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葬られていた100年以上前に大成功した日本人起業家の話

初出稿は2009年に自分のBLOGに書いた記事ですが、日本人として
自分たちの大先輩は100年以上前からグローバルな志と起業精神を持っていた証として、この素晴らしいスピリットは継承していかないと!!!という事で再掲載します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

自分のもっとも好きな趣味の一つである狩漁系ダイビング(潜って魚貝を獲ってます)のなかでもカリフォルニアを代表する獲物であるアワビについて、その背景を調べていたら、そのアワビ漁のルーツにに日系移民の起業家が非常に深くかかわっていることがわかったので是非紹介したいと思います。

1994年まではカリフォルニアのアワビ漁は商用目的で大々的に行われていましたが、乱獲から絶滅の危機に陥ったために禁漁になります。このアワビ漁ルーツ、実は日本の南房総、白浜の海産物商の兄弟によって1890年代今から100年以上前に始められたものでした。1890年の初頭に日本から移民した人が、カリフォルニアはモントレーの海岸に無数に生息するアワビを発見!これは絶対に事業になると確信し、南房総で海産物商を営む小谷兄弟を招請しカリフォルニアのアワビ漁が幕を開けました。当時アワビはラッコの餌か中国人が食用で少し取るばかりで、焼けば長靴のゴム底のように硬くなってしまい誰も見向きをしなかった代物だったそうです。おまけに北カリフォルニアの水の冷たさもあり当時は誰も手を出さなかったために海底には無数のアワビが生息していました。小谷兄弟はモントレーで本格的にアワビ漁を展開。当時アメリカには存在していなかった潜水器具を使った漁を初めて行い大成功をおさめます。当初は干しアワビを生産し中国や日本に出荷していましたが(これはアメリカの規制により1915年に禁止される)1900年代初頭には食用に適した加工法(やわらかく食べる)を開発し缶詰として発売し始めたところ、評判を呼び全米に出荷し最盛期には4つの工場を経営していました。当時アメリカを訪問した高松宮家をはじめ、竹久夢二などの著名人もこの工場に立ち寄った記録が残っています。

ところがカリフォルニア州政府はアワビに大きさの制限や販売エリアの規制などをかけ始め、また移民に対する土地没収や商業規制なども強化し、何と1931年には4つあったアワビの工場は全て閉鎖、そして第2次世界大戦での排日命令により、日本人が立ち上げたカリフォルニアのアワビ漁の実態そのものが歴史からすっかり葬り去れてしまいました。 アワビ漁自身はその後もヨーロッパ移民やメキシコ移民、そしてもちろんアメリカ人の手によって継続されましたが最終的には乱獲がたたり絶滅の危機に陥ったために1994年にカリフォルニア全域で全面禁漁になりました。 ちなみに1994年以降はサンフランシスコから北、オレゴンボーダーまでの間でリクリエーショナル目的での漁は可能。ただし年間24個一日3個までという数量と大きさも7インチ以上という厳しいルールがあります(2017年現在では年間捕獲数12個まで激減)。

さて、戦後70年以上が過ぎ、それまで少しずつアメリカ人の歴史研究家により調査されてきたこのアワビ漁の歴史が、ちょうど100年の歳月を経て、まさしくアワビが全面禁漁になった1994年に小谷兄弟のカリフォルニアモントレーエリアでの産業発展の功績をたたえる記念式典で再度脚光を浴び(今では自然保護区となっている工場跡地はKODANI VILLAGEと命名されています)、その後多くの研究家や日本のNPO法人によって文章にまとまられるまでに至りました。

 

このような背景があることを知って、自分も、こちらでアワビHUNITNGをしている日本人として、そんなDNAが体の中にはあるのかな?などと思ってしまいましたが、それより今から100年以上も前にアメリカでリソースとビジネスの可能性を見出し、会社を立ち上げ、日本からの潜水士(エンジニア)を招請し、同時に現地の人材を育成、新しい製品を開発し、インフラも商習慣もまったく異なるアメリカという地で、見事に起業して成功した大先輩達がいたことを誇りに思いたい。残念ながら第2次世界大戦という大きな節目のために葬り去れてしまった彼らの功績は、まさしく今の起業家魂に通じるものがあると思うし、このようなスピリットはこの先もずっと大切にしていく必要があると思いました。

ちなみに本内容のほとんどは、上写真の日本のNPO南外房文化財.戦跡保存活用フォーラムがこのあたりの交流と歴史的な流れをまとめ2005年に出版した「太平洋にかける橋」、そして今や絶版のCALIFORNIA ABALONE INDUSTRY(自分は持ってます)という本を参照させていただきました。

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AI時代は製造業のチャンスだと思う!

AIがブームになって久しい。今では日常のニュースでもAIの言葉を聞いたり見かけたりしない日が無いくらい話題になっているというかバスワードになっているというか、とにかくその勢いは留まる事を知らない感じ。単純に、このあたりには正直疎い自分の感覚では、AIのゴールとは知的(高給)職業の凌駕にまずフォーカスされていくのだな~というイメージが強い。例えば過去の判例の物量リサーチが仕事の多くを占める弁護士や、症例などの解析が重要なお医者さん、または数字の解析がポイントになる会計士やアナリスト、投資家などの領域がどんどんAIに置き換えられていく感覚だったんだけど、実はAIの隆盛は、この領域には全くとどまらず、それこそ多岐にわたっていることは、自分もそうなんだけど、あまりきちんと認識されていないような気がする。まあ自分の場合は勉強不足だという事が一番大きいのですが…^^;;
例えば、日進月歩で開発が進み、GOOGLEのWAYMOやUBERをはじめ、多くの企業が参入している自動運転車は、まさにAIが必需品だ。シリコンバレーにはCRUSE AUTOMATION (GMが1000億円で買収)やZOOXといった車載AIの分野でかなり吐出しているスタートアップがあったり、INTELが買収したMOBLE EYEもこの分野の先駆者的存在である。要は人間の判断の代わりにAIが、その日の天気やカメラやセンサーが捉えたデータにより、障害物が人であるか物体であるかを見極めたり、暗い状況がトンネルの中なのか夜なのかを判断したりする部分がAIにゆだねられていくわけだ。そのためには膨大に収集されたデータを的確に処理できる能力が不可欠になってくる。
同じように産業面に目を向ければ、工業用のロボットなどAIを利用することによって、蓄積された動作のデータから究極的にミスを減らしたり、動きの無駄を省くことができるようになり生産工程の品質向上に間違いなく貢献していくだけでなく、人件費の削減やヒューマンミスも防ぐことが可能になる。また家庭用のロボットや将来的にますます増えてくるであろうヒューマノイド(人型ロボット)は、AIによって間違いなく知的になり、家でも階段を上り下りして家の隅々まで掃除できるロボットがでてきたり、公共施設で活躍する案内ロボットや簡易作業ロボットが、かなりのスピードでお目見えしてくることは容易に想像できる。
ところで、このような状況を考えた時、これは製造業にとって非常に大きなチャンスではないか?と思えてならない。書いてきたようにAIによって頭でっかちになった製品(個体)には、それに見合った手足や駆動部が確実に必要になると考えられるからだ。例えば、目の前の段差を判断したり階段を認識できるAIを搭載した新型の掃除ロボットには、認識した段差を超えたり階段を登れるようなハードウェアの機能が必要になる。この部分に新たなメカ部品が必要になってくるわけだ。工業用ロボットも人間の産業に置き換えられるスムーズな動きが要求されるし、ヒューマノイドに至っては、その傾向が顕著で、例えばセンサーによって触れたものの硬度や温度などを感知して、それがどのようなものかを判断できるAIが搭載されたとしても、それを判断によって優しく掴んだり、しっかり握りしめたりする事ができるグリッパーが無ければ、その機能を十分に発揮することはできない。そのためにはあくまで人間の手の感覚や動きを具体化できる微細加工や組み合わせ技術などが重要になってくるわけだ。もしかしたらこのあたりって日本の中小町工場が得意としてる分野ではなかったかな??などと強く思えてしまう。無理やりのこじつけに聞こえてしまうかもしれなけど、まさにAI時代には新たな製造業のチャンス到来ではないか!?

特にシリコンバレーでは、分野を問わずAIのスタートアップが無数にあるがその中でもJIBOやANKIといったFAMILYロボット系の会社、またメディカルロボットなどを手掛ける企業などAIを軸としたハードウェア製造会社もきっとたくさんあるだろう。こういく会社にはもしかしたら日本の技術が参入できるプロジェクトが沢山あるように考えられる。勿論参入する気があればだけど(皮肉っぽく…^^V)  要はこのあたりのマーケティングだと思う。

民間工芸が百花繚乱のごとく発展し隆盛を極めた江戸時代の工芸品に、印籠(根付)、キセル、櫛、からくり人形などと比べるとあまり有名ではないが「自在置物」というのがある。
これは、その昔、兜や甲冑を製造していた職人に需要が無くなったので、その技を生かして、龍や昆虫、甲殻類などの置物を作り始めたのが起源だと言われているが、その素晴らしいところは、本物の生き物のごとく、それらの体節や関節が自在に動くところにある。これ実物見ると本当に驚嘆に値する出来栄えと精巧さなんだけど(是非検索してみてください!)、日本の精密加工の凄さをみていると以前から日本の加工技術にはこのあたりのDNAが間違いなく流れていると思えてしまう。まさにこれからのAI時代において、この日本の中小町工場が持っているであろうDNAが、再び世界でよみがえる事を何とか期待したいものだ!

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人件費の在り方を再考してはどうだろうか?

既にかなり知られた事実だが、シリコンバレーのここ数年の人件費の急騰は本当に凄まじい。平均日本円で1500万円。マネージャークラスで2000万円越えは当たり前といった状況。APPLEやGOOGLEで大体平均プラスαだが、FACEBOOKに至っては1700万円ぐらい@@!新興勢力の映像配信のネットフリックスやシェアライドのUBERでも給料の平均値はFACEBOOと肩を並べているそうだ。
とにかく日本から見たら破格! 確かに近年の好景気の影響による給与の高騰は、ここで生活するすべての価格を押し上げている。顕著な例が住宅費で、シリコンバレー界隈の家賃は日本で言う2LDKでも月平均$3,000前後、サンフランシスコでは同じ間取りで$5,000はくだらないらしい。それでも住宅の供給が間に合っていない状況だという。年に$36,000(日本円で400万円?)が手取りの中から消えていくわけだから、上記くらいの給料をもらっても、生活的には楽とは言えないのが現状だ。特に私のようなずっと地道に商売を続けている庶民にとっては、所得と比例せずに生活コストが急激に上がるので、かなり窮地に立たされている…ホントの話。

勿論、各企業もここまで高い給与を払うのは、それに見合う優秀な人材を世界中から確保するためだという事は明白だ。 そのために熾烈な給与競争をしているように見える。しかし、いままで夢でしかなかったものが物凄いスピードで現実化している状況を見ると、どれだけ早くニーズのある商品やサービスを開発して市場に出すことができるか?これこそがまさに生き残りをかけての熾烈な争いとなっているのだ。そのためには人件費に大枚をはたいてもサービスや商品が1日も早く世に出で勝負を制すことができれば、何倍もの利益になって戻ってくることが目に見えているからだ。

シリコンバレーの企業にとって人件費は間違いなく”投資”だ。

翻って日本の企業はどうだろうか?自分は日本を長いこと離れているので現状の詳細は分からない。最近は急成長のIT系企業なども多く、少なくとも以前に比べれば給与所得は大きく成長しているように思われるが、よく聞く話は未だに年功序列の体制がそのまま継続、勿論定期ボーナスというある意味独特の制度によって利益の配分もされているとは思うのだが、それでもこちらと比べるとはるかに低いようだ。う~ん、それで社員のモチベーションは十分に上がるのだろうか?もしくは物価レベルを考えれば、所得は相応なのか???このあたりは想像でしかないが、、感覚的には

日本企業の人件費は未だに”コスト”として考えられているのではないかと思えてしまう。

90年代から2000年代にかけて、日本の技術が喉から手が出るほど欲しかった韓国企業は、日本の優秀なエンジニアを5倍から10倍の高額な報酬でハンティングし、そこで得た技術を液晶をはじめ最近ではLGやSAMSUNGがバッテリーに活かして世界的に高いシェアをたたき出している。方法はどうであれ彼らも先行投資をして今の地位を確立しているわけだ。確かにやり方はえげつない。ただ、それを守る事が出来なかった日本勢にも問題はあるのではないか?「会社の為、しいては日本の為」という理由の説得だけで社員の抱えるローンや養育費を賄う事が満足に出来ない状況に対応できなかったのではないか?余計な事だが、そんなことも考えてしまった。

さて、随分前置きが長くなってしまったけど今回言いたかったのは、このあたりの旧態依然の人件費の在り方を、特に中小企業においては、もしかしたら再考する時期が来ているのではないかという事だ。 多くの中小企業や町工場のオーナーの皆さんとの交流の中で、この激動の時代にキラ星のように生かせそうな本当に優れた技術や商材をもつ会社が沢山ある事を実は常々感じている。ものづくり立国として立ち上がってきた実力も十分にある。しかしながら現状、マーケットインが主流になっている点、加えて優れた技術をさらに実用化できるパワー不足などもあり、本当に流れに乗れていないと思うのだが、その要因としては従業員の人件費も大いに影響しているような気がする。このような各自が持つお宝を強力な人材パワーによって一日も早く体制できれば、もしかしたら大化けする可能性もあるのではないか?勿論会社の規模による限界があるかもしれない、ただ 大手並みの給料が出せなくても給与形態の見直しや成功型の合理的な歩合制度の導入など、代々受け継がれてきた制度を見直すことも今なら十分可能だと思われる。ある程度の利益が確保できた段階で新たな報酬制度に転換できれば、話題性も相まって優れた人材を集める事も可能になるはずではないだろうか?実際、そのような新しい給与制度を実践し地方にありながら優秀な人材を擁して成功している会社も知っている。

優れた技術や商材で夢を語る事も出来るだろう。ただ匠の技と称してゴマ粒より小さい部品が作れるとか、0.5mmのシャープペンの芯に穴が開けられることができても、売れなければ意味がない。そのためにはやはりマーケティングも含めたマンパワーは不可欠だ。町工場がもつ特化した技術で世の中を変えるという夢とロマンあふれるドラマだった「下町ロケット」は本当に素晴らしかった。でも、それだけで佃製作所で働いてみたいをという優秀な若者たちが集まってくるのだろうか??はっきり言って疑問だ。

今年の日本はオリンピックに向けての景気向上なのか求人有効倍率も1.5%近く、かなりの売り手市場だという。そうなると中小町工場の人材確保はますます難易度が高まるかもしれない。しかし激動の産業の流れは待ったなしだ。シリコンバレーに倣えとは言わないが、景気が良い今だからこそ技術力プラスαとして人件費も会社の投資として再考してみる良い機会かもしれないと思うのだ。

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自動車産業のイノベーションに乗れるか?

申し訳ありません。2017年の初めての投稿になってしまいました^^;;。

3月29日に、経済産業省において視察のお手伝いをしている素形材センターのミッション報告と、シリコンバレーの有志によるD-LABの「自動車産業の破壊と創造で盛り上がる同地の状況とその流れをどうとらえるか?」についてのセミナーが開催された。D-LABのメンバーはシリコンバレーに出向している経済産業省の精鋭と民間の若手で構成され、この地で今起こっている日本の最後の牙城である自動車産業を根底から覆すインパクトを持って進んでいるイノベーションに衝撃を受け、何とかこの状況を日本が理解し、一丸となってそこに追従する意識を持ってもらおうという事で活動を進めている。
今回発表された、レポートには現在シリコンバレーで起こっている衝撃的な内容の詳細が記載されている。一般にも公開されているので、是非ダウンロードをお勧めしたい。
「シリコンバレーDラボ、プロジェクトレポート」

その内容にもあるように、今シリコンバレーで起こっている自動車産業のイノベーションは単に電気自動車(EV)とか自動運転にとどまらず、そこにシェアリングとコネクテッドという新たな動きが同時進行で動いているところに、実は、日本勢が完全に蚊帳の外になってしまう可能性を秘めた大きなポイントがある。

まず日本の自動車産業だが、これは60年以上、綿々と車というハードウェアを販売することによって利益を得てきた。そしてこの流れは現在もまったく変わっていない。しかしながら、以前、このBLOGにも書いたと記憶しているが、此方で起こっている動きはIT産業の下に車がぶら下がる事が前提となる。つまり車がスマートフォンのように情報の収集と発信のためのツールとして位置づけられるという事で、車(ハード)は、スタイルがいいとかスピードが速いとか燃費が良いとか、それ自体が価値を生み出すことを必要としていないのだ。これが先ずコネクテッドという考え。そうなると車の性能は必要最低限になり、スマートフォンのようにタダ同然で配られる可能性がある…。

シェアリングは、昨今話題になっているシェアリングエコノミーで車ではUBERやLYFTに代表される、誰でも運転手になれる乗り合い白タクの発想。車を持たなくても、持っている人が運転手になって人の移動をサポートする。つまり利用者は手軽に交通手段として車を利用することが可能になるので、単に移動手段と考えれば車自身の価値や機能、そして車を購買する事も運転手にならないのであれば必要ない。そうなると、これが車の販売台数に与える影響は大きい。

そして自動運転。ドライバーは必要なくなり、車自身がセンサー技術や最先端のAIを利用して安全性を確実に踏襲して運用されるようになるという事は、車というハードウェアに安全に必要なものがいらなくなる。言い方を変えれば、日本が培ってきた安全性の確保という蓄積も殆ど不要になり、誰でも車を作る事が出来てしまうのだ。

最後のEVだが、つい最近、時価総額でFORDを抜いたTESLAの隆盛をみるまでもなく既にアメリカでは10台に1台はEVが走り回りまわっているくらい急速に普及している。当然エンジンもミッションも車軸もないので製造コストは抑えられるし、給油やオイル交換といったサービスも不要になるので利便性はかなり高い。何より、エンジン一つとってみても平均で500~800近い部品で構成されているものが、MOTORになるとインバーターを入れても部品点数は100に満たないそうで、そうなると今までエンジン部品の生産に従事してきたメーカーにとっては危機的状況だ。
以前調べたのだが日本の場合、自動車産業に従事している就業人口は約200万人で、その殆どがガソリン自動車の製造に関係している。そうなるとEVが先々隆盛を極めるとわかっていても国を挙げて大梶を切る事は難しいと言わざるを得ない。

さて、このような状況の中、日本勢は何を考えなければいけないかが、これからのポイントだ。正直、この動きを理解しているか否かで先ず流れは大きく変わってくると思う。基本的に日本の自動車産業は、「系列」といった三角形の組織形態で成り立っている。で、そのTOPであるメーカーがこの動きに対する意識がない、もしくは意識があっても現状のインフラへの影響で身動きがとりにくい、という事になると残念ながら予後は非常に芳しくない。なので、少なくともTier1, Tier2、という位置づけにある企業は自主的に何らかの対応を取るべきだと思う。今まで世界最高峰の日本の自動車産業を支えてきた企業であれば、新しい市場に対する方策は無尽にあると自分は確信している。加えてこれから新規で車を作ろうという企業もどんどん増えてくるという事は、製造業の需要はかなり大きいはず。あとはそれをどうやって自分たちで見つけ出していくかだ。肝要なのは、このブログで一貫して主張している、「プロダクトアウトではなくマーケットイン」だ。

今回公開された資料には具体的に真剣にアメリカにチャレンジしている中小町工場の事例も紹介されている。是非とも内容を吟味し理解して、自分たちがこのイノベーションに対して何ができるか?手遅れになる前にアクションを起こしていただきたい!

 

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高密度実装技術から製造業の行方を考える

今回は本業の話になってしまうのだが、自分の専門は電子基板(PCB)の実装プロセスの品質管理だ。実は今も車載の電装品メーカーを中心に、彼らが生産する実装基板の検査機や品質管理商材、治工具の販売が生業だ。この業界に入って既に30年以上になる。電子回路基板が誕生し、そのパターン上に穴をあけて、そこに部品の足を挿入して回路をつなぐ方法から80年代に入り基板自身が多層となって今まで2枚だった基板が裏表で1枚になり(今は32層なんてある)、部品の足がなくなって表面実装部品となり、スペースを小さくできるようになって更に劇的にサイズを極小化して多機能になっていく変遷とアナログ主体からデジタルに大きく製品自身が変わってきた状況にずっと対応してきた。そして大きく仕様を変える実装基板の品質をどう管理するかの検査技術に携わって、今日に至っている(信じられないかもしれないけど^^;;)。

1980年代、TVを中心とした家電製品で世界を席巻していた日本の電機メーカー各社は、その殆どの製品を日本で大量生産していた。そうした生産をささえていた生産技術、製造技術、そしてそれをサポートする品質管理技術は大量生産のおかげで、これまた世界最高峰の技術を誇っていたし、それをつかさどる生産設備も日本製が完全に世界のデファクトスタンダードだった。 特にPCBに部品を装着する実装機では、当時PANASONICと、FUJI(富士機械製造)で世界シェアの50%近くを占めており、その後90年代に入って実装部品が足を挿入しない表面実装化し、製品自身も少量多品種化が進むと、JUKI、YAMAHAなどが組み合わせに柔軟性のある中型機を擁して台頭。 国内の需要が衰退する中、それでもこの分野は、中国の超量産EMS工場の景気に支えられて今でも堅調だ(と思う)。また実装機に限らず、PCBにはんだペーストを塗布するスクリーンプリンター(印刷機)、自動半田付け装置、そして実装された部品が正しく装着されているかを検査する画像処理の検査機もOMRONをはじめ、日本製が殆どを占めていた。

この分野において、当時、日本に追いつくことが至上目標だった韓国勢、その技術をどんな手を利用しても習得することが、まさに死活問題であり、自分が働いていた検査機器メーカーにも「部材と人件費の安い(当時)韓国でノックダウン生産をしませんか?」というアプローチでその触手が近づいてきた。結局自分のいた会社はその話に乗って全てをむしり取られる結果になってしまうのだが、このプロジェクトの責任者として(まだ20代の若造だったけど…)1986年と87年に韓国, サムスンの総本山である水原にあった生産技術研究所に常駐していた自分は、日本の実装機や半田槽、検査機等に大学を出たばかりの兵役を免除されるほど秀才の若いエンジニアたちが蟻のように群がってリバースエンジニアリングをしている様子を今でも鮮明に覚えている。

その後、韓国勢大手は、自分たちの生産設備は自分達で開発し、それを使用することにって設備投資を抑え、タイムリーに優れた商品を開発して、この分野でも世界の市場を席巻していった。正直なところ、実装機に関しては非常に特化した技術、特に日本は100年以上の歴史を誇る自動織機技術のDNAがしっかり踏襲されていて、韓国勢はSAMSUNGをはじめHYNDAIもオリジナル製品で世に出していたが、今でも日本勢に軍配は上がっている。

しかしながら他の周辺機器、特に実装後の基板検査、自分の分野でもある画像検査機は残念ながら、台湾、韓国製が、どれも秀逸。TRI(台湾のメーカーでかつて自分がいた検査機会社のCOPY機で大きくなった)、KOHYOUNGやPARMIといったメーカの製品は日本企業にもかなり採用されている。かつては市場を凌駕していたOMRONやPANASONIC製より、その運用性やソフトのアルゴリズムに関していえば明らかに彼らの製品のほうが優れている感じだ。その影響もあってOMRON,PANASONICともこの分野からはほぼ撤退している。

なぜこうなったのだろう??それは非常に単純だ。少なくとも今の時点で世界最高峰の実装技術を駆使して製品の量産をしているのは正に中国、そして台湾、韓国だ。製造技術、生産技術、品質管理技術というのは量産工程において、いかに歩留まりを少なく効率よく費用対効果を高めて高品質の製品を作り上げるかに依存しているといっても過言ではない。 そして今の膨大な容量のソフトウェアーの手足となり、それを確実に動かしていくハードウェアの進化も凄い勢いで進んでいる。簡単な例でいえばスマートフォンの中に入っている回路は、かつてのPCマザーボードより数倍高機能だ。それが今では手の平にのる。そのサイズの中に2,000点以上の部品が搭載されている。最近ではコンデンサーや抵抗の部品が0402(0.4mmX0.2mm)など目で見てもわからないようなサイズまである。こんな部品を高速で基板に実装する日本の実装機はまさに曲芸の域に達するほど素晴らしいのだが、それが確実についているかを確認する検査技術もまさに曲芸のレベルが要求されるのだ。

現状は、検査が難しいのと修正コストを軽減するために実装の段階で不良を軽減する傾向が強く、継続的な不良(同じ原因によって不良が出続けること)は少なくなってきているので、突発的に発生する不良をどのように見つけるかが検査のトレンドになっているが、これは至難の業だ。1mm以下の幅で実装されている部品同士の半田ショートや極小部品の未半田までも発見しなければならない。それが高速で精度よく確認できる技術は、こういうプロセスに投入され切磋琢磨されることによって、より精錬されたものになっていく。その客先の要求にかなう仕様を日々の鍛錬によって高めている韓国、台湾の生産設備は、間違いなくそのノウハウに基づいたアルゴリズムが含まれているのだ。 量産工程のほとんどを海外に移転、もしくは辞めてしまった日本の環境では、もう残念ながら優れた検査装置は生まれてこないと考えざるを得ない…。

このような状況は生産設備だけにとどまらない。自分の商材でもあるクリーンルームや静電気対策に使用する資材なども、かつては日本製が殆どだったのだが、最近では、韓国、中国製に、だいぶ席巻されている。彼ら協力工場が生産するそれらの品質も、量産工程に見合うレベルにどんどん進化しているのだ。また生産に必要な材料自身もしかり。自分の取引先である電子X線パネルに使用するフィルムの加工しているメーカーでは、最近、納品先の要求で日本製ではなく韓国製の安いフィルムに供給元を切り替えさせられたと話していた…。そういう日本以外のベンダーも同じように量産工程に追従しながら進化と遂げているわけだ…。果たしてこのあたりの挽回が、この先、日本で起こりうるであろうか???

というわけで何が言いたいかというと、量産工程を辞めてしまった日本の大手メーカーの協力工場という立場では、自分たちの技術や製品までも世界の需要からは程遠いものになってしまうのではないか???という事だ。これは上記のように、基板実装、特に検査技術で非常に顕著だが、他の製造でも同じ傾向にあるのではないかと思う。つまり自分たちが開発や製造しているものが、実は世界では既に優位性の無いものになっているかもしれないという事だ。そんな意識を是非、協力工場、中小町工場、そしてハード系のスタートアップの皆さんには持ってもらいたいと思う。勿論、先の頑張っている日本の実装機器メーカーや半導体業界でいえばDISCOなど最初から世界市場をターゲットに日々切磋琢磨している会社も多い。できればこのような会社と同じような意識と視点を最初からグローバルにもって、これからを考えてもらえればと思う。

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講演会のお知らせ!

僭越ですが、6月1日に東京にて、経済産業省と財団法人素形材センター主催の海外展開セミナーで、このブログと同名の「シリコンバレーでものづくりを考える」をテーマにした講演を致します。

http://sokeizai.or.jp/

日本の製造業の行く末を現時点のシリコンバレーで炸裂しているEVと自動運転車による大改革の中でどう考えたらいいのか? 中小町工場がその中で生き残れる方策があるのか?
このあたりの気づきを具体的に共有できればと思います。
よろしければ是非ご参加ください。

 

 

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「志」と「やる気」さえあれば絶対に成功できる!

今年に入ってから、客先の来季に向けての新規プロジェクトなどが非常に忙しく、いつもながら言い訳になってしまいますが、ブログのUPがなかなかできませんでした。。。スミマセン。

さて、2月にLAのアナハイムで開催された西海岸最大のメディカル系の展示会であるMDMに参加した。既に10年以上通っている展示会だが、今回は昨年よりアメリカでの展開のサポートをしている野上技研が出展することになり、その手伝いを兼ねての参加となった。
野上技研は、自社が長年生業としてきたプレス業の経験から高精度で耐久性のある金型を独自に開発、その優れた精度でバリを出さずに素材を切断できるパンチや金型の販売で、特に電池や液晶業界でシェアを伸ばしている。 その技術を利用して、アメリカにおいては医療系への進出を計画し今回の出展となった。 既にアメリカでは、今後需要が急拡大するEV市場をはじめとした電池業界への進出を果たしTESLAをはじめ有力電池系スタートアップで採用されているが、さらなる市場開拓を目論む同社は、社長自らが非常に積極的だ。せっかくの展示会、それも医療系の器具、機器、消耗品のメーカーが一同に集まるという事は絶対に営業展開の機会と競合他社の情報収集のチャンスだとし、まず出展者の中から同社の切断技術に興味を持ちそうなカテーテルやハーネスメーカーなどを事前にリストアップ、期間中にその出展者を一社一社、個別に訪問し自社の紹介と、現状、切断に関しての困りごとがないか?量産工程における需要がないかをリサーチ。これらのデータをもとに具体的は需要の分析と開拓で営業攻勢をかける計画だ。既にブースの訪問企業から具体的な引き合いも入り、今そのフォローを進めている。

もう一社、以前から付き合いのある切削加工のHILLTOP社も例年のごとく派手なPINK色のブースで精力的にPRを実施、特にアメリカの通例ではない「5日で納品!」という短納期を前面に出し、多くの来場者でにぎわっていた。 せっかくの機会なので、日本から出張してきた同社の山本副社長とアメリカ工場を切り盛りする山本社長と一献。アメリカに工場を設立してから一貫して同社がPRしている技術力(勿論、これは優れたものができて当たり前)を前面に打ち出すのではなく、アメリカにおいて確実にアドバンテージを得る事ができる短納期を前面に出した展開と、ローカルの営業部隊を中心とした徹底的な展示会後のフォローにより、既に米系企業を中心に2年間で150社以上の顧客データベースを獲得しているそうだ。中には既に多くの注文をもらっているエンターテイメント系の超大手企業も含まれている。 山本副社長いわく「中小町工場でも本来優れていると思っているモノづくりという概念を捨てて需要とニーズを確実につかむ事ができれば、アメリカ市場制覇は少しも難しくない!」との見解は非常に府に落ちた。

要は、「志」「やる気」なのだ。

毎年、この展示会には、JETROが招請してJAPANパビリオンというGROUP出展のブースに10社(?)ぐらいの日本の中小企業が参加している。 いつもと同じようにブースを並べ、各社が得意とする商品や技術の展示をしているのだが、正直、自分の勉強不足が一番大きいのだけれど、どのような特徴があるものなのか?また市場的に需要のあるものなのか?をそこから把握することが難しく、ただ童謡「まちぼうけ」のごとく、ウサギがひっかかった木の切り株の前で待っているような形態の参加を毎年毎年続けていることに意味があるのか?と余計なお世話だけれども考えてしまう(スミマセン、これで本当に成果が出て実績が残っていたら素直に謝ります。。)。
他にも試作を得意とする企業の合同出展や、それ以外にも日本企業の出展も以前よりは増えて傾向的には非常に良いのだが、果たして上述の野上技研やHILLTOPのようにアグレッシブな活動をしていた会社があったのだろうか(これまたあったらゴメンナサイだけど…)?

せっかく高いお金を投資するのであれば、ただ単純にブースに商品を並べて、訪問した客からのリードを集めるだけでなく、積極的な展開を心がけることによって、その投資効果は何倍にもなる。
そして、それを実践していた2社は確実に成果を上げている。そこに踏み切るかどうかは、やはりTOPのアメリカを制覇してやろうというやる気なのだと思う。

今まで数年にわたり200社近い日本の中小町工場のオーナーに会ってきたが、その中で本気でアメリカに乗り込み積極的な展開をしているのは上記の2社に加えて3社ぐらいしかない。でも、いづれも代表は強い志と情熱を持っている。
嬉しいのは以前から携わっている行政関係の視察のアテンドも相変わらずサポートしているが、最近は企業の選抜方法が良くなったのか、やる気を持った企業に出会う事が増えてきた事だ。昨年から今年にかけて既に2社がアメリカ進出に手をあげ、この先、加えて2社ぐらいが早ければ年内にもアメリカ進出を実現するだろう。彼らとは話をしていても本当に「やる気」を感じるし、自分も創業時を思い出してワクワクする!

昨今のグローバルブームで、シリコンバレーへの日本からの来訪者は今までになく多い。中小町工場の皆さんの来米も増えては来ているが、正直なところ大半は刺激と気づきをもらっておしまいなところが多い。しかしながら、この状況が変わって本当にやる気のある会社が一社でも増えてくれる事を切にに願いたいし、自分自身もそういう会社と出会い、アドバイスをする事で自身のMISSIONでもある中小町工場の海外第2創業に結び付けば、こんなに素晴らしく嬉しいことはないのだ。

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「下町ロケット」を観て年頭に考えた事

2016年が明けました。今年もよろしくお願いします。

昨年、日本で高い視聴率を誇ったドラマ「下町ロケット」をクリスマス休暇を利用して鑑賞した。ドラマとしては秀逸! 構成や考証なども素晴らしく胸のすくような展開で非常に楽しませてもらった。研究開発を通じて夢を追い続ける佃社長と状況を直視する殿村経理部長とのやり取りも現実味があったし、随所にみられる下請け軽視の大手というよりは銀行の対応なども、自分にも思い当たる経験があるだけに、懐かしさも併せてあっという間に観終ってしまった。

さて、ドラマとしては素晴らしかったこの物語だが、今まで日本の多くの中小町工場と携わってきた自分の感想としては、欲を言えば、ほんの少しだけでも「世界を意識した内容が加わっていればなあ~」と考えてしまった。勿論、本当に余計なお世話なのだが、グローバル化に対して意識が低下している感のある昨今の日本の中小町工場の視聴者に対して、ちょっとでもそれに向けた気持ちを高揚してもらえたらと思った次第。

正直なところ、今まで過去数年間に200社近い日本の中小町工場の経営者にお会いしてきたのだが、番組で殿村部場が話していた目先の利益を最優先させる事がやはり先決で(勿論これは重要なことだが)、将来に向けての研究開発を実際に進めているところは少数派、進めているところも殆どがプロダクトアウトの場合が多かった。そしてグローバル化を意識し実際に川上であるアメリカ進出を実現した企業は僅か5,6社しかなかったのが現状だ…。

安倍政権になって、新たな政策の施行(補助金のバラマキ…^^;)に加え、2020年にオリンピックが決まり日本国内の景気が上向きになったことに呼応するかのように「何だ日本でも十分行けるじゃん!」的な状況は非常に顕著になってしまった。民主党政権で仕分けをどんどん行っていたころ、中小機構のアドバイザーをしていた私のもとには月に1件ぐらい(それでも少ないけど)は、アメリカ進出に関する調査依頼があったが去年は年間を通じて僅か1件。 昨年11月に山梨県で講演会を行った際、主催者は「これからの先行き不安もあり、個別に声もかけて100社ぐらいの企業が集まる予定」という事で、披露宴会場を準備し多くの参加者を収容できる手配をしていたにも関わらず、実際には4分の1程度の参加者しか集まらなかった(勿論、私の話というところが一番大きな原因だったと思うけど…^^;)という現状。
これらを考えると、グローバル化という認識に関して言えば、その言葉のみが先行し、実際には笛吹けど踊らずといった状況が強く感じられたのが昨年だった。

しかしながら、これは何としても変えていかなければならない。先のブログに書いたように、世の中、特にシリコンバレーは、ガソリン自動車の既存産業の破壊と新規自動車(EVと自動運転車)の創造を物凄いスピードで進めている。日本が世界に誇る最後の牙城を怒涛の勢いで攻め崩そうとしているのだ。本来であれば、その需要に対して一番アドバンテージのある日本の中小町工場が、このチャンスを何とか生さなければ、かつて栄華を誇っていた半導体やTVをはじめとした諸産業と同じ末路をたどる可能性は非常に高いと言わざるを得ない。
メディアの力を借りてでも、この状況を理解してもらい、2016年はグローバル化の意識をもってもらう必要がある。この時期を逃すと本当に手遅れになりかねない…。そんなことも、このドラマを観て考えてしまった。最終回では、出来ればNASAやSPACE Xのロケットに世界一の技術を誇る佃のバルブが採用され、その打ち上げを社員が見守っている場面を作ってもらえたら、少しでも視聴者の意識が高まったかもしれないと思うとちょっと残念だ…。

遅ればせながら、「世界一受けたい授業」の講師である神戸国際大学、中村教授のFEEDで、PANASONICのTV事業部の総本山であった茨木工場がなんと既に閉鎖されて更地になり、YAMATO運輸の備蓄倉庫と宅地になった事を知った(2014年には決定していたとの事)。かつては世界を席巻した日本のTVメーカーの中でも最高の生産設備と能力を有し生前のダイアナ妃や鄧小平副主席をはじめ世界の要人の視察コースに常に選ばれていた名工場、自分も同社のメキシコ工場のプラズマテレビ生産の事業計画の際には日本に帰るたびに訪問していた工場だった。閉鎖に伴い、そこに仕事があった数百社の協力工場の事を考えると、やはり複雑な気持ちになる。同じようなことがこの先、日本の自動車メーカーの工場では起こってほしくないのだが、その可能性も考慮したうえで、出来れば今年は真剣にグローバル化を意識してもらえたらと思う。

今まで何度もこのブログでは触れているが、自動車産業に限らずあらゆる産業で日本はまだまだ可能性を秘めている。それをつかさどる99%の中小企業、町工場が世界を意識し、今年もきっと新しく出会うであろう会社の中から、全てとは言わないまでも1社でも多く真剣に海外相手のビジネスを考えてくれる事に2016年は期待したい!

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講演会のお知らせ!

僭越ですが、11月24日にシリコンバレー、パロアルトにて、このブログと同名の「シリコンバレーでものづくりを考える」をテーマにした講演会を行うことになりました。主催は自分が2002年より携わっているNPOのSVJEN(シリコンバレージャパニーズアントレプレナーネットワーク)になります。
今まで13年にわたり会の運営をしてきましたが、自らは初めての登壇になります。
日本の製造業の行く末を現時点のシリコンバレーで炸裂しているEVと自動運転車による大改革の中でどう考えたらいいのか?このあたりについてできれば活発な議論の中で考えていければと思います。詳細はこちらから!

https://www.eventbrite.com/e/svjen-tickets-19320058816

シリコンバレー在住の方はどうぞ奮ってご参加ください。日本の将来を是非一緒に考えましょう!

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EV=スマホという時代が来る!

先週、公開されたTESLAの新しい電気自動車(以下EV)のMODEL X。正直このインパクトはかなり衝撃的だった。従来の機能に加え少し禿げあがったオヤジを髣髴させるフロンントガラス(該当の方、失礼…)。大振りになったCRTプラットフォームディスプレイ、そして最大の特徴であるファルコンウェイング(これはデザイン性はもとより、雨の日でも傘の開閉に苦労せず、年寄でも簡単に昇降できるメリットが採用の要因との事…)。まさしく現在の自動車のデザインからさらに近未来に近づいたイメージが打ち出されていた。
発表に伴う記者会見の中でCEOであるイーロンマスクは「3年以内に一回の充電で600MILE(960km)走る電池の開発を実現する!」と豪語していた。もしこれが実現すれば正直かなりの脅威だ。現時点でモデルXの希望小売価格は基本的なオプションを入れれば、13万ドル(日本円で約1500万円)という事で、正直あまり庶民には縁が無いのだが、2017年に発表されるTESLAの新しい廉価版モデルは、価格が35,000ドル(日本円で約400万円強)で実質の走行距離が300MILE(約480km)という…。
これが実際に発売されるとEVの需要が急激に高まり、 化石燃料車の需要は急激に低下という流れは火を見るより明らかな気さえする。CDが世の中に出た時にあっという間にレコードが駆逐された状況とまではいかないが5年ぐらいのスパンで形勢は一挙に逆転してしまいそうな感じが否めない。

なぜならEVの普及は、ただ単に車が電気で走るようになるという事ではないからだ。

この先、EVは有人、無人にかかわらず、それぞれがIDを持ち通信ネットワークでつながって各種アプリで安全性の確認から、移動先の情報収集はもとより、音楽、環境、ネットワークなど全てを網羅し、加えて個人のデータ履歴を含めた膨大な情報のプラットホームになる。

これって極論すればスマートフォーンと一緒!??

遅ればせながら初めてTESLAのモデルSに乗せていただいたのだが、暗闇でいきなり浮かび上がったディスプレイはまさに巨大なスマホにみえた@@!

CDの例と同じようにAPPLEがI-phoneを世に出してわずか数年でガラケーが駆逐された状況がまさにここでも起ころうとしているのだ。
それを体感できる状況が今のシリコンバレーである。FACEBOOKが出現した後、IT業界では、このような大きく飛躍する産業が新規で生まれてくることはないのではないか?という雰囲気が一般的だ。勿論、IOT,VR,DEEP LEARNINGといった今のキーワードでもあるような分野の隆盛は見込めるものの、一大産業になるとは考えにくい。
そんな中で考えられるのが既存の産業や形体の破壊と新規創造だ。UBERが世界的に注目され、数千億円の資金を調達しているのは、まさに物流の概念を根底からひっくり返し、さらに産業を大きく想像できるインパクトがあるからだ。
電気自動車の分野もまったく同じ状況。今まで100年以上、ガソリンという燃料で普遍的に動いていた乗り物が、ここへきて一挙に電気駆動の通信移動体に変わろうとしている。産業そのものが大きく変革するのだ。
加えて上記のEV=スマホの考察からすれば、世界のトッププレーヤーが集約しているこの地から新たな大改革が起こっても何ら不思議はない。
その代表であるTESLAはEVとバッテリーという切り口で既に業界をリードしているし、APPLEも当然ながら参入を表明し2019年には最初の製品を出すと発表、データビジネスの雄であるGOOGLEの自動運転車もリリースは時間の問題だ。場所は異なるがイギリスのバージングループも参入を表明している。そしてこの機に乗じようと世界中のあらゆる関連産業の重鎮たちが動き出している。既存の日系以外の自動車メーカーはもとより、ガソリン自動車のインフラを持たない新しい関連分野創出に乗り出してきている中国をはじめとした新興国の企業たち。韓国勢ではSAMSUNGが、ここに1,500人規模のR&Dセンターを設立、LGやインドのTATAグループ、通信ではエリクソンやNOKIAも大規模なオフィスを構え自動運転車も含めたネットワークへの参入を狙っている。当然INTEL, AMD、ALTERA,NVIDIAをはじめとした半導体メーカーも物凄い勢いで車載デバイスの開発に力を入れている。 さらにこれらの新しいテクノロジー、特にコアになるバッテリー関連のスタートアップは、シリコンバレー界隈には100社以上あり(もちろん全てが車載用とは限らないが)。そこに潤沢な資金がITで大もうけした企業から流れ込んでいる。またTESLAが自らの特許を全て公開し、EVの業界を全体として盛り上げようぜ!的なリーダーシップをとっていることも非常に象徴的だ。

いやあ、物凄い状況。。ただ残念なことに、このような盛り上がりが本当の意味で日本に伝わっているかは甚だ疑問だ。仕事柄、こちらの多くの車載電装品関連のお客さんと付き合いがあるのだが、今現在は、どこも車の売れ行き絶好調の状況から、このような変革が起こりつつある事など想像もできないようだ。当然、海を隔てた日本では話題にも上っていないかもしれない…。

ただこの状況は日本にとっては非常に深刻ではないのか??

かつて90年代、自動車電話や携帯電話の業界は移動体通信という分野だったが、今のEVは自動車というカテゴリーから通信移動体になる。、利益を生み出す方法も車というハードを売ってもうけるのではなく、通信費やデータの収集、広告などが主になってくる。そうなると本体も今のスマートホーンのようにタダで配られる可能性があること忘れてはならない…。

そのとき日本勢はどう対応するのか? 水素燃料??世界のトッププレーヤーたちがEVに動いている状況のなかで、残念ながら水素燃料車は間違いなくVIDEOのBETA方式を同じ末路になるだろう。 ここにいると、少なくとも自分はT社のMIRAIに未来があるとは思えないのだ。

繰り返すが、 ガソリン自動車の隆盛で圧倒的な地位を築き、半導体、通信、家電で玉砕してきた日本の唯一の柱である産業が今大きく変わろうとしている。既存の膨大なインフラで、手足に大きな枷をつけられている状態の日本の自動車メーカーが、この怒涛のようなEV産業の流れにどう対処していくのか?

日本の最後の牙城の存在を憂う自分としては、今から意識する必要が絶対にあるのではないかと思っている。 少なくともこれをお読みになった皆さんには、そう考えていただきたい。

 

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