Archive for 09/28/2012

ハードウェアが注目されてきそうだ!

アメリカの大統領選まで50日を切った。各候補はこの時期各州を訪問して精力的に選挙活動を展開している。民主党候補のオバマ大統領(実は私と同じ歳。誕生日も1日違いで、勝手に親近感もってます)は、再選に向けて特に中間層へのPRをメインに雇用問題の打開を前面に打ち出したスピーチを繰り広げている。特に中西部では、勢いに乗りつつある自動車産業をさらにバックアップする姿勢を明確にし雇用の面では中国、アジアに流失したマニュファクチャリングを再びアメリカに戻すといった事を明言していた。 2000年以降、中国や東南アジアが製造拠点として大きく発展した影響でアメリカ国内では、50,000以上の製造工場が移管および閉鎖され、500万人以上の労働者が職を失ったといわれている。これをアメリカに引き戻し失業率を軽減することが今回の選挙戦でもも重要な政策として考えられているだけに、その実現に向けての方策もこの先、新規の高速鉄道建設なども含め、色々と打ち出されていくであろう。
さて、実はこのBLOGにも過去何回も触れてはいるが、ここにきてまた製造をアメリカに戻すという動きは非常に活発になってきているようだ。先週も今まで中国で製造を行っていたデジタルサイネージメーカー”ALTIERRE”が製造拠点をシリコンバレーに移し、100名規模だか工場を新設、今後は市場のあるこちらでの生産を行うという記事がシリコンバレーの中心的メディアであるSAN JOSE MERCURY NEWSで紹介されていた。同誌では新規に”MADE IN SILICON VALLEY”という新しいコラムも設け、この地の製造業を紹介している。またCONSUMER ELECTRONICS業界の覇者であるSAMSUNGは、同じくシリコンバレー(マウンテンビュー市)に大規模R&Dセンターを設立。将来的に1,500人規模の雇用をする予定だ。勿論、R&Dなので、直接製造業には結びつかないかもしれないが、少なくとも新製品のプロトタイプなどは、この地で生産されるようになる可能性は高いといえよう。
確かに東南アジア、特に中国での昨今の人件費高騰は、この流れに拍車をかけていることは間違いないと思われるし、ほかにも以前2月にこの「アメリカ製造業復活の兆しを考えてみた」というタイトルで書いたブログの内容にある理由も間違いなく現実となってきている(最近輸送費も燃料費などの高騰でかなり値上がってきた)。そして、今回新たに考えたのは、ハードウェア自身の需要が増えてきているということだ。これは先般お会いしてお話をさせていたたビジネスの上での大先輩であるMさんから話を伺い、自分も「なるほど!」と激しく共感したことなのだが、ソフトウェアの大規模化と複雑化がさらに進むと、それをつかさどるハードウェアにもそれなりの進化とそのソフトウェアの機能を十二分に引き出すためのスペックが要求される。またいいソフトを持っているだけではだめでそれを機能させるためのハードも持つことが、この先の企業の発展にもつながるということがここのところ非常に鮮明になってきているということだ。これはAPPLEの成功に呼応するかのようにNEXUS 7やSURFACEでハード武装化を本格的に始めたGOOGLEやマイクロソフトを見れば明白だと思う。このような流れなのでIT産業の中心として基本的にはソフトウェアメインの産業地域と見られがちなシリコンバレーで、それらをつかさどるハードのR&Dを行い製品を設計して少なくとも市場のあるところでプロトタイプを作りリリースをするというのは自然な流れだという感じがする。まあ憶測だが、そんな需要に目をつけて大規模R&Dセンターを設立したSAMSUNGはやはり凄い!というか世界を獲りに行く会社なんだな~という思いを新たにした。
というわけで、これからが旬のタブレットPC市場においてガラパゴスで早くも失敗し今は瀕死の状態のシャープ、出口のない迷走を続けそうなSONYやPANASONICの状況を見る限り、残念ながらハードウェアにおいては将来的な期待を持てるところも少なくなっているのが今の日本の現状であるけれども、ハードウェアの需要拡大に伴い製造業が、これから盛り上がりの様相を見せているシリコンバレーを新たなターゲットとして日本の中小企業が視野に入れることは十分に価値があると思う。

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アップルVSサムスン訴訟の判決で考えたこと

スマートフォンをめぐるアップルとサムスンの訴訟はアップルの勝訴で幕を閉じた。これによって「ああ、やっぱりサムスンは物まねの会社なんだな~」と思った人,特に日本の電機業界にかかわる人の中には、かなり多かったのではないだろうか・・。確かにサムスンは物まね会社だった。早いもので今から26年も前の1986年、日本のベンチャー企業で働いていた私はサムスンのKNOCKDOWN生産のプロジェクトのために頻繁に韓国のサムスンの製造拠点であった水原市の生産技術研究所に通っていた。当時自分のいた会社の主力製品はPCボードの検査機。電気製品の基幹となるPCボードにきちんと部品が実装されているかを検査するシステムのメーカーに勤務していたのだが、その検査機にサムスンが目をつけ、「どうですか?部材の安い韓国で製品の製造をしてみませんか?」という誘いにのってのプロジェクトだった。もちろん先方の目論見はわかっていたので断ることもできたのだが、当時すでに顧客であった同社に反旗を翻すわけにもいかず、また「製品をコピーされても、彼らが追いつけないような新しいものを開発していけばいいさ。」という甘い考えもあった。形態としては検査機の心臓部である計測系のハードを私がいた会社が供給し、それ以外の部分をサムスンが製造するという流れだったのだが、購入したのは最初の20セットだけで後は見事にコピーされ、検査機はサムスンの製造ラインのスタンダード製品となり、サムスンの全製造工場の製造ラインに設置された。その数は10,000台を裕に超えているだろう。もちろん新しいものを開発していけばという安易な考えは日本の一介のベンチャー企業と異なりソウル大学に奨学金で通い国益のためにという名目で兵役をも免除された秀才エンジニアばかりを集めた同社には敵うはずもなく安心しきっていたROMのデータまで簡単にコピーされてしまった。そして私が通っていた生産技術研究所の広大なフロアーには、この検査機のみならず当時世界最高峰といわれていた日本のPCボード製造ラインの数々の製品、PANASONICの実装機、日本電熱計器の半田層などが、彼らの手によってリバースエンジニアリングされていた光景を今でも鮮明に覚えている。
しかしながらCONSUMERエレクトロ二クス、家電分野でいえば、彼らの、このような物まねも2000年の半ばまでだったのではないだろうか?それ以降のサムスンの製品、特に自分が深く携わっていたTVの分野でいえばLCDやプラズマの薄型が主流になった段階で完全に立場は逆転していたように思う。日本勢が薄型TV では先行してキリギリス状態になっていた時期に彼らは製品のR&Dに執拗なまでに注力し、いかに基幹部品のひとつ、ワイヤーの一本でも減らして安価に効率よく生産できるかに心力を注いでいた。そして同社と同じプロセスを踏んでいたLGとともに市場を席巻し現在に至っているのは周知の事実である。そんな状況に、ようやく尻に火がついた日本勢が「なぜ韓国勢はあんなに安くTVを作れるのだろう?」ということで2008年ぐらいからPANASONICをはじめSHARPもSONYも皆サムスンやLGのTVを分解し必死になってリバースエンジニアリングをしていたことはあまり知られていないだろう。おまけで言えばデザイン性まで完全に優位に立った韓国勢のTVと全く類似したデザインのTVを2011年に新製品と称して日本の雄であったPANASONICが発表した時には残念ながら絶望感を感じてしまったものだ。また最近で言えば1cmを目標に薄ければ薄いほど良いというLCD TVに固執していた生産を既にサムスンは辞め2cmであっても安く製造する事が肝要というマーケティイグデータをもとにさらなる市場拡大に挑んでいる。いまだに4KやらビヨンドTVと称して高付加価値にこだわる日本勢には、残念ながら明るい未来はない感じがする。
とまあ話が長くなってしまったのだが、要は「サムスンは物まね会社だ」というのことはやさしいのだが、物まねされるような技術や製品がありながらグローバル市場で成功できなかった日本勢は真摯にその現実を認めるべきであり、その中から新たな活路を見出してもらいたいと思うのだ。この辺りは先日ダイヤモンドに寄稿された安藤さんの記事と全く同意見だ。非常に残念かもしれないが自力でどうにもできなければグローバルに展開する企業の軍門に下ることもありではないか? 特に今後その需要拡大が期待され日本が優位に立っていた電池、モーターの分野においては、その技術の流出を憂慮するより、逆に潤沢な資金のある国外企業に入りこみながらも、いぶし銀(表現がおかしいかも知れませんが…)のような技術を供給しつづける努力をすることで、大中小を問わず確実にイニシアティブをとることができる日本企業の出現に大いに期待したいところだ!

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