第8回 当たり前だが日本とは違う-その5

当たり前だが日本とは違う。その5 保険と年金の話

日本人であれば通常、違和感もなく普通に享受できる(もちろん必然的に月々の支払いは必要ですが)健康保険や年金。しかし、これらも前回お話した税金と同じように、日本とアメリカではずいぶん制度が異なります。

まず保険です。アメリカの場合、日本のような国民健康保険、社会保険といった公 的な保険制度がありません。いずれも日本でいう民間の保険会社と会社との個別の契約となります。「何割負担」とか「高齢者控除」といった基準も一切ありません。また保険料の支払いに関しても定まったルールがないので、その保険の内容、たとえば歯医者の場合は何割負担…といった契約内容でずいぶんと異なります。会社側も、従業員の保険負担割合を全額会社で負担することもできれば何割かを従業員負担にする ことも可能です。

次に年金です。年金には一応ソシアルセキュリティーという公の制度はあるものの、その給付金は微々たるものです。したがって、通常は会社が別に年金プランをもうけています。健康保険と同様に保険会社との契約になるケースが一般的です。義務ではないので強制的に加入する必要はありませんが、通常は福利厚生として、ほとん どの会社が従業員に対してサポートをしています。が、これも定められた基準というものがないので、負担金や給付金に関しては千差万別です。一時日本でも話題になった401Kプラン(確定拠出年金)はアメリカでは早くから普及し、ITバブル最盛期にはこのプランの優位性を売り文句に、優秀な人材を確保する会社も多く見受けられました。従業員にとって、年金のサポートやいい保険プランを与えられることは、仕事に携わることで得られる非常に大きなメリットとなります。そのため、会社側もより充実したプランを提示することにより〔もちろん会社の金銭的負担も莫大なものになりますが〕、すぐれた優秀な人材を長期的に確保するひとつの手段と考えているようです。もし新たにアメリカに進出をすることがあれば、優秀な人材確保に関してはこのような方法があることも記憶にとどめておいてください。

もう1つ、医療費についてです。アメリカの医療費は、日本に比べて極端に高いという印象を受けます。会社がオファーしてくれる保険の内容にもよりますが、概して歯医者のコストはべらぼうです。保険を適用しても通常の抜歯は1本あたり$12
0~、歯にかぶせ物をするクラウンに至っては1本あたり$300以上の個人負担は覚悟しなければなりません。歯には特に神経質なアメリカ人気質でしょうか〔甘いものを食べ過ぎという話もありますが〕、一般的に歯医者に行く頻度はかなり高い傾向にあります。そのため、どの保険会社も歯に対する保険は多くても7割程度(クラウンなどに対しては半分)の負担が一般的です。アメリカ人は歯並びには特に神経質で、子供のうちから歯の矯正をかなり一般的に行いますが、これは単に歯並びをよくするだけではなく、磨きやすくすることで将来的に虫歯になりにくくするという目的もあるようです。

最後にもう1つ。年金も保険もお話ししたとおり個別契約で成り立っています。それゆえか、保険会社側はかなり懐疑的です。例えば手術が伴うような疾病の場合、保険の申請には果たしてその手術が本当に必要か、主治医とは別の医者からセカンドオピニオン(同一見解)の診断書を提出しなければならなかったりします。私自身30歳の時に扁桃腺の手術を受けたのですが、大人の扁桃腺手術ということでセカンドオピ> ニオンの提出を求められ、ふらふらになりながら別の医者へ行った記憶があります。会社側がある程度の保険金を負担してくれるとはいえ、後々の負担を考えれば、アメリカ赴任が決まりそうな雰囲気があったら事前に治療できるものは治療しておくことをお勧めします。さて、主に慣習の違いなどアメリカにおけるバックオフィス的(本来の営業業務以外の部分)についてお話してきましたが、次回からはシリコンバレーの状況や性格、そして昨今の動向などをお伝えしていきたいと思います。

Share and Enjoy

  • Facebook
  • Twitter
  • Delicious
  • Digg
  • Google Buzz
  • StumbleUpon
  • Add to favorites
  • Email
  • RSS

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*