円安を最高の武器にすべきだ!

 スミマセン!いつも言い訳からスタートするのがこのブログの常になってしまったけど、今回も何と前回の8月以降の投稿…。今年も夏以降、新規プロジェクトの立ち上げ準備などで超多忙の日々を送り、気が付いたら年の瀬の年末休暇に突入していたという次第でした…。

 さて、今年に入ってからはロシアのウクライナ侵攻をはじめ、終わりの見えないコロナの状況など、とにかく混迷な世の中が年末まで継続し、残念ながら、その出口は来年に入っても見えてきそうにない。今まで厳格だった各国のコロナ規制も以前に比べれば大分緩和され、国際間の物流や人々の動きは活発になってきてはいるが、現状の世界の状況を反映して為替相場は急激な円安となり、原材料の輸入大国である日本は、その影響で、あらゆるものが値上がりしている(日本に限ったことではないが…)。
 勿論、輸出比率の高い大企業にとっては、原材料の輸入コストが増大しても為替差益が還元されるので、コスト増のカバーも出来て、ある意味 ”都合の良い” 状況であることは事実。しかしながら国内需要に特化する製造業にとっては、燃料費や部材のコスト高が利益を圧迫するために経営状態は間違いなく苦しさを増しており、状況的に国の方針である所得倍増を実現することは厳しそうだ。特に下請け的傾向が強い中小町工場において、その悪影響は顕著であろう。

 残念ながら最近のニュースを見ていると、これらの影響も相まって現在の日本はGDPばかりか、平均賃金まで台湾や韓国に肉薄されている状況。経済大国、電子立国として名を馳せていたかつての栄華は本当に兵どもの夢の跡になりつつある感が否めなくなってしまった。コロナの規制緩和で、また昔のようにインバウンドの観光客の増大も景気回復には一役買いそうだが、かつて日本人が高所得と円高を背景にアジアをはじめとした低所得国でブランド品を買い漁ってきたのと同じ状況が今の日本の現状(つまり低所得国の位置づけになっている)だと、一橋大学の野口悠紀雄名誉教授は指摘している。

 さて、こちらアメリカの状況はと言えば、今年の最初には数々のコロナ規制を撤廃し経済の回復に大きく舵は切ったものの、ウクライナへの支援戦費の増大や、原油価格の高騰、また中国との関係悪化の背景に起因し、残念ながら株価の低迷や、META, TWITTERといった大手IT企業の大幅なレイオフなど状況の改善は見込まれていない。最近ではそれに呼応するかのように多くの企業でレイオフが日常化し、品不足が深刻な半導体業界でも、来年度のリセッションを懸念して人員削減に踏み切るところも出てきているようだ。その反面、コロナの状況以降、製造拠点を国内や近隣諸国に戻す動きが顕著になり、国内の製造業関連は部材の調達不安はあるものの何とか堅調、そして自分が携わるEV関連や、電池産業などは将来的な需要予測から相変わらずの活況を呈している。特に電池や、次世代モビリティの分野は開発競争がし烈を極め、その試作開発や将来的な生産プロセス用のライン構築に必要な部材の需要はかなり力強い。

 同分野に携わる自分の経験から、この状況は円安による価格メリットで正に日本の中小町工場にとっては、アメリカに市場を広げる絶好の機会だ。実際に今、弊社では日本の加工メーカー数社から部材を供給してもらっているが、日本からの送料を加えても材質やデザインによってはアメリカより日本で製作したほうが安価なものが大分増えてきている。そればかりか連携しているベトナムの加工工場よりも価格メリットがあるものも頻繁に出てきた。僭越な言い方かもしれないが、少なくともMADE IN JAPANは圧倒的に品質上での安心感がある。それが長く続いていた1ドル110円台の頃から比べれば20%安く手に入るのだ。これは間違いなくチャンス。円高進行のきっかけとなったプラザ合意(1985年)以前の日本は、工業製品のみならず日用品から玩具迄アメリカに輸出して莫大な外貨を獲得し自国の高度成長を推進してきた。この時の状況とまではいかないが、日本の国内のみの需要対応では材料費の高騰などのマイナス要因だけが目立つ円安を逆にうまく利用して、ある意味他のアジア勢も凌駕し一気にグローバル展開を図る非常に良い機会ではないかとPOSITIVEに考えたい。

 そしてこれは単に少量多品種の試作部材だけでではなく、量産受注の可能性も十分にありだ。
アップルI-WATCHのリストバンドに採用されれているアルパインループとトレイルループは、日本の福井県にある井上リボン工業が全数製造している。勿論そのデザイン性や品質がアップルの希望に叶うレベルであることは間違いないのだが、当然この円安で、この高品質の部材が更に安価に入手できるようになった事も、以前より取引企業との協業をモットーにしていながら、価格に関しては圧倒的な数量を武器に過酷な交渉をする同社にとって、大きな魅力である事は間違いない筈だ。

 さて今年もあと数日で終わり新しい年が幕を開けようとしている。残念ながら大方の景気予想は、春までの早い段階で半導体も含めた分野において、大きなリセッションが起こる可能性を示唆している。ただ状況を見ながら、日本だけにとどまらず海外市場に対するマーケティングができれば、現状では製造業にとってマイナスのイメージでしかない円安を間違いなく武器にできる事も是非2023年は熟考してほしい。

 という訳で、今年は何と僅か4回の投稿になってしまいましたが、来年は出来るだけ、もっと頑張ります(って既に信憑性無いけど^^;;)! 皆さん、素晴らしい新年をお迎えください。

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