EV=スマホという時代が来る!

先週、公開されたTESLAの新しい電気自動車(以下EV)のMODEL X。正直このインパクトはかなり衝撃的だった。従来の機能に加え少し禿げあがったオヤジを髣髴させるフロンントガラス(該当の方、失礼…)。大振りになったCRTプラットフォームディスプレイ、そして最大の特徴であるファルコンウェイング(これはデザイン性はもとより、雨の日でも傘の開閉に苦労せず、年寄でも簡単に昇降できるメリットが採用の要因との事…)。まさしく現在の自動車のデザインからさらに近未来に近づいたイメージが打ち出されていた。
発表に伴う記者会見の中でCEOであるイーロンマスクは「3年以内に一回の充電で600MILE(960km)走る電池の開発を実現する!」と豪語していた。もしこれが実現すれば正直かなりの脅威だ。現時点でモデルXの希望小売価格は基本的なオプションを入れれば、13万ドル(日本円で約1500万円)という事で、正直あまり庶民には縁が無いのだが、2017年に発表されるTESLAの新しい廉価版モデルは、価格が35,000ドル(日本円で約400万円強)で実質の走行距離が300MILE(約480km)という…。
これが実際に発売されるとEVの需要が急激に高まり、 化石燃料車の需要は急激に低下という流れは火を見るより明らかな気さえする。CDが世の中に出た時にあっという間にレコードが駆逐された状況とまではいかないが5年ぐらいのスパンで形勢は一挙に逆転してしまいそうな感じが否めない。

なぜならEVの普及は、ただ単に車が電気で走るようになるという事ではないからだ。

この先、EVは有人、無人にかかわらず、それぞれがIDを持ち通信ネットワークでつながって各種アプリで安全性の確認から、移動先の情報収集はもとより、音楽、環境、ネットワークなど全てを網羅し、加えて個人のデータ履歴を含めた膨大な情報のプラットホームになる。

これって極論すればスマートフォーンと一緒!??

遅ればせながら初めてTESLAのモデルSに乗せていただいたのだが、暗闇でいきなり浮かび上がったディスプレイはまさに巨大なスマホにみえた@@!

CDの例と同じようにAPPLEがI-phoneを世に出してわずか数年でガラケーが駆逐された状況がまさにここでも起ころうとしているのだ。
それを体感できる状況が今のシリコンバレーである。FACEBOOKが出現した後、IT業界では、このような大きく飛躍する産業が新規で生まれてくることはないのではないか?という雰囲気が一般的だ。勿論、IOT,VR,DEEP LEARNINGといった今のキーワードでもあるような分野の隆盛は見込めるものの、一大産業になるとは考えにくい。
そんな中で考えられるのが既存の産業や形体の破壊と新規創造だ。UBERが世界的に注目され、数千億円の資金を調達しているのは、まさに物流の概念を根底からひっくり返し、さらに産業を大きく想像できるインパクトがあるからだ。
電気自動車の分野もまったく同じ状況。今まで100年以上、ガソリンという燃料で普遍的に動いていた乗り物が、ここへきて一挙に電気駆動の通信移動体に変わろうとしている。産業そのものが大きく変革するのだ。
加えて上記のEV=スマホの考察からすれば、世界のトッププレーヤーが集約しているこの地から新たな大改革が起こっても何ら不思議はない。
その代表であるTESLAはEVとバッテリーという切り口で既に業界をリードしているし、APPLEも当然ながら参入を表明し2019年には最初の製品を出すと発表、データビジネスの雄であるGOOGLEの自動運転車もリリースは時間の問題だ。場所は異なるがイギリスのバージングループも参入を表明している。そしてこの機に乗じようと世界中のあらゆる関連産業の重鎮たちが動き出している。既存の日系以外の自動車メーカーはもとより、ガソリン自動車のインフラを持たない新しい関連分野創出に乗り出してきている中国をはじめとした新興国の企業たち。韓国勢ではSAMSUNGが、ここに1,500人規模のR&Dセンターを設立、LGやインドのTATAグループ、通信ではエリクソンやNOKIAも大規模なオフィスを構え自動運転車も含めたネットワークへの参入を狙っている。当然INTEL, AMD、ALTERA,NVIDIAをはじめとした半導体メーカーも物凄い勢いで車載デバイスの開発に力を入れている。 さらにこれらの新しいテクノロジー、特にコアになるバッテリー関連のスタートアップは、シリコンバレー界隈には100社以上あり(もちろん全てが車載用とは限らないが)。そこに潤沢な資金がITで大もうけした企業から流れ込んでいる。またTESLAが自らの特許を全て公開し、EVの業界を全体として盛り上げようぜ!的なリーダーシップをとっていることも非常に象徴的だ。

いやあ、物凄い状況。。ただ残念なことに、このような盛り上がりが本当の意味で日本に伝わっているかは甚だ疑問だ。仕事柄、こちらの多くの車載電装品関連のお客さんと付き合いがあるのだが、今現在は、どこも車の売れ行き絶好調の状況から、このような変革が起こりつつある事など想像もできないようだ。当然、海を隔てた日本では話題にも上っていないかもしれない…。

ただこの状況は日本にとっては非常に深刻ではないのか??

かつて90年代、自動車電話や携帯電話の業界は移動体通信という分野だったが、今のEVは自動車というカテゴリーから通信移動体になる。、利益を生み出す方法も車というハードを売ってもうけるのではなく、通信費やデータの収集、広告などが主になってくる。そうなると本体も今のスマートホーンのようにタダで配られる可能性があること忘れてはならない…。

そのとき日本勢はどう対応するのか? 水素燃料??世界のトッププレーヤーたちがEVに動いている状況のなかで、残念ながら水素燃料車は間違いなくVIDEOのBETA方式を同じ末路になるだろう。 ここにいると、少なくとも自分はT社のMIRAIに未来があるとは思えないのだ。

繰り返すが、 ガソリン自動車の隆盛で圧倒的な地位を築き、半導体、通信、家電で玉砕してきた日本の唯一の柱である産業が今大きく変わろうとしている。既存の膨大なインフラで、手足に大きな枷をつけられている状態の日本の自動車メーカーが、この怒涛のようなEV産業の流れにどう対処していくのか?

日本の最後の牙城の存在を憂う自分としては、今から意識する必要が絶対にあるのではないかと思っている。 少なくともこれをお読みになった皆さんには、そう考えていただきたい。

 

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