Archive for 04/09/2017

自動車産業のイノベーションに乗れるか?

申し訳ありません。2017年の初めての投稿になってしまいました^^;;。

3月29日に、経済産業省において視察のお手伝いをしている素形材センターのミッション報告と、シリコンバレーの有志によるD-LABの「自動車産業の破壊と創造で盛り上がる同地の状況とその流れをどうとらえるか?」についてのセミナーが開催された。D-LABのメンバーはシリコンバレーに出向している経済産業省の精鋭と民間の若手で構成され、この地で今起こっている日本の最後の牙城である自動車産業を根底から覆すインパクトを持って進んでいるイノベーションに衝撃を受け、何とかこの状況を日本が理解し、一丸となってそこに追従する意識を持ってもらおうという事で活動を進めている。
今回発表された、レポートには現在シリコンバレーで起こっている衝撃的な内容の詳細が記載されている。一般にも公開されているので、是非ダウンロードをお勧めしたい。
「シリコンバレーDラボ、プロジェクトレポート」

その内容にもあるように、今シリコンバレーで起こっている自動車産業のイノベーションは単に電気自動車(EV)とか自動運転にとどまらず、そこにシェアリングとコネクテッドという新たな動きが同時進行で動いているところに、実は、日本勢が完全に蚊帳の外になってしまう可能性を秘めた大きなポイントがある。

まず日本の自動車産業だが、これは60年以上、綿々と車というハードウェアを販売することによって利益を得てきた。そしてこの流れは現在もまったく変わっていない。しかしながら、以前、このBLOGにも書いたと記憶しているが、此方で起こっている動きはIT産業の下に車がぶら下がる事が前提となる。つまり車がスマートフォンのように情報の収集と発信のためのツールとして位置づけられるという事で、車(ハード)は、スタイルがいいとかスピードが速いとか燃費が良いとか、それ自体が価値を生み出すことを必要としていないのだ。これが先ずコネクテッドという考え。そうなると車の性能は必要最低限になり、スマートフォンのようにタダ同然で配られる可能性がある…。

シェアリングは、昨今話題になっているシェアリングエコノミーで車ではUBERやLYFTに代表される、誰でも運転手になれる乗り合い白タクの発想。車を持たなくても、持っている人が運転手になって人の移動をサポートする。つまり利用者は手軽に交通手段として車を利用することが可能になるので、単に移動手段と考えれば車自身の価値や機能、そして車を購買する事も運転手にならないのであれば必要ない。そうなると、これが車の販売台数に与える影響は大きい。

そして自動運転。ドライバーは必要なくなり、車自身がセンサー技術や最先端のAIを利用して安全性を確実に踏襲して運用されるようになるという事は、車というハードウェアに安全に必要なものがいらなくなる。言い方を変えれば、日本が培ってきた安全性の確保という蓄積も殆ど不要になり、誰でも車を作る事が出来てしまうのだ。

最後のEVだが、つい最近、時価総額でFORDを抜いたTESLAの隆盛をみるまでもなく既にアメリカでは10台に1台はEVが走り回りまわっているくらい急速に普及している。当然エンジンもミッションも車軸もないので製造コストは抑えられるし、給油やオイル交換といったサービスも不要になるので利便性はかなり高い。何より、エンジン一つとってみても平均で500~800近い部品で構成されているものが、MOTORになるとインバーターを入れても部品点数は100に満たないそうで、そうなると今までエンジン部品の生産に従事してきたメーカーにとっては危機的状況だ。
以前調べたのだが日本の場合、自動車産業に従事している就業人口は約200万人で、その殆どがガソリン自動車の製造に関係している。そうなるとEVが先々隆盛を極めるとわかっていても国を挙げて大梶を切る事は難しいと言わざるを得ない。

さて、このような状況の中、日本勢は何を考えなければいけないかが、これからのポイントだ。正直、この動きを理解しているか否かで先ず流れは大きく変わってくると思う。基本的に日本の自動車産業は、「系列」といった三角形の組織形態で成り立っている。で、そのTOPであるメーカーがこの動きに対する意識がない、もしくは意識があっても現状のインフラへの影響で身動きがとりにくい、という事になると残念ながら予後は非常に芳しくない。なので、少なくともTier1, Tier2、という位置づけにある企業は自主的に何らかの対応を取るべきだと思う。今まで世界最高峰の日本の自動車産業を支えてきた企業であれば、新しい市場に対する方策は無尽にあると自分は確信している。加えてこれから新規で車を作ろうという企業もどんどん増えてくるという事は、製造業の需要はかなり大きいはず。あとはそれをどうやって自分たちで見つけ出していくかだ。肝要なのは、このブログで一貫して主張している、「プロダクトアウトではなくマーケットイン」だ。

今回公開された資料には具体的に真剣にアメリカにチャレンジしている中小町工場の事例も紹介されている。是非とも内容を吟味し理解して、自分たちがこのイノベーションに対して何ができるか?手遅れになる前にアクションを起こしていただきたい!

 

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