Archive for 07/31/2015

グローバル化の基礎固めは十分ですか?

最近、日経ビジネスがシリコンバレーの特集号をリリースした。確かに昨今、この地は再び日本企業の進出ブームのようだ。5月の安倍総理の訪問の際に明示された「架け橋プロジェクト」の実現も大きく寄与しているかもしれない。そのような状況もあってか、最近再び日本の行政の皆さんからのグローバル化に関する問い合わせや依頼をいただくようになった。
ある意味、再びこのように海外に目を向けてくれる、それも下流ではなく上流で勝負をしたいという意思が定着してきたことは非常に嬉しいことだし、出来れば、何とか少しでもその成功に寄与できればと思っている。

ただ当然グローバル化といっても、そこにはそれなりの努力と準備が必要であることは、実はあまり理解されていないかもしれない。この前のBLOGで少しふれたように、「グローバル化」に関しては、その言葉が象徴化され先走っているようにも思えるのだ。 こちらに視察や提携目的で管轄内の企業連れて訪問される都道府県や団体の皆さんが、先ず要求してくることは「ビジネスマッチング」。つまりこちらの企業(もしくは見込み客)と訪問する企業とのお見合いなのだけれど、例えば、そのような場を設けて実際にこちらの企業が興味をもち、仕事をお願いした時に、キチンとそれに呼応できる体制があるかという事は本当に重要だ。

”アメリカの基準で記述された図面をきちんと理解できるか?”
”製品の出荷に関し、貿易業務や運賃の設定などなどそれなりに対応ができるか?”
”為替や、お金をしっかり取るためも準備がきちんとできているか?”
”客先からの質疑応答がきちんと英語で対応できるか?”
”仮にクレームや問題が生じた場合、きちんと最後まで対応ができるか?”

等々、最低限ではあるが、これらの対応に問題があれば千載一遇のチャンスを得たとしても、それをCLOSEすることは難しいかもしれない。

だいぶ昔の話になるが、自分が最初にこちらに視察に来た日本の中小町工場のアテンドをさせていただいたのは1997年。長野県の諏訪からの皆さんだった。それぞれ地場で育まれた精密加工技術では優れた会社のオーナー達、確か6社だったと思うが、自分たちの製品サンプルを風呂敷に包んで持参してきたのが印象深い。そんな皆さんを、当時主流だったこちらのEMS会社や、メーカーにお連れした。
その訪問先の一社で、彼らの技術に興味を持った会社があり、「こんな部品を作ってもらえないか?」と言って渡されたのは1枚の3.5”のFDだった…。残念ながら参加した6社のうち当時CADのデータを読める設備のある会社は一社もなく、その話はそれでお終い。高い費用をかけてこちらに来て、これでは話にならない。まあ、この話は20年近く前の話だから参考にもならないかもしれないが、現状は3DのCADが主流の今日、それを読むことが出来ない、では最初からグローバル化は難しいという事を先ず考慮してもらいたいと思うのだ。細かいことを言えば図面の記載のみならず、日本で標準のJIS規格はアメリカでは通用しない。板金加工などで普通に使用されているシャーリング裁断や延圧は直訳でOKかもしれないがアメリカでは図面上でどう表記されているのか? 調質度や仕上げの単位(たとえばT-2とかBとかBRでもこれは日本の表記…)なども表現が異なるので、このあたりの習得なども不可欠だ。このような解釈に時間がかかり見積もりの提出が遅れてしまえば、それだけでチャンスを逃す可能性だったある。なので、マッチングやこちらでのショウへの出展を希望される皆さんには、このあたりがちゃんと対応できるか?もしくは対応する準備はあるか、先ず確認するようにしている。

中には、そのような状況も踏まえ、グローバル化に向けて独自に努力している会社もある。八王子でお手伝いさせていただいたS社は、海外からの引き合いに対応すべく、社内で英会話の教室をスタート。フィリピンの教室とSKYPEによる英語研修を実施すると同時に海外からの人材受け入れに積極的だ。 また茨城にあるN社はグローバル展開の体制構築として、地場の大手メーカーで海外との技術提携に経験豊富なOBを嘱託で採用し海外業務の対応をしている。こういう姿勢は素晴らしいと思う。

大事なのは、「本気でグローバル展開をしよう!」という志があるかが一番重要ではあるのだが、こちらに企業を連れての視察を企画している行政や企業の皆さんも、少なくともグローバル化によって地場産業の10年20年先の展開を考慮するのであれば、単純に海外に企業を連れてきて、マッチング会や展示会への出品を企画するだけでなく、グローバル化の為の基礎固めも並行して検討してほしいという事だ。
簡単な方法としては、地元におられる大企業(やグローバル展開をしている企業)の海外事業部や海外とのやり取りを経験してきたOBの方々をアドバザーとして、海外との取引の基礎固め(技術資料の理解、貿易業務の基礎、為替も含めた決済、クレーム処理の方法等々)をしっかりと行うプログラムの企画と実践だ。
それによってグローバル化の可能性が間違いいなく飛躍するという事を考慮にしていただきたい!

 

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