スピードを意識しているか?

謹賀新年!

 以前より、こちらのハードウェアスタートアップと付き合う機会も多く、彼らのものづくりサポートの為の部材供給などを行っているのだが、感じることは、いかに「スビード」が大事かという事だ。ハードウェアスタートアップの場合、先ず製品の構想やアイデアで初期段階としてエンジェルやシリーズA主体のVCから調達した資金で 試作レベルの製品を完成させ、それを元にシリーズBの資金調達後、試作量産を確立、製品をブラッシュアップさせながら完成度を高め、量産による製品価格の計画を立てて最後の資金調達を経て自社での製造プロセスで稼働し運営、もしくは同業大手への売却でEXIT、というパターンが主流。当然ながら、それぞれ次のステップに行くためには、まず調達した資金が枯渇する前に製品を仕上げることが必要最低条件になる。その為には圧倒的にスピードが必要なのだ。価格よりも短納期に意味がある。加えて現在のハードウェア市場をみても、如何に「新製品を最初に市場に投入するか」がその先の市場確保に貢献するかも明白。アマゾンが世界で最初に発売したAI機能ALEXAを搭載したSMART SPEAKER「AMAZON ECHO」のシェアは発売後10年近く経っても未だに30%近くでトップ。テスラのEVやAPPLEのI-PHONEのをみても状況は同じだ。その為、これらの企業でも実際に付き合ってみると試作部材に関しては先ずは価格より納期の優先度が高い。実際テスラでは加工部品の納期は1週間が当たり前。先ずそれを聞かれて難しい答えれば土俵に乗る事も出来ない。このような背景から、試作部材製造は、数量によっては3Dプリンターで仕上げたり、FICTIVEのような瞬時に見積もりを提示して受注後数日で納品というサービスがこちらでは主流になりつつある。
 翻って、いま日本で付き合っている部材加工メーカーの状況はどうかといえば、残念ながら未だに見積提示までは2~3日が標準で製品加工も2~3週間が当たり前の状態(勿論十分忙しく対応しきれない、という状況もあるだろうが…)。これで通用する日本の市場であれば、もちろん何の問題はないのだろう。ただ、この状況は世界的には完全に市場の動きや需要に合致していない。
 そんな感じなので、日本でもFICTIVのコピー版会社CADDYやMISUMIが始めたMEVIYなどの同様サービスがあるが、余計なお世話だが果たしてちゃんと業績を上げているかどうか…。
正直、付き合いのあるべトムのベンダーでも、時差の関係もあるが夕方までに見積もり依頼をすれば翌朝には届き、発注後はアメリカまでの輸送を含めても10日で部材が到着する。そして価格的にもメリットがあるので、スタートアップをはじめ、こちらのメーカーの要求には十分対応してる感じだ。
 2024年に入り、今後は益々グローバルな形でのEMS等、ファブレスの製造プロセスが主流になり今まで以上に国際的な動きに合致することが求められる中、このような「スピード」を意識することが更に重要なポイントとなる事を、特に日本の中小製造業のオーナーたちは、今から肝に銘じる必要があると強く感じている。

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