Archive for 07/19/2013

スピード感はあるのか??

今年の春から日系の大手家電メーカーの既存のメキシコ工場における新規プロジェクト立ち上げに携わっている。日系大手メーカーがアメリカで辛酸をなめさせられている中、日本の得意としている家電製品で再挑戦を図る同社を自分としては諸手を挙げて応援したいのだが、そのアクションの遅さが気になっている。
自分が、関わっているのは品質管理の部分で、同社は既存の検査システムを再び使用する計画なのだが「日本と使用している機種が違うので検査内容の詳細を確認したい、また機能的に問題がないか検証したい…」と細かい内容の質問が来たので、これに関してはスタンダードなデータ提供とシステム自身の過去の機能データなどを速やかに提出。それに対してすごく時間がたってから「実は今回使用する部品に関しての詳細な検査データが必要」みたいな質問が来て、これにも真摯に対応したにもかかわらず、最後に「この検査機に使用する治具の価格が日本のものとだいぶ開きがあるので、価格の検証が必要…」と、まあ次から次へを新しい要求が入ってくる…。このプロジェクト、勿論、明確なスケジュールがあり、この秋には新規ラインの稼働を予定しているのだが、こんなやり取りであっという間に1か月近くが経過、おまけにこれから価格の交渉と、ちょっとウンザリするほど手間がかかっているのだ。 品質管理の部分なので慎重になるのは十分にわかる。ただ何で、そんなに時間がかかるのか??というか先ず考えられるポイントをまとめ一括で確認する。という事は十分に可能なはずだ。う~ん…。
実は、このような動きの遅さは今まで他の大手メーカーでも何度か経験している。かつて別会社の工場では新規生産ラインの品質改善の際、メキシコ人はTACOSなど食事を手で取る習慣があり素手の作業では油脂が製品に残る可能性がある。しかしながら慣習上、現場に戻る際に彼らに手洗いを励行させることが難しいので全員(と言っても20人ぐらい)にニトリルゴムの手袋を装着させたらどうか?という提案をしたのだが、その決済に日本の承認やら何やら本当に細かいことで時間がかかり、結局生産開始時に間に合わず、案の定問題が発生してしまった…。なんてこともあった。
シリコンバレーでも(もしかしたら未だにそうかもしれないけど…)、ITバブルの頃は日本の大手のこちらの事務所には必ずBUSINESS DEVELOPMENTという肩書を持った駐在員がいて、こちらの先端技術やスタートアップをリサーチして日本サイドとの提携をさせる業務をしていたのだが、せっかく可能性のある会社を見つけても承認にいくつもハンコが必要な決済システムの為、もたもたと時間がかかり、それら会社はことごとく台湾や韓国、インドの会社に持って行かれてしまったという例も数多く見てきた…。要はそんな体質が今でも全然変わっていない様子を残念ながら身近に感じてしまって、何か本当にがっかりている次第…。
そして危惧するのは、そんな大企業の体質の中で長年働いてきた社員にも、そういう体質が染み付いてしまっていないか?という事だ。一生懸命開発や設計をしても承認や決済を取るために時間がかかる「だったらのんびりやってもいいや。」みたいな体質。加えて、たいして金もかからないのに上司の判断が気になり細かいところを気にし過ぎて何も決まらないといった体質だ。実際に中堅どころのコネクター製造の会社の友人から早期退職した未だ現役の大手メーカーの開発担当者を採用したのはいいが、そのプロセスの進め方の遅さに困惑した…という話を聞いたこともある…。

シリコンバレーに長年住んでよく感じる事。それはスピード感だ。あらゆるもの、特にソフトもハードも含めて新しい製品が市場に投入される速度、これらがものすごく速い。ITバブルの90年代後半から、ここはドッグイヤーの地だといわれていた。つまり他の地域の1年で、ここは7年は先に進んでいるというのだ。まあ、これはSOFTWARE産業に関しての見解であるにしても、ハードウェアでさえ少なくともその半分の3年半は他の環境より高速で動いている感じがする。APPLEが年内に発表するといっていたIーWATCHの発表が来年に延びるというだけで、その情報が早速今日のNEWSで流れていた。それほど時間とタイミングに関してはシビアなエリアでもあることは言うまでもない。特に話題が先行している新製品に関してはなおさらだ。
このスピード感が、ある意味、世界のデファクトスタンダードになりつつある。サムスンはその市場の流れに呼応すべく、この地に大規模なR&Dセンターを設置することを既に決定、今その建設が始まろうとしている。果たして日系大手企業はこの状況をきちんと理解しているのだろうか?少なくとも自分が今直面している状況からすると、未だに、よく理解できていないように思えてならない。

さて、これらの大手メーカーと仕事を共にしてきた中小町工場の皆さんにスピード感はあるであろうか? そんな大手の体質、というか仕事の進め方が実は染み付いてはいないだろうか?勿論、仕様決定に時間がかかりすぎて納期だけをひたすら急かされるという状況がほとんどかもしれないが、それでも仕事に関するスピード感がないとしたら、残念ながら、それは今の世界のスタンダードではないと敢えて断言したい。
「はい!納期は4週間で最高品質のものを製作します!」は、もう世界では通用しない。「要求された品質のものを1週間でお届けします」が今のスタンダードである。過剰品質は不要だ。機会があれば是非そのあたりを再考してほしい。少なくとも最高の技術を持っている日本の中小町工場であれば、このスピード感を持つことによって、間違いなくグローバル展開ができると自分は確信している。

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クローズドからオープンへ!

エンジニアの親しい友人から聞いた話。彼は今数人の仲間と新しいハードウェア開発を進めているのだが、その中に必要なパワーCHIPを探していたところ、日本の〇田製作所とアメリカのTI(テキサスインスツルメンツ)に適したものがあり、日本人の彼は、それであれば先ず日本製を使うようにしよう!という事で、〇田にさっそく確認したところ「弊社の場合、部品の販売は最低OOO個単位からでお願いします。サンプルの配布は行っておりません。製品のスペックシートで先ず確認をお願いします。またソースプログラムの公開も購入されたお客様以外にはしておりません…」との非常につれない高飛車な対応だったそうだ。そこでTIにも同じリクエストをしたら「はい、ひとつからでも勿論購入は可能です。ソースプログラムはいつでもWEBサイトで確認しダウンロードも可能です」との事で彼はさっそくTIの部品を採用した。仮に彼らが開発している商品が爆発的なヒット商品になったとしても、彼らは間違いなく個人に閉鎖的な〇田製作所の部品は使用しないだろう。当然、この先の製品開発で必要な部品があったとしても、同社の採用はありえないと彼は話していた。
勿論、これは〇田製作所の販売方針であり、TIのような販売をしている会社も多いかもしれない。しかし自分の経験から実は日本の会社(大きいところから小さいところまでも含めて)と付き合っていると、色々な部分で、このような閉鎖的(クローズド)な方針を持った会社が以外に多い感じがする。

閉鎖的という点では、これまた少しメージが離れてしまうと思うが、日本で営業をしていた頃(20年以上昔です…)、ある日産系の自動車部品の工場へ営業に行くと日産以外の車は工場内には入れてもらえず、遠く離れた駐車場にしかパーキングすることが許されなかった。 この会社に限らず特に自動車系は排他的でクローズドな会社が多かった。P社のTV工場に売り込みに行く際、同じ製品をS社で使用しているという事を話すことはタブーだった、というかS社で使っているんだったらうちは使えないよ。と言われるのがオチだった。機密保持という観点から同業他社で使用している製品を使うことはご法度という雰囲気は、コンスーマーに限らず特に半導体業界では非常に強かったことを覚えているし、そういった部分が日本の慣習なんだな。と当時は納得していた。
ところがアメリカに来て、この納得は一変した。これには賛否両論あると思うし、非常にストリクトな会社も勿論多々あると思うが、アメリカで採用したベテラン営業マンは当時こちらで販売していた製品の売り込みに、まず開口一番「この商品は同製品を製造しているA社で採用され非常に好評なので、御社にも最高ですよ」と説明した。これは言い換えれば客にとっても、「なるほど同じような製品で実績があるのなら、きっとうちにもメリットがあるかもしれない」と思わせるには一番なのだ。そして客の反応もそれなりの感じだったこと、にかなりの衝撃を受けたことを覚えている。
1990年代の中ごろ、アメリカではEMSによる生産がソレクトロンを中心に非常に隆盛だったのだが、このようなEMSの工場ではSUNのOC用ボードの隣のラインでIBMのOC用ボードを普通に生産していた。当然ながら機密保持の徹底は言うまでもないのだが、同じ生産ラインを使用できるのであれば、そのほうが合理的で効率も高く、コストも軽減できるというコンセプトによるものだった。このコンセプトが十分に咀嚼され、発展して今のFOXCONNの大成功につながっているとおもってもOKではないだろうか。。。
アメリカは当時からこのようにオープンな環境で”ものづくり”が行われていたのだ。今では一般的になっているオープンソース(これはSOFTWAREの話だが)というコンセプトも、きっとこのような市場のスタイルがまずベースにあるような気がする。
昨今の日本では、上記のような閉鎖的は部分というのは大分無くなってきたと思いたいのだが市場自身が激変している今の環境においては、このあたりを真剣に考えてみる事が非常に重要ではないか思う。営業でいえば、メーカーズブームを背景にロングテールの部分に非常にポテンシャルのある可能性も出てきている状況であれば、それに応じたオープンな営業展開をするべきだと思うし、
マニュファクチャリングに関しても、量産製品の日本におけるイニシアティブが無くなり、プロセス自体もが東南アジアに流れてしまった現状では、もっと自分たちの持っている今まで表に出てこなかった生産技術や商品開発のノウハウをオープンにして一丸となってグローバルな市場を獲りにいくことが不可欠ではないかという事だ。S社とP社が事業統合して共同で次世代TVを開発する!そんなインパクトのある展開が絶対に必要だと思う。

実は今日本の中小町工場の間で、「全日本製造業コマ大戦」というのが密かなブームになっている。これは日本の製造業が彼らの技術を結集した喧嘩ゴマを製作して戦わせるというものだ。自分も付き合いのある町工場の皆さんから、この話を聞いて最初は「なんでコマなの??」「そこにマーケティングとしての意味はあるの?」と正直なところ、いささかネガティブなイメージ(失礼)しかなかったのだが、実はこのコマ大戦を通じて同業の参加者たちが物凄いスピードでそのネットワークを広げいている状況を見て「これは面白い!」と考えを一新した。 これによってオープンネットワークが築かれ、今まで下請けという非常にクローズドな環境で門外不出のものづくりをしていた同業の皆さんが、連携を強化し、お互いのノウハウなどをオープンにして、新しいものづくりを創造していけばきっと凄いものが創れるのではないか?? と思うようになってきた。

少なくとも間違いなく依怙地になって上記の事業統合などは、あり得ない(SHARPとFOXCONNの話とか)、今の日本の大手製造メーカーの状況から見れば、方法はどうであれネットワークを加速する中小、町工場の動きのほうが断然楽しいし、もっともっとオープンになって日本を飛び出し、グローバルな視点で市場を見て再び日本初のデファクトスタンダードな製品を一日も早く創り出してもらいたいと思う!

 

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