Archive for 02/24/2012

元気のある里親を探そう!

懇意にしているMさんのWALLで紹介頂いたダイヤモンドオンラインの特別寄稿「日本エレクトロ二クス総崩れの真因」の記事を読んだ。自分自身が何を隠そう日系のTV製造メーカーを相手に過去20年以上商売をしてきただけにこの記事の内容は非常によくわかるばかりでなく、本当にその通りだなと、妙に感心してしまった。実際にTVの激戦区であるアメリカ。今売れているというSAHRPの60”のAQUOSの価格はなんと$1,200@@!60インチのパネルの原価が日本円で8万円ぐらいすることを考えると、まったく利益が得られていないばかりか逆にお金をつけて売っているような状態だといえなくもない。勿論市場をいかに確保するかということが重要な要因であるかとは思うし、同社の場合には先行投資でつくられた日本の大液晶工場の生産を維持するためにも、このような販売活動が必要なのかもしれないが、そこで得られた市場に次に投入する製品があるのか?と言われても残念ながらTVの行く末を考える限り、思い浮かぶものは今のところない。同社は、この先も80”90”という大型TV で市場の巻き返しを図ると鼻息が荒いところもあるが、全体的な需要の落ち込みが明確なアメリカ市場ではたしてどれだけ販売数が延ばせるか??これもBIG QUESTIONだ。結局このような状況(勿論アメリカ市場だけの問題ではないのだが)を反映してか同社は2,200億円の予想赤字計上、SONYの2,800億円と続き、最後までPLASMAに固執し、それでも必死で頑張ってきたPANASONICに至っては8,000億円の赤字という前代未聞の状況になっている。当然来期はこれらのマイナスを克服すべく、各社必死で対応策を考えていかなければならないだろう。そして、その中には事業縮小やリストラなど、かなりシリアスな部分も多々含まれることは容易に想像できるし、さらに今までこれら大手の縁の下の力持ちとして頑張ってきた多くの協力工場、協力企業は、より厳しい岐路に立たされることは明白だ。中には力のある会社もたくさんあるであろうが、今まで親(会社)のために滅私奉公的に頑張ってきたこれら企業の多くが矛先を失い路頭に迷う可能性は十分にある。
さて、この記事をお書きになられた神戸大学の三品教授はその内容の中で「日本のエレクトロニクスメーカーは韓国のエレクトロニクスメーカーの担ぐ日本の材料、装置メーカーに負けたと言い換えてもよい」と書かれているが、自分はこれを読んで、これこそが、この先日本企業それも中小企業の生きる道だと考えている。以前から事あるごとに話しているのだが、封建的な日本の大企業とそれに付随する協力企業の構図がいまの日本の敗因だと思えてならない。大手の庇護下にあるがゆえにマーケティングや営業力をあまり必要としなかった多くの企業がもつ優れた技術や商品はまさに宝の山ではないか?SAMSUNGやLGのつくる液晶パネルの基幹部品の多くは、教授の書かれているように本当に日本メーカーのものである。液晶に代表されるような、日本発祥、もしくは日本が育んできた優れた技術はまだまだ世界で必要とされているのだ。力と志をもつ中小企業はさっさと日本の親元に見切りをつけてどんどん海外の元気のある企業に取り入ってそこで安定した生業を確保できている。韓国のこれらメーカーに限らずアメリカではAPPLEの製品に部品を供給している多くの日本メーカーがある。その中には小さな会社もたくさんあるのだ。そして部品ひとつで数十億の売り上げを確保するに至っている。このような素晴らしいリソースを今までの恩恵はあったにせよ先の見えない親元で収束させてしまうのは本当にもったいない。特にモーター、バッテリー、その他世界の企業がほしがっている技術や製品はまだまだたくさんあると思うのだ。
だいぶ前になるが、こちらでスタートアップ企業のサポートをしているSUN BRIDGEのKさんと「日本の中小企業はもうさっさと今の親には見切りをつけて里親探しに出るべきですよ!」という議論を交わしたことがあるが、まさに今、その時期に来ていると思う。そんな里親探しを、支援、サポートしてくれる人たちや団体もあるし、自分自身も志のある企業はしっかりと応援してあげたいと思っている(まったくの微力ですが…)。そして、1社でも多くの企業が今の状況に見切りをつけ真剣に元気のある里親探しをいち早く始めてくれることを願う次第だ。

 

 

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アメリカの展示会を見て考えた事

今週カリフォルニアのアナハイム(ディズニーランドがあるLAの南の都市)で西海岸最大のエレクトロニクス/製造業関連の展示会MDMが開催されたので自分も足を延ばしてみた。この展示会は、メディカル関連の製造メーカーの展示が有名だが、併設してプラスチック、プリシジョン、AREOSPACE,ほかの製造にかかわるカテゴリーの展示など9つの分野の展示会が一斉に行われるという西海岸では最大規模を誇るものだ。 この展示会をみて、考えたことを2つほど紹介したい。

まずはアメリカの製造業はまだまだ健在だ!ということだ。
今回の会場はアナハイムコンベンションセンター。広さ約12,000坪の会場に所狭しとブースが並んでいる。その総数はなんと2,000社以上。勿論、アメリカにあるメーカばかりではなく世界中から関連企業がブースを出しているのだが、アメリカ系の製造メーカーも「まだこんなにたくさんあるんだ!」ということに驚かされる。勿論メーカーの中にはアメリカでの生産ではなく東南アジアに生産拠点を持ってこちらで販売しているメーカーもたくさんあるとは思うのだが、「こんなものをまだ作っているんだ@@!」みたいなもの、たとえば工業用のブラシや、単純なスプリングなどもたくさんあって、そのような見方(MADE IN USAかどうか)で、個々のブースをのぞいてみるのも非常に面白く、この人件費の高いアメリカで製造しても需要があるものには、どのようなカラクリ(マーケティング?)があるのかぜひじっくりと話を聞いてみたいと思った。

そして、もう一つ考えた事がある。今回はたまたま自社の持つ技術で、新たに医療系のナノチューブの市場に参入を計画している知り合いの会社の社長が来られていたので、少し感想を伺ってみたのだが、彼曰く「もうすでに同じような商品をこちらで製造販売している業者がこんなにたくさんあるとは思わなかった」との事。確かに日本という市場にこもっていれば、グローバルなマーケットという点では非常に限られた部分しか見ることができないのだろう。そして「自分たちが考えていることを既に実現している会社もあって、自分たちの視野が狭いことがわかったばかりでなく、かなり勉強になり刺激になった。」とも話していた。私も彼と同じ感想を、こちらの展示会に来ると思うことが多々ある。特に自分の分野である電子基板(PCB)の実装などは、APPLEに代表される大生産体制の確立でほとんどが東南アジア中心であるにもかかわらず、同じく西海岸で開催される同産業の一大展示会であるAPEXはいつも盛況だ。つまり、まずアメリカで地位を確立し知名度を残すことが、将来的に中国やインド、そしてこの先、これらの産業が確立されていくであろう新興国においては先ずステータスとして重要であるという感じを非常に強く受ける。加えてそのような意味合いから、アメリカでの展示会には世界中から同じような目的の企業やメーカーが集まるので、その市場の動向やトレンドを知る上でも重要な意味があるということだ。その証拠に韓国や台湾の製造機器メーカーもこぞって大きなブースを構え、すでに需要的には先細りになったこの地の展示会に出展しているのだ。これはアメリカ市場での販売拡大だけが目的ではあるまい(きっとそう思う)。
先の知り合いの会社の商品も仮に大手の医療機器メーカーの目に留まり、こちらでの供給が始まればそれがもしかすると一つのステータスとなり、将来的にますます需要が高まる莫大な人口を有する中国やインド、アフリカなどへの浸透は想像以上に容易に実現できるかもしれない。そんなポテンシャルも含め、アメリカの製造業は市場としてまだまだ魅力的だということを改めて強く考えたし、やはりアメリカの市場やマーケットの動きをしっかり把握し、自社製品の地位や実力がどんなものかを把握することが、将来のグローバル化には不可欠だと新たに感じた次第である。

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アメリカ製造業復活の兆しを考えてみた。

アメリカにおける製造業が、にわかに復活の兆しだ。自分がアメリカに来た80年代の終わりは、まだ国内で販売されてるPCの大半がアメリカ製だったと記憶している。確かにサンマイクロシステムやAPPLEのPCは自分のオフィスの近くで生産されていた。それが90年代に入ると製品のコモデティ化に伴いどんどん東南アジアを中心とした地域に移管。90年代の半ばに入るとEMSによる生産体制が一般化し、そのEMS企業も2000年の頭ぐらいまではまだアメリカで気を吐いていたのだが、FOXCONNを中心とした巨大EMSメーカーにその市場をどんどん凌駕され2000年代の半ば以降ソレクトロン、フレクトロニクス、SCIといった大手はほとんど姿を消してしまい、その後のリーマンショックが致命傷となり、シリコンバレーからは完全に大手の製造メーカーはなくなってしまった。そして失業率も高止まりの状態が続いているのが現状だ。ちなみに全米の失業率は大体9%強なのだが、ここシリコンバレーは12%と異様に高い。これはこの地域の特殊性が大きく影響している。世界中から一攫千金を求めて集まる優れたエンジニアたちが限られたエリア、業種に集中しているために競争が激化しているからだ。
ところが去年の秋を過ぎるころから、その製造を取り巻く状況が少しずづ変わってきた。まずアメリカ市場向けの一大生産拠点であるメキシコに生産が戻ってきた。2~3年前までは価格的に中国に対抗できず、大手のメーカーが廃業や東南アジアに生産を移管し一時はかなり深刻な状況だったのだが、ここにきてPANASONICがマレーシアから生産を引き戻したり、メキシコの製造メーカーには、今まで中国をメインに生産されてきた電動工具や通信系のデバイスなどの部材や製品自身のアウトソーシングの見積依頼がだいぶ増えているという。
このような状況について、なぜ再び製造業がアメリカ(もしくは近接するでメキシコ)で復活しそうなのかその要因を考えてみた。まずアメリカ国内における失業率対策に政府が動き出したからではないかと思う。実際に高い失業率は国の景気を良くは見せない。APPLEが月に100万台のI-PHONEを製造販売し最高の利益を上げても、そのほとんどを中国で生産していたのでは、アメリカ国内の雇用にはまったくと言っていいほど寄与していないわけだ。オバマ政権はこのあたりを重視し、先般の演説ではアメリカ国内で製造を行うメーカーには税金優遇を適用し、国外で製造を行うメーカーは法人税を引き上げるといった措置を示唆している。つまり雇用対策としての製造業の復活が大きく貢献するわけだ。次に考えられるのは、これは私の個人的な推測なのだが、アメリカの国内需要の低下があげられるのではないかと思う。この根拠はTVだ。一昨年までとにかくアメリカ市場向けのTVは、とにかく安いことが大前提だった。そのために大量生産を実施しコストを極限まで抑えた韓国勢が市場を席巻し、日本勢はことごとく敗北してしまった(なんせSHARPの60”のAQUOSは、いまこちらで10万円ですから…)。当時は安く売ればいくらでも売れたのだ。ところが昨年の上期の段階では、市場を席巻しているSAMSUNGもLGも大量の在庫を抱えて赤字転落。つまりこれは、ほかのメーカの物が売れているのではなく需要が低下したことに他ならない。ということは今まで大量に生産することによって製造コストのみならず輸送コストなどを軽減できた中国生産の意味が薄れてきてしまったわけだ。限られた需要(生産数)であれば、大量購入による不良在庫のリスクがなくなり、短納期(現状中国からのOCEAN出荷はどんなに早くとも3週間以上かかる)と市場でのクレームのフィードバックも早くできるアメリカもしくはメキシコでの生産が非常にメリットがある。おまけに人件費もインフレが進む中国とメキシコでは大きな差がなくなってきているとも言われている。ここに(TVに限らず)製造業がアメリカにもどってくる要因があると思う。そして、最後に日系メーカーのアメリカへの製造移管に関して言えば円高の回避だ。アメリカで10万人以上の雇用を誇るTOYOTAは、先の震災や洪水による天災の影響を考慮し、また円高回避策として今後はアメリカを製造の一大拠点にすると、デトロイトのショウで副社長が発表している。確かに1円の差で何億円もの損益が生じる企業では、今回の円高対策としてはごもっともといえる策だ。おまけに円高であればドルベースの決算なら差益で今までより数十パーセントも安く進出が可能だ。TOYOTAに呼応するかのようにHONDAやMAZDA,そして日産もアメリカとメキシコに大規模な生産工場の進出を今年から来年にかけて予定している。円高回避の点では、ほかの製造業にもメリットはあるはずだ。
いづれにしても製造業のアメリカでの復活は、同国の景気対策だけでなく、日本の中小企業にとっては今まで新興国に流れるだけだった製造プロセスが、源流に近づくことによって、よりグローバルな展開ができる可能性もあり大歓迎である。この状況、今後も注視しながら、ことあるごとにレポートしてみたい。

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