Archive for 10/07/2013

中小町工場と若手メーカーズの協業に新しい可能性が見えてきた!

先月の日本出張では、日本の若い製造系のスタートアップ企業2社を訪問、そのメンバーたちと色々な話をしてきた。昨年からブームになっているMAKERS革命と、それをつかさどる3Dプリンターをはじめとした数々の製造設備は機能も多様化し、価格もどんどんリーズナブルになり、またこれらが設置されたLABなども増えて、本当に手軽に子供の頃の工作感覚でものづくりができるようになった。そんな環境によって、メチャクチャ面白く可能性のある沢山の商品が、クラウドファンディングのWEBサイトを賑わせている。

このような新しい流れに呼応するかのように活動をしている1社がWHILLだ。30代前後の若手を中心としたこの会社はいづれも大手自動車メーカーや家電メーカーをスピンアウトした若者たちで構成され新しい電動型モビリティの開発にいそしんでいる。彼らの東京、町田の郊外にある工房、貸店舗を改装しただけのガランとした場所で、試作機を前に発泡スチロールを削り出して作った部品のモックアップを組みつけ、その取付位置に喧々諤々と意見を述べ合っている様相は非常に熱気が感じられた。製品自身も既にプロトタイプがリリースされ評判も上々だ。
私は彼らを見ていて、今から25年前、初めてアメリカに来た時に携わったSONYのメキシコ工場進出プロジェクトを思いだした。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでアメリカのTV市場を席巻しつつあった同社は、その供給体制を確立すべく、メキシコボーダーの町ティファナに大規模工場を建設。その立ち上げに来ていた当時のエンジニアたちは、皆、熱気があって、ひとつの目標に向かって一丸となっている様子が強く感じられた。自分も若かったからだと思うのだが、そんなプロジェクトにVENDERとして携わっていたことが非常に嬉しかったし楽しかった。
90年代から2000年代の前半までは分工場も併せて従業員も5,000人以上だったこの大規模TV工場も2007年以降は急激に縮小し、2011年には工場ごとFOXCONNへ売却されてしまった。
売却前の工場の雰囲気は非常に活気がなく、たとえが良いかはわからないが末期のベトナム戦争のごとく、何のためにTVを作っているのか、誰もわかっていないような感じだった。
実はSONYだけでなく韓国、台湾勢の猛攻に、なす術もなく打ち負かされてしまった自分が訪問している日本の大手家電メーカーの殆どの製造現場に残念ながら、このような目標を失った雰囲気が漂っている。それに慣れてしまった感があった自分にとってWHILLの連中の熱気と情熱は非常に嬉しかったし、自分への励みにもなった。 そして、これからはこういう新しい製造業のスタートアップが、最初からグローバルに発想し世界を獲るために、クラウドファンディングやオープンソースといった最新のスタイル(技術)を駆使して邁進していくであろうと強く感じた。

もう1社はオリィ研究所。代表の吉藤君は、自分の原体験をモチーフに独自で遠隔コミュニケーションロボットを開発。学校にいけない子供たちが授業に参加したり、高齢者が彼らのコミュニケーションの手段として気軽に遠くにいる孫を会話をることを可能にしたりできる身体的障害や距離を克服するための新しいツールとして注目を集めている。 彼自身とも色々と話をしたのだが、本当に無垢で純粋。加えて明確なミッションで、この製品の開発に従事している姿勢には感激した。
そして、このオリィ研究所の製造におけるアクションが実は非常に興味深い。彼らのマニュファクチャリングを町工場がサポートしているのだ。 墨田区の代表的な町工場である浜野製作所が、まさにインキュベーション的に彼らにスペースを貸出し(居住場所まで)、そこで彼らの持つ経験とものづくりのノウハウで吉藤君の製品を、より精錬されたかたち(デザインではなくコスト的、生産効率的に無駄のない)にしていこうという試みだ。当然、試作だけでなく量産プロセスも横の連携のつよい町工場が一丸となって協力すれば、よりレベルの高い商品に仕上がっていく可能性は非常に高いだろう。

この若手のメーカーズ達と町工場のコラボレーション、かなり期待できると思う。もともと下請けという体質からマーケティングや開発機能に乏しい中小町工場にとって、彼らの存在はオリジナルの製品を作るという意味では非常にポテンシャルがあるのではないか?そしてメーカーズ達にとっても、製造という彼らが持たない経験、たとえば「ここの曲げ構造をL字にすれば同じ材質でも強度が増す」とか、「この部分は削り出しより板金で作ったほうがコストを軽減できる」というノウハウによって製品の製造効率化と品質確保、そしてコストの軽減が実現させることができると思う。

このような試みの中継ぎとして、既に株式会社リバネスが、新しい事業展開としての活動をスタートしている。 また八王子市の中小町工場の有志たちが地元の東京工科大学と連携し、世界の潮流を日本へ向けさせるべく、中小町工場の復権とハード系の学生起業家達と彼ら町工場をコラボレーションさせるイベント「日本再生シンポジウム」を計画し、このような流れに弾みをつけようとしている。特に日本の場合、各県に国立をはじめとした各大学、そして多数の中小企業が存在する。彼らが独自にこのような方法で、お互いに足りない部分を補い、資金的な面では地元の有力企業だけでなく行政なども巻き込みながら形態を作っていけば大手に頼らず新しいスタイルの製造業を創生していくことは十分に可能なはずだ。
そして夢のある若手を育成する意味でも我々のような経験のある人間がこれらのバックアップに尽力を注ぐことは重要だと思うし、中小町工場も変なこだわりを捨ててオープンマインドで、このような試みに門戸を開いていくことが、新しい製造業の復権とグローバル化につながっていくのだと思う。

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