Archive for 11/15/2014

シリコンバレーの現実を理解する事

最近のシリコンバレーの状況、それはまさに1990年代の後半に起こったITバブルを髣髴させる。幸か不幸かその時期、既にこの地にいた自分から見たら、まったく同じような状況、もしかすると投資の面からみれば金額は当時より少ない(起業形態が変わり、小口の分散型投資が増えた影響もあるかと思う)が、交通量の増加や、新規住居の造成ラッシュ、などは本当に似たような感じだ。
特に今回顕著なのは、世界中から流入してくる人々の為の住居不足、地価だけでなく、賃貸費用の驚愕的な上昇。APPLEの本社があるクパティーノ市では、2ベットルーム(日本風には2LDK)のアパートの家賃が月$3,500@@!日本円で35万円である。これはオカシイ…。もちろん、APPLE、GOOGLE, FACEBOOKといった大企業をはじめ著名な企業の給料も初任給で1,000万円は普通という状況なので、それは許容範囲かもしれないが、家賃だけで年間400万円が消えていく現状はどう考えてもおかしいのだ。 それだけではない。 社会保険制度がないアメリカは、医療費も原則個人負担。この地に限ったことではないが、家族4人が日本の社会保険レベルの保険に加入すると月々の支払いは$1,500(15万円)を超える高額だ。 これに子供の養育費、交通機関が発達していないため、夫婦で最低2台の車の保有が必要になることを考えると、この地で生きていくことは至難の業である。

全体から見れば、高所得のハイテク企業に就職している住民は本当に一握りで、大多数は言い方はオカシイかもしれないが普通の一般庶民だ。収入にしても全米平均(約400万円)よりはましだと思うが、それに近いレンジだと思う。
シリコンバレーと呼ばれるエリアの中心であるサンノゼ、そして最近、IT系の企業オフィスが目白押しのサンフランシスコ周辺は、実は全米でも有数のホームレス(浮浪者)の多い街だ。バレーのどこでも日銭を稼ぐために、ごみ箱を漁ってペットボトルを回収している人を頻繁に見かける。 オバマケアが施行にはなっているが、高額な医療保険を払うことが出来ず、ガンになってしまったら助かる見込みのない人が多数いるのが現実。ガソリンリンスタンドやモールの駐車場の片隅には、靴や洋服のドネーション用のBOXがあちころに設置されている。低所得者家族への寄付の為だ。そして、低所得者層の多い自分の自宅周辺は一つの家に2,3家族が同居するのが普通になっている。

 実は、これが世界で有名なシリコンバレーの現実である。

なので、この地で生きていくためには、給料のたくさんもらえる大会社、もしくは優秀な会社に就職する必要がある。このような会社は給料に加え、しっかりした社会保険制度や付加的な年金プランを提供してくれるが当然誰もが就職できるわけではなく、優秀な人材に限られるため、そこには熾烈な就職競争がある。特に中国やインド、それ以外の特に東南アジアからから移民してきた人々にとっては、正に、こちらで良い会社に就職すること、もしくは有望なスタートアップで働くことが生きるための必要条件になるのだ。
とにかく猛烈に必死に勉強する。自分の知る範囲だが、このエリアに文系の子供はよほど裕福な家庭の子供以外存在しない。文系の学位を取ってもこの地では就職できない状況を把握している親の配慮だ。当然仕事に就いていても、さらなるレベルアップで学校に通う人も多い。加えて世界中から一攫千金を求めて優秀なエンジニアが集まってくる状況もあり景気が良くて需要があるといっても、仕事を手にできない人も実は多いのだ。このエリアの失業率は全米の平均を上回っているとの報告もある。

シリコンバレーは海外から見ればIT産業の聖地であり、日本からも、多くの若者、腕や才能に自信のあるエンジニアが「この地でのバラ色の生活を夢見て(というのは大げさかもしれないが)集まってきている。また日本に顕著な企業からの駐在員も最近は非常に目につくようになってきた。しかしながらそんな日本人を迎える環境は、世界中、特に東南アジアから集まってくる本当にハングリーな連中との熾烈な戦いを強いられるのが現状だ。そしてその環境で生き延び、成功を手にすることは非常に難しいとも言える。才能はもとより、生きる為の術、そして精神力も必要になってくる。

このような現実から見れば、日本独特の駐在員制度でこちらに来ている日本人は、少なくとも会社が住宅費や保険、またまた車など全てをサポートされるパターンが基本なので、大成することは先ずないだろう。生活の不安がない日本人と真剣に生活の為にしのぎを削っている、PCが金に見えるような他国の人達とは、その気質に歴然の違いがある。

シリコンバレーをめざし日本から来る若者たち、彼らにとっても、成功にはかなり高いハードルと熾烈な争いを強いられる事になる。なので、先ずこのあたりの認識を少なからず持ってもらいたいと思うのだ。
こちらに来る事を否定しているのではなく、このような環境で勝負してくという事が事前に理解できていれば、それなりの準備と無駄な労力と時間、余分な費用をかけることなく、新たなチャレンジができるのではないかと思う。
この現実をうまく利用し、世界から集まっている優秀な人材を生かしたチームを作るという事も十分に可能だ。 加えてハングリーな連中に負けない「絶対に成功する」という高い志を持つことは絶対に必要。

今のようなバブリィな状況の中、当然チャンスは山のようにある。一攫千金も夢ではない。なので、シリコンバレーに進出を目指す皆さんには、敢えて上記のような現実を理解する事によって志と夢実現に向けての構想を新たにしてだければと思う次第だ。

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