーガニック系素材を使用しており、しかもそれら食材・素材はシリコンバレー半径100マイル以内で生産されるものしか使わないという徹底ぶりとなっている。また、料理を提供するレストランやカフェの設置にも心が配られており、キャンパス内には施設が18ヵ所も用意されているのである。
このようなグーグルの行動様式には、アメリカ企業の風土としてもともと存在する、「社員へのふるまい」意識が作用していることも事実である。そのようなふるまいの文化に、オーガニックや環境・健康といった市場トレンド、消費トレンドを絡み合わせたサービスを提供することで、従業員のモチベーションを上手に高めているという点は、特徴ある企業経営のあり方ということもできるだろう。また、日本の企業にとっても、参考になる点を含んでいるようにも思える。
シリコンバレーの現況
ところで、シリコンバレーの経済・産業状況は、2000年のITバブル崩壊以降、目立って新規の会社が出てきているという実感はないが、かといって企業数は減っていないし、相変わらず「おもしろいこと」をやっている企業は生まれ続けている。たとえば、脳波や心拍数を把握して脳疾患や心疾患の予防に働きかける半導体チップを開発している会社がある。それらに共通するのは、技術的には半導体とバイオ、分野としてはヘルスケアである。つまり、医療・健康とITの融合を試みている分野が元気なのである。
これに対して、ベンチャーキャピタル(VC)は「事業化に失敗したら投資に見合った分を返せ」といった風潮も見られはするが、それは「金儲け」を主目的としたVCのことであり、潜在能力を持った人や技術を育てるためにする「育てる投資」は依然として続けられている。そして、それらの出資元はアラブ、中国、ロシア、ブラジルなど世界の資金が集まる国やエリアである。
シリコンバレーは「カネのあるところからカネを集める」という図式が相変わらず活発であり、この図式が、以前留学していた、あるいは親類縁者がいるなどシリコンバレーとの地縁・人縁を通じた「人の交流」に基づく「カネの循環」である点も相変わらずなのである。
シリコンバレーの日本人・日系企業は
ひるがえって現地の日本人・日系企業の場合は、「人の交流」に発したカネの流れはほとんどない。グローバル・キャタリスト・パートナーズを経営する大澤弘治氏のような企業家的バックグラウンドを持つ日本人投資家も若干は存在するが、彼らがパートナーとするのは、当地で確固たる地位を築いているインド人など「人の交流」で「生きたカネの流れを生む」ことを知っている人々である。
これら少数を除けば、日系VCはいわば大企業系サラリーマンであり、行う投資もリスク
どんどんタダになる!
少し昔の話になるが、日本の大手地図メーカーゼンリンのIT部門子会社ゼンリンデータコムの社長を務める友人と最近の状況などについて話したことがある。彼によれば最近のWEBの普及により、当然たくさんのビジネスが創出されている反面、どんどんなくなっていくビジネスも多いとのことで、その最たる例が彼の会社だと語った。今まではみな地図を買って目的地やら所在を調べていたが、いまは、YAHOO,GOOGLEで目的地の所在はおろか、ナビゲーションまでしてもらえる。そうなると地図を購入する人は当然のごとく減少し、それを生業にしている人にとっては大打撃となるわけだ。そのために同社ではIT部門の子会社を作り、このような状況に対応していく計画だったのだが、最近ではこの分野も限りなくタダに近づく傾向にあるという。考えてみればそうだ。だって我々は、先のようなSE各社が提供するサービスを当然無償で利用しているわけで、そのデータを供給している友人の会社では、そのデータ化に莫大な費用と労力を費やしたにもかかわらず、供給先からはタダ同然の契約を強いられていると思われる。確かにそうだと彼は話していた。そしてそのような状況でも生き残れるビジネスモデルやスキームを考えていかなければならないと真剣に話していた。
昨今のこコンピューター、携帯、そしてインターネットの普及によって、世の中はますます便利になり、それに相乗して情報、つまりサービスというものはどんどんタダになっていく感じがする。この地図の例だけでなく百科事典を買わなくてもWIKIPEDIAはあるし、専門書を買わなくてもたいていの情報はネット上で集められる。この状況は間違いなくサービス業、強いて言えば第3次産業自身に深刻な状況をもたらし、この先はさらに利益体質のスキームやモデルを維持していくことが難しくなっていくのではないかと考えられる。それもGOOGELやマイクロソフトのような、すでにこの手のインフラを押さえているGIANTが特定のサービスの無償化を次々に促進すれば、当然、関連のサービス業に携わる人たちを簡単に路頭に迷わすインパクトがあるということを、幸いにして製造業に携わり、そのような影響を自分自身は直接は被らないにせよ、少しは頭の片隅に置いておく必要があると強く感じてしまった。
サービス(気配り)の粋
サンディエゴに行きつけのコーヒーSHOPがある。サンディエゴの滞在中はいつも朝家を出るときに途中このお店に立ちよってコーヒーを買うことを常としている。朝の時間帯には、私のような通勤途中のお客や、地元の人たちが、歓談の場として利用しており結構にぎやかだ。当然オーダーを待つ人の列がいつも少しばかりできているのだが、ここの女性店員たち(皆若くて結構美人)は、私の顔を見ると「Hi, Yoshi」と声をかけてくれ、私が注文をしなくても、私のいつものオーダーを「これでいいわよね?」といって出してくれる。毎朝飲むコーヒーなので、今日はラテだけど明日はエスプレッソ…などと、ころころ変える人は当然少ないと思われ、私以外のなじみの客も皆同じような感じでオーダーがサーブされている。う~ん、やるな!と思う。思わずサンキューの一言と少し大目のTIPを置きたくなってしまうのが心情だろう。アメリカでは稀有な、こういうサービス(気配り)には粋を感じでしまう。
私の尊敬する知り合いに、アメリカでビジネスに成功し、まだ還暦前だが半リタイヤの生活をして人生を謳歌している大先輩がいる。彼は30年近く前にアメリカにわたり、無一文から今のステータスを築きあげた。当初、手に職も専門的な知識もなく、当然就職もかなわず、ほとんどできることがないので誰にでもできる掃除屋からはじめたそうだ。幸いある小さな会社の事務所の清掃を請け負うことができ、その仕事からスタートした。余計なお世話だと最初は思ったそうだが、見た目に殺伐とした雰囲気の事務所がちょっと気になり、自分が愛飲していたアップルジュースのりんごの形を模したかわいい小さな瓶が沢山あったので、それに庭の花を挿してトイレやレセプションなど、気になるところにそっと置くようにしたそうだ。もちろん仕事がきちんとできることが大前提だが、そんなちょっとした気配りが、その会社のオーナーに気に入られ、次々に知り合いや関連の会社を紹介してもらって急成長。数年後にそのビジネスを売却し、あとは持ち前の努力とサービス精神でいくつかのビジネスを成功させて今日に至っている。
本当に些細なところにビジネスのチャンスとそれを伸ばすか否かのヒントがあると思う。特にサービスに関してはカスタマーサティスファクションを常に全面に押し出しながら何をカスタマーサティスファクションだかまったく理解しているとは思えない対応を普通にする輩が多いアメリカにおいては、その傾向が顕著だ。サービス(気配り)の粋はその際たるヒントだと思う。
電機業界再編に対する一考察
少し古いが昨年末にシャープと東芝が液晶パネル事業で提携のニュースをきっかけに、日本の電機業界はこの先、提携や株取得による統合といった再編に加速がつくのでは?というニュースを今回の日本出張ではかなり耳にした。確かに以前から折にふれて話していることだがPC事業ではすでにソフトもCPUもマイクロソフトとインテルに取られ、最後の希望としていたメモリーも韓国勢にやられ、民生機器でいえば、IPODの出現に手も足も出せず、最近では御手芸のはずであった液晶、プラズマも韓国、台湾勢の猛攻に何とか持ちこたえようとしている状態。こんな中での再編には、その目的が自分の期待通りであれば正直なところもろ手を挙げて賛成したいところなのだが、果たして本当の目的は何なのか?という点に関してどうもモヤッした感が否めない。これらの再編ははたしてほんとうにグローバルな視点から海外の列強に対して日本がシェア奪回に向けて立ち向かっていこうというものなのか?もしくは自社の設備投資の軽減と利益の確保により国内でのシェア争いを優位に展開するためのものなのか?もし前者であれば本当に大喜び!古い保守的な体質を捨てて新たな生産体制の構築や市場の分析にも分野の統合によって今まで以上に期待が持てるところだが、後者であれば将来的な期待は残念ながらできないのが率直な意見だ。日本の企業を見ていると同じ商品での業績が1社が赤字だと他も赤字。1社が黒字なら他も黒字といいった個性というか特徴のなさを以前から感じる部分が多かったのだが、ただ国内の需要や利益を重視するための再編であれば外から見たら没個性の「ひとつの会社の」のように見えなくもない商品部門の内部統合で、終わってしまうような気がする。これが逆に変な意味で他国の漁夫の利になってしまわないことを願うばかりだ(もし後者ならの話です)。
少なくとも私個人としては、6ヶ月後のNEWSで「ヨーロッパ、アメリカ市場でシャープ、東芝連合がSAMSUNG,LGの大型液晶パネルのシェアを奪回!」の記事を心待ちにしたい。
プラズマ/LCDパネル戦線異常あり?
今週から本格的に仕事始め。昨年のクリスマス商戦の結果と2008年度のカスタマーの計画を確認すべくメインの客先に足を伸ばす。LCDのTV市場はやはり昨年の状況がそのままクリスマス商戦にも繁栄していて売れ筋だったのは大型のTVではなく32、37インチといった2~3台目の需要(子供部屋に置いたりBEDルームに置いたり)が中心だったらしい。日系の各メーカーが予想した大きくなればなるほど需要があるといったもくろみは見事に外れた結果になった。既にこのレンジは完全に台湾、韓国そして中国の独断場。最近では37インチが$500をきる勢いだから正直なところ既に日系の各メーカーが太刀打ちできる状況では無い感がある。そんな中、2008年の南北アメリカのLCD市場は今後どうなるのか?断片的だが色々な意見で気になったものを書いてみた。
ー2008年は昨年と同じように32,37インチといったLCDTV需要が堅調だろう。
ただしこれらのサイズのTVを作っても既に韓国勢でも利益を出すことはむずかしい。
ー昨年パネルの工場をメキシコに作ったS社はTVではなくパネルの販売という戦略でこの
状況を乗り切る方針。
☆さずか目のつけどころがシャー○でしょ!
ー韓国製のパネルの使用で何とかアメリカ市場を確保したS社。今年は台湾勢のVISIO,
EIZOに挑むべく中国製のパネルに切り替えて全面対決の構え!
☆社長がアメリカ人になって、終わってしまいましたね…
ー台湾のLCD製造メーカー最大手のチーメイの予測では20087年も32、37インチを中心
に20インチの需要が伸びるだろうとの見解。
なぜ20インチか。それはGAMEの需要が伸びるという意見
☆なるほど!ゲーム市場を席巻しているわが国は、この需要に気づいてるのかな?
ー高級路線で北米市場では堅調な伸びを見せたP社。ただ同製品の中南米、南米での伸び
は期待できそうも無い。商品名のKUROはスペイン語で「ヶ○の穴」の俗称だからだ。
☆カルピスと同じですね~もうすこし配慮が必要では?
ー大型スクリーンでニッチ路線で行くM社は今年もこの路線で突き進む方針。
☆いいですね、これこそ日系企業の進むべきスタイル!
ーCESで150”の巨大プラズマスクリーンを披露したP社。
☆でも、このサイズの生産コストに見合う需要はあるの??
というわけで、2008年のLCD/プラズマ戦線では日系企業の躍進に期待したいところだが、なんとなく他のアジア勢に最初から分がある感じが否めないのが悲しい。ただ、独自路線のM社やP社、パネル工場をつくったS社などなど、まだまだ十分頑張れる余地ありなので彼らを中心とした今年の活躍に期待したい!
2008年は「ウェブ時代をゆく」
2008年が幕を開けた。今年はどんな年になるだろう?サブプライム問題、原油価格の高騰、アフリカ、パキスタン、そして中近東問題。少なくとも昨年の不安要因をそのまま残したかたちで新しい年はスタートした。このような情勢が自分の仕事にどのように影響するかについては実際にビジネスが動き出してみないことにはわからないと思う。しかしながら、この激動(あえてそう呼ばしてもらおう)の時代に去年と同じことをしていては何の進歩もないので、何か新しいことを少しでも考えて行きたいというのが自分の希望だ。そんな中、昨年末(11月)に刊行された梅田望夫さんの新作「ウェブ時代をゆく」を読んで、すさまじく感動した。そして「これはうかうかしていられない」という気持ちを強く抱いた(梅田さんの本を読むといつも自戒の念に駆られてしまいます…)。とにかく衝撃的な本だった。そして私自身の2008年のテーマは、この本の内容を咀嚼することから見つけてみようと思った。
まず序章の「一身にして二生を経るが如く」という環境に自分がいるということ、そして梅田さんも書かれているように「あとの半分」を過小評価することに対する危機感を残念ながら強く感じてしまった。それほど自分の生業において、この時代の最大のメリットをほとんど生かし切れていないということだ。会社のHPは持っているが正直言ってしまえばこれは会社案内以外に何の役目も果たしていない。逆に競合メーカーに会社の情報をさらけ出しているだけの状態かもしれない。ホームページのコンセプト自身が昔のままで何の進化もしていないのだ。自分自身も、よくよく考えてみれば単純に情報収集とコミュニケーションの手段としてしかインターネットを利用していないのが現状だ。確かに昔と比べたら物凄い効率のよさと時間の短縮にはつながっているが、その分の時間を有効に使っているかといえば相変わらず仕事中心の毎日で、効率が良くなった分、今までの何倍も仕事をしているはずなのに、その見返りは何倍には程遠い世界だ。
本書はこのような状況からいかに進化し「どういう心構えをもって生きていくべきか」ということをテーマに数々の指針をあたえてくれた。そして文中にちりばめられた数々のキーワードは2008年の自分の心構えを構築するのに必要と思われる。「好きを貫く精神」、「けものみちを歩く」、「知のゴールデンエイジ」、「手ぶらの知的生活」、「群衆の英知を身につける勉強法」、「自らの内部にカサンドラを持て」、「ウェブリテラシーの習得」、「自助の精神」そして「もうひとつの地球」。本当に挙げていけばきりがないが、その一つ一つがすべてこれからの自分にとって参考にすべき事柄であると思った。詳細に関しては、ぜひ本書を読んでいただきたい。
さて、少しまとまりがなくなってしまったが、先にも書いたように私はこれらのキーワードを咀嚼し理解することから、これからの生きざまを構築するのと同時に、「自分の生業に時代に即した変革を加えていく」ということをテーマに2008年を駈けてみたいと思う。
最後に梅田さん、いつも本当にありがとうございます!
TECHWELL小里社長の講演会を聴いて
11月28日に、半導体メーカーTECHWELLの小里社長の講演会を聴いた。小里社長には、かつて起業家支援の活動をしていた際にお世話になったことがある。この小里社長率いるTECHWELLは、単独でアメリカで起業した日本人社長として初めてNASADAQ上場を果たす、という快挙を成し遂げた会社だ。その小里社長が起業からNASADAQ上場までの話をしてくれた。
もともと日系企業の半導体部門の営業担当から会社の融通の無さと報酬への疑問から起業にいたった経緯や、会社の運営を通して上場までの流れを非常に端的に説明してくれた、その話の中で特に興味をもったのは、会社の経営と上場へのプロセスにおいて、超優秀な人材の確保とそれをマネジメントするチームワークがいかに重要かという事。加えてそのマネジメントにおいてメンタルな部分では同じ志を持ちその目標達成に向けては”頑張るという根性”が重要であるという点だった。ともすれば個性が強くなりがちな秀才エンジニア達を”同じ志と根性”という点で纏め上げていくというのはある意味非常に独特ではあるが一番基本的なことではないかという感じがした。もちろん、そのまとまりの背景にはストックオプションというインセンティブがあることは否めないが、かれら秀才エンジニアたちの手によって確実に売れる商品を開発し、短期間で製品化していくという方法で、上場を達成したのだからものすごく説得力がある。
もうひとつは、日本人の社長でありながら、日本からの投資を最初から一切期待せず、海外、特に台湾、韓国といったエリアからの資金調達を中心にしている点、併せて製品も日本よりは先にアジアやヨーロッパのマーケットを中心に販売展開していたという点だ。小里社長自身が今までの会社員の経験で、日本企業の融通の利かなさや物事の決断に時間がかかりすぎる点などを重々理解してのポリシーだと思うが、私自身も常々主張している内容と方向性が同じだったので興味深かった。
投資に関してのコメントで”日本の投資家は会社員であるからリスクを負うはずがない”と断言されている点など非常に共感がもてた。私自身は残念ながらというか、投資にはまったく無縁で会社を運営しているので生意気なことはもちろんいえないが、アメリカの会社の動きのダイナミックな部分との比較を考えれば、その最初の重要なポイントである資金調達という点で、既に日本とアメリカでは歴然とした差があることを感じざるをえなかった。
こちらにいる日本人の起業家達は残念ながらその安易さ(だと思うが)ゆえに日本の市場を最優先にしたり、日本からの投資を期待したり、はたまた日本の政府関係のインフラに何とか付込んで、ビジネスの展開をしようと、してしまったりする傾向が高いのではないかと思う。かく言う私もアメリカにある日系メーカーを相手に商売しているのだが、ホンキで上場を考えたりするのであれば、まず日本との関係という概念を最初から払拭するとが先ず重要なのではないかとつくづく感じてしまった次第である。
製造プロセスのニッチを探せ!
先日客先であるM社のプロセス担当のNさんとMさんと歓談。現状の製造プロセスのお話などをうかがう。最近は同じTVを生産するにしてもブラウン管時代の片鱗もないほど、その内容は様変わりしている。今までのアナログからデジタルへの移行により、生産設備の精度向上や、人が介在する工程が減ったために、ある意味でプロセスにおける不良は激減したという。ただポカミスやオペレーションの不備に伴う些細な問題が、品質に大きな影響を与えるようになった。というのも生産される商品の単価が上がったからだ。このような本当に些細なミスや問題点の解明と解決が歩留まりの向上に不可欠となる。ただそれは本当に小さなことで、それを探し出して対策するということはなかなか骨の折れる作業だという。たとえば今まで恒久的に発生していた部品の挿入ミスなどの不良が最近では実装機の精度向上や機能アップにより、ほとんど見られなくなったが、突発的な同じ不良は継続して発生するらしい。その不良を解決するためには、まずいくつもの要因が重なり複雑怪奇になった原因の究明に多くの時間を費やさなければならないらしい。
話をうかがいながら考えた事は、私の立場から言えば、そこにニッチが存在する。同じ製品を生産していれば同業他社も同じ問題に頭を抱える場合がほとんどだと思うが、その問題を解決できるツールや資材を発掘もしくは開発していけば、需要は見込めるということだ。もちろん自分が無知ではいけないしプロセスを理解していかなければならない。ただ、そんなところにもう少しフォーカスしていけば、まだまだチャンスはある気がした。些細なことでもアテンションして商材開拓にうまくつなげていきたい。
米)BEANS International Corporation代表。 神奈川県出身。1988年に渡米。10年間の駐在員経験のあと1999年に独立しシリコンバレーにて起業。同地で一貫して次世代産業を支える製造業関連の仕事を継続し現在に至る。