クローズドからオープンへ!

エンジニアの親しい友人から聞いた話。彼は今数人の仲間と新しいハードウェア開発を進めているのだが、その中に必要なパワーCHIPを探していたところ、日本の〇田製作所とアメリカのTI(テキサスインスツルメンツ)に適したものがあり、日本人の彼は、それであれば先ず日本製を使うようにしよう!という事で、〇田にさっそく確認したところ「弊社の場合、部品の販売は最低OOO個単位からでお願いします。サンプルの配布は行っておりません。製品のスペックシートで先ず確認をお願いします。またソースプログラムの公開も購入されたお客様以外にはしておりません…」との非常につれない高飛車な対応だったそうだ。そこでTIにも同じリクエストをしたら「はい、ひとつからでも勿論購入は可能です。ソースプログラムはいつでもWEBサイトで確認しダウンロードも可能です」との事で彼はさっそくTIの部品を採用した。仮に彼らが開発している商品が爆発的なヒット商品になったとしても、彼らは間違いなく個人に閉鎖的な〇田製作所の部品は使用しないだろう。当然、この先の製品開発で必要な部品があったとしても、同社の採用はありえないと彼は話していた。
勿論、これは〇田製作所の販売方針であり、TIのような販売をしている会社も多いかもしれない。しかし自分の経験から実は日本の会社(大きいところから小さいところまでも含めて)と付き合っていると、色々な部分で、このような閉鎖的(クローズド)な方針を持った会社が以外に多い感じがする。

閉鎖的という点では、これまた少しメージが離れてしまうと思うが、日本で営業をしていた頃(20年以上昔です…)、ある日産系の自動車部品の工場へ営業に行くと日産以外の車は工場内には入れてもらえず、遠く離れた駐車場にしかパーキングすることが許されなかった。 この会社に限らず特に自動車系は排他的でクローズドな会社が多かった。P社のTV工場に売り込みに行く際、同じ製品をS社で使用しているという事を話すことはタブーだった、というかS社で使っているんだったらうちは使えないよ。と言われるのがオチだった。機密保持という観点から同業他社で使用している製品を使うことはご法度という雰囲気は、コンスーマーに限らず特に半導体業界では非常に強かったことを覚えているし、そういった部分が日本の慣習なんだな。と当時は納得していた。
ところがアメリカに来て、この納得は一変した。これには賛否両論あると思うし、非常にストリクトな会社も勿論多々あると思うが、アメリカで採用したベテラン営業マンは当時こちらで販売していた製品の売り込みに、まず開口一番「この商品は同製品を製造しているA社で採用され非常に好評なので、御社にも最高ですよ」と説明した。これは言い換えれば客にとっても、「なるほど同じような製品で実績があるのなら、きっとうちにもメリットがあるかもしれない」と思わせるには一番なのだ。そして客の反応もそれなりの感じだったこと、にかなりの衝撃を受けたことを覚えている。
1990年代の中ごろ、アメリカではEMSによる生産がソレクトロンを中心に非常に隆盛だったのだが、このようなEMSの工場ではSUNのOC用ボードの隣のラインでIBMのOC用ボードを普通に生産していた。当然ながら機密保持の徹底は言うまでもないのだが、同じ生産ラインを使用できるのであれば、そのほうが合理的で効率も高く、コストも軽減できるというコンセプトによるものだった。このコンセプトが十分に咀嚼され、発展して今のFOXCONNの大成功につながっているとおもってもOKではないだろうか。。。
アメリカは当時からこのようにオープンな環境で”ものづくり”が行われていたのだ。今では一般的になっているオープンソース(これはSOFTWAREの話だが)というコンセプトも、きっとこのような市場のスタイルがまずベースにあるような気がする。
昨今の日本では、上記のような閉鎖的は部分というのは大分無くなってきたと思いたいのだが市場自身が激変している今の環境においては、このあたりを真剣に考えてみる事が非常に重要ではないか思う。営業でいえば、メーカーズブームを背景にロングテールの部分に非常にポテンシャルのある可能性も出てきている状況であれば、それに応じたオープンな営業展開をするべきだと思うし、
マニュファクチャリングに関しても、量産製品の日本におけるイニシアティブが無くなり、プロセス自体もが東南アジアに流れてしまった現状では、もっと自分たちの持っている今まで表に出てこなかった生産技術や商品開発のノウハウをオープンにして一丸となってグローバルな市場を獲りにいくことが不可欠ではないかという事だ。S社とP社が事業統合して共同で次世代TVを開発する!そんなインパクトのある展開が絶対に必要だと思う。

実は今日本の中小町工場の間で、「全日本製造業コマ大戦」というのが密かなブームになっている。これは日本の製造業が彼らの技術を結集した喧嘩ゴマを製作して戦わせるというものだ。自分も付き合いのある町工場の皆さんから、この話を聞いて最初は「なんでコマなの??」「そこにマーケティングとしての意味はあるの?」と正直なところ、いささかネガティブなイメージ(失礼)しかなかったのだが、実はこのコマ大戦を通じて同業の参加者たちが物凄いスピードでそのネットワークを広げいている状況を見て「これは面白い!」と考えを一新した。 これによってオープンネットワークが築かれ、今まで下請けという非常にクローズドな環境で門外不出のものづくりをしていた同業の皆さんが、連携を強化し、お互いのノウハウなどをオープンにして、新しいものづくりを創造していけばきっと凄いものが創れるのではないか?? と思うようになってきた。

少なくとも間違いなく依怙地になって上記の事業統合などは、あり得ない(SHARPとFOXCONNの話とか)、今の日本の大手製造メーカーの状況から見れば、方法はどうであれネットワークを加速する中小、町工場の動きのほうが断然楽しいし、もっともっとオープンになって日本を飛び出し、グローバルな視点で市場を見て再び日本初のデファクトスタンダードな製品を一日も早く創り出してもらいたいと思う!

 

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