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武士道の負の影響を変える意識を持つ!

自分の大好きな司馬遼太郎先生の名著「この国のかたち」の中で先生は「名こそ惜しけれ」という考え方が日本人の倫理規範の元になっていると書かれている。平安時代末期、坂東武士の誕生により、今までの寺社(宗教関連)や貴族間にはなかった「自分という存在にかけて恥ずかしいことはできないという意味」をもつこの言葉は、「一所懸命」、「いざ鎌倉」という領土を与えてくれた主の恩義に報いるために忠誠を誓うという「武士道」の基本的な精神として日本人のDNAに刷り込まれている。
この精神によって、日本は明治維新以降十数年で、海外列強に引けを取らない経済力を確保し、第2次世界大戦後は、わずか5年で奇跡の復興を成し遂げ、世界で有数の産業立国となった。
東日本大震災の後、あれだけの大惨事に見舞われながらも大きな略奪や暴動も起こさず、秩序よく配給の列を作り、粛々と復興に全力を尽くしてきた姿はまさに、この精神の成せた技であろう。世界から驚嘆と思われても不思議はない誇るべき国民性だ。

さて、この「武士道」に立脚した国民性だが、実は日本の中小企業にとって、またスタートアップ企業にとって時にネガティブに作用しているのでは?と思う事がある。

少し前になるが、浜松市の金融機関の皆さんと懇談する機会があった。その中で、浜松は歴史的に自動車を中心とした機械産業で地元には多くの優れた中小町工場が沢山あるにもかかわらず、グローバル化や新規事業への意気込みは低いという。理由は長年にわたり培われてきた大手企業との主従関係だ。地場にはSUZUKI, YAMAHAといった大手企業があり、そこの下請けとして長年生活を維持してきた企業の中には、「新たな分野に進出などして、親元の気持ちを損ねないか?」とか「十分な仕事をもらっているのに新しい展開をする余裕があると思われないか?」といった理由で、新規事業への展開やグローバル化を躊躇しているところが沢山あるという。そして大手も「うちが依頼している注文で培われた技術を外に展開してくれるな」という暗黙の圧力をかけているらしい。これでは優れた技術や、グローバル化できる力があっても、忠誠心の為に可能性がなくなっている訳だ。

別の話で、かつてシリコンバレーで活躍し、日本に帰国後、電動モーターサイクルのベンチャー<テラモーターズ>を立ち上げ、インド、バングラデシュを中心に大成功をおさめ、現在は<テラドローン>で新たな市場を切り開いている徳重君。彼は生粋の長州人で、良い意味で、そのDNAがシッカリ刷り込まれており、日本から新たな世界制覇、メードインジャパンの復活を旗印に、あくまで国産電動バイク製造を希求していた。その実現のため世界に冠たる日本のモーターサイクルメーカーを支えている協力工場に同じ市場という考えから電動バイクという新たな市場開拓をオールジャパンで展開すべく、部品供給の依頼をしてまわったのだが、大手傘下のほとんどの企業から「同業の新参会社は相手にできない」「競合になるような電動バイク製造には手を貸せない」、「長年培ってきた、取引先との関係に支障があるといけない」等々の理由で取引を拒否されたそうだ。その後、彼は、新規事業やスタートアップ支援に積極的な台湾のベンダーを開拓。モーター製造をはじめとした多くの企業の協力のもとで、電動モーターサイクルを生産、現在では、インドやバングラディシュでも現地での生産体制を確立し現在に至っている。 もし日本の中小町工場が一丸となって協力し、オールジャパンとしての大成功ができていれば、まさに彼の本望であり、日本にとってもグローバル化を推進するうえで、素晴らしい事例にもなったはずだ。それがなんとも残念でならない。

さて、2016年もそろそろ終わろうとしている。今年も色々な機会に50社近い中小町工場のオーナーの皆さんと会ったり、話を聞いたり、彼らに講演をしてきたが、残念ながら本当に気概を持ってアメリカへの進出を具体化した会社は1社だけだった。勿論、残りの殆どの会社は、上記のようなDNAによって新たな第2創業への展開を躊躇しているとは思わないし、現状を何とかしたいという意思も実は旺盛に違いないだろう。ただ、その奥にある日本人の持つ素晴らしい武士道精神が、無意識のうちにも、自社の展開のみならず新規起業家の展開にも影響している様子が全体からは垣間見れたことも心に残る。

何度も機会あるごとに話しているが、日本の持つ技術や製品はまだまだ無尽蔵にグローバル化のチャンスがある。それを是非とも具体化し実現するためには、あえて、その意識を変える勇気を持つことも必要と考え、本気で臨んでくる企業の皆さんとの対面を2017年は楽しみにしたい。

P.S. 2016年も奔放な駄文にお付き合いいただき有難うございました。皆さんにとって2017年が
素晴らしい1年になる事をお祈りいたします。

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元気のある里親を探そう!

懇意にしているMさんのWALLで紹介頂いたダイヤモンドオンラインの特別寄稿「日本エレクトロ二クス総崩れの真因」の記事を読んだ。自分自身が何を隠そう日系のTV製造メーカーを相手に過去20年以上商売をしてきただけにこの記事の内容は非常によくわかるばかりでなく、本当にその通りだなと、妙に感心してしまった。実際にTVの激戦区であるアメリカ。今売れているというSAHRPの60”のAQUOSの価格はなんと$1,200@@!60インチのパネルの原価が日本円で8万円ぐらいすることを考えると、まったく利益が得られていないばかりか逆にお金をつけて売っているような状態だといえなくもない。勿論市場をいかに確保するかということが重要な要因であるかとは思うし、同社の場合には先行投資でつくられた日本の大液晶工場の生産を維持するためにも、このような販売活動が必要なのかもしれないが、そこで得られた市場に次に投入する製品があるのか?と言われても残念ながらTVの行く末を考える限り、思い浮かぶものは今のところない。同社は、この先も80”90”という大型TV で市場の巻き返しを図ると鼻息が荒いところもあるが、全体的な需要の落ち込みが明確なアメリカ市場ではたしてどれだけ販売数が延ばせるか??これもBIG QUESTIONだ。結局このような状況(勿論アメリカ市場だけの問題ではないのだが)を反映してか同社は2,200億円の予想赤字計上、SONYの2,800億円と続き、最後までPLASMAに固執し、それでも必死で頑張ってきたPANASONICに至っては8,000億円の赤字という前代未聞の状況になっている。当然来期はこれらのマイナスを克服すべく、各社必死で対応策を考えていかなければならないだろう。そして、その中には事業縮小やリストラなど、かなりシリアスな部分も多々含まれることは容易に想像できるし、さらに今までこれら大手の縁の下の力持ちとして頑張ってきた多くの協力工場、協力企業は、より厳しい岐路に立たされることは明白だ。中には力のある会社もたくさんあるであろうが、今まで親(会社)のために滅私奉公的に頑張ってきたこれら企業の多くが矛先を失い路頭に迷う可能性は十分にある。
さて、この記事をお書きになられた神戸大学の三品教授はその内容の中で「日本のエレクトロニクスメーカーは韓国のエレクトロニクスメーカーの担ぐ日本の材料、装置メーカーに負けたと言い換えてもよい」と書かれているが、自分はこれを読んで、これこそが、この先日本企業それも中小企業の生きる道だと考えている。以前から事あるごとに話しているのだが、封建的な日本の大企業とそれに付随する協力企業の構図がいまの日本の敗因だと思えてならない。大手の庇護下にあるがゆえにマーケティングや営業力をあまり必要としなかった多くの企業がもつ優れた技術や商品はまさに宝の山ではないか?SAMSUNGやLGのつくる液晶パネルの基幹部品の多くは、教授の書かれているように本当に日本メーカーのものである。液晶に代表されるような、日本発祥、もしくは日本が育んできた優れた技術はまだまだ世界で必要とされているのだ。力と志をもつ中小企業はさっさと日本の親元に見切りをつけてどんどん海外の元気のある企業に取り入ってそこで安定した生業を確保できている。韓国のこれらメーカーに限らずアメリカではAPPLEの製品に部品を供給している多くの日本メーカーがある。その中には小さな会社もたくさんあるのだ。そして部品ひとつで数十億の売り上げを確保するに至っている。このような素晴らしいリソースを今までの恩恵はあったにせよ先の見えない親元で収束させてしまうのは本当にもったいない。特にモーター、バッテリー、その他世界の企業がほしがっている技術や製品はまだまだたくさんあると思うのだ。
だいぶ前になるが、こちらでスタートアップ企業のサポートをしているSUN BRIDGEのKさんと「日本の中小企業はもうさっさと今の親には見切りをつけて里親探しに出るべきですよ!」という議論を交わしたことがあるが、まさに今、その時期に来ていると思う。そんな里親探しを、支援、サポートしてくれる人たちや団体もあるし、自分自身も志のある企業はしっかりと応援してあげたいと思っている(まったくの微力ですが…)。そして、1社でも多くの企業が今の状況に見切りをつけ真剣に元気のある里親探しをいち早く始めてくれることを願う次第だ。

 

 

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TOYOTAとTESLAの提携をどう見るか?

 一昨日、シリコンバレーの電気自動車メーカー<TESLA MOTOR>が、ナサダック市場に上場を果たした。目標株価の$17をはるかに上回り、初日は$23まで上昇、幸先のよいスタートになったようだ。TESLAは、2003年に設立。代表者のイーロンマスクは先月39歳になったばかりの若手起業家だが、インターネット決済システム、PAYPALの創業と売却で財をなした億万長者だ。その彼が私財とVCからの資金を調達して運営しているTESLAは2006年に最初の電気自動車「ロードスター」を発売。1000万円という価格にもかかわらず、発売台数はすべて完売。今でも数百台のバックオーダーを抱えているという。しかしながら会社自身は、莫大な先行投資の関係でまた一度も利益を上げていない。そんな、TESLAがどうして上場できたのか?その背景には5月に発表された世界一の自動車メーカーであるTOYOTAとの事業提携と同社からの50億円の資本投資が大きく関与していると思われる。
 2008年のリーマンショック以降のアメリカでのTOYOTAは、ご存じの通り、その急速な業績の悪化に加え今年に入ってからは、GMとクライスラー倒産の腹いせとも思える(個人的にはそういう要素もあると思う)、リコール問題の嵐に襲われ、それこそ瀕死の状態。そこへ今年の3月にはGMと合弁で設立された西海岸最大の自動車工場であるNUMIの完全閉鎖を敢行し、5,000人近い従業員の解雇と数百社にもおよぶ関連企業へ多大な影響を与えたということで、これまた矢面に立たされ完全に四面楚歌の状態だった。このNUMIの工場は結局売却することもできず、空家のまま今日に至っていたのだが、5月のTESLAとの提携発表の際には、この工場の再利用(もちろんすべてではないと思われるが)と、従業員の再雇用(解雇した従業員の3分の1程度)を明言し、その提携発表にはシュワルツネガー州知事も同席するという非常に大々的なものになった。そこに50億という大規模な投資を加えたということが、今回のTESLAの上場に大きく寄与しているといっても過言ではないだろう。
 さて、これから両社の提携はどのようなかたちで進んでいくのだろうか? 当然日本のTOYOTAとの連携であるから自分的に期待したいのは、もちろん電気自動車という全く新しい分野なので一体どれだけのTOYOTAの協力メーカーが、この新規のプロジェクトに参画できるかは全く分からないのだが、少なくとも関連の機構部材や電装品をはじめとした多くの協力メーカーが、この提携によってこちらへ進出し、これらの供給にとどまらず技術面にくわえ製造、生産の分野においてもどんどん参画して電気自動車という新たな分野で再びアメリカ市場において、中国をはじめとした新興勢力の追従を許さない市場の核を築き、日本企業の発展に期待したいところなのだが、創業わずか7年の新しい会社、それも完全にアメリカのIT産業の礎の上で運営されている会社が、どれだけカンバン方式をはじめとした日本の生産性重視の体制を理解し咀嚼し組み入れて行くことができるか。つまり電気自動車という全く新しいコンセプトによってデザインされた製品に、どれだけ日本のそのような経験値に基づく技術が寄与できるのか?ということを考えると、ここには大きなクエスチョンがのこってしまう。
 考えてみると、今回の提携自身、上記のようなTOYOTA側のアメリカにおける立場という点からみると、もしかしたらTOYOTAの米国での起死回生を図るための一つの手段ではなかったかということも十分に考えられる。つまり、この提携によってスタートアップ、それも創業7年、トップもわずか30代という企業に50億もの資金を提供し、その会社が上場するという話題性でTOYOTAのアメリカに対する貢献(?)という立場を確保し、加えて閉鎖したプラントと雇用の救済も同時に解決するというシナリオが実はできていたのではないだとろうか?
 う~ん、もしかしたら後者に部がありそうな気がだんだんしてきてしまった。もしこれがそうだとしたら、いつもアメリカにおける日本の製造業の踏ん張りを期待している自分にとってはかなり残念だが。。。とりあえずはこの先の動向を見守るしかあるまい。少なくとも2012年に発売予定の同社の廉価版セダンに、どれだけTOYOTAの技術が寄与しているかが見ものだ。
 かつてITバブル華やかなりしころ、日本で携帯市場に君臨していたNTTドコモは、料理の鉄人風に「私の記憶が確かならならば」アメリカでの同社の通信方式の採用と普及を目指し、当時のAT&Tに1兆円近い投資をしたと思うのだが、今この地では「ドコモはどこ(も)?」と聞きたいくらい、その名前は聞かないし、彼らの持っていた技術が採用されたという話も聞かないところをみるとあの投資はすでに霧散してしまっただろう(1兆円ですよ。1兆円)。
 少なくとも現実に湯水のごとく開発費を使い、いまだに利益を出したことのないTESLAに投資された50億円が、TOYOTAの名誉回復のためのこの一過性のNEWの広告費だけとなり、いつの間にかどこかへ消えてしまったということだけは、何としても避けてもらいたいものだ。

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ソニーの凋落

 最近のソニーは方向性を間違ってしまったと思えてならない。特にアメリカ人が経営のトップになってからは、会社の方針だけでなくスピリットも残念ながら欧米流になってしまったようだ。米国市場でのTV販売台数はSAMSUNG, LG-フィリップスに続いて日系企業では唯一気をはいて3位につけていたSONY.しかしながら昨年より始まった景気減退のあおりをまともに受けて大きく方向転換。米国とメキシコにあった3つの工場のうち、昨年11月にピッツバーグを、そしてこの7月には、メキシコにある2つの工場のうちのひとつを閉鎖。今後は、なんと同じく国境に隣接するメキシコの町にある台湾系の工場でODM生産をするらしい。つまりまったくSONYとは関係のない工場で、SONYのロゴを付けたTVが生産されるわけだ。それも生産形態はODM.つまり設計もすべてこの台湾系の会社が請け負うシステムであると聞いて、残念ながら大いに失望した。
 自分たちの若いころ、70年代、80年代、SONYは家電製品、それも若者に不可欠な製品の王道を行く存在だった。トリニトロンを駆使した鮮明なカラーTV,一世を風靡したウォークマンの発売、そして音質とデザインに優れた数々のオーディオ機器、そのどれもが当時の若者にとっては神器に等しかったのではなかったかと思う。やがて自分が社会人になり、仕事を通じて同社と取引するようになって、まさにそれらの製品を次々に生み出すクリエーティビティと、それを生産するエンジニアリングのレベルの高さは、「なるほど」と思わせる部分が多々あり、自分自身もこのような素晴らしい会社を取引ができたことが嬉しく、かつ色々と勉強にもなった。とにかく生産技術力が優れていて、独自の製造工程や歩留まりの向上に不可欠な数々の独自冶工具の開発。そして優れた検査技術等どれをとっても素晴らしく、かつ本当に他社に比べてエンジニアも若く、活気というより熱気を感じることが多々あった。これがさまさしく「技術のソニー」なのだなと、肌身で感じられたものだ。
 それが数年前に日本人からアメリカ人の社長になったとたん、「技術のソニー」の真骨頂は本当に音をたてて崩れ始めてしまった。今まで付き合いのあったメキシコの工場も、ちょうどデジタルTVの製造がピークを迎えつつあった時期で、そういう意味では変革期だったのだが、それでも工場の製造現場からは熱気も活気も伝わらなくなってしまい、ただ歯車が動いてものをつくっているといった雰囲気になってしまったことをよく覚えている。そして今回の決定。これはもう凋落というしかない。本来ソニーはものつくりを通じ、その開発力と生産技術力で世界を席捲しリードしてきたた会社ではなかったか?それが確かに今のデジタルTVは、極端な話、キットで簡単に作れてしまうのだが、設計まで丸投げしてしまい製造もしないとなっては、将来的に革新を起こすことはまず不可能だと思われる。まだTVの委託生産は全体の3分の1にとどまるということなのだが、少なくとも製造をやめてしまう姿勢を打ち出してしまったメーカーに未来はない気がする。それもソニーには一番頑張ってもらいたかったテレビ事業においての事なので、その思いはなおさらだ。
 かつてアメリカには、本当に優れた家電メーカーがたくさんあった。ジェネラルエレクトリック、RCA,ゼニス等々。。でも彼らが海外に生産拠点を移し、自らの生産を断念してしまった80年代から90年の前半にかけて、一社残らず家電市場から姿を消してしまったという事実を、同じ市場でしのぎを削ずっていたSONYは十分理解しているはずなのだが…。
 欧米人のリーダーとオペレーションの向かう先が、このような結末にならない事を長うばかりである。

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10周年

 10年前の1月19日に自分の会社を設立した。スピンアウトとか起業というと聞こえはいいが、そのきっかけは勤めていた会社の倒産によるところが大きい。その前の10年間はこの会社のアメリカ現地法人の駐在員としてアメリカ駐在。1995年から同社の代表を務めていたが、親会社は倒産する1年ぐらい前からだいぶおかしかったので(毎月銀行残高の半分を送金しろとか、やたらと意味不明の要求が増えてきた)、倒産する2ヶ月前に社長の座をおり、自分でレップとして働く事を決めていた。私の代わりに日本から新しい社長が赴任してきて間もない1998年の9月30日に親会社の倒産第一報が入る。海外の現地法人ゆえ限られた情報しかない中で真相を確かめるという名目で日本に帰った新社長は、そのままトンずらし、唯一残された私がなぜか責任を取らされる羽目になり、親会社の倒産に伴い日本の裁判所の指示でCLOSEすることになった現地法人の清算業務に携わった。会社を作ることが簡単なだけに清算業務は想像以上に難しい事を痛感(でも素晴らしい経験になった)。結局3ヶ月以上かかって何とかその作業を乗り切ったが、その間も客先への報告回りや今後の対応に関しての説明に奔走していた。そして今までお世話になった客先に迷惑をかけられないとの思いから自分でそのサポートを始めるべく会社を設立したのが1999年の1月19日だった。
 最初は勿論事務所をもつ金もないので、空いていた自分の家の一室でスタート。前の会社から少し引き継いだ備品などは自宅のガレージに保管した。その先3年間はHOMEオフィスで業務を継続。本当に公私のない日々だった。それにしても自分は本当にいいお客さんに恵まれたと思う。倒産した会社の人間など、普通は相手にもされないのに、殆どの取引先が信用のない自分の会社に快く口座を開設してくれた。手形というシステムのないアメリカだからこそ資金繰りにも苦労せずやってこれたのだと思う。4年目に初めて知り合いの会社に間借りのかたちで事務所を移り、色々なこともたくさんあったけれども今まで何とかやってこれた。会社の規模は設立当時と殆ど変わっていない。そういう意味では会社としての成長は無いかもしれないが、少なくとも自分の生業として10年間喰うに困らず生活してこれた事には満足している。
 さて、この10年間を懐かしく振り返る余裕など無く、次の新しい10年をどうするかについて真剣に考えなければならない。100年に一度と言われる大不況の中で迎えた10周年。確かに昨年は弊社も大幅減益を余儀なくされてしまった。人員の削減もせざるを得ない状況になった。加えてビジネス(事業)の寿命という点から見ても10年が一つの節目であるという話を昨年の夏に梅田さんから伺い、その当時徐々に鮮明になってきたアメリカ大不況の様相と相まって、早く色々と新しいビジネスについて考えていかなければと思っているうちに急激な円高で業績が急激に悪化。その状況にまったく余裕が無いまま年が明けてしまった。
 それではどうするか…。年頭のブログにも書いたのだが、とにかく今年は「状況に順応して柔軟に生きる」ことを目標としたい。受注が減って仕事に余裕ができてしまった分は、いままで余裕が無くてできなかったマーケティングや新規事業に向けてのリサーチに使おう。円高の状況が変わらないのであれば、日本への輸出を含めたビジネスの展開に目を向けてみよう。とにかく何事にもTHINK POSITIVEで忙しくする事によってきっと何かが見えてくるはずだ。10年前、会社を設立した時は本当に何も考えていなかったと思う。会社が無くなって「どうなってしまうのだろう?」という不安以上に「どうにかなるでしょ」みたいな気持ちが強かった気がする。ちょうどその翌年シリコンバレーではITバブルが崩壊し、これまた深刻な不況だった筈なのだが、当時は本当に「タイムラビット(とよく言われた)」のように落ち着き無くあちこち走り回らずを得なかった状況だったので、まったくといっていいほどその不況の中にいた実感がない。さすがに今回は自分の会社の経営を揺るがすほどのインパクトがあるのだが、当時のパッションを再び踏襲すべく、できるだけ前向きに立ち向かいたいと思っている。
 これまた偶然にも1月20日にはアメリカの新大統領が就任する。オバマ氏は私と同じ47歳。誕生日も一日違いの8月4日(私は3日)生まれだ。おまけに今年は年男ときている。私の方から一方的にかなりの親近感を持っているのだが、そんな彼が未曾有の大不況、問題山済みの中東を中心とした国際情勢。そして混迷を極めるアメリカ経済の建て直しに「YES WE CAN」のスローガンを掲げて立ち上がる。私も立場はまったく違うが負けてはいられない。彼のチャレンジを少しでも見習い自分の支えにして今年から始まる次の10年も疾走してみたい。

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からくり冶具

ここ最近の極端な株安、それ以前から続いている種々問題で本当に景気は深刻な状況だ。薄型TVで韓国の列強に追従しているS社は、本来であればクリスマス商戦に向けて一番忙しいはずのこの時期、金曜日の生産をストップし週4日の生産体制になった。いままで前の会社時代から10年以上御世話になっていたアトランタにあるP社の車載電装品工場もついに閉鎖しメキシコへの移管を決定。そして、年末にかけていくつかのプロジェクトを計画していた同じ電装品メーカーであるA社もそのすべてのプロジェクトを凍結した。本当にNEWSで見ているだけではあまり実感がわかない不景気というながれがここにきて一斉に自分のビジネスに影響を及ぼし始めた。そんな中、訪問したお客さんといろいろな話をしたのだが、生産に関しては、やはり設備投資は今の状況では無理、しかし全体的な経費削減のために人員削減以外に、歩留まり向上に貢献する対策を考えなければならないので、現在、総力をあげて知恵を絞っているのが「からくり冶具」の発案と製作だそうだ。このからくり冶具、いいかえれば普通の冶具なのだが、金をかけずに確実に効果を発揮するというコンセプトが第一条件で考えられているという。もちろん常日頃から行われているKAIZEN活動の延長線上にあるものなのだが、金をかけないということろに一つポイントがあるようだ。というわけで最近考え出されたこの「からくり冶具」のいくつかを紹介してもらった。残念ながらここで詳細は書くことができないのだが、見てくれにこだわらない非常に単純な原理で、かつ本当に効果がありそうなもので、かなり面白かった。潤沢に予算があれば出来合いのものを購入したり、見てくれなどを機にして材質に凝ったりすることができるものが本当にシンプルに、無駄なくきれいにまとまっている感じがした。「お金をかけない」というこのが大前提なので、このアイデアの数々は自分の商いには縁がないのだが、このような地道な活動が実は日本の強みであって(欧米のように単純に経費削減イコール人員削減ではないという考え)、本当の「ものつくり」の根底には、このような発想や製作が常にあるような気がして、これならまだまだ日本の「ものつくり」もいけそうかな?という気持ちになって自分もすこし元気になった気がした。

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機密保持徹底度の日米比較

日本では、ここのところ(といっても数年前から?)プライバシーポリシーに対して非常にナーバスになっていて、どのHPに行ってもこれらの規定が明示されるようになった。それでも、日本はその話題性からか、情報流出のNEWSが相変わらず新聞沙汰になっている気がする。アメリカはどうか?それほどメディアに関心をもって接することがないので、そのような記事はほとんどお目にかからない。確か去年だったか、大手のクレジット会社(たしかVI○A)の情報が漏れて200万人ぐらいの人が被害にあったというのが記憶にある程度。200万人というと、当然日本で話題になる規模の100倍以上?という気がしないでもない。そのくらいの規模にならないと話題にものばらないのだろうか?それとも、このような問題はプライバシーが尊重されているお国柄、昔から注意が払われて非常に少ないのだろうか?ルールという面から見ても日本では私の知る限りではモラル的な側面から非常に消極的にしか行われていない比較広告も、こちらでは堂々と名指しで競合メーカーとの比較を公にすることが一般的で、そう考えると非常に競争という面ではフェア(?)な分、そこには厳密なルールが存在しているのだと思うが、そのような部分で厳密さに欠く分、日本では個人のプライバシーに関する規範のようなものが今までなかったがゆえに、そこで発生する問題には目新しいという意味で話題性も相まって取り上げられやすいのかもしれない。たとえもイマイチで話も少し横にそれてしまったが、実はアメリカにおける機密保持に対する扱いはやはりかなり日本とは違うらしい。私の知り合いが、たまたま日本の大手シュレッダーメーカーの明○商会のアメリカ事務所の社長を去年から務めている。久しぶりにお会いする機会が会って、色々とお話をうががった。自分的にはきっとプライバシーと機密漏えいに関しては世界一神経質であろう国であるアメリカであれば、このような商品、売り上げも上々なのでは?と思ったのだが実は非常に苦戦しているというのだ。理由はその徹底ぶりの違いによるものだという。基本的にアメリカの企業は、そもそも従業員の入れ替わりも頻繁(レイオフなどが慣習的に行われているのにも関連)だし、派遣社員の使用も常識なので、社内の人間にこういった機密文章の処理などをまったくさせないというのだ。簡単に書類を「シュレッダーかけといて」みたいにお願いすることもなければ、自分自身でそのようなものを使って処分することもないないらしい。ではどうするかというと、このような機密に関する、もしくは廃棄する書類に関しては、外部から委託した会社に全て任せるそうだ。このような会社が管理する厳密に鍵のかけられるゴミ箱が支給され、そこに特定の人のみがこれらの書類を廃棄、そしてびっくりなのは、この委託会社が所有する、移動大型シュレッダーを搭載するトラックが定期的に会社に車を横付けして、これらの書類をシュレッダーにかけた上、全て処分まで引き受けるというのだ。なんという徹底ぶり!このような状況なので、シュレッダーは売れないのだという。おまけにこのような廃棄処理専門会社は、PC(HDD)からFDなどまで全ての廃棄を引き受けるという。思わず「ほ~」と思った。考えてみれば、こちらでは朝レイオフを言い渡された社員はそのままガードマンに付き添われて、机の上の私物のみをまとめさせられ、同じようにガードマンに付き添われて片付けが済んだら即座に社外まで見送られるのが普通だし、銀行の友人から聞いた話では、日本でも今は一般化しているという話を聞くが、銀行や証券会社なとお金に携わる会社では、従業員は強制的に1週間(か2週間)の休みを取らされ、その間にその従業員のPCの中身、メイルのや類取りからファイルの内部までを徹底的に調べ上げるという規則があるという。
 やっぱりアメリカはその徹底度が凄いなというのが感想。まだまだ比較すれば知らないところでこのような機密保持に関する日本との違いが沢山そんざいするであろう。アメリカでこのような話題が少ないのは、やはりこのような徹底振りに起因しているのも事実だろう。
 ところで、この機密文書廃棄処理専門会社だが、もう日本にはあるのだろうか?明○商会は、この社長のレポートを受けて、まさかこのような商売を始めるとは思えないし(当然売れ行きに直結するから)、もしかしたらNEWSで問題が騒がれれば騒がれるほど、このようなサービス、日本ではビジネスとしてはありかな?と思えてしまうが(もし既に普及していたらぜひ教えてください)…。

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円高

ここのところの急激な円高により本当に憂鬱になることが多い。特にすべて輸入、それも円建てで商売をしている弊社にとってこの円高によって乗じる差損は深刻だ。一番恐ろしいのは、その円高に推移するスピードである。ちょうど1月ごろに受注し、2月に納品を完了した商品の支払いがこの3月。つまり、受注したときに作成して客先に提出した見積書は、当然その時のレートで換算しているので、大体1ドルが115円ぐらいだったものが、いざ支払の今の段階では100円を切る状況。つまり1ドル当たり15円のロスとなっている。10万ドルを超える支払いで生じるロスは単純に日本円の150万円。これだけの純利益を稼ぎ出すためには、最低でも1500万円の売り上げが必要になることを考えると、いままでの苦労が一瞬にして水の泡になってしまったといっても過言ではない。加えてうちのような小さな会社にとっては、これはかなりの大金である。。。だからこそ、というと後の祭りではあるが、やはりそのリスクを考慮した対応、そして準備を常に心がけていなければならない。まず第一に市場を見る目だ。この先為替市場がとどうなっていくのか、もちろんそれを見極めるというのは至難の業であり、少しの経験では予測などできるわけないのだが、もう少し気を配ってこのあたりにも敏感になれるセンスを身につけておけば事前の為替予約や社内レートの変更を含めた事前の対応を取ることができると思う。もうひとつはバランスだ。今まで輸入中心のスタイルで事業を進めているが、アメリカから日本へ輸出できるような商品の開拓も、これからは常に考慮していかなければならないだろう。輸出事業がが軌道に乗れば円高のときには強い柱となってくれる。このようにしてバランスを保てるようなビジネススタイルの確立を真剣に確率していく時期に差し掛かっていることを認識するには最高の機会になった。ただその分の代償はかなり大きなものになりそうだが…。

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2008年は「ウェブ時代をゆく」

2008年が幕を開けた。今年はどんな年になるだろう?サブプライム問題、原油価格の高騰、アフリカ、パキスタン、そして中近東問題。少なくとも昨年の不安要因をそのまま残したかたちで新しい年はスタートした。このような情勢が自分の仕事にどのように影響するかについては実際にビジネスが動き出してみないことにはわからないと思う。しかしながら、この激動(あえてそう呼ばしてもらおう)の時代に去年と同じことをしていては何の進歩もないので、何か新しいことを少しでも考えて行きたいというのが自分の希望だ。そんな中、昨年末(11月)に刊行された梅田望夫さんの新作「ウェブ時代をゆく」を読んで、すさまじく感動した。そして「これはうかうかしていられない」という気持ちを強く抱いた(梅田さんの本を読むといつも自戒の念に駆られてしまいます…)。とにかく衝撃的な本だった。そして私自身の2008年のテーマは、この本の内容を咀嚼することから見つけてみようと思った。
 まず序章の「一身にして二生を経るが如く」という環境に自分がいるということ、そして梅田さんも書かれているように「あとの半分」を過小評価することに対する危機感を残念ながら強く感じてしまった。それほど自分の生業において、この時代の最大のメリットをほとんど生かし切れていないということだ。会社のHPは持っているが正直言ってしまえばこれは会社案内以外に何の役目も果たしていない。逆に競合メーカーに会社の情報をさらけ出しているだけの状態かもしれない。ホームページのコンセプト自身が昔のままで何の進化もしていないのだ。自分自身も、よくよく考えてみれば単純に情報収集とコミュニケーションの手段としてしかインターネットを利用していないのが現状だ。確かに昔と比べたら物凄い効率のよさと時間の短縮にはつながっているが、その分の時間を有効に使っているかといえば相変わらず仕事中心の毎日で、効率が良くなった分、今までの何倍も仕事をしているはずなのに、その見返りは何倍には程遠い世界だ。
 本書はこのような状況からいかに進化し「どういう心構えをもって生きていくべきか」ということをテーマに数々の指針をあたえてくれた。そして文中にちりばめられた数々のキーワードは2008年の自分の心構えを構築するのに必要と思われる。「好きを貫く精神」、「けものみちを歩く」、「知のゴールデンエイジ」、「手ぶらの知的生活」、「群衆の英知を身につける勉強法」、「自らの内部にカサンドラを持て」、「ウェブリテラシーの習得」、「自助の精神」そして「もうひとつの地球」。本当に挙げていけばきりがないが、その一つ一つがすべてこれからの自分にとって参考にすべき事柄であると思った。詳細に関しては、ぜひ本書を読んでいただきたい。
さて、少しまとまりがなくなってしまったが、先にも書いたように私はこれらのキーワードを咀嚼し理解することから、これからの生きざまを構築するのと同時に、「自分の生業に時代に即した変革を加えていく」ということをテーマに2008年を駈けてみたいと思う。

最後に梅田さん、いつも本当にありがとうございます!

 

 

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異業種への展開

今月の頭になるが新しい取引先を訪問した。このこの会社は、オーディオ機器では有名なA社で、かつてはレコード針、現在ではCDのピックアップをはじめ、高性能のヘッドフォン、ワイヤレスマイクで確固たるシェアをもっている。実は今回扱わせていただくことになっった商品は、全くこれらの商品とは関連性のない製造プロセスで必要なクリーニング用品。これらの商品がどのような経緯で開発され同社の商品になっているかはわからない。多少は製造プロセスにも関係があるので何らかのきっかけで、開発されたものだと思う。そしてこのA社には、これらの業種とは全く関連がないもっとユニークな商品があった。それは<自動すし握り機>。1980年代の半ばには既に開発されいたとの事。シャリの握り具合調節はもとよりワサビも自動で付ける機能付だ。これは面白いと思った。日本では回転すしや寿司がマーケットなどでパックで売られるのが一般的になるのに呼応してかなりの需要はある(あった)と思われるが、実はアメリカでも、寿司の人気は定着どころか、さらに健康志向とオルガニックなイメージをも踏襲して益々、一般化して最近ではオルガニック系のスーパーなどでもパックで販売されるようになっており、この製造にはかなりの需要が見込まれるのではないかと思う。同社ではアメリカにもオフィスをもち販売を本格的に進める方針だ。これは期待ができるかもしれない。加えて美味しくシャリをたく大型炊飯器や海苔巻製造機までそろっている。素晴らしい。
日本の製造メーカー、特に中小の場合、一つのメイン商品に、いくつかの関連商品が付随しているというイメージがある。なので、その商品の需要が無くなるといきなり窮地に陥ってしまう感が否めない。ものつくりの性格上、簡単に異業種に展開するという柔軟性にも乏しいような気がしていたのだが、今回のA社で、その考えは払しょくされた。こういう会社もあるんだなと思った。非常にユニークだ。もちろん、この展開は同社の社長の趣味で始まったものかもしれない。ただ理由はどうであれ、このような布石がいづれ会社に大きく貢献する可能性も十分にあるとおもう。現在のところ、これらの商品の比率は売上の2%にも満たないらしいが、私個人としては今後の推移に非常に興味ありだ。この商品開発のきっかけと経緯はぜひ次回、聞いてみようとおもう。

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