Archive for 06/03/2019

MaaS時代にどう戦うか?勝機は有りだ!

シリコンバレーの有志たちで構成され、こちらの最新状況をベースに日本へ喚起を促しているD-LABのレポート第3弾が発表された。過去2回に続き、今回も内容は秀逸で、いまこの地で起こっている自動車産業の破壊と創造が2017年にリリースされたレポート第1弾の時からどのように昇華し展開しているか?そこに絡む既存の大企業やGAFAと中心とした大手新興勢力、中国をはじめとした新興国の状況、そして周りに無数に広がる関連スタートアップの展開など、今ではMaaS(MOBILITY AS A SERVICE)という表現で一般化している状況をまとめている。とにかく感じるのはスピードの速さだ。特に第1弾のレポートには殆ど出てこなかったALIBABA, BAIDU, TENCENTといった中国の巨大スタートアップの参入とその戦略など、うかうかしている状態ではないことが強く感じられる。自動車産業という日本にとっての最後の牙城が、まるで砂糖に群がるアリに覆いつくされるがごとくの状況はゾゾっとするくらい恐ろしい。しかしながら日本にいたら間違いなく、そのような危機的状況や、この先をどう乗り切るかの必要性など感じられないと思う。メディアの報じる多くの自動車メーカーの広告やCMは安全性を技術で補完した新しい機能などの充実ぶりを見せてはいるが未だに、

「車というハードを売るためのPR」

に終始しているからだ。勿論、日本の自動車産業がハードを売るビジネスで過去70年近く成り立ってきているので、それを簡単に覆すことはできないことは容易に想像できる。いきなりのEV化やEVを基盤とした産業への転換は、ガソリン自動車の巨大なインフラの持つ日本では間違いなく不可能だ。しかしながら確実に言えていることは、まず、MaaSがより一般的になって、シェアライドやスクーターのような新規モビリティの普及、そしてコネクテッド化による各社サービスの没個性化によって、

「車本体の販売台数は間違いなく減少する」

という事だ。当然、EVや自動運転車は、その数を急速に伸ばす可能性は高い。しかしながら産業構造自体が、情報中心というスマホの産業形態に近づくことにより、MOBILITY自身も大量生産で低価格なものが主流になることは間違いない。

では、迎え来る新たな時代において、日本勢、特に大手自動車メーカーを下支えしてきた系列、その中でも中小町工場はどのように立ち向かい戦っていけばよいのか?このあたりを真剣に考える非常に重要な機会が今訪れているという事を、このDラボのレポートから是非感じてほしい。

具体的にどのように戦うか?だか、自分的には少なくとも前提として既存の自動車産業の破壊と創造は、ある意味系列とういう日本特有の従属的なピラミッド構成の崩壊にもつながる一つの大きなポテンシャルとして考えられないか?と思っている。
かつて日本の地方で講演した際、東海地区や山陽地区など、大手自動車メーカーの城下町では、少なからず同地の協力工場は一所懸命、御恩と奉公的な状況が顕著だったし、従属側も「余計なことをしたり他所に売り込むと親元に申し訳ない」とか、親元も「そんな事してる余裕あるならもっとウチの仕事に専念しろよ」的な重圧もあるなどの話をあちこちで耳にした。このような体制が大きく変わる可能性があるのだ。各地の大名が、その存在を失った幕末から明治にかけて従属していた家臣や庶民は新たな活路を求めて新規事業を起こしたり、経験を生かした生業を展開して日本という国を作り上げてきた。同じような可能性が自分には、この先間違いなく来るのではないか?と思っている。
具体的に言えば、日本の自動車産業を世界に知らしめた安全性と自動車自身の耐久性や品質だ。例えば中国には昨年の段階で政府の補助を受けているEVのメーカーが60社近くあるが、彼ら、言い換えれば素人が作るEVや自動運転車(MADE IN CHINAの商品のイメージが強い)に乗りたいと思う人は正直いないのではないか?と思う(もちろんMADE IN CHINAのイメージは今か異なるかもしれないが…)。
記憶では自分が韓国で活動をしていた1980年代の半ばに,現代自動車が本格的に国産自動車産業への参入を始めたのだが、最初に手掛けたのは当時日本の最高級車であった三菱のデボネアのOEM販売だった。この車を当時台頭してきた財閥系企業の幹部や行政関係に販売し、その安全性と信頼性をPR(日本製だから間違いないがブランド名は現代)。このトップダウンによるマーケティングを連携させ三菱との提携によって学んだ生産/製造技術によって自社による生産をスタートし今の地位を築いてきた(と自分は思っている)。
やはり最初から、安全性と信頼という保証を確保するのは容易ではない。そこに日本で長年培われてきたTIER系列の中小企業がもつ信頼性と安全性の実績ある部品や素材などには間違いなく需要があると考えられる。特に自動車産業の製造品質基準であるIATF16949を取得している会社も間違いなく多いはずだ。また日本勢には親元に長年搾取されてきた価格競争力もあると思う。これらを武器に独自の営業展開をすることはできないか?小さいところで単独での営業活動が難しければ行政がまとめて中国の自動車関連メーカーと独自の商談会などを企画するのも面白いかもしれない。勿論、本当にに需要があるかはわからないし中国が国として外国製の部品を受け入れることを良しとするかもわからないが、少なくとも新興メーカーが60社あること自身でポテンシャルはあると自分は考える。

このブログを通じて何度も何度も同じことを言っているのだか、とにかく今の市場の流れと産業の変革は待ったなしの状態。特に自動車産業における警鐘にも近い内容がこのレポートには満載だ。この中から将来の展開を予測し、製造業として何ができるか?このあたりのヒントを是非探してみてほしい。勝機は間違いなく有りだ!

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