第12回 素顔のシリコンバレー-その4

シリコンバレーで日本人起業家らのネットワークが生まれ始め、それらが新規の起業や中小企業の対米進出についてもサポートを行っていることなどを前回は紹介しました。SVJEN(シリコンバレージャパニーズアントレプレナーネットワーク)も、そういうネットワークの1つでしたね。今回は、その具体的な活動をもう少し詳しく紹介したいと思います。

“ならでは”の日本人支援あれこれ

 SVJENは2001年、奇しくもアメリカのITバブルが崩壊しシリコンバレーが一瞬にして瓦礫の山(はオーバーか…)と化してしまった年に、シリコンバレーの日本人起業経験者有志によって立ち上げられました。
 諸外国のネットワークに比べ、あまりに脆弱な日本人同士の交流を何とか活発にできないか? シリコンバレーという土地柄を活かして、起業を志す日本人を対象にしたネットワークを築けないか? やがてはそういう新規起業からトヨタやSONYのような世界的な大企業を作り上げよう…
 こんな遠大なミッションでスタートしたのがSVJENです。
 約20名のメインスタッフには、シリコンバレーでの起業経験者だけでなく、弁護士や会計士、銀行員やベンチャーキャピタリストなども参加。新規起業や会社の立上げを全面的にバックアップできる体制を整えて、日本人起業家や起業志望者や新たな技術や製品を携えてアメリカ進出を試みている日本の中小企業を対象にしたイベントや交流会を開催しています。
 SVJENはNPOなので、スタッフは全てボランティア。それがバックアップ(企業同士のお見合い)はもちろん、異国の地でビジネスを始めるにあたり対応しなければならない諸問題(今までお話してきたような事柄です)まで包括的にサポートします。
 具体的な活動は大きくは3つ。
 まず年2回のセミナーの開催。その時々にマッチしたテーマで、その分野に精通したスピーカーに講演してもらいます。「アメリカにおける起業家のサポート体制(インキュベーター制度)」やシリコンバレーで多くの起業をサポートしてきたベンチャーキャピタリストによる「ベンチャー支援の今昔」などを取り上げてきています。
 年に4回の起業家トークセッションもあります。日本やアメリカで起業した創業者を招き、動機や起業したビジネスに関する苦労話、そこから学んだ多くの起業に関するノウハウを話していただいています。日本で起業され活躍中のカノープスの山田社長や、バイオ関係の会社をシリコンバレーで立ち上げたB(バイオ)ブリッジの桝本社長らがご登場くださっています。
 それから、毎回テーマを決めてラウンドテーブル(円卓)を囲みながら討論会をするその名もズバリ「ラウンドテーブル」。少人数で開催し、起業やアメリカ進出に必要または困難を感じるポイントをホンネで語り合っています。「いかにアメリカの税制を利用するか」「アメリカでのステータスをどうやって確保するか」「訴訟などにはどのように対応したらいいのか」…いわば、アメリカで起業するにあたっての“よろず相談”。弁護士や会計士などその道のプロと一緒に討論します。
 これらを通じて、アメリカにやってきた日本人起業家や中小企業の皆さんのバックアップが少しでもできれば。それが我々SVJENの目標です。
 日本でも、各地の中小企業が様々に交流し始めていますね。それらを通じて、今まではあまりクロ-ズアップされなかった[横のつながり]を持つことは非常に意味があると思います。私自身の経験でもありますが、これまでの日本では、中小企業は大企業の下請に特化した存在、または横のつながりに極端に神経質で保守的な存在という先入観が強くなかったでしょうか? そんな時代はもう終わりです。これからは、様々な交流をきっかけに積極的にコラボレーションする事で、単独では不可能だったものが可能になるとか、全く新しいものの創造が可能になるでしょう。
 シリコンバレーで成功した多くの中国人やインド人の起業家たちは、そういう活動やネットワークの重要性を再認識させてくれる刺激的な存在です。SVJENの活動も、日本におけるネットワーキングの刺激剤になれると幸いです。

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