第15回 学歴社会アメリカ

2004年が幕を明けて1ヵ月。通常この時期になると日本では就職活動に躍起になる、慣れない背広やスーツ姿の若者が目につきますね。
 バブル崩壊後の就職氷河期といわれる状況は未だに継続しているのでしょうか?最近日本もネットによる活動をする企業が7割を越えたと聞きます。クリアすべき必要最低条件が増え、”仕事に就く”ということが、より難しくなってきている様子が伺えます。日本では4月という期の節目の入社が一般的で、それに合わせて就職活動をするのが普通だと思いますが、アメリカでは会社の採用に決まった時期というのはありません。通常採用といっても若干名という場合がほとんどですし、就職活動をする場合には常に候補の企業の採用情報などに目を光らせておく必要があります。

学歴社会アメリカ

 我々からみるアメリカは自由と平等の国、実力さえあればその能力を十二分に発揮できる国というイメージですが、いざ就職に関していえば、アメリカは日本よりもさらに厳しい学歴重視の状況があります。
 基本的には会社の大小に関わらず求人情報には「当社はすべての人に対し、平等に採用を行います。」のフレーズがあり採用資格の頁にも必ず「大学院、博士号所得者もしくは同等の能力を有する・・・」の項目がありますが、<同等の能力を有する~>は平等性を強調するための修辞句のようなもので、基本的には高学歴者が最優先のようです。営業やマーケティングという職種に関してもMBA取得者がいまだに一番もてはやされています。エンジニアリング職種に就職した人はその専門の学位を持つことが不可欠ですし、エレクトロニクスやバイオ関連の企業であれば営業職でもその専門の学位が望ましいという状況です。日本の求人広告のように「やる気のある人ならば大学の学位は不問」といったようなフレーズはまず見かけません。
 高学歴に加えてその専門分野での経験があればこれはBESTですが、経験もある意味非常に曖昧、学歴に今一つ箔が無い、そういった場合には自分はいかにもすごい経験をしてきたかを、履歴書を使ってPRすることになります。そしてこれが、こちらでは一般的です。履歴書というより自分のプロポーサル(提案書)。最後に卒業した学校名を書く以外は、全て自分はどういう環境でどういう仕事をしてきたかということをドラマティックに表現します。この履歴書作成を手伝うビジネスもあるくらいです。
 このようにバラ色(?)の履歴書の中から人材を採用するわけですから、採用側の面接もそれなりに慎重になりますし、最終判断の際には必ず前の職場にコンタクトを取り、しっかり勤務状況などを確認した上での採決になります。これらは、日本ではあまり見かけない習慣です。
 またベンチャー企業の中でも大企業に成長した会社には保守的に見えますが、学問のようなものも存在し、出身大学によって(シリコンバレーでは西のスタンフォード大学と東のUCバークレイが有名)出世ができたりできなかったりという話もよく耳にします。
 スタートアップや中小企業にとっても、一番の負担である人件費をいかに短期間で回収し、それ以上の売り上げに貢献できるかが人材採用をすることが不可欠になっています。その人間を育成し、自社に貢献できる人材に育てていくという発想は基本的にはありません。もちろん社内での昇給や昇進より会社を替わることによってステップアップをしていくというのが一般的なシステムのアメリカにとてはなおさらかもしれません。
 このように学歴が就職には重要なポイントになるため、エレクトロニクスの集約地であるここシリコンバレーで育つ子供たちも裕福な家庭の子弟以外は、そのほとんどが理系を目指します。こういう状況が移民してきた外国人にとってはさらに過酷な状況であることは容易に想像できると思います。が、この地で起業する外国人の多い要因の一は、この「過酷な状況」があるからこそ、とも思えてなりません。

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2 comments

  1. Max Saito より:

    偶然このサイトを発見し、初回からこの回まで読ませていただきました。ここで独立し、成功されているご様子、頼もしく思いました。僕は1980年にカナダに移住、3年後にここシリコンバレーに再移住して以来、製造機械の設計を続けてきて現在は引退しています。その間7回の転社をしました。NetworkとReputationですね。誘われるとついフラフラと…。失敗した会社、鳴かず飛ばずの会社等も経験しましたが最終的にはまぁまぁ上手くいったかなと言った所です。
    次回は既に軽く触れられていますが、ストックオプションを含む日本との給与体系比較を具体的に説明してはどうでしょう。これは優秀な頭脳がここシリコンバレーに呼び寄せられる鍵の一つですから。
    日本が技術立国、ものづくり大国を目指すのであれば技術者と技能者の待遇を大幅に改善する必要が有ると思うからでも有ります。

    • Yoshi より:

      SAITO様
      返信が遅れ申し訳ございません。最近膨大なスパムメイルが届くようになり、マメにコメントを見ておりませんでした。
      大先輩からの具体的なご意見ありがとうございます。給与体系の差は本当に大きいですね。日本からエンジニアが来る場合にはそれにVISAの問題もあったりで
      なかなか、状況的には難しい感もあります。是非またいろいろ検討をしてみたいと思います。ありがとうございました!

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