第4回 当たり前だが日本とは違う-その1

当たり前だが日本とは違う。その1 ローカライズの重要性
ご存知のように日本はアメリカとは違います。国の大きさ、人種はもとより、言語、生活習慣他、何をとってみても日本と同じものはありません。これは当たり前なことですが、実は意外となおざりにされやすい点でもあります。今回と次回にわたり、このあたりのお話をしてみたいと思います。

日本で使用されているものや製造しているものがそのままアメリカで利用(販売)できるとは限りません。まず基本的にアメリカで使用している電圧は120V, 周波数は60Hzですから日本から持ってきた電気製品は使えたり使えなかったりします。私が駐在員として赴任して日本で販売されている製品のアメリカでの販売に際し最初に取り組まなければならなかった(というか取り組むべきだった)のはこの点でした。特に事前にアメリカでの実績が無い場合、これは将来的に重要な意味を持つ事になります。広域にいえば使用される国に仕様をあわせること、これをローカライズといいますが、このローカライズを成功させるためには、やはり使用される環境や形態を充分に調査し理解することが必要です。私の場合、工場で使用される製品を販売していたので、まずアメリカの一般的な製造工場の状況を調査する必要がありました。たとえば基本的にアメリカの工場では生産ラインの流れ方向は左から右で日本とは反対になります。また生産ラインの作業台の高さもアメリカ人の体格を反映して地上高90cmが一般的で日本の80cmとは異なります。当然の事ながらアメリカで使用されるわけですから製品をつかさどるコンピュータの表示はすべて英語で無ければなりません。さらにコンピュータに使用されるキーボードも日本とアメリカでは配列が異なるためにアメリカで販売するためにはアメリカ仕様のものを使う必要がありました。加えて製品によってはアメリカで採用されているUL等の様々な規格に製品を合致させなければいけません。まず、これらの改善項目を把握し、製品のローカライズをできる限り事前に行うことは、製品のアメリカ市場への浸透をスムーズにするばかりか後々に生じる仕様の食い違いによるコストの増大やPL(製造物責任)の回避にも貢献するといっても過言ではありません。

このようなポイントについて一括に把握することは非常に難しいでしょう。いかに効率よくこれらのローカライズを成功させるかは、まず同等もしくは似たような製品がどのような仕様で販売されているかを調査してみるのが良策かもしれません。幸い最近ではインターネットを使用することにより、他社製品、特にアメリカ製品の仕様を比較的簡単に入手することができます。また製品を取り扱ってくれる商社等があれば事前にそれらの情報を入手することも可能です。もちろん実地の検証も重要です。市場の調査はもとより、時間はかかりますがポテンシャルのある顧客があればそのようなところへ実際に足を運び、自前の製品の評価をしてもらうなどして経験の中から現地に適した製品を作り上げていくことができれば確実にローカライズを実現できるでしょう。

ただ肝心なのはこれらのローカライズに対して親元、つまり日本サイドがきちんと理解してくれるかということです。ローカライズをすることは時間もかかりますしコストもかかります。概して日本サイドは井の中の蛙といったところがあり、当然日本で販売しているもの、強いて言えば電源電圧を変更すれば東南アジアで充分に販売できる製品がなぜアメリカではそのまま売れないのか?営業努力が足りないのではないのか?このように思われてしまうことが残念ながら普通かもしれません。また通常であれば充分価格的にも競争力のある製品がこれらの改造によって割高になり競争力がなくなってしまう可能性もあります。しかしながら、ある程度は覚悟を決めて米国を担当したものの責任としてこのようなローカライズの重要性を説得していかなければなりません。コストも販売台数をまとめていく事できっとクリア出来るはずです。日本の自動車メーカーは、日本で販売されているアメリカ車がつい最近まで左ハンドルだったのに対し、アメリカで車を販売し始めた60年代からすでに左ハンドルの車を供給していました。そして、座高が高く足の長いアメリカ人向けに車高に改良を加えたり、アメリカの車を分析しガソリンを浪費し電気系統のトラブルが多いという弱点をすべて克服した自動車を供給し、時間はかかりましたが現在の成功につながりました。

私自身が米国で日本の製品を販売する上で、最後まで常にユーザーとの間で仕様変更やコストの面で頭を抱えたのがこの問題でした。ひどいときには仕様があわないということでカタログ比較の段階で候補からもれたケースがしばしば…。今になって考えれば上手く日本サイドを説得し、ある程度現地に順応した製品を初期段階から供給できていればと思うことしかりです。何しろ広大なアメリカで営業活動をするという事は日本の何倍も経費と時間を費やすものですから新規客への参入という千載一遇のチャンスは確実にものにしていかなければなりません。

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