Archive for 08/06/2010

現状の雇用と経済について考える

 米国における雇用の情勢が全く先行き不透明だ。昨日発表された米国の失業率は9.5%で前の月から横ばい。今年の2~4月にはかなり失業率も改善し幸先の明るい状況だったのだが、ここにきてまた景気の足踏み感というか不透明感が顕著になってきている。失業率が一つの経済指標になっている現在の状況をみると、はたして将来的に本当に景気は良くなっていくのだろうか?そんなことについていろいろと考えてみた。
 少し前になるが、私にとっての恩師であるUさんと、久しぶりに食事をする機会を得た。今年の春から執筆業と投資家に加え日本の大手電機メーカーの社外取締役に就任され月一回の日本出張の合間に時間を作っていただき、短い時間だったが現在の日本の状況を中心に数々の貴重なお話をうかがうことができた(本当にありがとうございました)。そんな中で彼が最近読んだINTELの元会長アンディグローブ氏のアーティクルの話をしてくれた。その内容というのは簡単に言ってしまえばアメリカに製造業が戻ってこない限り経済の復興はあり得ない。というものだった。そして、製品に関税をかけてでも流失した製造業を取り戻すことが復興のもっとも重要なカギになる。という大胆な意見を氏の会社自身、製造のほとんどを海外に依存している状況なのに訴えているという事が、非常に興味深いということだったのだが、私自身まさしくその通りかもしれないと強く感じてしまった。
 確かにアップルがI-PADやI-PHONEの4Gを発売し、月に100万台を超える勢いで販売しても、その製造を担っているのはすべて台湾のメーカーであり中国の工場だ。アップルがその販売で莫大な利益を上げても、莫大なコーポレートTAXという利潤を国に与えることになっても、そこで雇用が促進され失業率の軽減につながったり所得税が増えるということはないのが現状だ。
 これはほかの会社にも全く同じことが言える。今は製造のみならずカスタマーサービスやアカウンティング、アドミニストレーションまで極端な話、海外へのアウトソーシングが一般的になってきている。それはインドのインフォシスなどがその恩恵を被っていることをみれば明らかであろう。そしてこの状況は経済全体の形態すら大きく変えているということをもう少し真面目に考えてみる必要があるのではないかということを思った。
 インターネットの普及に伴い、人々はバーチャルなオンラインショップを開設することによって実際の店舗をもつことなく、またそこに従業員を置くことなく商売ができるようになった。当然それらの経費は軽減される分、販売される商品自身も安価で購入できるのが一般的だが、その結果として販売が確実に向上するのか?というえばこれははなはだ疑問だ。というのは雇用が削減された分だけ、購買層も減ってしまうという現状である。
 90年代の初めのころだったと記憶しているが、駐在員だった自分は自社製品の売り込みに当時GMの電装品製造メーカーとして君臨していたDELCO ELECTRONICSを訪ねたことがある(たしかKOKOMOという町で、インディアナポリスの郊外だったかな?)。
当時自分が販売していた製品はオートローディングタイプの検査機で、これを導入すれば人手を使わずに自動で製品(実装基板)を検査できるというシロモノで、合理化を進めていたアメリカの各メーカにはうってつけの商品だったのだが、本当に印象深く覚えているのが当時のDELCOの生産技術課長の一言で「うちの生産ラインは人員を削減するような製品は必要ない」というものだlった。今でも同じように自動車関連のメーカーといえば組合が強いことでもよく知られていて、その組合員の職場と地位を常に考えているから組合員の職を奪うような製品は必要ない!という非常に明確な一言だったと思う。まあ、実際にはそういう固執した考えが社内にあったがゆえにGMのみならず国内の自動車メーカーは今のような状態になってしまったのだけれと、ここに来て思うと、そのような考え方というのも、ある意味アメリカ国内における雇用の確保には十分寄与するのではないか?と思われてしまう。もちろん競争力を失ってしまってはまったく意味がないのだが…。
 まあ、正直なところ雇用と経済の関係については非常に難しい問題ではあるが、願うことはただひとつで一日も早く景気が回復してもらいたいということだ。

Share and Enjoy

  • Facebook
  • Twitter
  • Delicious
  • Digg
  • Google Buzz
  • StumbleUpon
  • Add to favorites
  • Email
  • RSS