Archive for 10/31/2019

大廃業時代をどう捉えるか?

少し前になるが、NHKスペシャルで放映されていた「大廃業時代」という番組をみた。日本は今、未曽有の大廃業時代。昨年過去5年で中小企業の20万社が廃業。その数は年々うなぎのぼりで昨年1年間だけでも46,000社が廃業に追い込まれているという。勿論、中小企業といっても業種は様々だし、その廃業理由も後継者問題をはじめ多種多様だと思う。しかしながら日本の会社の99%を占める彼らがものすごい勢いで消えていくことは、少子化問題等に匹敵する非常に憂慮すべき状況だと感じる。
 この状況は自分が携わる製造業においても間違いなく顕著だろう。ここ数年の日本(特に関東地域)は2020年のオリンピックに向けて、少なくとも景気は悪くない状況だった。こちらで日本から視察ツアーなどで訪問する中小町工場の団体や経済関連の皆さんとお会いしても、正直これからの景気に対する憂慮や不安は頭の片隅には有るものの、現時点での好況に追われる中で先々の事まで考える余裕はない、といった雰囲気が強く感じられた。自分は勿論「そんな悠長な事ではだめだ」「この先の急激な変化はあっという間にくる」という話も強調しているつもりだし、その辺に関しては勉強になったという感想も頂くのだが、視察を終えて日付変更線を越えてしまったら、結局、通常の業務に奔走する日々の中で、そんな思いは霧散してしまうようで、其の後の展開やアクションのアップデートを貰ったことがない。
 しかしながら今取引のある町工場の仲間達からは「最近少し動きがおかしい」とか「受注量が減った」という声もちらほら聴くようになってきた。確かにオリンピックが終わったら将来的に日本の経済をけん引する産業は何だろうか?加えて日本がその景気の恩恵を受けている間に、最後の牙城である自動車産業は世界中が動きを見せるCASEの標準化によって足元からひっくり返されても不思議ではない状態。気が付いた時には「手遅れ」になる可能性は限りなく高い。そうでなくとも、この先の廃業数が間違いなく増えていくことは避けられない事実。では多少なりとも景気が維持できている今、「何を考え、どうアクションすればいいのか?」を考える必要があると思うのだ。 まず大前提として、この現在の状況は避けては通れないものとする。そのうえで
 
 「大廃業時代をどう捉えるか?」だ。

 ここからの私見は、日本の今の状況を詳しく把握しているわけではないので、かなり極端で現実性がないかもしれないが少し考えてみた。

 先ず、何度もこのBLOGには書いているが、自分の住むシリコンバレーには未だに2000社近い製造業に従事する中小町工場が存在する。彼らは巨大IT企業や半導体製造装置メーカー等、世界に君臨する企業の試作や製品部材を供給してしのぎを削っている。少し古くなるが2008年のリーマンショック以前には、その倍の4000社近くが存在したといわれている。それが景気の荒波に揉まれ現在の2000社に淘汰されて今日に至っている。ここには日本のような補助金という制度は存在しない。経営に破綻し力尽きた会社は自力で立ち直れなければ廃業(倒産)の道しかない。そしてその廃業した会社から力のある会社が従業員や設備(これは2束3文)を引き取り自社のキャパを増強、勢力拡大したところで、またそこから力やアイデアのある連中がスピンアウトし起業して業界に参入する。そんな新陳代謝のエコシステムがある。このような弱肉強食の修羅場をくぐってきた彼らは、それなりにタフで競争力もあり市場にしがみつこうとするアクションもかなりハングリーだ。
 このような形のエコシステムを日本にも、この機に作り上げることはできないかと思う。勿論、淘汰されてしまう企業には残念ながら…と言うしかないが、技術や資産を持っていながらも廃業を希望、もしくは考えている企業にとっては、機会としてその機能の一部を存続できる可能性はあるし、引き取った会社は、市場(需要)自身を確保するという大前提があるが、それを踏まえて組織の構築をし、少なくとも設備や経験のある熟練工をTEAMに加えられるので更なる市場開拓に挑めるかもしれない。そして行政は今まで一部では企業の延命にしか使われてこなかった補助金を、このような会社の吸収を実行した企業中心に拠出するのは有りではないかと愚考する。例えば地域的に多くの小規模企業が集中しているエリアで操業している2000社ある従業員数名程度で廃業の可能性がある、もしくはそれを希望する企業を対象に、行政や製造インフラを必要としている企業がイニシアティブをとり、その技術や「仲間回し」ができる関連性などを考慮し資金(補助金)も拠出して会社数を半分、もしくは3分の1にまとめ上げるというイメージだ。

 もう一つは技術アセットの保持。特にモノづくりに関して言えば、廃業に追い込まれていく企業の中には、卓越した技術や優れた製品を持っていても営業力の無さや、経営手腕によって会社を手放さなければならないケースも沢山あると思われる。であれば少なくともそのようなアセットだけは何とか救い上げて次世代の産業に生かせていけないだろうか。このBLOGでも紹介しているが、既存の技術アセットを現在の市場に形を変えてマーケットインさせ、成功を収めている会社も多数存在している。それを、もう少し体系化してプロジェクトとして進められないかという事だ。勿論、以前から提唱しているが、そのための「目利き」やエージェントを育成、もしくはマーケティングのプロ集団を大企業や行政が組織することが必要だが、彼らが中心となり現状、廃業していく企業の技術や製品をデータベース化しマーケットインできそうな次世代の製品への応用や実利用ができないかを集約し営業展開できればと思う。マーケティングやセールスに関して言えば、国内よりも先端技術の動きが激しいアメリカ、中国を中心としたアジア諸国に目を向けるほうが良いだろう。そしてアセットを持っていた会社には、実績が出せればロイヤリティを支払う事も可能になる。

 以上、あくまでも私見で暴論に近い内容だが、いづれにしても避けては通れない大廃業時代という現実を、ただ単に悲観的な状況にとどめるのではなく、できればそこから、特に製造業(モノづくり)の復興につながる方策として前向きに考えなければならないと思う。そこには景気が悪くなれば補助金を無心すればよかった今までの体質の改善も不可欠、そして企業側も生き残りをかけて自己の考えを正していくことは絶対必要。でも現状そこまでやらなければ、この先の「モノづくり大国ニッポン」の存在感を維持していくことは困難だ。

 まとまりのない内容になってしまったけれど他にも方策はたくさんあると思う。状況は待ったなし。是非、色々と熟考していただきたいと思う。





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