Archive for 07/03/2018

事業継承補助金交付のNEWSで考えた。

6月の終わりに経済産業省が後継者不足で事業継承に悩む中小企業に対し、それを引き継いだ地方移住者に優先して最大500万円の補助金を交付するというNEWSを読んだ。勿論自分の分野である製造業とは異なる業種も多数あるかと思うのだが、う~ん、このあたりの精査、例えば本当に継承する価値のある事業を選定しての継承なのか?将来的に本当に地方の産業に貢献できるようなポテンシャルのある事業の継承なのか?まあ、それなりにしっかり吟味の上の補助金交付であると願いたいが…。また引き継ぐ地方移住者は、それなりにクォリファイされた人材なのか?この部分も不明だが、この企画が単に補助金という貴重な税金からの財源のバラマキに終わり、地方にゾンビ企業を増やしてしまう結果にならない事を祈るばかりだ。
確か2年ぐらい前だったか、東京都の大田区の行政をサポートしている方から、同地のグローバル化について相談を受けたことがある。多数ある町工場の廃業や閉鎖に歯止めをかけ何とか新しい方向性を見出したいとの希望での依頼。で、色々状況を聞いて驚いたのは、当時の大田区エリアには中小町工場が約5,000社があり、そのうちの4,000社は従業員が10人以下の本当の零細企業だという点だ。失礼な言い方だが、要は、そのような会社が綿々と生き続けていける土壌があるという事だ。それは行政の支援なのか?補助金なのか?それとも潤沢な仕事があるからなのか…。このあたりの詳細は分からないが、そこからは次世代に向けて新陳代謝しているという地域の状況は全く感じられない。開業している会社も、もしかしたら潤沢な保護を受けて延命することが生業になっているのではないか??
これでは企業の廃業は自然の摂理のごとく、ある意味当然の流れだし少なくとも従業員10人以下の4,000社もの会社が存続ていること自身、不自然に思われたので、「どうする事もできません」ときっぱりとお断りした。
(2年前の話なので、今は状況が違う!という事であれば是非また話を伺いたい)

この大田区に限らず、こちらで製造業を中心とした日本の中小町工場の皆さんとお会いして感じることは、日本は中小企業に対して本当に種々にわたる補助金という素晴らしいシステムがあるという事だ。ただ、これが本当に意味のある方向に使われているのか?ここは甚だ明確さに欠けている感がある。最近では補助金の交付が発表されると、わけのわからない怪しいコンサルタントが暗躍、提出資料作成のサポートをして利ザヤを稼ぐとか、ひどい場合には金融機関が交付された補助金を担保に融資ができるために、その作業を手伝っているとか訳の分からない話も沢山耳に入ってくる。又、交付された補助金が、本来の事業発展の為ではなく、延命処置となっている感が否めないという状況も多々あるようだ。まあ、これは今に始まったことではないと思うけど…。

もちろん、これらの補助金を有効活用し、若手従業員の育成や、新規事業開発、そして新たなグローバル展開に向けての軍資金として実際に成果を出している会社も知っている。
補助金は、本当に素晴らしい制度だと思うので、是非有効活用をしていただきたいし、そのためには交付する側もより一層の厳重な精査の見直し(少なくとも代替者による申請書類は認めないとか)、なども徹底して行ってもらいたいと思う。元を考えれば国民の皆さんから徴収した貴重な税金なのだから。

ちなみに未だに2000社以上の中小製造企業が集約しているシリコンバレーには私の知る限り補助金という制度はない。激変するハードウェアの需要環境に追従できず受注が取れなくなった会社は当然廃業だ。リーマンショック前は景気もよく、そんな企業が4000社はあったと思う。それが淘汰されての2,000社。皆しのぎを削って生きている。だから相当にタフだ。彼らは廃業した会社から人材と設備を引き取り力を増強。今度は、そこからスピンアウトした連中が新しい工場を立ち上げて新規の顧客を獲得し動き出す。まさに弱肉強食の世界で活発な新陳代謝が常に起こっている。これこそまさに世界の先端を行くIT産業のメッカを支えている製造業のエコシステムだ。

果たして潤沢な補助金に安穏とした感のある日本の中小町工場に、このシリコンバレーの状況を打破してでも乗り込んでくるような企業はあるのか??

自分は、今そういった気概のある企業の発掘を応援するプロジェクトに携わっているのだが、自分が常々思っているのは「日本の製造業が世界で負けるはずがない」という事だ。にも拘わらず、安穏とできることで自ら機会や実力を逸している状況が沢山ある。ここに何とか光を当てて意識を持たせ、一社でも多くの中小町工場のアメリカ進出を後押ししたい。そのために出来れば、このようなプロジェクトにこそ、生きる補助金の交付を検討いただければと思う次第である。

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