Archive for 05/20/2014

付加価値を考えてみる。

自分が子供の頃(だいぶ昔の話になるが)、進駐軍に勤めていた母がよく「会社のアメリカ人たちはみんな日本のコーヒーは美味しいって言うのよ。アメリカのほうがコーヒーは一般的なのにねぇ…」、とよく話していたことを覚えている。兵隊さんたちが日本の店に入って飲むコーヒーの事を多分言っているのだと思うが、確かに喫茶店のコーヒーといえばサイフォンで淹れられた本格的(?)なもので、当時の喫茶店には、普通のコーヒーのほかに薄めに入れられたアメリカンコーヒーというのがあったと思うのだが、勿論、味的には圧倒的に普通のコーヒーのほうがRICH(自分も喫茶店でバイトをしていた際に普通に淹れたコーヒーにお湯を足して薄めて量を増やしてアメリカンコーヒーとして出していた)なので、アメリカから来た兵隊さんたちが普段飲んでいる、お湯に味(というか色)がついた)ものと比較すればRICHなコーヒーは美味いと思うのも当然だろう。

自分がアメリカに来た25年前はその逆で、レストランなどで飲むコーヒーが、どこで飲んでも不味いのに閉口したものだ。おまけに当時はアイスコーヒーというものは存在しなかった。レストランでアイスコーヒーを頼むと「アイスコーヒー???」とウェイトレスに怪訝そうな顔をされた。それでも日本でアイスコーヒーを堪能していた自分としては「じゃあコーヒーとアイスを持ってきて」と言って無理やりアイスのグラスにコーヒーをいれてみるのだが、当然あの薄いアメリカンコーヒーがICEでさらに水っぽくなって美味しいはずがない。ウェイトレスがイメージしていたのは、正にこれだったので(というかそれしか知らない訳なので)、美味くないものをなんで頼むんだろう??という事で「こいつ変わってる」と思われても仕方がなかったわけだ。

ところが1990年代前半にシアトルで80年代からエスプレッソコーヒーを主体にしたコーヒーショップを展開していたターバックスが上場を機に全米中に普及しはじめ、瞬く間に市場を席巻したばかりでなく、コーヒーの常識も変えてしまった…。日本では昔から普通に飲まれていた濃いコーヒーとバリエーションをもったアイスコーヒーの数々でアメリカ人を虜にしてしまったのだ。
余談になるが、シアトルに行くと、どんよりと天気が悪く、いつも寒いという印象(こんな気候だから外で派手にするアクティビティより家にこもってもできる娯楽が中心になって、ソフトのエンジニアも育ちやすくMSのような会社が育ったんだな~何て個人的には考えてみたりしてます…)、そんな中で夜間のドライバーたちは眠気を覚ますのに濃いCOFFEEが必要だったのだろう。当時(80年代の終わり)に出張に行くと、給油に止まるガソリンスタンドには必ずエスプレッソコーヒーとカプチーノが販売されていた。この環境が同社のもともとのモチーフになったのかもしれない。

さて、だいぶ昔の話をだらだらと書いてきてしまったが、今回言いたかったのは、付加価値を考えてみるのはどうか?という事だ。実は2年前から携わっている三菱のプロジェクト、日本では既に当たり前に使用されているインバーターエアコンを本格的にアメリカ(メキシコ)で生産し、市場に食い込もうというもので、これがかなり大当たりしている。既に業務用のエアコンに関しては昨年より供給が追い付かない状態。この流れをさらに一般家庭用に普及させていこうという計画だ。
アメリカの空調システムはご存じのようにセントラルエアーコンディショニング(HVAC)。部屋の大きさも然ることながら一か所でコントロールされた暖房・冷房を各部屋に分配するシステムなので、人のいない部屋まで暖めたり冷やしたりと不効率な事この上なく、加えて本当にコストがかかる。電気代やガス代が安かった昔ならまだしも、下手に暖房を消し忘れて外出などしようものなら、数万円の電気/ガス代は当たり前だ。そこに目をつけ、最新の技術を駆使して、各部屋の温度調整を可能にするデバイスを開発し、これをスマートフォンでコントロールするという付加価値をつけて大成功したNESTがGOOGLEに巨額で買収されたのは記憶に新しいが、今、その根本をインバーターエアコンによって各部屋の温調を自動で制御するという付加価値を持った製品で席巻しようとしている三菱をはじめとした日本勢も、特に新しい開発(勿論、アメリカ市場向けのローカライズ必要になるが)を施すまでもなく、新たな市場開拓を実現できると思われる。考えてみれば先にこのブログで日本の家電の可能性について書いたことがあるが(2012年8月「家電があるじゃないか!」)、ダニを吸い取る掃除機、ビタミンを増やす冷蔵庫等々、可能性のあるものは、たくさん存在すると思う。

スターバックスは今まで変化のなかったコーヒーの常識に、味の濃さとICEコーヒーのバリエーションという付加価値をつけて大成功した。NESTも同様。そして日本の家電メーカー各社も三菱のように、アメリカの大市場に食い込むここが十分に可能な感じがする。
同じように中小町工場の既存の製品や技術の数々も、少し見方を変えたり、市場を変えてみたりすれば少なくともアメリカでは常識と思われていることに付加価値として加えられるレシピがたくさんあるように思えてならない。もちろんそれにはこちらの市場をリサーチすることが重要になるが、ぜひそういう見方も加味して視察や調査などをしていただくことをお勧めしたい。

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