リスクを取る事ができるか?

少し前の話になるが、1月に日本で開催されたEV/次世代モビリティ関連の展示会場にて、久しぶりに親友のS君に会った。日本でかつては町工場の中心的産業であったメッキ業を営む工場の2代目。彼の会社、シルベック(旧シルバーメッキ工業)は荒川区にあって50年の歴史を誇る下町メッキ業界の中心的存在だった。化学廃棄物の産出による環境問題や、需要の衰退などで斜陽の産業といわれたメッキ業界で、何とか生き残りをかけ工場の合理化と刷新を図るべく2008年に都内から埼玉県の八潮市に移転。それに加えて2011年には、まだ需要の予測が見えづらかったタイへ進出し工場を設立。慣れない外国で環境問題に絡むレギュレーションによる障壁や従業員の教育、思うように進まない需要開拓など、本人が自らの時間の殆どをタイで費やし本当に辛酸をなめながらの苦労を重ねてきた結果、日系大手のHVAC生産やアジア勢による新規自動車産業からの需要等を見事に取り込み、現地における独自性もあって今や順調に業績を伸ばしている。そんな順風満帆の彼が、まさしく次世代需要の開拓をすべく新規産業のネタが溢れるこの展示会では、まさに会場にへ張り付いて徹底的にリサーチをしていた。

「景気の良い時だからこそ次を真剣に考える!」

様々な苦労してきた彼自身が持つ本能的なアクションかもしれないが、自分がいつも主張している事を具体的に実行している彼のような経営者がいれば「まだまだ日本も行けるぞ!!」という思いを新たにできて心が熱くなった。

今年の1月には経済産業省の素形材センターとD-LABが主導したシリコンバレー視察ツアー、2月には同じ経産省の飛躍ツアーで、選ばれた中小町工場のオーナーやスタートアップの起業家たちと接する機会があった。特に進出に意欲的な企業の方々とは、いろいろ突っ込んだ話をさせていただいた。加えて今回の参加企業の中には今すぐ行動すれば間違いなく世界を獲れる!と思われるところもあった。ただ、やはり感じたのは今の日本の景気の良さから出てくる「ぬるま湯に浸かった感」だった。

確かに中国の爆発的な半導体需要や2020年を控えた公共事業を中心とした特需で今の日本の中小町工場はめちゃくちゃ景気が良い。言い方を変えれば忙しすぎて海外進出なんてとても考えられないし、そんな余裕もない!というのが本当のところなのだろう。しかし、そんな時だからこそ時間を無理に作ってでも2020年以降の事を考えてほしいという事を、このブログを通じて、そして機会のある毎に何度も何度も何度も何度も主張してきた。正直、状況はとにかく待ったなし。既存のビジネスを少し減らしてでもシリコンバレーに限らず中国の動きに注目するなど具体的なアクションを起こす。そして可能性がありそうなら、とにかくリスクを取ってみる!そんなTRY QUICKLYな姿勢と志が今一番必要な気がする。

自分の好きなブロガーの永江一石さんの投稿で日本で大ヒットしたドラマ「陸王」に関する記述があったのだが実は自分も製造業の立場で同感だった。要は同じ事の捉え方の違いなのだが、こはぜ屋の宮沢社長は「社運をかけて皆一丸となって成功を求め新規事業に参入した」のではなく「社運をかけて新規事業というリスクを取った」という解釈だ。彼は自分たちが今まで培ってきた技術を生かし資金繰りやチームの構築を含め未知のものに挑戦するというリスクを取ったのだ。前述のS君も未知の国で既存技術の経験と独自性でリスクを取った。その努力の成果が今開花し更なるチャレンジへとつながっている。

正月が明けて早2か月が経過してしまったが、今年はそんな「リスクを取る」事に果敢に挑む会社や起業家に、出来るだけ多く会えることを期待している。

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