大変遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
気が付いたら何と既に2月^^;;。やはり世の中の流れが早いと本当に時間が経つのも矢の如しの感じがする今日この頃、まあ多分に年齢も関係していると思いますが^^;;。
さて、日本を除くアメリカ、ヨーロッパを中心とした国々では、コロナ規制の大幅な解除を行い、大きくこれからの経済復興へ始動し始めた。残念ながら日本は、まだまだ鎖国状態が強要され意味のない税金の浪費に繋がる水際対策に終始している。その間、列強はコロナ禍中で学んだ多くの教訓や経験から新たな経済や産業に一足先にスタートしているような状況だ。このような背景により過去2年のコロナ禍に於いて世の中の産業、特にモノづくりの世界は大きな転換期を迎えている。
非接触が当たり前になる中、ロボットや自動運転を備えたスマートモビリティなど新しい分野の製品が続々と開発され、リモートワークが主流になる事で、通信ネットワークの拡充やそれに伴う端末やインフラ整備に必要なハードウェアの需要増大、そしてこれらの根幹になる電池や、半導体、軽量化や強度強化に必要な新たな素材開発など、言い方を変えれば新しい分野、製品、などの開発が目白押しの状態だ。 最近では、AAMGT(アマゾン、アップル、メタ、グーグル、テスラ)などの巨大企業もIT分野で確保した市場を盤石なものにするためにハードウェア開発に積極的に取り組み始めている。
また半導体の供給不足に伴う急激な需要拡大で、老舗のインテルを始め、半導体製造設備のアプライドマテリアルなどの巨大企業も超が付く忙しさのようだ。
以前から何度も紹介してるが、ここシリコンバレーは未だに数千社の中小の製造工場という其の莫大な需要をつかさどるインフラがある。彼らはそれなりに市場の需要に立脚しながら新陳代謝を繰り返して、この怒涛のような時代の流れに上手く乗っているが、昨今、更にその動きに対応し、特に試作市場の需要急拡大で、どこも大忙しの状況だ。
これらの需要を見ていると、やはり将来的には、新しい製品や部品、素材といった分野で益々ものづくり市場は広がってくるし、彼ら巨大企業や新興のスタートアップ企業が持つ潤沢な資金によって、更に新たな新規産業への舵切りが大きく行われていると強く感じる。
つまり、新規産業、製品などの製造に携わる事によって、市場の流れをつかみ、また時代のトレンドに合致したモノづくりで、将来に向けての方向性や需要に対する柔軟性を見出すことが必要不可欠になると思うのだ。
翻って今の日本はどうだろうか? 2年間にわたる鎖国状態によって、益々孤立化を余儀なくされている中、付き合いのある中小町工場の状況を見ると、このような今の先端を行く製造業の実情が全く伝わっているとは思えず、ただ単に黙々と現状の売り上げ確保と維持に精を出しているような感じがする。
実際に付き合いのあった山形県の町工場、それなりに実力もあって定期的に仕事もお願いしていたのだが、以前から付き合いのある馴染みの大手メーカーかの仕事が活況で、そこを優先させるという理由から、こちらからの仕事の依頼をやんわりと断られてしまった。少なくともウチから出している仕事は、最先端を行くEVメーカーからの注文だが、そういった新たな需要への感心より、やはり安定した収入を確保できる生業を維持する事が第一優先なのだろう。勿論、同社に限らず、日本も現状の半導体不足による製造設備の需要拡大などで、町工場の中には、かなり繁盛しているところが多いと聞いてはいるが、それがいつまで続くかについては、前述した環境の激変の中では何の保証もない。
特に、この先の化石燃料自動車の減産がもたらすインパクトは計り知れないものがある。絶妙のタイミングで、今年に入って経営不振による会社更生ADRを申請した自動車業界の超大手企業マレリの状況が、この先の行く末に対する警鐘だと考える。
かつて自分は実体験として、日本の携帯端末事業やTV産業の崩壊を目の当たりにしてきた事から、間違いなく自動車産業も、この先の10年で大きな衰退を余儀なくされると数年前から訴えてきた。にもかかわらず、「電気自動車(EV)の位置づけがスマートフォンと同じ端末の一つになる」という状況をしっかり理解している企業は殆どないのが現状のようだ。そうなると、今はまだ需要のあるエンジン部品を製造している中小町工場は、この先どうなってしまうのだろうか?
何度も言うが、今こそ、この将来の状況を踏まえた上で既存のビジネスを制限してでも新たなイノベーションに向けて方向性を変えていく必要があると強く感じる。
自分の大先輩で、アマゾンJAPANの事業本部長として同社の日本展開を主導してきた谷さんは、著書「アマゾンメカニズム」の中で、「日本企業には”リスク回避を選択する本能”が植え付けられている」と指摘していた。本書の記述にあるとおり確かに今までは、いい大学を出て立派な企業に就職し終身雇用と年功序列が保証される環境にいれば、敢えてリスクを取る必要はなかったのだ。またそのような企業の協力工場として付き合っていれば、努力せずとも経営を維持できる潤沢な仕事が確保できたのだろう。
この環境状況から自分的に考えると、現状の100%の安定した売り上げを5年後に130%にするため、現在の売り上げを80%にしてイノベーションに力を入れるという発想になる事は殆どないかもしれない。
ただ世の中の激変は、もうそれを許さない。特に更なる改革に加速がつきそうな2022年は、
新たなイノベーションに向けてリスクを取って舵が切れるか?
が非常に重要になるであろう。毎回、同じ締めくくりで恐縮だが、是非一考いただきたいと願う。