MAKER FAIREを見学して思った事

5月の18,19日の週末に開催されたMAKER FAIREを見学してきた。これはアメリカのものづくり系、とにかく個人でも企業でもグループでも、ものを作っている人たちの集大成といった感じの展示会で、とにかくものすごい人気。私は2日目の日曜日に行ったのだが、10時の開演時には、既に周辺の高速道路が渋滞するほどの混雑。その人気の高さに見学前からちょっと驚いた。TVゲームがまさに完全に主流になっている今のご時世に、まだこんなにものづくり、創作といったものに人気があるのかと。言い換えれば子供のころ読んだ科学雑誌や工作系雑誌などに夢中になっていた子供がそのまま大人になっても未だに夢中になっている感じもあるし、当然その世代に育った親たちの意図(子供にもTVゲームではないものに興味を持たせたいという)もあってのことだと思うのだが、その層の厚さにはかなり圧倒されるものがあった。会場は屋外と屋内とに分かれており、大きなものや大道芸的なもの(スミマセン、的確な表現が見つからなかったんだけど、竹馬のお化けみたいなものとか恐竜の自動車とか墨でできたピアノとか下記の写真のようなわけのわからないオブジェみたいなもの)は外に展示されたり実際に動き回っていたりしており、室内では主に展示っぽい展示(普通の機械とか、玩具とか、部品とか、其の他諸々)が行われていた。そして会場全体に、特にギークとかナードと呼ばれる連中、実際に映画バックトゥーザフューチャーに出てくるドクと同じ様相や雰囲気を持ったイイ歳のおっさん達やお年寄り(失礼!)が驚くほど目についた。

<車全体に音楽で動く魚やエビをつけて車のバッテリーで動かしていた怪しい初老のおじさん…>

展示されているものは本当に昔ながらの木工細工のようなものから紙を使った模型、素朴な玩具などに加え、ハイテクを駆使したスマホで動くおもちゃや機械、はたまたセキュリティシステム、省エネ系製品(コンロの過熱を利用した発電機などがあった)など多岐にわたっていて、出展者も個人の発明家から、スタートアップ、趣味の開発グループ、AUTODESKや、INTEL,NVIDIAといった大手までと幅広く、まとまりがないと言ってしまえばそれまでだが、とにかく奇想天外な製品が多く、発想の豊かさと、ものづくりに対する執着、情熱みたいなものが感じられて、かなりおもしろかった。
そして、これがアメリカという国の製造業の根底にあり80年代から急速に製造を海外に移管し日本より早い段階で空洞化が問題になり、もう製造を忘れてしまったかと思われていたこの国には、実は絶対に無くならない製造魂みたいなものが残っているし、国外から移民してきた世界中の人々も、そのアメリカが持つMAKERS(ものづくり)気質みたいなものをしっかりと刷り込まれて育ってきているので、製造という分野においては非常に関心が高いのではないかと思われた。 加えて、そのようなMAKER達をバックアップする製品もたくさん展示されていた。3Dプリンターに至っては$1800で8インチサイズのものまで製作できるのが売られていたし、$2000台でルーターやミリングマシーンも売られていた。つまり個人やグループが自宅やガレージに、これらの設備を並べて簡単にものづくりができる。おまけにAUTODESKをはじめとしたソフトウェアメーカーもほとんど無償でこれらの機械を動かすデザインツールなどを供給している。そういったインフラも既に存在するのだ。このあたりの環境の充実度は凄い!これだったら本当に興味と情熱さえあれば、ほしいと思ったものは何でも作れる!という気になってしまう。日本には、こういう環境は既に存在するのだろうか??

考えてみれば自動車の量産を最初にスタートしたのはアメリカだし、ファクトリーオートメーションを確立したのもアメリカ、月に向けて最初にロケットを打ち上げたのもアメリカ、既に40年代にはほとんどの家電製品を開発/販売し半導体はもとよりPCだって全てアメリカから生まれ最近ではスペースシャトルまで飛ばしているのだ。製造業に関しては表現が悪いが「腐ってもアメリカ」「不沈のアメリカ」というゆるぎない地位を持っていると思えてならないし、このMAKER FAIREの盛り上がりを見て、さらにそれを確信した。
さて、これらアメリカの製造業の裏には、未だに多くの日本企業の素材や部品、製品が使われていることも、これまた事実であり、特に最近のアメリカの航空宇宙開発やプリンテッドサーキットのような次世代テクノロジーの裏には多くの日本メーカーが活躍している。 少なくともまだまだ日本の製造業がうまくコラボしながらイニシアティブをとることも十分可能なのだ。こういった部分で今回のMAKER FAIREで見たような個人がつくる奇想天外な製品の中から、もしかしたら物凄いヒット商品が生まれる可能性もあるかもしれない。そんなところに大手ではなく日本の中小、町工場の技術や少量多品種生産、そして小回りの利く対応といった価値がうまく結びついて、大手に負けないような製品がガツンと生まれてくるようなスキームを何とか構築できればと思うし、何とかそれを実現してみたい!MAKER FAIREを見てそんな事を強く思いました。

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