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GOOGLE TVの方策は?

来週からラスベガスでコンスーマーエレクトロニクスショウ(以下CES)が開催される。TV業界ではいつもきまってその年の目玉のようなものがある(たとえば昨年は3Dなどなど)、けれども今年はそんな噂を聞くこともなく一体何が出てくるのだろうね~などと客先でも話していたのだが、年末近くになってi‐TVの噂がちらほら出始め、ここにきてGOOGLE TVが新たなパートナーとともに再出発というNEWSがリリースされた。今までGOOGLE TVはSONY(生産はメキシコのFOXCONNがメイン)とLOGITECHの2社だけだったのが、アメリカで絶大なシェアをもつSAMSUNG, VISIOに続いてLGもパートナーとしての参加を表明。基本的にはアメリカ国内のシェアの50%以上を占めるメーカーたちが全てGOOGLE TVのパートナーとなった事になる。
GOOGLE TV, 表現を変えれば当時で言うインターネットTVだが自分のブログにも以前書いたように2010年の終わりにSONYが受注し同社のOEM工場であるメキシコのFOXCONNでコードネーム”アシュラ”プロジェクトとして月産で10万台以上の鼻息の荒い数字を打ち出し2008年のリーマンショックで殆ど立ち直れないくらいボロボロになっていたメキシコ(ティファナ)のTV産業地帯では同社の関連協力工場でも歓喜に包まれながら生産がスタートされたにもかかわらず、翌11年の春ごろには生産のほとんどが打ち切りになってしまうという悲惨な状況で終焉してしまった事が強く印象に残っている。最初にパートナーとして同じくセットトップ型の販売をスタートしたLOGITECHも最終的には昨年の11月でその生産を中止している。それから1年もたたないうちに、今度はアメリカで大きくシェアを持つSAMSUNG, LG,VISIOが参画するというのは(残念ながら日本軍団はアメリカでのシェアは今ほとんどないのが現状です…トホホ)、何か特別な方策もしくは秘策(?)でもあるのだろうか?
先のGOOGLE TVの失敗の原因の大きなところは、業界ではキーボードが使いにくいとかコンテンツが煩雑、思ったより使えるものが少ない…という部分がクローズアップされていたのだが、私はSONYの場合、TVにこだわったところに大きな敗因があると思う。既に2011年と言えばどこの家庭にも薄型のデジタルTV は浸透してるので、新しい機能のTVとはいえ、そこにもう一台新たに販売価格$600(当時)の30”とか40”のTVを購入すると考えるとその必要性がないと判断されてしまったことが大きかったのだろう。マーケティングの失敗だ。それに引きかえ、ちょうど同時期に発売されたAPPLE TVは、最初からこれら既存のTVに接続できるセットトップBOX(以下STB)で、値段も$99と超お手頃価格。加えてI-TNUESの機能も勿論使うことができて利便性もありという事で実際のところはだいぶ売れているらしい。確かにこの価格であれば、プラットホームとして使える機能や配信数が少なくても何か一つでも利便性の高い機能(アプリ)が使用できればそれだけでも満足!という気になれるところも大きいかと考えられる(LOGITECHの敗北はアップルと同じ$99だったが、単に知名度のなさとコンテンツの少なさにあるのではないか)。いづれにしてもこのような失敗(実は自分もいろいろなプロジェクトがキャンセルになったりしてかなり大変だった)を目の当たりにしてきた自分にとって、今回のGOOGLE TVの巻き返しがどのような方策で展開されてくのか非常に興味のあるところだ。勝手な想像だが、この方策は機能的にインターネットTVがスマートTVに昇格するようなものではないかと思う。勿論自分自身でもインターネットTVとスマートTVの定義が不明瞭なのだが、単純なイメージでいえば、携帯電話で考えると、それにインターネット機能が付いたものと、それに加えて色々なアプリの使用ができるようになったもの、の差のような感じがする(あいまいでスミマセン)。兎に角、この先スマートTVがどんどん普及しGOOGLE TV(パートナーが主体生産だが)だけでなくAPPLEのi-TVも現実のものとなり、もっともっとハードウェアの需要が出てくれれば、これらの新機能TVはプラットホームとしての役割が非常に重要になりソフトが占める割合が大きくなってくるのでハードウェアでの出番は少ないかもしれないが、TVであれSTBであれ生産数が増大するということは製造業にとっては、電子、機構部品レベルの参入機会の増大や、もしかしたら有機ELの使用が本格的になり、これにかかわる関連部材や、またまた薄型対応に伴う冷却技術等の分野で大手が受注するOEMでの生産も含め、日本勢が活躍できる可能性は十分にあり、非常に望ましいことだと思う。
来週から始まるCESで、この新しいGOOGLE TV(スマートTV)がどのような方策(機能と性能)をもってお披露目されるのか今から非常に楽しみだ。

 

シリコンバレーで”ものつくり”を考える!

2012年になりました。日本の中小製造メーカーの駐在員としてアメリカに乗り込み、その後の独立を経て早いもので23年が経過しました(*駐在員時代のエピソードや記事は「シリコンバレーからの風」でご覧ください)。

その間、ここシリコンバレーで80年代の後半からのPCブームの勃興から衰退、そしてインターネットの隆盛にともなう1998年からのITバブルのゆりかごから墓場までを肌で体験する事ができたことは自分にとって素晴らしい経験になりました。その後のシリコンバレーはITバブルの崩壊からGOOGLEをはじめとする巨大IT企業の登場によって新たな創世記を迎え、APPLEの復活と大躍進、そしてSNS,SMMを中心とした第2の新しいIT潮流、加えてクラウドをはじめとした技術革新で世界のエレクトロニクス産業のトップを再び爆走しています。

そんな大きな流れの中、残念ながら衰退の一途をたどっているのが日本のコンスーマーエレクトロニクスをはじめとした”ものつくり”産業です。白物家電はもとより、かつてはアメリカ全土を席巻していたTVは、いま大きくそのシェアを韓国勢に奪われ、90年代には殆どの日系メーカーがこちらで生産していた携帯電話も今は見る影もありません。加えてこの先、電気自動車が普及していく大きな流れの中でガソリン自動車の既存のインフラで成り立っている日本は新興勢力にどのように対抗できるのか?この状況にも憂慮の気持ちを隠せません。そして電機、自動車の大手企業のバックアップを生業としていた日本の多くの中小零細企業は大手の計画に翻弄されながら、彼らの矛先の中心である東南アジア、中国に共に進出し価格競争にさいなまれたあげく需要の衰退とともに消え去ってしまうという話も非常に多く耳にします。

ところで、IT産業のメッカであるシリコンバレーには公証値ですが今だに電子電気産業を中心にそれらに携わる5,000社以上の板金加工、塗装、切削、精密加工、成型等を行う中小零細企業が存在している事はあまり知られていません。実は彼らがこの地が生み出すの革新的ハードウェアーの舞台裏で活躍しているのです。製品のプロトタイピングや量産品の基幹部品の製造、そして新規テクノロジーに呼応する柔軟性を持った彼らのアクションはまさに日本の中小零細企業と何ら違いがありません。

自分自身が日本の中小企業の出身でこの地でITの大きな潮流を製造業の分野という違った角度で見続けることができた事は、自分にとってはプラスになっているだけでなく、この地で得た多くの地場の中小零細企業との長年の付き合いを通じて彼らの生き様が、もしかすると日本が再び大手の企業の庇護に頼らずグローバル化を目指すためのヒントであるように最近強く感じるようになりました。そして今だからこそ日本の中小零細企業が生き残る選択肢の一つとして、流れの下流であるアジアを中心とした量産エリアではなく、まず源流である世界の超一流メーカーの集結する、このシリコンバレーに新規で切り込む事が真のグローバル化につながる可能性を秘めているのではないかとの結論に至った次第です。
特にこれからは、GOOGLEやAMAZON, FACEBOOKなど大手IT企業のハードウェアでの武装化、WIIMAX、LTEといった新規通信ネットワークに対応する新しい通信システムや関連半導体の開発とその製造プロセスの革新、クラウド化に伴う大規模データセンター製造開発の可能性、そしてモーターやバッテリー、スマートグリッドに関連するグリーンテック系の開発製造等々、世界のリーダーとしてのこの地の役割はハードウェアの分野でも益々、重要になってくる事と思います。
そんな中で、私は今年からシリコンバレーに居る自分の役割として今まで継続してきたBLOG「ビーンズ社長のマメに働いています」(過去ログはそのままこちらに転載しています)の、ともすれば日本の衰退ぶりに、ため息ばかり出るような気持ちの吐露ではなく、もっとPOSITIVEな思考で今の現状を考える事にしました。そして、このシリコンバレーで、今までの経験に基づき日本では既に過去のものとなりつつある”ものつくり”という視点で、上記の状況や最新情報、この地で考えた事をランダムに発信していきます。その内容が模索を続ける日本の中小零細企業の新たな活路として、復活とグローバル化にほんの少しでも役に立ち、超円高、生産コスト高いう負の要因にも打ち勝つ企業が1社でも多くアメリカで成功を収める事を願いながら力ある限り継続していきたいと考えています。

お時間のあるときにぜひご笑読ください。また率直なご意見等お聞かせいただけると嬉しいです。
よろしくお願い致します。