Archive for 06/23/2009

韓国勢の脅威は侮れない

先週はメキシコへ出張。俗にテレビジョンバレーといわれる国境の町ティファナ地区は、最盛期には年間2000万台のTVを南北アメリカに供給する一大TV生産拠点だ。しかしながら昨年から続く不況のあおりを受けて、生産数は激減、工場の閉鎖や生産規模の縮小をほとんどの会社が余儀なくされている。そんな中で唯一日系TVメーカーで奮闘しているのがP社とM社だが、シェアでは圧倒的に日本勢に水をあけ(水をあけられているなんてもんではないかもしれない開きがあります)、世界シェアでトップを走るのが韓国のSAMSUNGだ。驚異的な生産量を誇り、コストでも圧倒的に市場をリードする。アメリカではかつて市場を風靡していたSONYやPANASONICといったブランドも残念ながら影は薄い。どうしてそこまで大きく差を付けられてしまったのだろう?もちろん強力な資金の後ろ盾があることは否めないが、それ以上に市場を解析するマーケティング、そしてあくまで自分の考えではあるが、今まではコスト面における優位性が、日本のマネをすることで開発費を軽減して一気に量産工程で製品の作り込むといった手段で確立されていたと思われるが、最近では、このあたりの状況もずいぶんと変わってきているようだ。
 20年以上前になるが、私は一時SAMSUNG(当時は三星電子)の生産技術研究所に出向していたことがある。当時勤めていた日本の小さな検査機メーカーへ、その頃、韓国の雄であった三星電子よりノックダウン生産の話がもちこまれ、もちろん「どうせ商品のまねをするのだろう」と分かっていながら、当時は技術的には不可能と思われていたROMのプログラム解析はできないだろうから最終的にはROMとロイヤリティを高額で買ってもらえればよい、的な考えで話がすすめられ、私がその担当として(若かったんだけど)、最初に購入してもらった20セットの測定ユニットと共に現地に赴きハードウェア生産の進め方や、具体的には製品の販売に関するサポート(同社はロイヤリティを払い、中近東を中心に販売したい計画があった)などの打合せをした。最初に三星の生産技術研究所に足を踏み入れたとき、その広いフロアーに所狭しと日本の製造機器が並べられ、その機器ごとに担当グループが分かれてエンジニアがアリが群がる如く必死になって機械の分解作業にいそしんでいる光景を目の当たりにして足がすくんだことを思い出す。ターゲットはうちだけでなく、日本の優れた製造技術に立脚して開発された製造機器全てだったのだ。もちろん好意的に協力を申し出たのはきっとうちぐらいで、他の設備は同社が購入したものだろう。そして、私の会社の担当についたのは、名門ソウル大学を首席で卒業し特待生として国から兵役をも免除された(兵役のある韓国だが、当時から国力の後退を懸念し、優秀な人材には3年間の兵役を免除するシステムがあった)若いエンジニアだった。たしか2か月近くの訪問だったと思うが、いとも簡単にすべてのものをコピーしてしまった彼らと、今後は基板のROMとロイヤリティを購入してもらう契約を交わし帰国したのだが、それっきり三星からの注文は来なかった。彼らは完全にROMのコピーまでしてしまったようだ。
 その後私はアメリカにわたり、いつ頃だったか忘れてしまったが、三星のTV工場がティファナに新設され、そこに営業に行った際、設置された生産ラインに一台づつ私が販売してるものと全く同じ検査機が並んでいるのを発見。まさしく私が持ち込み、コピーされた検査機だった。聞けばTV事業部だけで1,000台ぐらいはあるという。その貪欲さには思わず脱帽せざるを得なかったのだが、そのような経験から、実際の製品に関しても同じように日本商品のコピーが主な開発手法であると思っていたことがあり、こちらでは一般的に普及しているSAMSUNGやLGの携帯電話もどう見ても2~3世代前の日本のそれで、おまけに使いにくいところまでしっかりコピーされてたものだったのだが、最近は、特にI-phoneタイプのそれはデザインも斬新でなかなか見た目にも美しいものが多くなってきた(でも自分はそんなトラウマがあるので買わないけど…)、そして先週の出張で、たまたま訪問した液晶の大手であるS社で聞いた話によると、同社でなぜSAMSUNGがあんなに安くTVが作れるのかを検証するために、同社のTVを分解したところ、そこには精錬された生産技術力により、見事にコストダウンがされた筐体と心臓部(PCB)が現れたそうだ。PCBのサイズはS社の半分(PCBが小さければ搭載部品数もモジュール化されて少なく製造コストが安い)、ハーネス類が殆ど削除され一体化した内部構成。そして金属をほとんど使用せずに強度を保つ筐体設計など、明らかにS社の上を行く技術力だったという。開発と製造が一体化した組織構成とそれを無駄なく生産する生産技術が企業独自のものとして功を奏し、品質的に日本製品と引けを取らず、かつ圧倒的にコスト競争力をもつTVの生産を完成させているのだ。
 非常に失礼だったか今まで認識していたモノマネ文化の考えをすべて改めなければならない時が既に来ていた。そして、この脅威に今まで技術立国として優位性を保ってきた日本企業は、これからどのように対処していくのか?いや既にずいぶんシェアでは水をあけられているから追従という表現が適切かもしれないが、この先の動向は本当に気になってしまう。

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GMの倒産をどう受け止めるか?

久しぶりの投稿、本当に情けない限りです。最近は仕事に振り回され、ほとんどがドサ回りで慌しい日々を送っているのですが、そんな中アメリカを代表する企業であるGMがついに倒産してはや2週間が過ぎようとしています。アメリカにとってこのような大企業の倒産はそれなりにインパクトは大きいものと思いきや、株式市場はそんな想定は既に十分盛り込み済みで、あまり大きなインパクトもなかったのが正直なところだったかもしれません。というのも過去の例を挙げれば大手航空メーカーのデルタやデパートチェーンのMACYSも同じように会社更生法を適用した経緯があるのに未だにしっかりと営業されているわけで、GMやクライスラーも同じようにまた今までのような経営がされていくように思えます。
 ちょうどGMの倒産が発表になった6月1日に私は日本にいたのですが、日本のNEWSでは、その倒産を伝えると共にGMと取引のあった会社を取材し、その倒産でどれだけの被害を蒙ったか。。。そんな話題を中心に伝えていました。確かに10万人を超える、それもアメリカを代表する大企業の倒産とあって話題性に関していえば相当のインパクトがあり、おまけにその影響は計り知れないものがあるという悲観的な話題のほうがNEWSとしては注目度が高かったかもしれませんが、はたして日本にとっては、そんなマイナス点ばかりなのでしょうか??
 少なくとも自分としては、これは今後日系の電装品メーカーにとってはものすごいチャンスである気がしてなりません。今回の倒産によって、基本的にはアメリカ自身が公的資金を投資し実質的な大株主となって再建をスタートさせることになり、当然GMとしてはいままでのように大型のトラックや品のかけらもない大型高級車を継続して生産するわけにはいかない訳で電気自動車やハイブリットといった次世代の車を生産していかなければなりません。ただそれを早急に実現しようと思っても今までが今までだけに、彼らの周辺にはその分野に精通している外注や協力工場もないのが現状だと思われます。当然メーカーのみでは自動車産業が成り立っているわけではなく、周りにある多くの会社のバックアップがあってこその産業であるかゆえにそのインフラを早急に確保しなければならないのが、現状ではないかと思われます。そんなときに既に十分な経験があり、また現在も次々にリリースされる日本の優れた性能のハイブリットや電気自動車の足元を支えていた日本の協力工場は彼らの要求に十分答えられる経験とノウハウがあると思うのです。実際にこれらのメーカーからの需要に備え、アメリカの拠点や生産工場に今まで日本国内だけで生産していたハイブリッド用の電装品のラインを構築したり、また積極的に彼らに対しての営業活動をスタートした会社もあると聞きます。
 このようなご時世だから何事もTHINK POSSITIVE! 日本でも正直低迷を否めない自動車産業ですが、あえてこれを好機と捉え積極的な展開を試みる企業が増えてくれることを願って止みません。

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