Archive for 05/26/2013

MAKER FAIREを見学して思った事

5月の18,19日の週末に開催されたMAKER FAIREを見学してきた。これはアメリカのものづくり系、とにかく個人でも企業でもグループでも、ものを作っている人たちの集大成といった感じの展示会で、とにかくものすごい人気。私は2日目の日曜日に行ったのだが、10時の開演時には、既に周辺の高速道路が渋滞するほどの混雑。その人気の高さに見学前からちょっと驚いた。TVゲームがまさに完全に主流になっている今のご時世に、まだこんなにものづくり、創作といったものに人気があるのかと。言い換えれば子供のころ読んだ科学雑誌や工作系雑誌などに夢中になっていた子供がそのまま大人になっても未だに夢中になっている感じもあるし、当然その世代に育った親たちの意図(子供にもTVゲームではないものに興味を持たせたいという)もあってのことだと思うのだが、その層の厚さにはかなり圧倒されるものがあった。会場は屋外と屋内とに分かれており、大きなものや大道芸的なもの(スミマセン、的確な表現が見つからなかったんだけど、竹馬のお化けみたいなものとか恐竜の自動車とか墨でできたピアノとか下記の写真のようなわけのわからないオブジェみたいなもの)は外に展示されたり実際に動き回っていたりしており、室内では主に展示っぽい展示(普通の機械とか、玩具とか、部品とか、其の他諸々)が行われていた。そして会場全体に、特にギークとかナードと呼ばれる連中、実際に映画バックトゥーザフューチャーに出てくるドクと同じ様相や雰囲気を持ったイイ歳のおっさん達やお年寄り(失礼!)が驚くほど目についた。

<車全体に音楽で動く魚やエビをつけて車のバッテリーで動かしていた怪しい初老のおじさん…>

展示されているものは本当に昔ながらの木工細工のようなものから紙を使った模型、素朴な玩具などに加え、ハイテクを駆使したスマホで動くおもちゃや機械、はたまたセキュリティシステム、省エネ系製品(コンロの過熱を利用した発電機などがあった)など多岐にわたっていて、出展者も個人の発明家から、スタートアップ、趣味の開発グループ、AUTODESKや、INTEL,NVIDIAといった大手までと幅広く、まとまりがないと言ってしまえばそれまでだが、とにかく奇想天外な製品が多く、発想の豊かさと、ものづくりに対する執着、情熱みたいなものが感じられて、かなりおもしろかった。
そして、これがアメリカという国の製造業の根底にあり80年代から急速に製造を海外に移管し日本より早い段階で空洞化が問題になり、もう製造を忘れてしまったかと思われていたこの国には、実は絶対に無くならない製造魂みたいなものが残っているし、国外から移民してきた世界中の人々も、そのアメリカが持つMAKERS(ものづくり)気質みたいなものをしっかりと刷り込まれて育ってきているので、製造という分野においては非常に関心が高いのではないかと思われた。 加えて、そのようなMAKER達をバックアップする製品もたくさん展示されていた。3Dプリンターに至っては$1800で8インチサイズのものまで製作できるのが売られていたし、$2000台でルーターやミリングマシーンも売られていた。つまり個人やグループが自宅やガレージに、これらの設備を並べて簡単にものづくりができる。おまけにAUTODESKをはじめとしたソフトウェアメーカーもほとんど無償でこれらの機械を動かすデザインツールなどを供給している。そういったインフラも既に存在するのだ。このあたりの環境の充実度は凄い!これだったら本当に興味と情熱さえあれば、ほしいと思ったものは何でも作れる!という気になってしまう。日本には、こういう環境は既に存在するのだろうか??

考えてみれば自動車の量産を最初にスタートしたのはアメリカだし、ファクトリーオートメーションを確立したのもアメリカ、月に向けて最初にロケットを打ち上げたのもアメリカ、既に40年代にはほとんどの家電製品を開発/販売し半導体はもとよりPCだって全てアメリカから生まれ最近ではスペースシャトルまで飛ばしているのだ。製造業に関しては表現が悪いが「腐ってもアメリカ」「不沈のアメリカ」というゆるぎない地位を持っていると思えてならないし、このMAKER FAIREの盛り上がりを見て、さらにそれを確信した。
さて、これらアメリカの製造業の裏には、未だに多くの日本企業の素材や部品、製品が使われていることも、これまた事実であり、特に最近のアメリカの航空宇宙開発やプリンテッドサーキットのような次世代テクノロジーの裏には多くの日本メーカーが活躍している。 少なくともまだまだ日本の製造業がうまくコラボしながらイニシアティブをとることも十分可能なのだ。こういった部分で今回のMAKER FAIREで見たような個人がつくる奇想天外な製品の中から、もしかしたら物凄いヒット商品が生まれる可能性もあるかもしれない。そんなところに大手ではなく日本の中小、町工場の技術や少量多品種生産、そして小回りの利く対応といった価値がうまく結びついて、大手に負けないような製品がガツンと生まれてくるようなスキームを何とか構築できればと思うし、何とかそれを実現してみたい!MAKER FAIREを見てそんな事を強く思いました。

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「ものづくり」から「価値づくり」へ!

前回から、まただいぶ時間が空いてしまったが、今回も前回と関連し「ものづくり」について…。
シリコンバレーでマーケティングのプロフェッショナルとして活躍されているコンサルタントのMARK加藤さんとお話をする機会を得た。その中で、もう「ものづくり」ではなく、これからは「価値づくり」でいく必要がある!いうご意見を伺い、ちょうど前回のブログで、この「ものづくり」の認識の再考を投げかけていたこともあって、まさに解を得た気持ちで激しく共感すると共に、自分自身も、価値を見出し作り上げていく事は日本の中小製造業が、これからの世の中においてグローバルに展開していくために不可欠だなあという思いを新たにした。 それは前回書いたように今日の日本の製造業を語る上で枕詞のように使われてはいるが、独りよがりで需要やアドバンテージの無い「ものづくり」ではなく、それぞれが持つ独自の技術(もちろんこれがあれば一番!)やそれ以外の価値をまず明確にし、それを市場に応じて柔軟性をもって作り上げ、前面に押し出すビジネス展開を真剣に考えてみる必要があるという事だ。そして私自身は、非常にシンプルに「ものづくり」と「マーケティング&リサーチ」の融合が「価値づくり」になるのではないかと解釈した。
では、具体的に「価値づくり」、いったいどのように考えていけばいいのか? そのためにはまず第一に自分たちがもっている今の価値は何かを把握する必要がある。 今、皆さんは、どうしてお客さんから注文をもらえているのか?自社の持つ素晴しい技術や品質の為なのか?納期が非常に早いからなのか?値段が非常に安いからなのか?もしくは、マメなフォローアップができているからなのか?それとも実は先代からの付き合いでなのか等々、さまざまな要因があると思うが、これらをしっかりと分析することで、自分たちのどこに価値があるかを先ず明確に見出してほしい。
次にその価値が現在のニーズに合致しているかを検証する。たとえば大きな需要がある市場において果たして自分たちの現状の価値だけで食い込んでいけるかどうか?そこには、やはり現地の需要を把握することが不可欠になる。
たとえば特殊な加工技術で難易度の高い製品を製造できる会社があり、その価値を武器に、さらにこのような商品の需要が見込まれる新規市場(国)に参入しようとした場合、既にそこには同様の製品を作れる会社が存在していたとすれば、その会社の持つ価値はあまり意味をなさない。
そのような場合には、その市場の需要をしっかりとリサーチして把握したうえで自分たちの価値を生かしながら、そこに付加的な価値を補充(たとえばその加工技術を生かした水平展開や現地の会社より低価格で提供ができる等)するなどして、より高い価値を作り上げ臨機応変に展開する必要がある。そのような中で築き上げていくのが「価値づくり」だと思う。
一例をあげてみよう。京都にアルミ加工の試作品製造では間違いなく最高峰のレベルで業界では有名な山本精工という会社がある。同社は将来的に市場を見込めるアメリカへの参入をめざし、現地のリサーチとマーケティングを展開。その結果、自社の加工技術を価値とできる可能性よりも納期やコストの面での重要性と需要を見出し、自社の戦略を変更し、高度の加工技術に加え自社の工程の見直しを図って従来の納期を大幅に短縮、それに応じて工数を減らすことによるコストの軽減も実現し、この価値を従来の価値に加えて前面に押し出したPRでアメリカの展示会に出展。早々に数社からの受注と現地企業とのパートナーシップ提携というスタートを切ることに成功している。素晴らしいと思う。

確かに既存の「ものづくり」は素晴らしい言葉だと思うし、製造という面では非常に優れた技術、製品もたくさんあることは事実だ。ただ前回の内容通り、その言葉が持つ認識からでは現状は何も生まれてこない。この認識を再考し、加えて日本の商制度上、中小の製造企業においては余り必要性がなかったマーケティングを再考し、そこに力を入れることで自分たちの価値と融合させる「価値づくり」によって、少しでも新たにグローバル展開に燃える企業が増えてくれたら嬉しい限りである。

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