CEOとの前職からの関係で昨年の創業当初から応援してきた全個体電池のスタートアップ「LASAGNA ONE」が、シリーズAで$16Mの資金調達をクローズ!素晴らしい!
業界の第一人者だった若手CEOとパートナーが中心となり、$3Mのシード調達から少人数体制での製品開発と限られた設備でのプロトタイプ製造にがむしゃらに取り組み、創業わずか1年で同製品の最大手QUANTUMSCAPEが、あれだけ巨額の開発費をかけても未だに完成できていないと言われる性能に特化した試作品を完成させたことで今回の調達につながった。もちろん正念場はこれから。ますます加速する市場の要求に呼応した製品開発とプリプロダクションのプロセス構築、そして資金力を持つ大手を中心とした競合他社のとのし烈な戦い等、DEEPテック分野ならではの苦労も多いかと思うけど、彼らのパッションとバイタリティがあれば必ず実現できると思う。これからが本当に楽しみだし、資金面では無理なので^^;;、プロセス構築の分野で、これからも全面協力していきたい。
さて今でも昨今のスタートアップ企業と、こちらで会う機会もあり、もちろん自分の分野以外だったり知識不足も大きく影響していると思うけど、正直、起業の要であるミッションも不明瞭で、どこにゴールがあるのかも分からないところが多く、最初から行政の支援制度への依存体質が見えたりもして、勿論あくまでも自分の主観だけど、話を聞いていて「おおお~面白い!」と身を乗り出してしまうような会社は皆無で全然ワクワクしないケースが殆ど。ユニコーン企業になろうとか世の中のインフラを変えてやろうとかスケールと野望の大きなところも殆どない。そんな中、本当に凄いと思ったのは、自分の中では、高野君率いるDG TAKANOと、このLASAGNA ONEぐらい。彼らは、製品コンセプトのインパクトも凄いが、その実現のため行政の力や支援に頼ることなく本当に自分達の志と情熱で資金も調達しガリガリに製品開発に邁進している。これこそが本当のスタートアップの姿ではないか? もちろん、創業者として「数億円稼げて、CEOの名刺持って、ある程度うまくいったら、どこかに買ってもらって、ちょっと有名になれればよい!」というミッションのスタートアップ企業であれば、それもありだろう。ただ、それが大勢を占めるような状況はどうなのかな??またそのようなスタートアップを国が支援してもメリットあるのかな?
今の「スタートアップ」がバズワードになってしまった状況、そして、そのバズワードが先行して金が集まりやすくなっている彼らを取り巻く環境からは、どう転んでも世の中をひっくり返すようなスタートアップは生まれてきそうもないと、ロートルになった自分には思えてしまう。なので、先ずは上述のLASAGNA ONEやDG TAKANOが大成功を収めることによって、真のㇲタートアップの姿を見せてもらうことを願って止まない。
私的スタートアップ考
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米)BEANS International Corporation代表。 神奈川県出身。1988年に渡米。10年間の駐在員経験のあと1999年に独立しシリコンバレーにて起業。同地で一貫して次世代産業を支える製造業関連の仕事を継続し現在に至る。