第13回 素顔のシリコンバレー-その5

90年代半ばからIT産業のメッカとして隆盛を極めたシリコンバレーも2000年のバブル崩壊以降ほとんどいい話もないまま3年が過ぎようとしています。とはいえ、最近の「アメリカは少しずつ景気を取り戻しつつある」という観測、シリコンバレーでもようやくその兆しが見えてきた感があります。「この先の発展はもう見込めないだろう」との観測が強かったネット関連企業各社も、数こそ淘汰されたものの、確実に息を吹き返しています。
 たとえばインターネットの普及に呼応し、そのルーターの生産で一大企業になったシスコシステムズやユニックスサーバーの雄サンマイクロシステムズ。ここ1~2年は株価低迷や大幅な人員削減を余儀なくされましたが、生産量を徐々に増やしてきました。ハードウェアの企業だけでなくデータベースソフトのオラクルやポータルサイトで世界を席巻したYAHOO、ネットオークションという新たなビジネス市場を切りひらいたEBAYも堅調に売り上げを伸ばしています。
シリコンバレーの起源とも言える半導体企業各社も、昨今のデジタル化に呼応し、多岐に及ぶ製品供給を中心に更なる巻き返しが期待されています。特にこの分野では、革新的なデザインや開発の部分で、多くのベンチャー企業が再び脚光を浴びてきました。
 いままでITバブルで多くの痛手を被り投資には慎重にならざるを得なかったベンチャーキャピタル各社も、最近この分野への投資は活発になってきているようです。
 これらが牽引力となり、これらの企業をバックアップする中小企業も徐々に回復基調にのり、将来的に期待が持てるようになることでしょう。
 もちろん、いままでの半導体、PCそしてインターネットのような大きなビジネステーマは未だに見出せていないのが現状ですが、シリコンバレーは着実に復活を遂げようとしています。その原動力は何なのでしょう?

マーケティングの重要性

日本はバブル崩壊依頼10年以上、残念ながら未だにその活路を見出せずにいます。複雑な不況構造が全般的な回復に時間をかけていることは否めませんが、この間には、IT産業の隆盛や次世代家電(TVなど)を要因にした経済復興のチャンスもありました。が、これらを起爆剤にできぬまま現状まできてしまったような気がします。
 確かにアメリカでも兆しは見えたとはいえ、まだまだシリコンバレーの失業率は7%もあり、回復には時間がかかるかもしれません。それでも、ネットバブル崩壊後わずか3年で、既に力強い兆しが感じられます。
 それは何故か?先にあげたようなアメリカの企業は、規模にもさることながら、それぞれが非常に特化した分野で確実に世界標準となる商品、また不況時でも確実に重要のある製品の供給を続けています。つまり市場にある需要を確実に把握した上での製品開発がなされているのです。
 アメリカについていつも感じることは企業の大小を問わず、このような市場分析、つまりマーケティングに非常に時間とお金を投資しているという点です。これが復興の鍵を握っているような感じを強く受けます。
 日本は、かつての技術立国の性格からか技術が常に前面に出る。つまりすばらしい製品を最高の技術で作ることが常に選考して、それが市場でどのように売れるのか?儲かるものなのか?という部分が後回しになっているように思えます。「個性的」という意味でも残念ながらアメリカの持つような独創性は感じられない。最近の家電量販店の店頭にはプラズマ、液晶といった次世代テレビがかなりの種類、展示されていますが、その画面の下にあるメーカー名を隠してしまったら、どこのものかはほとんど見分けがつきません。携帯電話しかりです。
 シリコンバレーを象徴するコンピューターメーカー・アップルコンピューターは、隆盛を極めた80年代から一転、90年代には倒産の危機が叫ばれるまで業績が落ち込みましたが、現在のではさらに個性を前面に打ち出したPCとIPODという新しい音楽メディア機器で再び盛返しをはかっています。このアップルに代表されるマーケティング重視のストラテジーが、短時間での復活を可能にする原動力のひとつの要因である気がしてなりません。

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