Archive for 01/25/2012

ビッグサイトの展示会を見て思った事

今週は日本出張、毎年この時期に開催されるアジア最大のエレクトロニクス製造実装技術展「NEPCON JAPAN」視察がメインの目的だ。この展示会はこの業界に入って以来、過去27年近くにわたり毎年欠かさず訪れている。最近では、この展示会に併設されて今のトレンドである「カーエレクトロニクス技術展」「次世代証明技術展」なども同時開催され(まあ一説には単独の展示会では十分な集客ができないという背景もあるようだが…)、現在のトレンドの産業における日本の技術力の詳細を一括で見ることができるとい点では非常に効率がよい。
 電子回路基板(PCB)に部品を実装する、という電気製品にはまず不可欠な製造プロセスを担う製造機械、実はこの分野で日本は世界のトップシェアを誇っている。昨今は需要の減少から韓国勢や一部ヨーロッパ勢もシェアを伸ばしているようだが、技術レベルでは圧倒的に日本製だ。大手のPANASONICをはじめ中小では富士機械製造など、この分野のブランド品として世界で圧倒的な人気を誇るメーカーもある。またYAMAHAやTDKなども未だに根強い人気をもつ。特に最近では、微小パーツの実装、これはスマートPHONEなどに使用される0.6mmX0.3mm角の部品をも確実に実装する機械精度が不可欠になりこの部分ではやはり信頼性という意味で日本製品にまた軍配が上がるケースが多いようだ。面白いのはJUKIなど、ミシン製造メーカーの大手もこの分野で結構根強い人気を持っている。かつて工業用ミシンでは世界的なシェア(未だに頑張っている)をもっていた同社が、その技術力を生かしミシン針の代わりに部品を実装するノズルを装着したシステムで他業種にも参入しているわけだ。これら実装機器メーカは先に書いたように確かに需要自身の衰退により十分な利益を確保できないという状況にあるのは事実だし、リーマンショックのあたりには少なくとも大手数社がこの業界から姿をけしてしまったが、製品がより小さく高機能になり部品レベルの形態が変われば変わるほど、そういうところに強みを出せる日本勢がシェアを確保し続けるような力強さを今回は感じることができた。
 今回の展示会でもう一つ面白いと思ったのは県単位、また市町単位で地方の行政がバックアップしていると思われる多数の中小企業が出展していた事だ。勿論この電子機器製造に関する製品を扱うところが中心なのだが中には「これは面白い」という商材もたくさん見受けられて、これはこれで非常に興味深かった。話を聞いてみても、技術的にそれなりにしっかりしていて、これだったらアジアだけでなく源流アメリカのR&Dでも興味を持ってもらえるのでは?と思えるようなものもあった。今までもこのような中小企業が独自に小さなブースを借りて出展しているケースは見受けられたのだが、今年はその数が新規で100社以上にもなっているところに、いい方を変えれば現在の日本の状況が今まで展示会に出展する必要もないほど安定していた需要の低迷に直面し死活問題になっている感もうかがえる。ただこれで自分たちが持つ製品のレベルや需要を肌で感じ、さらなる飛躍のためのステップとなれば十分に有意義ではないか。そして運よく新しい顧客や海外での需要を見出すことができれば、素晴らしいことではないかと思う。特に私のような海外にいるものが、そんな小さな優れた技術や製品をうまく見つけてグローバルの舞台に引っ張ってあげることは、やはり可能性としては十分アリなのだなという思いを新たにした今回の展示会であった。

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TV市場で生き残れる可能性

非常に抽象的なタイトルだが、先週開催されたCES(CONSUMER ELECTRONICS SHOW)の数々のレポートを読んで、こんなことを漠然と考えてみた。想像通りTVに関して言えば前回に書いたGOOGLE TVのパートナーたちがその新しい機能のお披露目に割と力を入れていたようだ。スタイルとしてはインターネットTVから脱皮してスマートTVという位置づけになったことは明白だろう。
こうなるとTVの本体は完全にプラットホーム化するので、極端な話、何処で製造されようがこれは安いところで製造されるに越したことはないという自然な流れになる。またスマートTV というスタイルが一般的になり、この先数年は、勿論インターネットとの混在路線が続くと思うのだが、近未来ではブロードキャスティングの必要がなくなればチューナーも不要になるためにPCと大差がないようなSTB(セットトップボックス)スタイルが主流になることは容易に想像できる。勿論そのSTBの中にはCPUをはじめ、通信系やOSにかかわる数多くの新しい機能をつかさどるデバイス類は必要になるので、この辺りの需要が増大することは間違いがない。残念ながらMARVELLやNIIVIDA、BROADCOMと言ったアメリカ勢が強烈だが、日本勢には、まずここで何とか頑張ってほしい(村田、TDKみたいにパーツレベルでも)! 加えて注目したいのがディスプレイだ。今回はSAMSUNGとLGの55”の有機ELのパネルが非常に話題になった(有機ELのTVをいち早く世に出したSONYは、この分野から撤退との話…残念だ)が、これがこの先、有機ELのディスプレイとして本体とは別に販売される可能性は十分にある。また各社が力を入れている高機能3Dのディスプレイや4K2Kといわれる高解像度DISPLAY、CRYSTAL LED DISPLAYなど今回のCESでもいくつかの新しいスタイルのものが発表されたが、これらが将来的には顧客の要望やニーズに合わせて本体とは別に(単純に言ってしまえばパソコンのように)選べるようになっていく感じがする。加えてこの先、大型化が進む液晶パネル(SHARPは昨年これでアメリカ市場で巻き返した!)についても今後の需要はだいぶあると思う。ただコストが高いという難点がある。この分野、実は投影型のスクリーンもかなり面白い分野ではないかと思う。アメリカでは実際に三菱が頑なにプロジェクションタイプTV(80”90”)の製造販売を堅持し、数は少ないものの確実に業績をあげている(アメリカの中西部では寒い冬場は殆ど娯楽がないので、大スクリーンで映画やFOOTBALLを見るのが最高の娯楽です)。今後本体がプラットホーム化すれば液晶のクオリティに負けない100インチ以上の大スクリーンが個別に販売されていく可能性も十分にある。勿論STB本体にプロジェクション機能が付く必要があるが、これもそのうち今回発表されたSONYのプロジェクション機能付きのハンディカムなどを見るにつけSTBに標準装備されていくと思われるし、もしくは他の方法が出てくるかもしれない。この分野、日本のT社やD社がかなり技術力もあり市場的には強烈な影響力がある。このスクリーンに限らず、上記の液晶パネルでいえば未だにその内部に必要になる5枚以上のフィルム類は日本メーカーが独占的に製造しているものも多い。当然これらにかかわる数多くの協力工場にも十分にチャンスがあると思う。
だらだらと取り留めもなく書いてしまったが日本が先行し一時は世界を席巻したTVがデジタル化とともに大きくその市場をアジア勢に奪われてしまった現在、そして近未来にはTV自身のプラットホーム化によってそのスタイルをSTBに変えPCとの差が大きくなくなってしまえば、そこで日本勢がイニシアティブをとることは残念ながら非常に難しいかもしれないが、パーツレベル、そしてディスプレイであれば、まだまだ活路を見出すことができると考えたい。大手に限らず力のある中小企業を含めた日本勢がTV市場でグローバルに生き残っていく可能性は、ここに十分あるような気がする。

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GOOGLE TVの方策は?

来週からラスベガスでコンスーマーエレクトロニクスショウ(以下CES)が開催される。TV業界ではいつもきまってその年の目玉のようなものがある(たとえば昨年は3Dなどなど)、けれども今年はそんな噂を聞くこともなく一体何が出てくるのだろうね~などと客先でも話していたのだが、年末近くになってi‐TVの噂がちらほら出始め、ここにきてGOOGLE TVが新たなパートナーとともに再出発というNEWSがリリースされた。今までGOOGLE TVはSONY(生産はメキシコのFOXCONNがメイン)とLOGITECHの2社だけだったのが、アメリカで絶大なシェアをもつSAMSUNG, VISIOに続いてLGもパートナーとしての参加を表明。基本的にはアメリカ国内のシェアの50%以上を占めるメーカーたちが全てGOOGLE TVのパートナーとなった事になる。
GOOGLE TV, 表現を変えれば当時で言うインターネットTVだが自分のブログにも以前書いたように2010年の終わりにSONYが受注し同社のOEM工場であるメキシコのFOXCONNでコードネーム”アシュラ”プロジェクトとして月産で10万台以上の鼻息の荒い数字を打ち出し2008年のリーマンショックで殆ど立ち直れないくらいボロボロになっていたメキシコ(ティファナ)のTV産業地帯では同社の関連協力工場でも歓喜に包まれながら生産がスタートされたにもかかわらず、翌11年の春ごろには生産のほとんどが打ち切りになってしまうという悲惨な状況で終焉してしまった事が強く印象に残っている。最初にパートナーとして同じくセットトップ型の販売をスタートしたLOGITECHも最終的には昨年の11月でその生産を中止している。それから1年もたたないうちに、今度はアメリカで大きくシェアを持つSAMSUNG, LG,VISIOが参画するというのは(残念ながら日本軍団はアメリカでのシェアは今ほとんどないのが現状です…トホホ)、何か特別な方策もしくは秘策(?)でもあるのだろうか?
先のGOOGLE TVの失敗の原因の大きなところは、業界ではキーボードが使いにくいとかコンテンツが煩雑、思ったより使えるものが少ない…という部分がクローズアップされていたのだが、私はSONYの場合、TVにこだわったところに大きな敗因があると思う。既に2011年と言えばどこの家庭にも薄型のデジタルTV は浸透してるので、新しい機能のTVとはいえ、そこにもう一台新たに販売価格$600(当時)の30”とか40”のTVを購入すると考えるとその必要性がないと判断されてしまったことが大きかったのだろう。マーケティングの失敗だ。それに引きかえ、ちょうど同時期に発売されたAPPLE TVは、最初からこれら既存のTVに接続できるセットトップBOX(以下STB)で、値段も$99と超お手頃価格。加えてI-TNUESの機能も勿論使うことができて利便性もありという事で実際のところはだいぶ売れているらしい。確かにこの価格であれば、プラットホームとして使える機能や配信数が少なくても何か一つでも利便性の高い機能(アプリ)が使用できればそれだけでも満足!という気になれるところも大きいかと考えられる(LOGITECHの敗北はアップルと同じ$99だったが、単に知名度のなさとコンテンツの少なさにあるのではないか)。いづれにしてもこのような失敗(実は自分もいろいろなプロジェクトがキャンセルになったりしてかなり大変だった)を目の当たりにしてきた自分にとって、今回のGOOGLE TVの巻き返しがどのような方策で展開されてくのか非常に興味のあるところだ。勝手な想像だが、この方策は機能的にインターネットTVがスマートTVに昇格するようなものではないかと思う。勿論自分自身でもインターネットTVとスマートTVの定義が不明瞭なのだが、単純なイメージでいえば、携帯電話で考えると、それにインターネット機能が付いたものと、それに加えて色々なアプリの使用ができるようになったもの、の差のような感じがする(あいまいでスミマセン)。兎に角、この先スマートTVがどんどん普及しGOOGLE TV(パートナーが主体生産だが)だけでなくAPPLEのi-TVも現実のものとなり、もっともっとハードウェアの需要が出てくれれば、これらの新機能TVはプラットホームとしての役割が非常に重要になりソフトが占める割合が大きくなってくるのでハードウェアでの出番は少ないかもしれないが、TVであれSTBであれ生産数が増大するということは製造業にとっては、電子、機構部品レベルの参入機会の増大や、もしかしたら有機ELの使用が本格的になり、これにかかわる関連部材や、またまた薄型対応に伴う冷却技術等の分野で大手が受注するOEMでの生産も含め、日本勢が活躍できる可能性は十分にあり、非常に望ましいことだと思う。
来週から始まるCESで、この新しいGOOGLE TV(スマートTV)がどのような方策(機能と性能)をもってお披露目されるのか今から非常に楽しみだ。

 

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シリコンバレーで”ものつくり”を考える!

2012年になりました。日本の中小製造メーカーの駐在員としてアメリカに乗り込み、その後の独立を経て早いもので23年が経過しました(*駐在員時代のエピソードや記事は「シリコンバレーからの風」でご覧ください)。

その間、ここシリコンバレーで80年代の後半からのPCブームの勃興から衰退、そしてインターネットの隆盛にともなう1998年からのITバブルのゆりかごから墓場までを肌で体験する事ができたことは自分にとって素晴らしい経験になりました。その後のシリコンバレーはITバブルの崩壊からGOOGLEをはじめとする巨大IT企業の登場によって新たな創世記を迎え、APPLEの復活と大躍進、そしてSNS,SMMを中心とした第2の新しいIT潮流、加えてクラウドをはじめとした技術革新で世界のエレクトロニクス産業のトップを再び爆走しています。

そんな大きな流れの中、残念ながら衰退の一途をたどっているのが日本のコンスーマーエレクトロニクスをはじめとした”ものつくり”産業です。白物家電はもとより、かつてはアメリカ全土を席巻していたTVは、いま大きくそのシェアを韓国勢に奪われ、90年代には殆どの日系メーカーがこちらで生産していた携帯電話も今は見る影もありません。加えてこの先、電気自動車が普及していく大きな流れの中でガソリン自動車の既存のインフラで成り立っている日本は新興勢力にどのように対抗できるのか?この状況にも憂慮の気持ちを隠せません。そして電機、自動車の大手企業のバックアップを生業としていた日本の多くの中小零細企業は大手の計画に翻弄されながら、彼らの矛先の中心である東南アジア、中国に共に進出し価格競争にさいなまれたあげく需要の衰退とともに消え去ってしまうという話も非常に多く耳にします。

ところで、IT産業のメッカであるシリコンバレーには公証値ですが今だに電子電気産業を中心にそれらに携わる5,000社以上の板金加工、塗装、切削、精密加工、成型等を行う中小零細企業が存在している事はあまり知られていません。実は彼らがこの地が生み出すの革新的ハードウェアーの舞台裏で活躍しているのです。製品のプロトタイピングや量産品の基幹部品の製造、そして新規テクノロジーに呼応する柔軟性を持った彼らのアクションはまさに日本の中小零細企業と何ら違いがありません。

自分自身が日本の中小企業の出身でこの地でITの大きな潮流を製造業の分野という違った角度で見続けることができた事は、自分にとってはプラスになっているだけでなく、この地で得た多くの地場の中小零細企業との長年の付き合いを通じて彼らの生き様が、もしかすると日本が再び大手の企業の庇護に頼らずグローバル化を目指すためのヒントであるように最近強く感じるようになりました。そして今だからこそ日本の中小零細企業が生き残る選択肢の一つとして、流れの下流であるアジアを中心とした量産エリアではなく、まず源流である世界の超一流メーカーの集結する、このシリコンバレーに新規で切り込む事が真のグローバル化につながる可能性を秘めているのではないかとの結論に至った次第です。
特にこれからは、GOOGLEやAMAZON, FACEBOOKなど大手IT企業のハードウェアでの武装化、WIIMAX、LTEといった新規通信ネットワークに対応する新しい通信システムや関連半導体の開発とその製造プロセスの革新、クラウド化に伴う大規模データセンター製造開発の可能性、そしてモーターやバッテリー、スマートグリッドに関連するグリーンテック系の開発製造等々、世界のリーダーとしてのこの地の役割はハードウェアの分野でも益々、重要になってくる事と思います。
そんな中で、私は今年からシリコンバレーに居る自分の役割として今まで継続してきたBLOG「ビーンズ社長のマメに働いています」(過去ログはそのままこちらに転載しています)の、ともすれば日本の衰退ぶりに、ため息ばかり出るような気持ちの吐露ではなく、もっとPOSITIVEな思考で今の現状を考える事にしました。そして、このシリコンバレーで、今までの経験に基づき日本では既に過去のものとなりつつある”ものつくり”という視点で、上記の状況や最新情報、この地で考えた事をランダムに発信していきます。その内容が模索を続ける日本の中小零細企業の新たな活路として、復活とグローバル化にほんの少しでも役に立ち、超円高、生産コスト高いう負の要因にも打ち勝つ企業が1社でも多くアメリカで成功を収める事を願いながら力ある限り継続していきたいと考えています。

お時間のあるときにぜひご笑読ください。また率直なご意見等お聞かせいただけると嬉しいです。
よろしくお願い致します。

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